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2025-04-15 08:12

量子化学2(第2回; 2020年版)Huckel 法とは?

量子化学2(第2回; 2020年版)の「過去の講義動画 」をもとに、講義の主要なトピックについて「2人のAIホストがおしゃべりする」というポッドキャスト風の音声概要を作りました。通学中などの予習・復習に活用してみてください。

音声概要は AI によって生成されるため、「不正確な情報」「音声の乱れ」「漢字や記号の読み間違い」などが含まれる場合があります。

講義資料:https://yamlab.net/lect-qc2

サマリー

今回のエピソードでは、量子化学のHuckel法を用いて、パイ電子を持つ強薬分子系の性質と光吸収の関係を探求しています。特に、分子の色がどのように形成されるのかをシンプルな近似を通じて理解することに焦点を当てています。

Huckel法の概要
やまラボ Podcast へようこそ。今回は、量子化学の世界、 特に有機化学で大事な強薬分子系、つまりパイ電子を持つ分子についてです。
これを理解するためのHuckel 法というのを、皆さんと一緒に見ていきたいなと思っています。
はい。いただいた資料、これは量子化学の講義ノートの一部ですかね。あの複雑な分子の電子状態、特にパイ電子がどう振る舞うか、例えば色がどうして
つくのか、みたいなことを驚くほどシンプルなHuckel 法で捉えようと、そういう内容ですね。
量子化学って聞くと、ちょっと難しそうなイメージありますけど、このHuckel 法っていうのを使うと、その分子の性質の本質に迫れるってことなんですね。
そうですね。
目標としては、厳密な計算は一旦置いといて、その考え方のエッセンスと、あと光の吸収とどうつながるのか、そこをつかみたいなと。
はい。
早速なんですけど、そもそもどうしてこの強弱分子系っていうのが特別に注目されるんですか。
それはですね、これらの分子って二重結合と単結合が交互に並んでて、パイ電子が分子全体に広がってるんですよ。
その結果、なんていうか、特有の反応性を示したり、あるいは特定の色を持ったりするんですね。
へー。
例えば、私たちが物を見るときに働いている網膜のレチナール、あれも光を吸収する強弱分子系の一つなんです。
なるほど。視覚にも関わってるんですね。
でも、こういう分子の電子状態をシュレーディンガー法定式とかで真面目に解こうとすると、結構大変なんですよね。
まさに。原子の数が増えると、もう計算量が爆発的に増えちゃうんです。
そこでこのHuckel 法の出番というわけです。
これは、本質を見るためにいくつかかなり大胆な近似を使います。まあ割り切りですね。
近似ですか?大胆なというと?
まず大きいのが、パイ電子だけを考えるっていう点です。
パイ電子?
ええ。分子の骨格を作ってるシグマ電子っていうのは、一旦まあ考えないことにする。これがパイ電子近似です。反応とか光吸収に重要なので。
なるほど。確かに大胆ですね。それだけで性質がわかるのかなって気もしますけど。
うーん。まあそこがポイントなんですが、次に計算をもっと簡単にするために積分の簡略化を行います。
積分の簡略化?
計算で出てくるややこしい積分があるんですけど、例えば原子軌道のエネルギーに関わるものをアルファ、隣り合う原子軌道間の相互作用、まあ結合の強さに関わるようなものをベータっていう記号で置いちゃうんです。アルファとベータ。
はい。
アルファは原子単体のパイ電子のエネルギーみたいなイメージで、ベータは結合による安定化の度合い。これは普通負の値になります。
ふむふむ。
あと、重なり積分っていうのもあって、これは同じ原子なら1、違う原子同士ならパイ軌道はあんまり重ならないんで0にしちゃいます。
ああ、なるほど。アルファ、ベータと、あとは重なりは1か0かで表すと。3つ目の近似は何でしょう?
3つ目は隣接原子間の相互作用のみ考えるです。さっきのベータですけど、原子が直接くっついてる場合にだけベータとして、離れてたらもう相互作用はゼロとみなします。
隣同士の影響だけ考える、なるほど。これら3つの割り切りを使うと何ができるようになるんですか?
これでですね、永年行列式っていう分子全体のパイ電子のエネルギー順位、固有値エプシロンを求める式をすごく簡単に作れるようになるんです。
永年行列式。
ええ。行列の大きさは炭素の数と同じで、対角の要素はアルファエプシロン。
対角がアルファエプシロン。
で、非対角要素は原子が隣り合って結合してればベータ。
結合してればベータ。
そうです。それ以外、つまり結合してなければゼロ。
電子の振る舞い
わあ、だいぶシンプルになりますね。
じゃあ一番簡単な例、炭素が2つのエチレンドとどうなります?
エチレンドだと2x2の行列式ができて、それを解くとエネルギー順位が2つ出てきます。
具体的にはエプシロンイコールアルファプラスベータとエプシロンイイコールアルファマイナスベータですね。
アルファプラスベータとアルファマイナスベータ。
はい。ベータは負の値なので、アルファプラスベータの方がエネルギーが低い安定な軌道になります。
エネルギー順位がわかると、電子がどういうふうに存在しているか、その波動関数とか分子軌道もわかるんですよね?
ええ、わかります。
低い方のエネルギー、アルファプラスベータに対応するのは、2つの原子のπ軌道が同じ向き、まあ同位相で重なって結合を強める結合性軌道、π軌道ですね。
高い方のアルファマイナスベータは、軌道が逆向き、逆位相で重なって、間に電子がいない不死ができる反結合性軌道、π、πスター軌道に対応します。
π軌道とπスター、なるほど。
で、そのエネルギー順位とか軌道が分子の色、つまり光の吸収とどう繋がってくるんですか?
はい。分子が光を吸収するっていうのは、基本的には低いエネルギーの軌道にいる電子が光のエネルギーを受け取って、上の空いてる高いエネルギーの軌道にジャンプする、まあ遷移する現象なんです。
脅迫系だと特に重要なのが電子が入っている一番高いエネルギーの軌道、これをホモ、ホモって言いますけど。
ホモ、最高非線有軌道。
ええ、そこから電子が入ってない一番低いエネルギーの軌道、ルーモですね。
ルーモ、最低非線有軌道。
そこへの遷移、これがよく起こるんです。
多くの場合、パイ軌道ホモからパイ軌道ルーモへの遷移、いわゆるパイパイ遷移になります。
パイからパイへ。
エチレンの場合で言うと、ホモはエネルギーがαプラスβのパイ軌道、ルーモはエネルギーがα-βのパイ軌道です。
このエネルギーの差、ホモ、ルモキャップって言いますが、これはα-β、αプラスβで-2βになりますね。
-2β?
ええ。で、面白いことに、このパイパイ遷移に実際に必要な光のエネルギーも、計算上は同じく-2βになるんですよ。
えっとじゃあ、ホモとルモのエネルギー差が、そのまま吸収する光のエネルギーに?
あ、いやエチレンではたまたま計算上は一致したんですけど、一般的には完全にイコールというわけではないんです。
どちらかというと比例関係にあると考えるのが普通です。
-比例関係ですか?
ええ。でもここが重要で、こんなに大胆な近似を使っているのに、比較的簡単に計算できるホモルーモギャップから、
分子が吸収する光のエネルギーの傾向、つまりどのくらいの波長の光を吸収しやすいか、みたいなことを、定性的ではありますけど、かなりうまく予測できるんです。
Huckel法の限界と応用
-へえ。
これがヒッケル法のまっすごいところ、進化と言えるかもしれませんね。
-というわけで、今回はヒッケル法っていう、ある種のモデルを使って、強薬分子系のパイ電子の振る舞い、それから光吸収との関わり、そのエッセンスを追ってきましたね。
-そうですね。すごくシンプルな近似に基づいているんですけど、分子の性質を理解するための一つの強力な考え方であり、より進んだ計算への第一歩でもある、ということが感じていただけたんじゃないでしょうか。
-本当にそう思います。パイ電子だけっていう割り切りで、ここまで予測できるのは面白いですよね。ただ、やっぱり限界もありそうですよね。
例えば、分子の立体的な形とか、そういうのはこの方法だけだとちょっと捉えきれないのかなとか。
-ええ、その通りですね。
-皆さんも身の回りの色素とか、そういうものに当てはめてみるのも面白いかもしれませんけど、同時にこの方法が何を無視しているのか、その辺りを考えてみるのも次のステップとして大事になりそうですね。
-そうですね。良い視点だと思います。
-ヤマラボポッドキャスト、今回はここまでといたします。
-また次回、皆さんの知的好奇心をくすぐるようなテーマでお会いできればと思います。
08:12

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