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2025-05-12 06:28

物理化学演習(第1回; 2025年度)分子の構造を予測する

物理化学演習の「音声録音 」と「スライド」をもとに、講義の主要なトピックについて「2人のAIホストがおしゃべりする」というポッドキャスト風の音声概要を作りました。通学中などの予習・復習に活用してみてください。

音声概要は AI によって生成されるため、「不正確な情報」「音声の乱れ」「漢字や記号の読み間違い」などが含まれる場合があります。

講義資料:https://yamlab.net/lect-ac1

サマリー

このエピソードでは、VSPR則を用いて分子の形を予測する基本的な考え方が紹介されており、計算科学を通じて具体的な構造情報を得る方法が解説されています。最終的には、VSPR則と計算科学を組み合わせることで、分子の論理的設計に近づくプロセスが強調されています。

VSPR則と分子の形
やまラボ Podcastへようこそ。今回は、あなたの物理化学演習の資料、VSPR則と計算科学について、講義ノートとトランスクリプトをもとに、特に大事な点を一緒に見ていきましょうか。
目標は、分子の形をどう読み解け、どう予測するか、その基本をつかんで、分子のロジカルデザインへの第一歩を踏み出すことです。早速、いきましょうか。
はい。今回の分析では、資料の中から本質と言える知識とか、洞察をしっかり引き出して、あなたがこれらの考え方を素早く、しかも深く理解できるようお手伝いできればと思います。単なる復習じゃなくて、その奥にある意味を探っていきましょう。
まずは、VSPR、ベスパー則ですね。分子の形を予測する上での、本当に基本中の基本ですよね。中心となる考え方は、電子体は互いに反発し合う。マイナスの電気を持った電子のペア同士が、できるだけ遠くに離れようとする、と、そういうことですね。
その通りです。で、ここで大事なのが、電子体には2種類あるという点。原子と原子を結びつけている結合電子体BBですね。それと、特定の原子にくっついているだけの孤立電子体LP。この2つの反発の強さが違うというのがポイントなんですよ。資料にもありましたけど、孤立電子体同士の反発が一番強くて、次に孤立電子体と結合電子体、最後に結合電子体同士の順番。
LP-LP、LP-BP、BP-BPですね。
ああ、なるほど。孤立電子体の方が強く反発するんですね。工技で使った分子模型、覚えてます。ピンクの部品が孤立電子体でした。メタン、CH4は孤立電子体がないから、4つの結合電子体が一番離れてきれいな静止面体に。
アンモニア、NH3だと孤立電子体が1つあるから、それが他の結合電子体をグッと押し下げて三角錐みたいな形になりますね。
そして水、H2O、これは孤立電子体が2つもあるから、もっと強く押し合って折れ線形になる。この目に見えない孤立電子体の力が形を歪めせる、そういうイメージですかね。
まさに、その結果として原子間の結合角も変わってくるわけです。孤立電子体が増えるほど、その強い反発力で結合電子体が作る角度が押し仕組められて小さくなる。
だからメタンのHCH角約109.5度に対して、アンモニアのHNH角は約107度、水のHOH角は約104.5度と、HCH、HNH、HOHの順にだんだん小さくなるんです。結構身近な分子の形にもちゃんと理由があるんですね。
なるほどな。すごくわかりやすいです。ただ、このVSEPR測はあくまで定性的なものなんですよね。つまり、大体の形とか角度が大きいか小さいかくらいはわかるけれど、具体的な数値、例えば結合の長さが何オングストロームとか、角度が正確に何度とかまではわからない。
計算科学による精密化
そうです。限界はありますね。大まかな傾向はつかめるんですが、精密な情報までは得られません。
そこで出てくるのが、計算科学というわけです。これは物理科学の根幹をなすシュレーディンガー方程式に基づいて、コンピューターを使って分子の最も安定な形とかエネルギーを定量的に、つまり具体的な数値で予測できる、非常に強力な方法なんですよ。
講義では、Chem3Dというソフトを使いましたね。水分子の原子を入力して、エネルギー最小化というボタンを押しました。
あの時、6-31Gとか、Dとか、なんか呪文みたいなのを設定したんですけど、あれは何だったんですか?ちょっと気になってて。
ああ、いいところに気づきましたね。あれは計算の精度に関わるすごく大事な設定なんです。
6-31Gというのは、規定関数計と呼ばれるものの一つで、原子の周りの電子がどんな風に広がっているかをコンピューター上で表現するための、いわば設計図の種類のようなものです。
Dの方は分極関数といって、原子の周りの電子の雲が近くの原子の影響で少し形を変える、つまり分極することを計算に取り入れるための設定です。
これらを適切に選ぶことで、より現実に近い精密な計算ができるようになるんですね。
へー、なるほど。計算のレシピみたいなものなんですね。それでそのエネルギー最小化をする理由は何でしたっけ?
それはですね、自然界の大原則として、エネルギーが低い状態ほど安定であるというのがあるからです。
分子も同じで、取り得るいろんな形の中で一番エネルギーが低い状態、それが最も安定で自然界に存在しやすい形だと考えられるわけです。
計算科学では、その一番落ち着く場所、一番安定な構造を探し出しているということになります。
なるほどなるほど。一番居心地のいい形を探すみたいな感じですね。
実際に水分子で計算したら、HOの結合の長さが約0.94アングストローム、HOHの結合角が約105.5度と、VSEPRではわからなかった具体的な数字がちゃんと出てきましたもんね。これはすごい。
そして、演習課題がまた面白いところですよね。
計算科学を使って、例えばエタンとか加算化水茶の精密な角度をまず求める。その上で、その角度がなぜそうなっているのか、その理由を今度はVSEPRの考え方、つまり電子追いの反発という定性的な理論で説明させる。
この定量的なデータと定性的な理論を結びつけて解釈するというプロセスが非常に重要で、理解を深める上で役立つんです。
ということは、VSEPR則でまず分子構造の基本的な骨組み、考え方をつかんでおいて、それから計算科学でより精密な具体的な情報を手に入れる。
この2つをうまく組み合わせることで、分子のロジカルデザインという目標に近づいていく、そういう流れなんですね。なんかだいぶスッキリしました。
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