1. 心理師わたるんのカウンセラジオ
  2. #28.親から自立する過程って?..
2025-07-11 12:56

#28.親から自立する過程って?:「同一化」について

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リピーターさんからのお便りにお返しする回です。親との葛藤って本当に誰しも抱えるありふれたものなんですが、まったく同じものもなければ、解決のしかたも人それぞれです。ただ共通している現象はあるので、今回はその辺のことについてお話しできれば!


関連エピソード:#16.みんな抱える「親への葛藤」について

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サマリー

今回のエピソードでは、親からの自立としての同一化の概念が掘り下げられています。リスナーからの悩みに対して、心理的距離を取る過程で親との関係が変化し、負の感情が芽生える様子が語られています。また、親からの自立というテーマのもと、自立の過程やその重要性について考察されています。さらに、リスナーが自立を感じた瞬間やコミュニティとの関係についても触れられています。

お便りの紹介と背景
わたるんのカウンセラジオ
皆さん、今週も1週間お疲れ様でした。
公認心理師・臨床心理師のわたるんと申します。
この番組カウンセラジオでは、病院勤務の現役カウンセラーが、日常のことから人生設計諸々まで、
いろんなお困りごとの解決に役立ちそうな心理学・カウンセリングの豆知識をゆるっとお伝えしています。
今回も毎度のことながらお便り会なのですが、今回は以前お便りをいただいた方からのリピートお便りです。ありがとうございます。
この方は、お母様のことについて葛藤を持たれていて、そのお母様との距離感について悩まれていました。
それで今回は、そのお母様との関係性が変わっての改めてのお便りになります。
気になる方は、シャープ16、みんな抱える親への葛藤についてを聞いてみてくださいね。
デリケートなお話なので、例によって情報をある程度端折ってお話ししつつ、広く親子関係に悩む方々へのヒントになれればなと思います。
では、カウンセラジオを始めていきましょう。
では早速お便りを読み上げていきます。
わたるんさん、こんにちは。
以前のお便り以来、母との関係がさらに悪化しており、ほぼ絶縁に近い状態です。
長年心理的虐待を受けていて、今までこれが普通だと思っていたけど、
友達や精神科医である友人に相談してみたら、普通じゃない、毒親だと言われました。
母はよく嘘をついたり人を騙したりする腹黒のタイプで、
たてまえと本音が激しいので、娘である私にも本音が全く読めないんです。
私に対してサディストとかサイコパスなどひどいことを言われてきたし、
謝ったことも一度もありません。
それに母はかなり差別的で、そういうカテゴリーに入っている友達も数人いるので、
自分自身に対してではなくても傷つきます。
距離をとってみて気分が少し良くなったのですが、
数ヶ月に1回ぐらいの電話でもつらくて、
母と連絡するたびに憎しみと憎悪が増すばかりです。
母に連絡するなと言い切ってみたので、もう連絡は来ないと思うけれど、
憎しみと憎悪がまだ残っているんです。
もしアドバイスがあれば教えていただけたら嬉しいです。
次のエピソードをお楽しみにしています。
ということでした。お便りありがとうございます。
同一化の概念
さてお便りを拝見するに、
前と比べてお母様との関係性が変わったようですね。
そしてお便りをくださった方、じゃあ今回もAさんとしましょう。
Aさんのお母様へのイメージもかなり変わったようです。
以前は頼りない母親という感じでしたが、
今は毒親で腹黒いという感じですね。
心理的虐待を受けていたことにも気づかれたと。
おそらくこれはAさんがお母様とのことで悩みに悩んで、
ご自身を守るためにいろいろと考えて行動した結果なのかなと思います。
距離を取ってみて少しでも気分が楽になったという文章からはそういう努力が伺えます。
本当にお疲れ様でした。
それでそうですね、実はこんな風に今まで距離の近かった家族と距離を取ってみて、
冷静にその関係性を振り返った時に、
自分がされていたことは普通じゃなかったんだと思って親御さんに憎悪を向けるということは、
実はそんなに珍しいことではないんです。
同一化という言葉があって、これは古くからある概念なんですが、
平たく言うと他人と自分を重ね合わせてみる心理的な動きのことを言います。
今回の親子関係に限らず、
そうですね、例えばめっちゃかっこいいスパイ系の映画を見た後の帰り道に、
ちょっとその主人公っぽい口調で話をする中学生男子を想像していただければと思うんですが、
それですね。
あとはそうだな、もうちょい真面目に説明すると、
自分っていうものがまだ固まっていない時って、
なんか人生の先輩的な人を見つけて、
その人をモデルにしていろんなことを取り込んでいこうとすると思うんです。
それは部活の先輩だったり、過去の偉人だったり、芸能人だったり、
さっきのように格好良いキャラクターだったりするんですが、
そういう他人の特徴を取り込んで自分のものにしていこうという人の心理のことを言います。
そんで、初期からその人の一番近くにいる人生の先輩って誰なのかというと、
それはやっぱり親になる可能性が非常に高いわけです。
物心つく前から養育する人の影響を受けて子供を育つわけですし、
子供からしたら最初は一番近しいその人の価値観やその価値観から作られた環境しか知らないわけですから、
それはもう意識的にも無意識的にも同一化ってやつがバリバリに起こるわけです。
でもご存知の通り、人は自立をしていきます。
その中でいろんな人の価値観に触れて、一番近かった人の価値観を一歩引いて見られるようになります。
そうなると、あれ、私の親のあれっておかしかったんじゃないかとか、
あの家のあの習慣って普通じゃなかったんだって思えるようになるわけです。
そして初めて自分にあった自分だけの価値観ややり方を形作れていくわけです。
感情の整理とカウンセリングの提案
それが自立への仮定なわけですね。
ちなみにこの仮定が早ければいいとか遅いと悪いとかそういうことではないです。
そりゃ距離の近いところで暮らしていれば、当然一歩引いて自分の親のことを考えるタイミングは遅くなるでしょうから、
本人やその親御さんの努力云々の問題ではないわけですね。
それで同一化のことをいろいろ話しましたが、これを今回お便りをくださったAさんに当てはめると、
Aさんは今親御さんからさらに精神的な距離を取る過程にいらして、
その中で親御さんのことをより一歩引いてみられるようになってきた。
そして違う見方で親御さんを見たときに、今までと違う面、負の面があることが分かり、
親御さんへの憎しみが生まれているという状況なんだろうなと思います。
違ってたらすみませんということになりますが、それを前提にお話を結論に持っていきますね。
それで何で憎しみがあるかというと、親御さんから
ああしてくれなかった、こうしてくれなかったという怒りが強いからだと思います。
そしてその怒りの裏には、もっとこういうふうに育てられたかった、
もっとこういう家であってほしかったというある種の喪失を体験されていると思うんですね。
長年気づかずにいた感情に気づいたわけですから、それはもう動揺して当然なわけですし、
誰しも近しい人に対してこうであってほしいという期待をするのも当然のことで、
その期待からも距離を取るというのは痛みが伴うわけです。
そしてその憎しみと憎悪をどうやって折り合いをつければいいかということに関しては、
やっぱり僕としてはカウンセリングが第一選択になるかなと思っています。
この番組ではいただいたお便りの情報から、なんとなくその方の背景を僕が想像して、
そこから連想した一般論をお伝えし、お便りを下さった方へレスポンスをするという形をとっていますが、
このやり方だとどうしてもAさんの抱える感情をどうにかするには力不足になってしまうんです。
あと一方で、あまりにもAさんの個別的なお話に焦点を当てると個人情報にも触れてしまうので、
あまり倫理的によろしいものではなくなってしまうというリスクもあります。
なので僕の方からお伝えできることとしては、おそらくAさんはご自身のことを大切にしていく過程で、
親御さんから精神的に距離を取り、簡単に言うと自立をしていっているところなんだろうということ。
またその自立の中で新しいことに気づき、新しい感情が芽生えていること。
そしてその現象自体はおかしいことではないけど、抱いている感情はとても個別的なものになるから、
自立の過程と重要性
カウンセリングを受けて整理するといいかもしれないということの3つになるかなと思います。
いつも通り歯切れが悪いのは恐縮なんですが、Aさんのそれこそ今後につながるヒントになれれば嬉しいです。
改めてAさんお便りありがとうございました。
皆さんは今回のお話を聞いていかがでしたでしょうか。
独行やキャッチーな言葉が前よりも流行っている印象を僕は受けているのですが、
その家庭の色やその人の自立の過程は千差万別で、一括りにするのはあまり良くないなぁと思っています。
今回僕がお伝えしたことは一般論としてこんなもんだなぁと思っていただきつつ、
必要に応じて自分の気持ちを整理したり振り返ったりしてみてくださいね。
では本題はこのくらいにして投票結果を見てみようのコーナーやっていきましょう。
前回の投票はいじめと集団心理の話にちなんで、「一人が好きかどうか?」と
今いるコミュニティでうまくいっているかどうか?を聞いてみました。
結果は9票頂いていて、
1人が好きで今いるコミュニティでうまくいっていないが5票
集団が好きで今いるコミュニティでうまくいっていないが0票
1人が好きで今いるコミュニティでうまくいっているが3票
集団が好きで今いるコミュニティでうまくいっているが1票でした
投票してくださった皆様ありがとうございます
これは僕の番組を聞いてくださる方の特徴なのか
1人が好きな方が多いですね
僕もお一人が好きな方なので、なんというかそちらの気持ちの方が色々わかりそうな気がしています。
あと、集団が好きで今いるコミュニティでうまくいっているという方もいましたね。
きっとその方は今は葛藤も少なく楽しく過ごされているのだろうなと思います。
ぜひその調子でお過ごしくださいね。
で、一人が好きで集団でうまくいっていないという方が5票ということで一番多かったわけですが、
どうなんでしょう?これは僕の番組を聞いてくださる方の特徴かもしれませんが、
でもこれ僕の偏見なんですけど、今までの人生の中で自分が所属しているコミュニティでうまくいっていない体験を一度もしていない人って多分存在しないんじゃないかなって思うんですよね。
だって仮に保育園、小学校、中学校、高校、大学、社会人と全部の家庭を通ったとしたら、結構な数の結構なバリエーションの集団に所属することになると思うんです。
学校なんて1年くらいでクラス変わるんでしたっけ?
その中でどの集団でもうまくやってきたって人の方が正直少ないんじゃないかなと思うんです。
だから誰しも苦手な集団っていうのはあるものだと思うので、
実はこのご票は割と一般的で、今いるコミュニティでうまくいってないってことは一般的にも珍しいことでもないのかなーなんて思ったりもします。
どうでしょう?この辺はもしよければ皆さんのご意見もコメントでいただけたら嬉しいです。
そしていつも会わない環境で頑張っているご票の皆様、本当にお疲れ様です。
くれぐれもご無理やなさらずでお願いします。
リスナーとの交流
じゃあ今回の投票はですね、親からの自立というのがテーマだったので、
皆さんがどのタイミングで自立したなーって感じたかを聞いてみようかなと思います。
ちなみに僕は初めて一人暮らしをした時に自立したなーと感じました。
やっぱり物理的に距離を取ったら精神的な独り立ちが進んだなーって感じがしました。
最初は結構苦しかったんですけど、いい経験だったなーと思ってます。
では最後にもしよければこのエピソードがいいなと思ったら、
番組のフォローや星5評価をしていただいたり、何か心理師に聞きたいことやお問い合わせがありましたら、
お便りフォームまでメッセージを送ったりしていただけると嬉しいです。
お便りやコメントを引き続き少しずつお返ししていきます。
またポッドキャスト以外でもノートでの執筆やメンタルヘルスアプリでの配信も行っています。
YouTubeでは動画を差し込んだバージョンのものも少しずつ配信しています。見てみてくださいね。
詳しくはリットリンクをご覧ください。
リットリンクは概要欄とレックスの固定ポストからアクセスすることができます。
では今回はここまで。おやすみなさい。
ここまで聞いてくださってありがとうございました。また次回をお楽しみに。
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