皆さん、今週も1週間お疲れ様でした。公認心理師・臨床心理師のわたるんと申します。この番組カウンセラジオでは、病院勤務の現役カウンセラーが日常のことから人生設計諸々まで、いろんなお困りごとの解決に役立ちそうな心理学・カウンセリングの豆知識をゆるっとお伝えしています。
今回はですね、タイトルの通りなんですが、他のポッドキャスターさんが企画したイベントに参加する形でお話をしていきます。
その企画というのは、科学系ポッドキャスト番組サイエントークのレンさん・エマさんが運営している科学系ポッドキャストの日というイベントがありまして、
これはですね、毎月出される一つのテーマ、お題に沿った話を参加したポッドキャスターの方がそれぞれお話ししていくというものなんですね。
僕も一応科学というか、一つの学問の専門家ではあるので、せっかくなので参加してみようと思ってこのエピソードを作った次第です。
そして今月のテーマは教会、チャペルじゃなくてバウンダリーの教会ですね。 ということなので、心理学と教会を絡めたお話を、いろんな言説と僕の考えを織り交ぜながら話をしていきます。
テーマはズバリ、相手との心地いい心の教会、 つまり心地いい自他教会を作るには、です。
ではカウンセルラジオやっていきましょう。 さてじゃあ相手との心地いい自他教会を作るには、ということですが、実は前の番組
働くをカウンセリングするチャンネルで少しそのテーマを取り上げたことがあるんですね。 第94回、私繊細だから優しくしてね
は周囲を傷つける免罪婦になるのか? と、第97回、人と距離感を保てているかの自己チェック法の2つのエピソードで自他教会のお話をしてます。
SpotifyでもYouTubeでも聞けるようになっているので、ご興味があれば聞いてみてくださいね。
もうそのエピソードを聞いている方には繰り返しの説明になってしまいますが、 まずは自他教会の解説からしていこうと思います。
自他教会というのは簡単に言うと、自分と他人を分ける心の境界のこと。 つまり、自分は自分、他人は他人、他人は自分と違う価値観や考え方を持っていて、それぞれ事情がある。
すべて自分の思うように他人は動かないし、他人は他人の問題があって、自分には自分の問題があるんだ、という感覚ですね。
しっかりと相手と適した距離感を保てるとも言えますね。 もしこの自他教会が緩んでいる場合どうなるかというと、そうですね、
ちょっと押し付けがましい感じになる人もいるかもしれません。 例えば前のエピソード94回で話したように、
私が好きなことはあなたも好きでしょ?とか、私がこうしたいと思うんだからあなたは当然答えてくれるでしょ? と、何の悪気もなく都合を押し付けてくるなんてことが起こり得ます。
あとついでに、そんなことが起こった時に、その受け手側も自他教会が緩んでいるとどうなるかというと、
いや相手にも相手の事情があるからなるべく答えてあげようと、相手の抱えている問題や感情を過度に抱え込んでしまって、
その要求に答えすぎようとして疲れてしまうなんてことも起こります。 それはいわば共感性があるとか優しいとも表現されますが、
悪く言うと少しバウンダリーが緩んでいる状態とも言えます。 周囲からは優しい人と見られるでしょうし、相手のことを重んばかることによるメリットはありますが、
例えば相手の気持ちを想像しすぎて自分のことを後回しにしてしまって、後でしんどい思いをするなんてリスクも生まれます。
そう、自他教会が緩い時って自分の思いや価値観を相手に押し付ける形になっちゃう時もあれば、相手の思いを自分が必要以上に抱えちゃう時もあるんですよね。
そして自他教会って常に一定というわけではなくて、その人によって教会の作り方が違うのはもちろん、同じ人でも関わる人によって教会の在り方は違ってきます。
職場の人には心の境界をうまく引けるけど、家族にはどうしても緩んでしまってきつく当たってしまうとか、
逆に友達とはもう少し距離を詰めてもいいのに、どうしても心の境界を強く引いてしまうとか、人によって本当に様々ですね。
その時の体や心の調子によっても変わっていくでしょうし、結構難しいテーマだと思います。
そんなこんなで、自他教会って結構大事だけど、僕ら人間がうまく扱うには難しい概念でして、
だからこのカウンセリング界隈と言いますか、その辺ではいろんな言説があるんですね。
今回はまずはその言説を2つ紹介していって、その上で心地いい自他教会を作るにはどうすればいいかを軽くお話ししていければと思います。
では皆さん一つ目なんですが、 過去と相手は変えられないけど自分と未来は変えられるという言葉を聞いたことがありますか。
これは嫌われる勇気という書籍で有名なオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーの言葉と言われています。
意味は申し上げた通りで、過去と他人は自分で自由に変えられないけど、 自分と未来は自分で変える余地があるよということですね。
確かに言われてみればその通りですよね。 自分か相手か、
自分が変えられる可能性が高いのはどちらかというと、間違いなく自分の方なんだから自分が変えられるところに注意を向けていこうぜといったところでしょうか。
これは本当にシンプルに相手は相手、自分は自分という考えが入りやすいし、改めて人と自分は違うんだなという境界を意識できる言葉だなと思います。
ちなみにアドラーは個人心理学という心理学の一つの学問を作った人で、 その考え方を基盤にして特に子供の臨床や治療に力を入れたみたいですね。
他には、人の性格は死ぬ1日2日前まで変えられるという名言もあって、 なんというかこういう前向きな考え方は僕個人としても好きですね。
他の言葉としてはこんなのもあります。 他人を変えることはできない。できるのは影響を与えること。
その方法は相手に好奇心や思いやり、真摯な熱意を持つことですね。 これはですね、恐れのない組織という書籍の中で書かれているものなんです。
心理的安全性という言葉を皆さん聞いたことがありますでしょうか? 恐れのない組織という本は、その心理的安全性という概念を提唱した
アメリカの組織行動学の教授、エイミー・エドモンドソンさんの本なんですね。 ちなみに心理的安全性というのは簡単に言うと、
チーム内の対人関係でリスクのあること、例えばみんなと違った意見を出すことや間違いの指摘、 ミスの報告などをしても罰せられたり、
屈辱を与えられたりしない。 つまり心理的に安全であるということが共有されている状態を言うんだそうです。
ちなみにまた前の番組になっちゃうんですが、第66回本当に働きやすい職場って?でもこのことには触れています。
心理的安全性の概念そのものに興味のある方はそちらも聞いてみてください。 それでちょうどですね、僕の同僚がその本を読んで、こんな風に書かれてるんですよーと話してくれ