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2024-10-18 13:11

#9.こころのモヤモヤをひもとく方法②-曝露療法って?-

前回の続きもの。お便り回の後編です!自分が不快に思うものに向き合った方がトータル自分にとって良いならば、少しずつ曝露していきましょう、というお話です。


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お話の中で引用した日本ミソフォニア協会のページです。

https://misophonia.support/index.html

サマリー

今回のエピソードで、ミソフォニアという特定の音に対する強い嫌悪感について説明されています。その対処法として認知行動療法の有用性が探求されています。また、ミソフォニアに悩む人々が自らの苦痛を理解し、行動を見直す方法について考察されています。このエピソードでは、曝露療法についての説明が行われており、自己の不安を抱える刺激に徐々に慣れていく手法が紹介されています。特に、ミソフォニアや他の不安に対して有効なアプローチにも触れられています。

ミソフォニアの概要
みなさん、今週も1週間お疲れ様でした。公認心理師、臨床心理師のわたるんと申します。
この番組カウンセラジオでは、病院勤務の現役カウンセラーが、日常のことから人生設計諸々まで、いろんなお困りごとの解決に役立ちそうな心理学カウンセリングの豆知識をゆるっとお伝えしています。
今回もまたまたお便り会になります。前回日和さんという方からいただいたお便りにお答えしたのですが、今回はその後編2つ目のお悩みにお答えしていきます。
前回の続きとして、心のモヤモヤをひもとく方法②をお話しします。 ではカウンセラジオやっていきましょう。
それじゃあ早速日和さんのお便りに書かれているお悩みの2つ目を読み上げていきます。
なぜか人間が出す繰り返しの音が大嫌いです。 繰り返されるエンター音。職場で何年も数秒に1回レベルで続く咳払いやくしゃみ。
静かな職場でせんべいを食べる音。 調べるとミソフォニアと出ますが対処法までは出てきません。
イヤホンしすぎて難聴気味です。 カッコ涙。
ということでした。 人間が出す繰り返しの音が嫌い、不快ということですね。
パソコンでエンターをカチャッてする音とか、咳払い、 あとはせんべい、あの食べてたらボリボリする音を聞こえますよね。
そういう音がイヤホンをするくらい嫌いだということなので、 ただちょっとなぁ嫌だなぁという感じではなくて、ものすごく嫌という感じのようです。
これは嫌と思う音が日常生活にありふれているというわけですから、相当きついですよね。
それでこのミソフォニア、実は僕も初めて聞いたので調べたんですけれど、 任意団体日本ミソフォニア協会のページではこう書かれていました。
ミソフォニアとは特定の音やその音に関連する刺激に対して、 他のほとんどの人には見られない強い苦痛を感じてしまう障害です。
国内では音嫌悪症とも呼ばれています。 日常にありふれた特定の音、
例えば咀嚼音や鼻をすする音、やその音に関連する刺激に対して、 他のほとんどの人には見られない強い否定的な感情的生理的及び行動的反応を引き起こす障害であり、
認知行動療法の紹介
その音の音量には影響されません。 ということだそうです。皆さんなんとなくイメージできますでしょうか?
これ音量は関係ないっていうことなので、 ただ大きい音がしてびっくりするとかそういうことではないようですね。
特定の種類の音とかその音にまつわるものに対してすごい嫌悪感を覚える、 というのが肝のようです。
そしてこのミソフォニア、まだこれが本当に効くという治療法は確立されていないようです。
対処法としては日和さんのようにイヤホンをしたり、 そこにさらにホワイトノイズとかを流したりして、自分にとって嫌な音、
トリガー音というらしいのですが、それを聞こえないように遮断するというのが主流のようです。
ただこれ海外では認知行動療法というカウンセリング技法の一つが治療方法として挙げられているようなので、
僕からはもしミソフォニアの人が相談に来たらどんなふうに認知行動療法を行うかをお話ししていって、
そこから日和さんにとって使える対処がないかを考えていこうと思います。 認知行動療法については前回も少しお話ししましたね。
その回では、モヤモヤする気持ちの裏にはいろんな考え、心のつぶやきがあって、その自分の心のつぶやきを聞いてあげると結構気持ちの整理がつきますよということをお伝えしました。
今回はその続きということになりそうです。 実は認知行動療法はその人の考え方だけじゃなくて、自分の行動にアプローチすることもあるんですね。
改めてまず認知行動療法についてもう少し詳しく説明すると、認知行動療法っていうのは人間の物事の捉え方や、そこから導き出される行動に注目した心理療法です。
簡単に言うと、人間は同じ出来事でも捉え方が違くて、その捉え方の違いがそれぞれが抱く気分、感情に繋がって、
その抱く気分によってその後の行動も人によって変わっていくんですよという考え方を前提にしています。
例えば飲み会に行こうぜと言われた時に割とテンションが上がる人と面倒くさいと思うことが多い人とかいると思うんですが、
その違いはその人の飲み会の捉え方の違いも一つの要因になっているんですね。 もちろん誰から誘われたかとか別の要因もありますけれども。
それで人間というのはその人なりの捉え方や行動が自分をより苦しめてしまうことになっている場合があって、
そういう時に認知行動療法はその捉え方を少し見直してみようよと一緒に出来事の捉え方を考え直したり、
違う行動をしてみたらどうなるだろうかと違う対処を考えてみたりするんですね。
そのサポートを通してその人がより良く生活することを後押ししていきます。
具体的な対処の検討
ちなみにこれは決してあなたの捉え方や行動が悪いんですよ。 それを何が何でも変えましょうよと言っているわけではありません。
どちらかというと、日々の捉え方や行動を見直してみて、変えた方が自分にとって良さそうなのがあったら変えてみようかという感じですね。
そしてミソフォニアに認知行動療法が効果があるということであれば、ミソフォニアの人は自分にとって嫌な音を聞いたその時に、
その音にまつわる嫌な考えが頭の中に出てきて、そこから嫌な気分が湧いてきて、
その音を回避したりコントロールしたりする行動に出るという流れがあると思われます。 それじゃあもう少しその認知行動療法の考え方に沿って日和さんのミソフォニアのような症状を分析していきましょう。
本当は日和さんと対話をしながら進めていきたいんですが、今回も例によっていた仕方なく完全に僕の推測でやっていこうと思います。
まず日和さんが例えば職場で誰かのせんべいを食べている音を聞くと、すごく嫌な感情を抱くわけですね。
嫌な感情というのは具体的にはその人に対する怒りとかイライラかもしれません。 そして前回もお話ししたように、その怒りやイライラにつながる心の
つぶやきがあるはずです。 そうですね例えば、なんだこいつボリボリ言わせてせんべい食べて、もうちょっと静かに食べられないのか。
私はこの音を聞きたくないのに、音を出すなら別の部屋で食べろ。 とかそういう考えかもしれませんね。
そしてそういう考えを持って不快に感じたら、人はどういう行動をとるでしょうか。 僕だったらその音を回避しようと部屋を出ると思います。
人によっては別の部屋でせんべい食べてくれませんかっていう人もいるかもしれませんし、 もしくはイヤホンをして音をカバーするっていう人ももちろんいるかもしれませんね。
それでこの症状の難しいところだと思うんですが、多分これですね。 嫌だなって思う音に対処しようと気にすればするほど意識しちゃって、
逆にその音が聞こえた時になんか余計嫌な気分になったりしてるんじゃないかなぁと推測します。 一回気になったらずっと気になっちゃうというか、
これだけ対処しているのにまだ嫌いな音が聞こえてくるのかと思ってしまうというか、そういう側面もあるんじゃないかなと僕は思うわけです。
そうなってくると、その嫌だと思う音を回避するだけでは逆に自分が苦しくなっていくというリスクが考えられるわけですね。
自分の対処行動が実は長期的には自分を苦しめているかもしれないということです。 もしそうだったら大変ですよね。
そういう時に認知行動療法ではどうしていくかというと、認知と行動、両方の面にアプローチしていくわけですが、行動面ではむしろその音を回避する行動を止めにして、
曝露療法の基本
できる範囲で少しずつ音に慣れていく対処を試みるんですね。 いわゆる曝露療法というやつです。
どういうことかというと、自分にとって不快な物事って、当然その物事から離れたくなったり、なるべく関わりたくないと思って、その物事を遠ざけようと思うものなんですが、
そうするとどんどん逆にその物事への不安が高まることが多いんですね。 例えばそうですね、
会社の飲み会が嫌だなぁと思って回避していたら、飲み会があった次の日の出勤もなんだか億劫に感じられて、いつの間にか出勤自体も回避し始めようとしたりとか、
そんな感じで回避したくなる物事が増えていくんですね。 回避したくなる物事が増えていくと不安要素になる物事が当然増えていくわけなので、自分にとって
しんどいシチュエーションが増えていきます。 そうなると日常生活もしんどい時間が増えるわけですね。
そういう時に、それだったら自分が不快に思っているものにあの手この手を使って、むしろ慣れていった方が、トータル自分にとって得なんじゃないのかな、ということで
暴露を行っていくわけです。 ちなみにこれは脅迫性障害とか不安障害とかのカウンセリングでも使われる手法です。
もちろんいきなりノーガードで、例えば日和さんにせんべいの咀嚼音を1時間聞き続けさせるようなことはしなくって、
多分最初は自分にとって心地いい音と組み合わせながら聞いてみたりとか、 音を聞いた時の心のつぶやきを聞いてあげながら、自分は何でそんなにその音が嫌なのかを明らかにしたり、
リラクゼーションを織り交ぜながら進めていったりとか、そんな感じでやっていくと思います。
どういう段階を作るかはその人それぞれのオーダーメイドなんですね。 それで少しずつ自分にとって嫌だと思う刺激と、そこから出てくる自分の体や心の反応に慣れていきます。
慣れていくと不思議なことに、だんだん自分のその時の体や心の反応が何もしなくとも問題ないレベルにまで落ち着いていることをふと学習するんですね。
これが曝露の効果なんです。 そうは言ってもこれですね、自分にとってしんどい刺激にあえて近づいていくという作業なので結構
辛いことだと思うんです。 だから正直一人でやるには骨が折れると思うんですよね。
なのでもしちょっと一人ではしんどいと思ったら、迷わず医療機関とか他の人のサポートを借りてやっていただけたらなと思います。
実はこれ僕自身もここで話すべきかどうか悩んだんですが、というのもここで話した結果、いろんな方を一人で曝露させて苦しませることにならないかなぁと心配だったのですが、
少なくとも認知行動療法ではこういうことをやるよという感じでイメージしていただければなと思います。
不安への挑戦
さてちょっと説明が長くなってしまいましたが、今回の話をまとめると、自分が不安に思っている物事を遠ざけていて、
その遠ざける対処が逆に自分を苦しめていたら、少しずつその不安に思っていることに無理なく挑戦していきましょうということになります。
これ今回は日和さんのミソフォニアの例でお話ししていきましたが、いろんな不安、それこそ会社に行きたくないとか、人と会いたくないとか、どうしても手洗いが止まらないとかにも有効だったりします。
ちょっとこの辺のお話は10分ちょっとでわかりやすく説明するのは難しそうなので、またの機会に少しずつお話ししていきますね。
今回のお話が日和さんや皆さんのお役に立てたら嬉しいです。改めて日和さんお便りありがとうございました。
じゃあ最後に、もし良ければこのエピソードがいいなと思ったら星5評価をしていただいたり、何か心理師に聞きたいことがありましたらお便りフォームまでメッセージを送ったりしていただけると嬉しいです。
では今回はここまで。おやすみなさい。 ここまで聞いてくださってありがとうございました。また次回をお楽しみに。
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