この番組は、人生において大切な場面での話し方、伝え方に関して、ちょっとしたコツをお伝えしていきます。
元曲アナで話し方講師の早坂まき子と申します。よろしくお願いいたします。
さあ、今回の【しゃべりの相談室】は、ちょっとだけ緊張感があります。
なぜなら、この間ね、アナウンサーおよそ40人の方たちとお会いしたんですよ。
その話を今回しますね。
【しゃべりの相談室】は、ちょっとした雑談会です。
何の会合かと言いますと、
恩師、東京アナウンスセミナーの創業者であります、長井定司先生を忍ぶ会というのに参加してきました。
このポッドキャスト、【しゃべりの相談室】に登場する、あの恩師です。
早坂がね、宝塚に受からなくて、うじうじしていた時期に、
早坂さん、過去に行きないで、前を向きましょう。今を行きましょう。って言ってくださった、あの先生です。
長井先生はですね、去年2024年が、たしか17回期だったんですね。
そう、ご病気で亡くなられて、もうすぐ20年っていうころなんですけれどね。
毎年、長井先生を忍ぶ会というのが、9月ごろ開催されていまして、
今年はですね、アナウンサーはもちろん、放送局の関係者、記者とかプロデューサーとかね、いろんな方が45人ぐらいかな、集まったそうです。
ざっくり、アナウンサーという職に絞っちゃうと、およそ40人ぐらいの方たちですかね。
私、アナセミのご帰省、2005年入社はご帰省なんですけれども、
まあ、久しぶりに同期4人と会えました。現役のNHKアナウンサーだったり、山口県から来た佐藤恵ちゃんだったりとか、
あと、東京でフリーアナウンサーやっている、吉江わりもアナウンサーとか、片桐千明アナウンサーとかね、久々に会えました。
ですし、あと、一光栄二光栄さんとかも、懐かしいお顔がね、ちらほらいらっしゃって嬉しかったなぁ。
あと、SNSでずっとつながっていて、でも会ったことがないっていう後輩さんも、ようやく会えたりですとか、
あとは、現役生も頑張って参加してましたよ。もちろんね、事務的なお手伝いもあったんですけれども、
まあ、やっぱり、今から就活っていう若い世代がですよ。
もう、この道、20年代、30年代、40年代みたいなね、先輩方に囲まれるっていうのは、それはそれは緊張しただろうなぁと。
ただ、いい経験にはなりますよね。前にもこの番組で言ってますけれど、やっぱり、社会人の人としゃべるっていうのは、就活前に経験を積んだ方がいいだろうなぁということですから、勉強になったんじゃないでしょうか。
60代、70代とかの大ベテランアナウンサー方がいらっしゃって、中には話し方講座を開催されているような先輩もいらっしゃいましたし、
あとね、日本語の乱れについて、あれこれ、けっこう深く、短時間ですけど、語ったんですよ。
そもそも、大会のご挨拶、冒頭でね、元キー局のアナウンサーが、こういうご挨拶をしたんですよ。
昨日、台風15号のことを、台風15号と言っているアナウンサーがいましたと。
微濁音もちゃんと使えないなんて、どうしたことかと。
みなさんは、しっかり微濁音のルールというのを確認して、守りましょうね、みたいな話をされてたわけですよ。
わかります?
これ、わかんない人は、ピンとこないかもしれないけど、微濁音というのは、そもそも何かというと、ガリグゲ語の法則なんですよ。
定められた条件に当てはまるガリグゲ語は、濁るガリグゲ語ではなく、鼻にかけたようなまろやかなガリグゲ語と音声を表現するのが、正しい日本語なんです。
なんで?って思われるかもしれないけど、正しい日本語だからとしか言いようがないんですよ。
これ、世代によっては、当たり前でしょっていう感じなんですけど、私の両親70代なんですよね。昭和20年代生まれ。
その世代だったら、まあそういうしゃべりをして当然よねっていう、呼吸をするのと同じぐらい当たり前だったっていう、地域とか育った環境によっても違いますけどね。
私、早坂が昭和50年代生まれなんですよ。昭和56年ね。この世代はもうすでに、小学校とかでも習わないんですよ。義務教育の過程に、鼻濁音とは、みたいなのないんですよ。
国語の先生で、それこそ朗読にこだわる先生とか、あと音楽の先生。音楽の先生で、鼻濁音っていうのは、こういうルールがあるのよって、細かく指導される先生に、たまたま出会えたとしたならば、鼻濁音というものを、日常生活で使っていらっしゃるかもしれないですけど。
家庭でも教えてもらえてない。学校でも教えてもらえていないのであれば、何歳であろうとも、いくつであろうとも、鼻濁音って何?ってなってしまうのは、もう令和の今、しょうがないだろうなと思います。
だけどですよ。一般の方は、別に知らなくたっていいんですよ。鼻濁音のルールって何だろう?って思われるかもしれないですけど、もう検索してください。ググれば、YouTubeで検索すれば、もういくらでも出てきます。鼻濁音のルール。結構細かいんですよ。いっぱいあります。
で、この開会のご挨拶の解説をすると、数字の5というのは、鼻濁音にならないんです。なっちゃいけないの。まろやかになっちゃいけないので、むしろ濁った方が正解なわけですよ。5。
だけど、この開会のご挨拶をされた元キー局のアナウンサーの方が見たニュースでは、台風15号って鼻にかける鼻濁音で表現していたと。それは違うんだよと。なんで誰も指導しないんだろうか?注意されないんだろうか?ってぼやいてたわけですよ。
でもね、私すっごくわかる。アナウンススクールで指導する側になると、今の現代のキー局のアナウンサーのしゃべりっていうのを、ものすごく細かくチェックするようになったんですよ。なんですけど、今ね、令和7年、あれ?今のアクセント違うよね?っていうアナウンサー、珍しくないんですよね。
あと、ベテランチームの方たちがおっしゃってたのが、12日、22日の2日のアクセントがおかしい人多いと。全員じゃないよ、全員じゃないけど、12日とか22日って発音する人いるよね?って。あれ?おかしくない?って。
わかるわかる、そうよね、気になっちゃうわよね?みたいな会話をされていて、早坂もそうですよね?って、相の手を打つわけですよ。本当におかしい人いるから。あと、2月、4月、もう正しいアクセントは今のなんですけど、2月、4月って言ってるキー局アナウンサーいますよ?テレビでもラジオでも。まあ、そりゃぼやきたくもなりますよね。
あとはね、話し方講座もやってらっしゃる元東京FMのアナウンサーが、これおっしゃってましたね。なんとかかなぁ?と思いますの。かなぁ?って、必要ないんじゃない?なんでみなさん言うのかしらね?っておっしゃってたんです。
で、タレントさんとかは、まあ100歩譲ってね、そう、マイルドに伝えるためには、なんとかかなぁ?と思うんですっていうのは、もう、現代では仕方ないと思うんですよね。ただ、ただですよ、局アナがこれを言っちゃうと、うん、美しいかどうかで言われると、いらなくない?になるんだよね。で、いらなくない?で言えば、有名なあれですよ。〇〇させていただく。
これはですね、結構ね、イベントの台本とかにも書いてあるんですよね。〇〇させていただきますねって。台本に書いてあると、そのまま読んじゃったりもするし、そのまま読んでくださいとも言われるんですよ。〇〇しますね?は、ちょっと失礼に聞こえちゃうから、〇〇させていただきますね?って表現してくださいって、わざわざ指定してくるイベント主催者とかもあるんです、いるんですよ。
だけど、〇〇させていただくをあまりにも乱用していないかという話題でも盛り上がりましたし、あとは飲食店あるあるですけど、こちら、ドリアになります。の、なります。
なりますっていうのは、今から変化が起きるはずなのに、もうドリア、すでにドリアになっているのに、ドリアになります。
え?いつ?って返したくなるそうですよ、ベテランアナウンサーは。これはね、あるあるですね。私が新入社員だった20年前も、アナウンス部長とか、そのぐらいのベテランアナウンサーは、みなさんおっしゃってましたね。
こちら、ミルクティーになります。いや、もうミルクティーだよ、すでに。っていうね、切り返しをしたり。
こまけーなー、うっざいなーって、今思った方います?まあ、いるでしょうね。
だって、そのベテランアナウンサーの方がね、こう言ってましたよ。フェイスブックに、その日本語の乱れについて書いたんですって。
そしたら、コメントにね、そんなの細かすぎますって、来たらしいですよ。苦笑いされてました。
まあ、そうなんですよ。アナウンサーってね、細かいところをこだわるんですよ。
あと、万博のニュースでも言ってましたね。ほにゃらら年ぶりの万博開催です。
おかしくない。なんで気づかないかしらね。って、そうだそうだって、なってたんですけどね。
正しくは、ほにゃらら年以来の日本での万博開催です。
そう、ぶりじゃなくて、以来が正しいんですよね。
などなど、まあ、ベテラン先輩方と、正しい日本語を使うことをさ、我々が伝承していかないとダメだよね、っていう話をしてきました。
そう、光栄ですよ。
で、大学での授業では、正しい日本語ってこうなんだよとは、私伝えてますし、ビダコンの解説もするけれど、でもって、でもね、
別に、正しくなくても、生きてはいけるよ、とはフォローしちゃいます。
だって、実際生活できちゃうでしょ。
ビダコンっていうのを、今の今まで、このポッドキャストを聞くまで知りませんでしたって方も、20年や30年、生きてこれたでしょ。
そうなのよ。
伝わりさえすれば、別に生活には困らないですからね。
なので、こんな細かい、正しさ、美しさにこだわるのって、アナウンサーぐらいですよ。
ただ、アナウンサーという職の人が、正しさにこだわらなかったら、誰がこだわるんだっていう話ですよね。
そういう、職人のプライドみたいなのをね、久しぶりに感じましたね。
もう私、極穴じゃないし、レギュラー番組とかもないので、
こういうトークで盛り上がるの、何年ぶりだろう。久しぶりだなぁと思ってね、懐かしい感覚でした。
綾坂が新卒で入社した仙台放送もね、結構厳しい職だったんですよ。
なんで厳しい職だったんですよって言うかというと、社風ってあるでしょ。
放送局にも、結構ね、ばらつきありまして、ものすごい正しさ、日本語の美しさにこだわるアナウンス部と、
まあ、正しさは二の次で盛り上がればいいじゃん、楽しんでいればいいじゃん、みたいな社風のアナウンス部もあるんですよ。
社会人になってね、3年ぐらい経った時に、それに気づきました。
他局の同事とかとね、喋っててね、私、まあっていうのが口癖で、ついつい頭につけちゃうんだよねって言ったら、
えー、うちの会社全然怒られないよ、まあって言っても、みたいな反応があったりすると、びっくりするんですよ。
えー、私、まあ一つでも、ほんと15分、20分とかでね、延々と怒られたりしてましたよ。
あ、別にあれよ、パワハラだって言ってるんじゃないよ、パワハラじゃなくて、
正しい日本語とは、伝わりやすい表現とは、っていうね、ありがたいアドバイスをしていただいたわけですよ。
ね、これは愚痴じゃないですからね、愚痴じゃないよって何回も言うと、ちょっと逆効果かもしれないですけど。
あ、ちなみに日本語の語も美濁音です。
で、話長くなりましたけど、このポッドキャストね、冒頭に言った、緊張してるって何でかって言うと、
あなた何期生なの?何歳なの?あ、今講師されてるのね、頑張ってねって言いながら、
まあこういうね、日本語あれこれについて語って、盛り上がっていたんですが、もしですよ、
もし皆さん、このポッドキャストをそのベテランアナウンサー方が聞いたとしたらば、
あれれってならないかなと思って、心配し緊張してるんです。
いや、早坂さんあんなに〇〇させていただきますって乱用しすぎですよねって言ってたくせに、
早坂さん言ってんじゃないのって突っ込まれそうなんですよね。
私ね、何度か言ってるとも、それには理由があって、めちゃくちゃ便利だからです。
なんかね、大切に伝えてる風なんだよね、〇〇させていただくって。
勉強させていただきました。はい、みたいなね、風に聞こえるでしょ。
そう、正しい日本語ではないっていうか、まあ乱用しちゃいけないよね。
でもさすがに〇〇となります、は言ってないんじゃないかな。
変化の意味では言ってるよって言いながらね、言ってるかもね。
あー言ってるかもな。絶対言ってませんって言わないでおこう。予防線貼っておこう。
そうだから、ベテラン、アナウンサー方、どうかこのポッドキャスト聞いてませんようにって思いながら、今収録しています。
たとえ聞かれたとしても、別に変なことは言ってないです。
そう、ポッドキャストってね、やっぱ肩苦しすぎるとね、誰も聞いてくれないんですよ。
あえてですからね、先輩方。フランクに、カジュアルにしゃべってるのは、あえてですからね。
なんかね、かしこまった語り口だと、たぶんね、最初の10秒、20秒でパンって飛ばされるんだろうなぁと思って、わかんないけど。
私、砕けたしゃべりをしようしようと意識しているのに、でもこれでもまだ、綾坂さんって、やっぱりアナウンサーらしいきれいなしゃべりをしようとしてますよね、とか、感想というか、アドバイスいただくことあるんですよね。
だから、あーもっとかーと思って、自然にしゃべるって難しいなーと思ってます。
磨いた方がいいよね、じゃなくて、正しい日本語を使わなきゃダメだよね、になるわけですよ。
今回の話題に、ちょっとでも興味を持った方は、地上派のテレビに出ているアナウンサー、見聞きしてみてください。
民放とNHKでも、言葉遣いとか、違うと思いますし、アクセントとかね、イントネーションとか、聞いていると、
ああ、これが正しいアクセントなのかな、みたいな、発見があったりするんじゃないですかね。
最近だと、あれじゃない、みなさん、クマのニュース、動物のほうのクマで、秋田県の大戦死に、クマが出没しました、みたいなニュースあるじゃない。
で、もう言わんとしていること、わかると思うんですけど、動物のクマと、目の下のクマ、どちらも同じなんですよ、アクセント。
で、これ言うと、わりと若い世代は、えー、クマじゃないんですかーって、びっくりするんですよね。
最近は、アクセント辞典引きますと、2番目として、クマもOKにはなってるんですけど、私が入社した時代は、クマ一択だったんですよ。
だから、ニュース見ていて、クマが出没しました、クマが出ました、クマの居場所は、とか、なんか、目の下のクマと一緒で聞いてて、違和感だなーって思うかもしれないんですけど、あれ、正しいんです。
むしろ、極穴で、クマがって言ってる方が、同僚者からすると、あれれーってなります。アクセント辞典引かないんだなー、この子、上司とか先輩、注意しないのかなー、注意されても、そういうの聞かないのかなーってなりますね。
うわー、アナウンサー同士って、隠室?って思うかもしれないけど、いや、でもね、隠室とかじゃないんですよ。
今のネット用語だと、ホニャララ警察って流行ってるから、アクセント警察って言われちゃうかもしれないけど、もうね、これはしょうがない。多大さを追い求めなければならない職業なので、それはね、言いますよ。
そのベテラン先輩方と、なんで早坂も一緒にぼやいてたかって言うと、令和の今、キー局のアナウンサーって、どんな喋りをしてるんだろうかって、やっぱ研究のために各局見るわけですよ。でもそうすると、序盤にお伝えした通り、2月、4月じゃなくて、2月のニュースはとか、4月といえばとか、普通にキー局のアナウンサーでも、誤ったアクセントで喋ってるんですよ。
しかも、そのアナウンサーが有名だったり、人気のアナウンサーだったりすると、若手が真似をするんですよ。
つまり、人気アナウンサーも若手も、間違った、誤った表現で喋ると。
それを見た学生さんは、やっぱり真似しますよね。だって有名なホニャララさん、2月は、4月は、って言ってたもん、ってなりません。
いや、私が学生だったら言うと思います。何でアクセント辞典と違う表現してるんだろう。でも今は、そっちの方がいいのかな。とか、それでいいのかな。直さなくてもいいのかな。って思ってしまったとしても、仕方がないんですよね。
だから、究極のアナウンサーは、ぜひ究極プライドをもって、正しい日本語、美しい日本語というものを使って、表現していただきたいですね。というのが、指導者側のお願いです。
ということで、今回は、雑談会とさせていただきました。
あ、だめじゃんね。させていただきました。
ねえ、便利なんだよね。はい、今回は雑談会といたしました。
と言いますことで、ここまでお聞きいただきありがとうございました。何かしゃべりに関してご相談ありましたら、番組概要欄のお便りフォーム、もしくは、XやYouTube、インスタグラムのコメント欄でも受け付けています。
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それではみなさん、一緒に前向きにがんばりましょう。