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2025-07-02 08:05

第13講「内閣」

第13講では、内閣制度と統治機構について多角的に検討します。アメリカの大統領制、イギリスの議院内閣制、フランスの半大統領制、そしてドイツの議院内閣制と大統領の役割など、世界の主要国の政治システムを比較し、それぞれの特徴や最近の政治状況についても考察します。また、衆議院総選挙後のプロセスと組閣、内閣総理大臣の権限、衆議院の解散に関する憲法上の解釈と歴史的経緯を詳確認しました。ロッキード事件における内閣総理大臣の職務権限に関する最高裁判所の判例にも触れています。

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さて、今回はですね、日本の内閣制度、これにちょっと注目してみようかなと。特に、アメリカとかイギリスとか、そういう国の政治システムと比べながら、違いを深掘りしていきましょうか。
皆さんからいただいた資料も、大学の講義の音声とか、教科書の抜粋、あと日米へのトップの演説、そのニュース動画とか、いろいろありますね。
これらの資料をもとにですね、特に各国のリーダーの演説、何であんなに違うんだろうとか、その裏にある政治の仕組み、ここに焦点を当てていきたいなと、きっと、ああなるほどって思える発見があるはずです。
そうですね。各国の政治トップが議会で行う演説って、本当にその国の政治文化とか制度を映し出す鏡みたいなものですよね。
確かに。
なんで、演説のスタイルとか内容、それに受け止められ方まで違うのか、その理由を探っていきましょう。
じゃあ早速、最近の演説から具体的に見ていきましょうか。日本の石場総理、楽しい日本の実現を訴えてましたけど、少数与党っていう状況もあるんでしょうかね。
野党の熟議、つまりじっくり話し合うこと、それとか協力をかなり強調してましたよね。
そうでしたね、印象的でした。一方でアメリカのトロンプ大統領当時の一般協賞演説。
ありましたね。
あれはアメリカンドリームの再生を掲げて、とにかく自分の成果を強くアピールする感じでした。
会場の反応も、与党の共和党はもう荘立で拍手、喝采。でも野党の民主党はほとんど座ったままで。
全然違いましたよね。
時には抗議の声なんかも上がってましたし、見事にマップ立つでしたね。これはやっぱり大統領制の特徴が出てるのかなと。
大統領制、つまり国民が大統領と議会を別々に選ぶからですか。
そうなんです。だから大統領は議会全体というより、直接自分を選んでくれた国民へのアピールを意識しやすいのかもしれないですね。
なるほど。じゃあイギリスはどうでしたっけ、スターマー首相。
イギリスは選挙で政権交代した直後のスターマー首相でしたね。
就任演説では国民への奉仕、それから国の再建、これをすごく力強く訴えてました。
信頼回復っていうのがキーワードでしたかね。
国が第一、党は第二っていう言葉も確か。
ありましたね、それ。巨国一致というか、そういう姿勢を感じました。
でもこうやって聞くと本当に三者三様ですね。
これらの違いは、もちろんリーダー個人の性格とか言葉選びとかそういうのもありますけど、それ以上にやっぱりその国の政治システムと深く関わってるんですよね。
その政治システムの違いですね。
もう少し詳しく教えていただけますか。アメリカは大統領制。
はい。国人が大統領と、それから議会をそれぞれ別の選挙で選びます。
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だから大統領は議会に対して直接責任を負うっていう関係ではないんですね。比較的議会からは独立している。
年に1回の一般協賞演説以外はあまり議会には出てこないイメージです。
そうですね、基本的にはそうです。それに対して日本とかイギリスは議員内閣制です。
議員内閣制。
はい。これは議会、特に会員、日本だと衆議院ですね。そこの多数派をベースにして内閣が作られて、その内閣は議会に対して責任を持つと。
責任を持つ。
はい。連帯責任って言いますけど、日本の憲法66条3項にも内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うってちゃんと書いてあります。
なるほど。だから日本の総理大臣はあんなに頻繁に国会に出てきて答弁してるわけですね。
そういうことです。質疑に応答する義務があるんですね。
イギリスの制度が日本のモデルになったんですよね。
ええ、そうです。ただ細かいところでは違いもあって、例えばイギリスだと国王が形式的に首相を任命しますけど、日本では天皇が任命する。
これも形式的なものですよね。憲法6条の国事行為。
その通りです。形式的、議令的な役割ですね。
なるほどな。で、その議員内閣制、特に日本の首相のリーダーシップを考える上で何か面白い事例があるとか?
ああ、そうなんです。非常に興味深い判例があって、それがロッキード事件の最高裁判判決です。
ロッキード事件。ああ、田中格衛元首相の。あれで首相の権限が問題になったんですか?
そうなんです。具体的には内閣総理大臣の職務権限の範囲が争点になったんですね。
で、最高裁はまず首相が他の大臣に対して法的な拘束力を持ってこれをやれと指示監督する、いわゆる法的指揮監督権限、これを行使するには原則として閣議決定が必要だと。
閣議決定、つまり閣僚みんなで話し合って決めると?
そうです。首相が一人で勝手に大臣を動かせるわけじゃないよってことですね。内閣の合議性を重視したわけです。
でもそれだけじゃなかったんですよね?
ここがポイントで、同時にそういう閣議決定がなくても他の大臣に対して指導したり助言したり、そういう指導助言等の指示っていうのは首相の職務権限として認められると判断したんです。
へえ、それはつまりどういうことですか?
まあ、法律でガチガチに縛るような指示じゃなくても方向性を示したり、こうしたらどうだってアドバイスしたりするのは首相の仕事の範囲内ですよと。
なるほど。じゃあアメリカの大統領みたいにトップダウンで強いリーダーシップを発揮するってよりは、日本の首相には閣僚とよく話し合って合意を作っていくとか説得していくとか、そういう能力がより求められやすいっていうことなんですかね、構造的に。
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まさにそういう側面が強いと言えるでしょうね。内閣っていうチームをうまくまとめて、なおかつ議会との関係も良好に保ちながら政策を進めていく。
ああ、だからさっきの石破総理の演説にあった塾議とか協力っていう言葉が日本の政治の中ではより重要になってくるのかもしれないですね。
そういう見方もできると思います。大統領制のリーダーシップとは求められる資質とかその権限の厳選がやっぱり違うわけですね。
いやー、こうして比べてみると面白いですね。リーダーの言葉一つ一つがその国の政治の形とか歴史とかとすごく深く結びついてるんだなっていうのが立体的にわかってきた気がします。
大統領制と議員内閣制、どっちが良い悪いっていう単純な話じゃなくて、権力の生まれ方とかリーダーに期待される役割が根本的に違うんですね。
全くその通りです。で、同じ議員内閣制でも今回見たイギリスと日本ではまた違う文化とか実際の運用がありますしね。
さらに言えばフランスみたいに大統領制と議員内閣制のミックスみたいな反大統領制とか、あるいはドイツみたいにまたちょっと違う形の議員内閣制とか、本当に世界にはいろいろな統治の仕組みがあって、
それぞれが近年いろいろな政治的な変動を経験している。これもまた注目していくとすごく面白いテーマだと思いますよ。
本当に奥が深いですね。さて最後に一つ、これを聞いてくださっている皆さんにちょっと考えてみてほしい問いがあるんですが、
こうした政治リーダーの言葉とか振る舞いっていうのは、その国の政治システムによってどのくらい型にはめられるものなんでしょうかね。
それともどんなシステムの下であっても、結局はリーダー個人の資質とかカリスマ性みたいなものがより強く影響するものなんでしょうか。
難しい問いですね。
この問いをちょっと頭の片隅に置いておくと、これから政治のニュースを見るときにまた少し違った視点が得られるかもしれませんね。
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