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越境家族、国境を越えて暮らす家族のドキュメンタリー。
この番組は、海外で暮らす家族を主人公に、将来どの国に住むのか、
経験者が通った究極の選択肢と我が家の実体験を通して、この問いの答えを探していきます。
前回のエピソードでは、海外移住に伴うキャリア選択、夫婦どっちを優先するか、
アジアとアフリカに住む2家族にお話を聞きました。
夫にも妻にもやってきたキャリアと家族どっちを選ぶか、という選択肢。
それぞれが出した答えを通じて、じゃあ我が家はどうか、振り返っていきました。
そして今日は、家族の中でも若いメンバー、子どもが主人公です。
海外移住をした時、子どもの教育どうするか。
現地校、日本人学校、インター一体どこを選べばいいのか。
そんな海外での学校を選び、どうするか。
これが、今日の越境家族が向き合う究極の選択肢。
学校はどこにするか。近所にするか、遠くにするか。評判がいいのはどこか。
こうした悩み、多くの人が一度は通ったことがあるかと思います。
今や幼児教育をとってみても、モンテスソーリア、バカロレア、海外のカリキュラムも最近よく目にするようになりました。
学校を選ぶ基準はいろいろある。それは海外でも一緒です。
我が家が住む香港、人気の学校はもちろんあるし、人気の理由も受験に強い学校だから、小中一貫校だから、あとは学費無料だけどしっかりしてるというコスパの良さだったりします。
ただ、自分が外国人としてその国の教育システムを見ると、自分が経験してきた日本のシステムとの違いに目が行きます。
例えば、宗教。香港にある小学校はおよそ600、そのうち半数近い学校が宗教系です。
種類もキリスト教系から仏教、イスラム教まで。
小学校の申し込み用紙にも、「あなたの宗教は何ですか?」という欄があります。
もちろん、通う全員が経験な信仰者というわけではないものの、こうした学校ではある程度、お祈りの時間や聖典を勉強する時間があったりします。
もし、自分の子供がそうした学校に行ったら、知らない間に、親がわからないいろんな習わしや考え方が身につくのかもしれない。
それも一つ、日本ではあまり意識しない、海外での学校選びにくっついてくる選択肢です。
国によっても全く違う教育。
そんな海外での学校選び、どうするか?
お子さんは今どの学校に通っていますか?
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そんな質問を海外在住のご家族に聞いて回りました。
例えば、ベトナム在住のアズマさん。
日本人のアイデンティティを持ってほしいという思いから、日本人学校を選ばれました。
そして、オランダ在住のオカさんは。
平日は現地校、土曜日は日本語補習校。
養育費が手厚いというオランダのメリットも使いつつ、日本語の基礎も確保する。そんな選択肢を取られています。
そしてもう一家族。
前回のエピソードで、セネガルでの暮らし心地がいいと言われていた、スズキ家の場合。
3歳と5歳、2人のお子さんは、今現地の幼稚園に通っているそうです。
そもそも日本人学校がないセネガル。
今の学校を選んだ理由は、近かったから、そして日本人も通っていたから。
そう、新しい土地で何かと頼りになるのは、先にそこに住んでいる日本人の存在。
私もいろいろ教えてもらったり、助けてもらったりした経験があります。
学校選びもそう。
特に親にとって初めての経験。
同時に子どもにとっても初めての学校です。
学校に送り出した後、楽しんでいるか泣いていないか、そんなことを考えながら待つ数時間。
初日を終えて帰ってきたお子さんがどんな様子だったのか、スズキさんに聞いてみました。
どんな反応でした?帰ってきたとき、最初、第一日目。
意外と楽しそうでしたね。
あらゆることが分からないし、同じクラスにいる子も全然見た目も違うし、
話すことも分からないし、先生も何言ってるか全く分からないだろうけども、
なぜかすごく楽しそうではありましたね。
無事に帰ってきただけで満点。
しかも楽しそうに帰ってきたならなおさら。
笑って帰ってきた顔を見てふっと胸を撫で下ろす。
そんな思いをしたことのある親は世界中にいるはずです。
アフリカのセネガル。
現地で話されている言語はいくつかあるものの、公用語はフランス語。
教育もすべてフランス語で行われるそうです。
言葉も分からない。クラスメイトと見た目も全然違う。
でも、なんか楽しそうに帰ってきた初日。
2日目以降も、学校に行きたくないということはなかったそうです。
結構、他の家の子どもは今も幼稚園に行きたくないとか、
学校に行きたくないという話はすごくよく聞くんですけど、
なぜかうちの子どもはあんまりこういうのがなくて、
もともと、どっちかというときっこみじあんだったりとか、
自分から積極的に何かするタイプではないんですけど、
おそらく周りの子どもたちもすごく優しくて、
すごいいろんな形でかまってくれたりもしたので、
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そういう意味ですごい、当時フランス語を全くできない中で、
割と入っていきやすかったっていうのはあったのかもしれないですね。
鈴木さんご家族、以前もセネガルの暮らし心地の良さに、
もう2年滞在を延長することに決めたとお話されていました。
その中でも一番何が心地いいのか、聞いたところ、
子育てのしやすさだそうです。
セネガルに引っ越して1ヶ月で実感した子育てのしやすさ、
その理由は一体何なのか。
すごい人が優しくて、ただの通りすがりの人が子供に声かけてくれたりとか、
なんかくれたりだったりとか、
そういうのってこれまで日本であまり体験したことがなかったので、
いい意味でのカルチャーショックというか、
すごい子供に対して温かいし優しいし、
いいなというふうに思っていたのが本当に最初の頃で、
今は2年経ってそれが確信近いものに変わっているというか、
やっぱりすごい子育てがしやすいなというふうには日々感じていますね。
日本から遠く離れたセネガルで体験した子育てのしやすさ、
その理由は人でした。
日本にいた頃と比較すると、
いろんな場面で子育てに優しい部分を感じることが多いそうです。
あと、子供に関わる大人も多いという鈴木さん。
子供にとっても学校で同じ年齢と遊ぶだけじゃなく、
いろんな年齢、いろんな世代と触れ合うことで、
それが子供にとって良い経験になっているんじゃないか、
そんなふうにもおっしゃっていました。
海外での学校選びどうするか。
それは単にインターコーがいいとか、日本人学校がいいとか、
そうした学校の種類で単純に決められるものではなく、
住んでいる国の国民性、そして一緒に通う人が誰か、
そんな人の影響も大きいのかもしれません。
国によって違う教育制度。
ただ、住む国が変わっても同じ教育を受けることもできます。
それがインターナショナルスクール。
日本でも、いわゆるインターコーと呼ばれ、
今では日本人の学生を対象に作られたものもあって人気だと聞きます。
香港で言うインターナショナルスクール。
これも香港人を対象に作られたものもある一方、
アメリカンスクールやフレンチスクールなど、
主にエクスパットと呼ばれる駐在院や、
現地で暮らす外国人を対象に設立された学校もあります。
こうしたインターナショナルスクールを選ぶ理由は、
いずれ駐在任期満了で帰国したとき、
子どもが同じカリキュラムで勉強が継続できるように、
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はたまた、今後も海外を転々とするという転勤族でも、
同じインターに通えば、
住む国の教育制度に影響されず、勉強が途切れない。
そんないろんな目的でインター校を選ぶ家族はたくさんいます。
海外では、日本人学校も、いわゆるインターナショナルスクールのカテゴリー。
海外にいても、日本語で日本語のカリキュラムを使って勉強できる唯一の場所です。
文科省によると、現在認定されている日本人学校は49カ国に位置し、その数94個。
アジアが中でも最も多く、我が家が住む香港にも日本人学校は2校、日系の幼稚園もあります。
はい、今何歳ですか?
4歳です。
これはうちの娘、今幼稚園でいう年長さん、来年小学生になる年齢です。
学校はどこにするか、これまでも何度となく家族で話をしてきたこの質問。
ある日、幼稚園からの帰り道、私が娘にインタビューしてみました。
6歳になったらどの学校に行きますか?
日本語の学校です。
小学生になったら何したいですか?
アートワークです。
アートワーク?
書く。
何書くの?
ボール。
ボール書くんだ。
動物とかも書く?
猫。
可愛いよね。
宿題はどうですか?
ホームワーク。
好きです。
どんなホームワークしますか?
漢字書く。
漢字書くの?
撮影したら、日本語の学校に行く。
学校では絵が描きたい。漢字の宿題もする。
こんな具体的なイメージがあるとは驚きました。
もしかしたら、前から私のマイクを見ては
収録って何?インタビューしてみたいと言っていただけに
こうしてマイクを向けて質問されたことにワクワクして
はっきり答えてくれたのかもしれません。
いずれにせよ、この答えを聞いてちょっと胸を撫で下した
というのが正直な感想です。
というのも、娘には小学校の最初の数年間は
日本人学校に行ってほしいと思っていたから。
香港に住む我が家。実は娘の幼稚園何度か考え直して
今3つ目の学校です。
現在は日系の幼稚園に通って1年半。
それまではインターコーにおよそ2年。
ただ最初の最初は現地の幼稚園に申し込みをしていました。
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親になって初めての学校選び。
やってみてわかったのは、学校選びの基準はどんどん変わる。
いや、変わってきたというよりも、基準が増えてきた
と言い直した方がいいかもしれません。
最初の基準は和書でした。
近くで評判もいい、そんな学校に申し込みをしました。
申込書を対象にその後招かれたお試し体験コース。
親と子どもが一緒に実際園内で1時間遊べるというものでした。
当時2歳の娘を連れて私たちも行ってみたところ、
自分が思い描いていた幼稚園ぽさがない。
何が幼稚園ぽさかというと、環境です。
私が子どもの頃通っていた幼稚園は、
広い校舎に運動場もあって、外の砂場や遊具でのびのび遊んでいた。
ただ実は、香港の幼稚園、雑居ビルの一角にあることが多い。
私たちが最初に申し込んだ幼稚園もまさにそんな感じでした。
床はタイル、校舎はアパートの3LDKみたい。運動場や砂場もない。
もちろんカリキュラムはしっかりしているし、それなりに評判も良い。
ただそれが建物の中に入った第一印象でした。
さらに体験コースが始まって30分、
歌の時間になった時もう一つ気になることが出てきました。
それが実は先生がオンチだということ。
ちょっとなぁと思ったものの、ただ自分が厳しすぎなのか、そういうもんなのか、
初めての学校選びに、そもそも自分がどんな基準を持てばいいのか、
分からず帰って夫に相談しました。
翌日、夫が代わりに体験コースに行ってみることに、
1時間後、終わって出てきた夫の一言目は、
全くもって同感。
私がしっくりこなかった幼稚園っぽさの無さ、
そして気になった先生のオンチのところも、2人とも引っかかりました。
結局、その学校には申し込みは済んでいたものの、入園は辞退、
別の候補を探すことになります。
そこで探した次の学校、それが2年近く通うことになるインター校です。
ここでの学校選びは、環境を優先順位として選びました。
学校はバスと電車を乗り継いで1時間半近くかかる場所。
でも広くて屋外もあって、私たちが思い描いていた幼稚園っぽさがたっぷり詰まったこの学校。
先生の歌も上手でした。
そんなのびのびした環境が気に入ったので、結局、私たち家族も学校の近くに引っ越すことにもしました。
ただ、2歳から4歳までそこで過ごすうち、また我が家には新たな基準が増えることになります。
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さて、我が家に出てきた新たな基準、それが言語です。
私は日本人、夫はカナダ人。家庭内で使う言語は日本語と英語の2つ。
さらに外に出れば、関東語や北京語、フランス語やフィリピン語などありとあらゆる言語に囲まれる多言語環境。
私たち大人だけではなく子供も同じ環境に置かれます。
今や5歳になった娘も、そんな環境で身につけた諸生術、それが英語で話すこと。
例えば公園、同世代の子供たちが遊んでいても、実はしゃべる言語でグループができていたりします。
砂場では関東語、すべり台は北京語、ボールで遊んでいるのはフランス語。
そんないろんな言葉が飛び交っていて、小さい頃は言っていることがわからないと残念そうに娘が私のもとに帰ってくることも何度かありました。
ただ、そんな別の言葉でしゃべる子供たちも、相手が反応ないと思ったとき、実は英語に切り替えてきます。
香港の公用語は関東語と英語。
現地の教育制度では、それに北京語を加えたトリリンガルというのを基本としている。
だからこそ、公園で出会う子供たちも、コミュニケーションに使える言語を自分の中に何種類か持っていて、
AがだめならB、BがだめならC、そんなふうにお互いにコミュニケーションが取れる言語を探すという技を身につけていたりします。
そして娘の場合、家庭では日本語と英語の2カ国に触れているものの、
香港で日本語でコミュニケーションが取れる人は案外少ない。
でも英語ならたくさんの人と話せる。
だから彼女にとっても、英語でしゃべれば大抵の人とコミュニケーションができるという意識が小さい頃からできていたんだと思います。
当時は学校でも英語、公園でも英語、家でも私は日本語で話しかけても帰ってくる言葉は英語。
まあ娘が言っている英語の意味はわかるから意思疎通はできていたものの、
はたから見ると違う言語で会話するという不思議な親子だったのかもしれません。
結局当時、娘にとっては日本語をしゃべる必要性がない環境になっていた。
ただ、日本語がしゃべれなければ、
例えば私の両親、おじいちゃん、おばあちゃんとも直接話をすることができない。
それは悲しいじゃないかと切実な問題でした。
それに将来どの国に住むのか。
この我が家最大の問いにも、
日本語が話せたら日本という選択肢が残る。
日本語が話せなかったらその選択肢が遠のく。
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そんなことを考えても、やっぱり日本語でコミュニケーションが取れるようになってほしい。
そう考えるようになりました。
だから今、娘は3つ目の学校、香港にある日系の幼稚園に通っています。
海外での学校選びどうするか。
今、我が家にあるプランは、小学校最初の数年間はできれば日本人学校で、
日本語のベースをちゃんと作っておきたいというのが理由です。
海外での学校選び。
その基準は宗教だったり、人だったり、言葉だったり、いろいろある。
ただ、将来どの国に住むのか。
この問いを考えたとき、我が家にとっては今、言語の優先順位が大きい。
小さいながらに娘が講演で身につけた書生術。
相手とコミュニケーションが取れる言語が見つかるか。
この言語がもたらす影響力が大きいことを経験したからこそ、
この優先順位をちょっと上げた選択肢を選びたいというのが今の我が家です。
だから、もしここ数年でどこか別の国に引っ越すとしたら、
日本人学校はその国にあるか、それがチェックリストに入ります。
ただ、数年後、その基準が変わったり増えてきたら、
そのリストに付け足して海外での学校選びしていくんじゃないかと思います。
さらにきっと大きくなれば、娘ももっと自分の好き嫌いが出てくるはず。
またその時には、今回みたいなインタビューをして、
学校どこに行きたいですか、本人に聞いてみるのもいいかもしれません。
越境家族、国境を越えて暮らす家族のドキュメンタリー。
これでお聞きいただきありがとうございました。
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そして企画編集、ナレーションはあらいりながお送りしました。
それでは次回の越境家族お楽しみに。