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ひとし
(前回からの続き!)
「いじめをなくすためにどういうことができるんだ」っていう回の2話目です。
はるか
はい、お願いします。
ひとし
前回の、簡単に振り返る?
はるか
そうですね。振り返ると、前回は「加害者と被害者自身にいじめをやめさせることがすごく難しい」っていう話があって、
なんでかっていうと、「シンキングエラー」っていうのが起きてて、加害者は自分がしていることをいじめと認識していないっていうことであったりとか、
あと、「アンバランスパワー」があるから、被害者がやめてって言えないっていう状態があったりとかある。
だから今回、この被害者と加害者以外に『傍観者』っていう存在を紹介して、「見ている人が何ができるのか」っていうところをお話できればなっていうふうに思っています。
ひとし
何ができるんだ。
はるか
なので見ている人っていうのは、われわれ教員としてもそうだし、自分が子どもができたら、親としても介入ができるのかなっていうふうに思っています。
そもそも、被害者が相談すればいいじゃんっていうアイディアもあると思ってて、今回、最初の相談には「アンケートの意義はありますか?」みたいな話があったやん。
この本の中では、アンケート記入によるいじめの発見は、そうとう限界があるということで。
ひとし
書かないっていうことよね。
はるか
そうそう。やっぱこれで相談した結果、こじれる不安の方が大きいであったりとか、調査によると、いじめの被害者で相談できた割合っていうのは小学校も中学校も30%以下っていうところで、
やっぱり早期発見して対処しようっていうのも難しい。
だからこそ、この傍観者。見てる周りの人にどんな振る舞いができるのかっていうことを伝えることが本当に本当に重要なんだなってことがわかった。
そもそも傍観者についてなんやけど、傍観者ってなにかっていうと、「加害者でも被害者でもないのにいじめの場に立ち会う子どもがいる」と。
これを『傍観者』っていうんだけど、研究によると、いじめの現場には88%の傍観者がいるっていう。
被害にも遭わず、加害もしない存在っていうのがその場にいることが88%もあるっていわれていて、
ネットいじめでも80%以上は傍観者がいるっていうふうにいわれてるから、ネットでも「力のアンバランス起きてるな」とか「シンキングエラー起きてるな」と思ったら、いまからいう振る舞いができるのかなっていうふうに思っています。
傍観者の介入がめちゃくちゃ効果的であるっていう研究もあって、傍観者がいじめを止めようとした場合、57%に効果があったって回答していて、
傍観者がいじめに介入した場合、効果が高いっていうことがわかっている。
ひとし
どうやって介入すればいいか、難しいけどね。
はるか
あとは『森田洋司』さんっていう、いじめの研究ですごく日本では有名な方がいるんだけど、その方も「いじめの構造において、傍観者の存在が最も重要な変数である」っていうふうに言ってるというところで。
重要なんだけど、介入しにくいのよ。
ひとし
なんて言ったらいいかわからんもんね。
はるか
そう。だから「なにも言えない」みたいな状態があって、じゃあなんで介入するのが難しいのかっていうのをまず理解したくて、
『リチャード・J・ヘイズラー(Richard J. Hazler)』さんって方が3つ整理してるんだけど、まずひとしが言ってるように、「どうしたらいいかわからない」。
どういう振る舞いが適切なのかわからないっていう。
だからわかるようにしていく必要があるっていうことと、もう1個やっぱり「報復」。
ひとし
自分がやられるんじゃないか、ね。
はるか
もう1個は「自分が何か行動した結果、状況をさらに悪くするんじゃないかっていうような恐れ」。
この3つの要因で、介入するのが難しいということなんよね。
だけど介入しなかったらリスクがそうとう高いってこともわかってて、ずっとそのいじめの現場を見続けると、助けたいって気持ちが薄れてきて、慣れが生じるんだって。
ひとし
なるほどね。
はるか
慣れが生じるとどうなるかっていうと、シンキングエラーが起きるらしくて。
ひとし
その傍観者にも。
はるか
傍観者にもシンキングエラーが起きて、加害者側に立ちやすいって分かってるんだって。
だから、これはいじめじゃないっていうふうに誤認識が起きたりとか、加害者の味方になる、仲間になっていくみたいなリスクもあるから、ずっと傍観しておくってことにもリスクがあるっていうことなんだよね。
さらに、最後の回で話すけど、加害者になるっていうことは、そうとう将来のリスクも高めるっていう研究もあって、
だから本当に、傍観し続けることは加害者になるリスクがあり、加害者になるってことは将来的にもリスクがあるっていうことが分かっているということで。
はるか
いよいよ具体的に。
ひとし
何をできるんですか。
はるか
「傍観者に力を与えましょう」ということで、このTeacher Teacherが発信するのも、この傍観者に力を与えるために発信してるぐらい、今日はあって。
ひとし
なんやろ。
はるか
どうやったら傍観者に力を与えられるのかということで。
ひとし
ずっとそれ言っとるやん。
はるか
傍観者に力を与えるために具体的な働きかけがありますと、『ボンズ』さんが言っています。
3つ働きかけましょう。
1個目。「いじめについて話し合うことにより、いじめをやめさせたいと思っているのは自分だけじゃないんだという気づきを、まず見させます。」
こんだけいじめを不快に思ってる人がいるんだよという事実を、まずその集団の中で共通認識を持つと。
ひとし
なるほどなるほど。
はるか
いじめ嫌よねっていう。この状態、嫌だよねっていうことに気づかせるということが、傍観者に働きかけることが。
だから今、僕は皆さんに語りかけている。働きかけていますと。
みんな嫌だと思ってるんですと。
ひとし
それは、そのいじめが起こっている現場でじゃなくてもいいってことよね。
はるか
そうそう。まず今、傍観者になる可能性の高い皆さんに発信をしているし、皆さんはお子さんとかにこれを伝える機会にもなるだろうし、学校現場ではこれが伝わってほしいと思っている。
で、もう1個は、「いじめをただ見ているっていうことは、加害者に力を与えているんだというふうに知る。」
ただ見ているっていう構造は、加害を助長しているんだということを伝える。
で、3つ目。「自分たちの集団を安全に保ち、いじめをなくすために行動するっていうことに、みんなも責任があるんだということを伝える」ということで、
傍観した時にアクションを起こしましょうというところを伝えるっていうところが、この3つ働きかけとして重要であるということが言えます。
ひとし
なるほどね。認識の話なんやね。
はるか
これ『ボンズ(Bonds)』さんが言っている認識の話で、まず自分だけじゃないと思ってもらうこと。で、傍観しているだけっていうのは加害者に力を与えているんだよってこと。
で、傍観者もなくすために行動する責任があるんだよってことを働きかけることで、傍観者が動きやすくなるっていうことが言われている。
ひとし
そうね、具体的にどう動くかもある。
はるか
そう。もちろん具体的にどう動くかっていうのも後ほど話すんだけど。
もう1個は、ヘイズラーさんが言っているのは、「何をすればよいか分からないっていう不安に対しては、集団で対応する」ということ。
これ、集団で対応することによって報復のリスクも少ないし、傍観者が集団で対応することは雰囲気を良くするんだということで。
実は、傍観者っていうのが集団の力を使えるようにするってことが、一番いじめをやめさせるうえで重要であるっていうことだから、一人で対応するっていうよりは集団で対応しましょうっていうことが言われている。
まずだから傍観者同士の仲間を作る。傍観者はほとんどがいじめをやめさせたいと思っているっていう事実があるっていうこと。
だから、まずは横で繋がりを作ろうっていうことが、言えていることかなと思っています。
だからまずスタートは、この認識を持つこと。スタートは認識を持つことだっていうところがありますと。
ひとし
持ちましたと、じゃあ。認識を持ちました。
はるか
もう、ひとしが早く教えろと。
ひとし
周りの友達にも伝えましたと。
はるか
でも俺、この時点でけっこうでかいと思ってる。
この時点で、まず傍観者ができることがあるんだと思っていることと、傍観者が介入をせざるを得ないシンキングエラーとパワーバランスがアンバランスになっているっていう事実があるっていうだけで、そうとう動きやすくなっていると思うし、
これを聞いてひとりでも動いたら、本当に1個でもなくせるって考えると、そうとう意義深いなって思っていると。
ひとし
自分が、電車のことならはるか先生より知ってるっていう。
はるか
そう!で、興味深い話があってさ、居場所作りしてる方の話を聞いた時に、その居場所では子どもがパフォーマンスすることを練習してるんだって。
マジックであったりとか、バルーンアートであったりとか、ダンスであったりとか、
みんなが「おお!すごい!」って思うようなパフォーマンスを練習してるんだって。
で、するとそのパフォーマンスを教室で発揮することによって、そのパフォーマンスにおいては自分が存在価値を感じれるみたいな状態が起きるから、
「元気になって学校、行きました」みたいな話もあったりとか、人がすごいと思えるパフォーマンスを持つみたいなの。これ脱線しすぎか、すみません。
ひとし
いや、いいんじゃないですか。でもまぁ逆にね、逆の考えをすると、ピラミッド組織であんまり上の人が、社長が若手のメンバーとプライベートで、なにかで遊ぶとかは無しにしようっていう会社も、やっぱあったりもするけん。
逆にね、そういうピラミッドのルールから外れちゃうというか、別のところで仲良くなったりしたら、その組織のルールが変わっちゃうみたいなので、逆にプライベートでは遊ばないみたいな、決めてるところもやっぱあったりするけん。
どっちもあるよね。
はるか
そっかそっか、なるほどね。それは、生産性を高めるためにってことかな。
ひとし
そうそうそう、単純に結果を出すために。
はるか
なるほどね、そっかそっか。
ひとし
けっこう、どっちもあるなっていう感じやけどね、会社でも。
はるか
いじめをなくすという視点でいくと、いまの話で思ったのは、関係がクローズになってるなって思ったら、関係をオープンにしたりとか、関係が固定しちゃってるなと思ったら、違う関係が持てるようなアクティビティをするとかっていう仕掛けはできるのかなって思ったりもしたね。
いわゆる被害というか、力のバランスが弱いなって思う人の得意分野のことをするようにしたりとかは、これそうとう難しいけど、ひとつ。
なんか俺らみたいな支援者というかね、俺らみたいな、子どもの学びをサポートする側としてはできることかなとは思った。
ごめん、戻ります。3つ目。シンプルに『助けを求める』というところで、信頼できる大人に助けを求めるっていうのが大切で、これの重要な視点は被害者は助けを求められない状態なんよね。
最初に言ったように被害者は相談しにくい状態がある。もっとこじれるのが怖いし、分かってもらえないんじゃないかと思える状況がある。
だからこそ傍観者が助けを求めるっていうのは重要だなって思っている。傍観者が見つけた時に相談していって、それは相談しやすいと思うから、大人に助けを求めるっていうのは大事かな。
ひとし
大人にね。
はるか
だからこの相談をくれたお子さんは、たぶん本当にいじめをなくしたいと思っていて、だけどアンケートであまり機能しないと思っているんだったら、
もし本人がいじめを目撃した時に、すぐに助けを求める。大人に助けを求めるっていうアクションはできるのかなっていうふうに思っているし、俺らもそうよね。
パワーバランスを感じたら、ほかの人に「こんなふうに今パワーバランス崩れてるんだけど、どうしたらいい?」って相談したりとかはできるのかなって思ったりしている。
で、4つ目。これはもう揺るぎない。『被害者に問題がないっていうことは伝える。』
いじめの被害を受けてると、自分に問題があるからだっていう思考に陥りやすいんだって。
ひとし
なるほどね。
はるか
陥りやすいっていう傾向があるから、あくまで、いじめというものは絶対に問題であることはもう揺るぎなくて。
これはもう次の回でも話すけど、ここはもう揺るがしちゃいけんと思う。いろんな意見あるよね。だけど、いじめはあくまでも加害者の問題であるってことはもう揺るぎなく伝えて、勇気づけるっていうのはひとつ、できることだということ。
ひとし
なるほどね。できる。できそう。
はるか
あと2つは高度だなと思うんだけど。俺は高度だと思うけど、これが得意な人いるかもしれないんだけど。『受け流す』っていう。
ひとし
受け流すは、何もしないと近いんじゃなく?そういうことじゃない?
はるか
加害者は周りの反応とかを楽しむっていう傾向があるから、そこに反応しないっていうのは抑止する1つの方法であるっていうこと。
これも本当に思い当たるとこ、めっちゃあってね。高校の時にあからさまに嫌なことやってるんだけど、その場を収めるために笑ってた自分とか思い出すと、あれ助長してたんだなとかあるけん。
マジで反応しない。俺は笑わんっていうのは力強く持ち続けたいなと思っているっていうのは。笑わない、反応しないっていうのはできることかなと思っています。
最後、これ俺はマジで難しいと思うんだけど、できる人いるかもしれない。『ユーモアを使う。』
ひとし
でも、笑っちゃうと反応してるみたいなことになるけん、別の話題で。
はるか
そうそう別の話題で。被害を与えることに対して笑うんじゃなくて、笑いを作っていじめの深刻化を防ぐみたいなこと言ってるけど、難しい。でもいるよね、たまに。
なんかちょっと嫌な雰囲気になった時に、落ち着けて、笑って、次の話題に流すみたいな人っているよね。
ひとし
あぁー…そうね。どんなこと言うんやろ。
はるか
どんなこと言うんだろうね、これは。
ひとし
どんなこと言うんだろ、これ。
はるか
これはちょっと高度だけど、もし自分がユーモアを使うのが得意だと思う方は、この武器で雰囲気を変えるっていうのは、ひとつあるのかなとは思います。
ひとし
全く別の話題でね、和やかにするみたいなことは。いじめが深刻じゃない時はできるかもしれない。
はるか
ていうことで、いま6個、紹介したけど。
ひとし
できることがめっちゃあるっていうことは、わかるね。
はるか
あるのと、効果が高いっていうことと、逆に発見だったのは傍観者じゃないと難しいんだなと思ったのよ。
アクションを起こすのが。
ひとし
なるほどね。
はるか
被害者は相談するのがすごく難しいし、加害者はシンキングエラーを起こしてて気づいてない、自分がいじめしてることに。
だから逆に、傍観者が動かんと誰が動くん?ってなってるっていうこと。
ひとし
確かに。
はるか
これを先生に聞いてほしいし、先生がいまの話を皆さんのクラスで共有してほしいし、と思ったね。
鍵は『傍観者』である。
傍観者は集団になるということと、思ってる以上にみんながいじめをなくしたいと思ってるという認識を持つということと、
集団でいっしょに対応することで報復を受けるリスクも少ないということ。
あとは具体的なアクションとしては、さっき言った6つのアクションがあるということ。
この認識を持つだけでも、なんか変わらんかなって思ってて。
あとは本当、勇気を出してやるしかないところなんだけど、
勇気、出し方がわかったというか、
「勇気、出そうぜ」だけじゃできないことが、今日の話でひとりでも背中を押す回になったらなとは思っているね。
ひとし
6個。概要欄にも書いておくと思うんですが、
一応、振り返ると、傍観者としてできる行動は、
嫌な気持ちがするから『やめて、とはっきり言う』ということ。
2つ目『その場から離れさせる』
被害者と別の場所に行ったり、加害者を別の場所に呼んだりするということ。
3つ目『助けを求める』
これは、被害者からは助けを求められない状態なので、
傍観者が率先して、誰か周りの大人に助けを求めたりする必要があるよねということ。
4つ目が『被害者には問題がないということをしっかり伝えて勇気づける』ということ。
はるか
ここは揺らいじゃいけんと思う。次、話すけど。
ひとし
5つ目が『受け流す』ということで、
加害者は、被害者をいじめている様子を周りが楽しんでいるっていうのを喜ぶことがあるので、反応しないという。
受け流すということ。
最後がちょっと難しいけど『ユーモアを使って切り替える』ということ。
はるか
それぞれが自分に合った方法で、できるのかなと思うね。
ひとし
そうね。
はるか
最初の前提にあったように、自分がもしかしたらいじめの被害に遭うかもしれないっていう危険な状態で
勇気出してくださいとは言わない。
まず自分の安心・安全は大事なんだけど、方法として集団になることであったりとか、
その場から離れるようにするとかっていうのは、リスクが低い方法とかもあるから、
自分に合った形でできるといいのかなとは思っていますし。
ひとし
あとまあ、傍観者がこれを知ってると、いつ加害者になるかもわからんやん、正直。
シンキングエラーが起きるからね。
そんな嫌だと思ってなくてやっちゃうっていうのがやっぱあるから、
いつ自分がね、加害者側になるかわからん時に、
傍観者としての振る舞いを色々と理解しとけば、ちょっと客観視して、
「あれ?いま自分、加害者じゃね?」みたいなことに気付けるかもしれない。
はるか
そのメタ認知はできるかもしれんね。
加害者にならんためにも、本当そのメガネは、やっぱ2つのメガネは重要だね。
前回、紹介したシンキングエラーとパワーバランスのメガネはね。
ひとし
ということでした。