問題の概要と背景
この時間は、日替わりコメンテーターによる解説で、日々のニュースを掘り下げるブラッシュアップ。 月曜日は、法学者の谷口真由美さんです。谷口さん、おはようございます。
おはようございます。さて、今日のニュース話題はどんなものでしょうか。
はい、今日はですね、熊本の国父高校、私立の国父高校で、世界大会の優勝実績もあるチアダンスの同好会で起きた問題を、皆さんとご一緒に考えていきたいと思います。
一言で言うと、この事例というのは、チアダンス同好会に14人いたメンバーのうち、7人が辞めて、5人が転校したと。
複数の生徒さんが適応障害であるというふうに診断されているということで、
そのきっかけが、去年の10月に、指導者による生徒へのパワハラなどを告発する特命電話が、
熊本県の私学振興課にあったと。それがきっかけで、外部高知による犯人探しがあったんじゃないかというニュースなんですね。
もう何度もお伝えしてますけど、私、スポーツハラスメントゼロ協会というところの代表理事も務めているので、
人権法も専門であるというところから、ちょっとお話をさせていただきたいんですけども、
これは一つだけ先にお伝えすると、ひどい高知がいたという話で終わらせてはならない事案だということですね。
指導者による犯人探しと生徒への影響
事実関係をもう少し整理してお話すると、高知によるパワハラを疑う特命の告発が、県に届いたということなんですが、
その学校がその告発の内容を、高知本人にそのまま伝えたというものなんですね。
それを受けて高知は犯人探しを始めて、一部の保護者に、あなたが告発者だと思っているというふうに詰め寄って、
ミーティングではその場にいない生徒の名前を挙げて、あなた親に洗脳されてるかもしれないとか、腐ってるというふうに発言したということなんですね。
結果、生徒7人が同校会を辞めて、5人が通信性高校などに転校したというので、複数の生徒、保護者も適応障害というふうに診断されていると。
寮生活もしていた同校会なので、学校にも寮にも居場所がなくなったということなんですね。
今日はスポーツハラスメント、ゼロ教会の代表理事として、スポーツハラスメントの観点から話すと、
スポーツにおけるハラスメントって、いわゆる昔のわかりやすい殴る蹴るだけではないわけですね。
受ける側の意思に反して、不快感であったり恐怖を与えたり、自由に行動を選択することが困難な状態に陥るというのもスポーツハラスメントです。
この事案がまさにそうで、生徒さんたちには辞めるか転校するかという選択肢が2つしかなかったということなんですよね。
本来、部活を続ける自由というのはあったはずなのに、それを奪われたと。
これは本当に人権の問題だし、教育現場なので、教育に対するアクセスの問題でもあるわけですね。
ハラスメントの構造的・文化的要因
ただ、いつも申し上げていることではあるんですけど、このハラスメント、スポーツに限らずハラスメントというのは、
個人の資質の問題ではなくて、それを許す慣習とか風土とか文化的な土壌とかそういうものがあるっていうので構造的な問題であるということなんですね。
だから、世界大会で優勝するような強豪校ですね。
その強さというブランドが声を上げにくくしていると。
ここで辞めたらこの実績は手に入らないとか、我慢している子もいるって言って、
子どもたちが自分の痛みを後回しにさせられるというのが、このハラスメントを生んでいる土壌になると思います。
ただね、その一方で誰かを悪者にして終わらせたら、これ話がそこで終わってしまうんですけれども、
これ誰もが加害者にもなり得るし、被害者にもなり得るっていうのも構造的な問題としてあるんですね。
だから今回コーチがですね、その後誤解を解きたい一心だったというふうに釈明してるんですけれども、
これ結構加害者がよく本心から語る言葉でもあるなと思ってるんです。
だからこの個人を吊るし上げただけではまた同じ構造が繰り返されるんじゃないかなと思います。
学校の責任と安全配慮義務
一方でこれやっぱり学校の責任という学校の対応の問題なんですけれども、
学校が同好会は学外活動だと。
で、コーチと学校に雇用関係はない。
だから調査する権限はないんだというようなことを言ってるんですね。
ですよね。
学校案内のパンフレットにもですよ、その同好会の世界大会優勝実績としてPRしていて、
生徒は寮で暮らし、学校の名前を背負って大会に出ています。
で、仮に関係ない外やって言ったとしても、
自分ところの学校の学生さんが15人も関わってたら学校の問題ですよね。
そうですね。
だから都合のいい時はうちの実績だと。
で、都合の悪い時はうちは関係ないと。
いろんな使い分けっていうのは通用しないですよね。
ですね。
だから外から見て学校活動と一体になってる以上は、
在学契約上の安全配慮義務というのが必ず発生していて、
使用者責任というのも適用される問題になると思われます。
外部委託の実質活動でも実態を見て判断する傾向が、
裁判でも今そういう傾向になってきているので、
そういうふうになるんじゃないかなというふうに思われます。
内部通報者保護と未成年者への配慮
もう一つですね、内部通報者保護の問題ですよね。
公益通報者保護法そのものは適用されないとはいえ、
通報の中身を非通報者にそのまま伝えるというようなことは、
コンプライアンスのいろはの意で、
絶対にやってはいけないことですね。
だからその通報窓口の機能を学校が果たさなかったどころか、
学校自身がこの校地の報復の引き金を引いたということですね。
そうですね。
何よりやっぱり今回の問題、
一般企業で行われてもなんということだってなるんですが、
未成年者なんですよ、子どもなんですよ。
だから子どもっていうのは、
特別な配慮が必要で、
子どもの最善の利益というものを大切にしなきゃいけないわけで、
結果的に転校するということでしか自分を守れない、
辞めることでしか自分を守れないという状況になったというのは、
大人の社会の敗北なんですね、完全に。
本当に良くないというのと、
組織の心理的安全性と二次加害
犯人探しというのも、
組織の心理的安全性を一瞬で破壊する行為なので、
ハラスメント対応では最悪事例の典型なんですね。
だって次は自分かもしれないというので、
集団全員が萎縮するという効果があるので、
だから結局、
ミーティング後に周囲が冷たくなったというのが、
生徒の証言で出てるんですけれども、
二次加害であり、集団の同調圧力が働いた状態であるということですよね。
想像してみていただきたいんですけど、
思春期の子どもたちというかですね、
高校生の子どもたちにとって部活っても、
アイデンティティそのものになってることが多いんですね。
そこで人格を否定されるような、
しかも強豪の寮生活なので、
生活空間と被害空間が完全に一致してるんですよ。
だから逃げ場がなくて、
これで適応障害を発症しない方が、
ちょっとどうしたんだろうという状況になるぐらい。
だからやっぱり今回の話っていうのは、
根本的な解決に向けた提言
人権問題であり、
学会活動だから関係ないっていうのは、
適用しないということと、
悪いコーチを一人見つけて終わりではなくて、
それを許す監修とか風土っていうのの中にね、
例えば勝利市場主義であるとか、
外部指導者制度の責任の空白問題とか、
声を上げられない強豪の文化であるとか、
そういうものを抱えない限り、
第2、第3の同じような学校が出てくるということですね。
やっぱり子どもが転校とか辞めることでしか、
自分を守れないというような社会のままでいいかどうかっていうふうに言うと、
よくないわけで、
これをやっぱり多産の意思に、
本当に自分事として皆さん捉えていただきたいなと思います。
まとめ
今日はですね、
熊本での高校で起きました、
チアダンス同好会での指導者の不適切な指導告発があって、
それに対しての犯人探しが行われたというね、
この意見について解説してもらいました。
谷口さんありがとうございました。
ありがとうございました。