2024年11月6日、水曜日の声日記です。
今日は大学に行って授業を行いました。その前に図書館に寄り、予約していた本を受け取りました。受け取ったのは、慶応義塾大学の今井むつみ教授が書かれた『学力喪失——認知科学による回復への道筋』(岩波新書)という本で、今年出版されたものです。
なぜこの本を読もうと思ったのかと言いますと、先週、NHKラジオの早朝番組「明日へのことば」で今井教授が赤ちゃんの言葉の習得について話しているのを偶然耳にしたからです。その日は早く目が覚めて、寝床でラジオを聴いていたところ、たまたまこの放送が流れていたのです。赤ちゃんは、親が特に教えようとしなくても、遊びの中で自然に言葉を覚えていくものです。赤ちゃんが持つこの驚くべき学習能力について今井教授が研究されていると知り、興味を持ちました。ちなみに、この方は昨年『言語の本質』という新書も出されており、今回のラジオもその関連のインタビューだったようです。
その今井教授が、今年『学力喪失』というタイトルの本を出されたのですが、このタイトルについては少し引っかかるところがあります。少し誤解を招く可能性があるので、もう少しわかりやすいタイトルでもよかったのではと思います。この本のテーマは、「なぜ子どもたち、あるいは大人も含めて、学ぶ力を失ってしまうのか」という問題です。赤ちゃんは生まれながらに学ぶ力を持っていますが、学校に通うようになると次第にその力を失っていくというのが「学力喪失」の現象です。つまり、学校は学力を高める場ではなく、逆に学力を奪ってしまう場になっているのではないか、という問題提起なのです。
「学力喪失」というと、『算数ができない大学生』などのように、学力の低下をセンセーショナルに取り上げる類の本を連想してしまうかもしれません。しかし、この本はそういったものではなく、算数や読解力といった基礎学力がなぜ十分に身につかないのかを認知科学の観点から分析したものです。また、学ぶ力を失わないためにどのような教育が理想なのかについても述べられています。
私にとって非常に共感できる点は、学びが本来「遊び」であるべきだということです。遊びとは、失敗を恐れずにいろいろなことに挑戦し、それ自体を楽しむ行為です。必ずしも「遊び」そのものに限らず、一般に学びとされることも、楽しんで行えるものであれば「遊び」として成立するのです。つまり、ただ苦しくても頑張って取り組むのではなく、面白くてやらずにはいられない、そんな学びこそが理想です。そういった学びであれば、学ぶ力は失われないでしょう。
この本は心理学や認知科学に基づいて書かれているため、具体的な教育方法については触れられていません。ですから、その点については他の専門家が考えるべき課題ですが、学びのあるべき姿については十分明らかにされています。私は今日この本を借りたばかりで、各章のまとめをざっと読んだだけですが、それでも多くの人にぜひ読んでほしい一冊だと思い、ここで紹介したいと思いました。
今日は曇りで少し寒い秋の一日でした。また、アメリカでは昨日から大統領選挙の投票が始まり、先ほどのニュースでトランプ氏の当選確実との報道がありました。今後、アメリカや世界がどう変わるのか注視していきたいと思います。
最後に、私が昨年の11月7日にポッドキャストを始めてから明日で1年になります。少し慣れてきたものの、まだまだスムーズに話せないので、これからも精進していきたいです。
(AIによる要約)
今井むつみ『学力喪失——認知科学による回復への道筋』岩波新書,2024.9
サマリー
今井むつみ著の『学力喪失』は、赤ん坊が持つ学ぶ力が学校教育によって失われる過程を探求し、遊びを重視した学びの大切さを訴えています。著者は認知科学を用いて、子どもたちが基礎学力を身につけられない理由を明らかにし、学びを奪わない育て方について提案しています。