1. 徒然日和
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2024-03-08 09:41

「薄い本」の出版社を経営してます、というお話

楽譜出版社を経営していますが、そもそも楽譜出版社って普通の出版社と何が違うの?みたいな話です。しかし声量ないのと、声が掠れてるのが気になりますね(なりませんか?)。

途中で紹介している楽譜の曲はこちらで聴けます。

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こんばんは、ポッドキャストの2回目です。
今日何話そうかなと考えていたんですが、今日はどういう仕事を普段しているかということを話していきたいと思いまして、
私は合同会社ミューズ・プレスという名前の楽譜の出版社をもう一人と経営しておりまして、楽譜と言いましても色々ありますが、
当社が出しているものについてお話ししていきたいと思っています。
まず、当社が出しているのは主にクラシックのピアノ曲をメインとして楽譜なんですね。
クラシックとピアノというと、例えばモーツァルトとかベートーヴェンとかですかって聞かれることが結構あるんですけれども、
そういう古い楽譜、もう亡くなって、それでも手に入る楽譜ではなく、今生きていたりとか、あるいはまだ出版されたことがない昔の作曲家の作品、未出版のものを出したりとかしています。
どういうものが人気かというのをいくつか説明させていただきますと、
うちで売れているものの一つで日本人に一番通じやすいもの何かと言いますと、
YouTubeでだいたい140万フォロワーぐらい今いますかね、角野隼斗さんという方がいらっしゃいまして、
日本でいくつか有名なコンクールがあるんですけれど、そのうちの一つのコンクールで優勝した時にですね、
現役の東大の院生でAIを研究していたという、そういう異色の経歴の人が音大生を抑えて一位になったということで、優勝したということで大変有名になった方です。
現在は紅白とかにも出ましたし、テレビCMなども出たので結構知っている方多いんじゃないかと思います。
今ツアー中で今年の7月かな、それぐらいに武道館ソロ公演をやるらしくて、クラシックのピアニストで武道館公演というのをやるのは初めてなんじゃないかなと思っています。
その人の楽曲の知事でですね、コナミのビートマニアックスというのがあって、
その中の曲の蠍火という、ピアノ協奏曲第1番蠍火という音ゲーなんですけれど、それをピアノアレンジしたものを彼はYouTubeであげていて、
それをコナミさんと交渉して許諾を得て、アレンジを本人監修のもとで楽譜化したものを出版していて、
これがとてもよく売り受け良くて、今現在第2版を刷ってもらっているところです。
その他にもいくつか挙げますと、福間洸太朗さんというピアニストの方がいまして、
わりと中堅どころでアラーフォーぐらいになるんですかね。
結構いろんなところでピアノコンチェルトを弾いたりだとか、ソロ公演とかでも結構人気のあるピアニストですね。
ピアノ専門家なんかでよく出ていたりとかする方です。
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その人の作曲作品というよりは編曲作品が多いんですよね。
編曲ってどういうことかと言いますと、例えば福間さんですとモルダウという、
皆さん多分聞いたことあるかなと音楽の授業で聞いたことのあるスメタナのモルダウという曲がありまして、
今年はアニバーサリーなんですけれども、そのモルダウというのはオーケストラ曲なんですけれども、
それはピアノ一台で弾けるようにアレンジしたものという、こういう編曲ものというのがわりと最近人気でして、
そういったものを楽を出して楽譜にして出版しているというのがうちの会社です。
もちろんそれ以外にもいろんな海外の作曲家の編曲であるとかオリジナル作品だとか出しておりまして、
海外の方でも意外と知られるようになっていて、今年に入ってからいろいろな影響からか円安とかもあるかもしれないですけれど、
だいたい注文の7割ぐらいが海外からになっているというちょっと面白い状況になっているんですね。
コロナ前も結構そういう状況があったんですけれども。
でですね、楽譜の出版と、普通出版社はいくつかありますけれど、大きく他の出版社と違う点って何かと言いますと、部数とページ数なんですよね。
楽譜というのはもう一言で言うと薄い本と言いますか、日本はわりと厚めのものを曲集として出すことが多いんですが、
海外ではすごくP数で出すことが多くて、16ページとか32ページとかそういうページ数で、それで3000円とか4000円とか普通に取ったりする楽譜が結構普通にあるんですね。
それは著作権が生きているからということもあったりとかして、どうしてもコスト高くなるというのと、
あと楽譜って、日本語の本だと漫画だろうが小説だろうが、とりあえず日本語が読める人なら誰でも手に取る可能性はあるわけですけれど、
ピアノの楽譜ですと、ピアノを弾けない人が手に取ることはあんまりないですよね。
ごくたまに曲を見ながら楽譜を少しは読める人が楽譜を見て楽しむ、音源を聴きながら楽譜を見て楽しむみたいな、そんな方法もあるみたいですけれども、
どちらかというと、人を選ぶそういう出版なので、どうしても部数は少なめになってきます。
これは海外のある有名な出版社の方から聞いた話なんですけれど、海外の超大手のドイツの会社で出している楽譜で、
ヒット作と言えるもので何部ぐらい出たらヒットかっていうのが聞いたらなんと500部ぐらいっていう話なんですね。
500部って言いますと、日本の出版界では専門書とかが約500部から出せるみたいな感じなんですね。
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印刷所とか出すと500部すらないと利益率が下がると言いますか、原価がすごい高くなってしまう。
だから500部からスタートみたいな、そういう感じの世界なんですね。
500部も売れればいいけれども、日本の場合ですと再販価格維持制度とかがある関係で、海外はもう500部とか刷ってしまったら、
とにかくどんどん売ってしまうということで、半額とかぐらいで一冊から業者にどんどん売ってしまうというのが普通に行われているんですね。
在庫を残していてもしょうがないので、どんどん在庫を売り払うために安値でどんどん売ってしまうというのがあるわけですが、
日本の場合は再販価格維持制度とか、もうちょっと専門的になりますけど、在庫調整環状だったかな、
そういう経理上の処理方法があったりするんですが、一冊一冊売っていくということが基本になってくるんですね。
流通先もだいぶ限られていて、大きな書店に行くと額を置いていることはあるとは思うんですけれど、よくよく見てみると皆さん気づくと思うんですが、
ある程度有名な作曲家、ショパンダとか米東弁とかバッハとか、そういう人の曲を集めた300ページとか200ページとか100ページぐらいかなでも、
そういうある程度厚い、束のある楽譜を売っていることがメインなんですけれど、
そういうピース譜というのはなかなか普通の一般書店では扱ってもらえない。
だいたい売り先が楽器店になるわけなんですね。
専門の取り付けがありまして、私どもは松沢書店という楽器店中心に卸している会社と契約をして楽器店に卸していたりします。
さらに楽譜の特徴として先ほど言いました通り、ページ数が少なくても高い値段が付けられるというのが多分専門書と大きく違うところですね。
文系、理系の方で教授の教科書を買わされた目なんていう体験のある人ならご存知と思いますけれども、
あの辺の本ですと結構分厚くて5000円とか6000円とかしたりするのが、例えばものにもよるんですけれども、
16ページぐらいでも2000円ぐらい値段をつけてもいいというか、それでも買う人がいるというのが楽譜の世界なんですね。
ページ数が少ないからといって中身が薄いわけじゃないと、そういうふうな値段の付け方なので、本当に言ってみると同人誌と同じ薄い本ですよね。
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そういう中で先ほども言いました通り500部売れたらヒットというふうになっていますが、なかなか500部達成するのは難しいんですよね。
そういう中で当社がどういうやり方でなるべくコストを減らしてやっているかというと、オンデマンド出版というのをやっているわけですね。
オンデマンドのやり方、各社いろいろやり方あるとは思うんですけれども、その辺りのこだわりを次回お話できたらなと思っています。
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