サマリー
市民科学研究室は、科学的な検証を通じて地域の課題を解決する独自の取り組みを行っています。特に、保育園でのWi-Fi測定プロジェクトや、生活者の視点を重視した科学教育に関する活動が特徴です。この研究室の活動は、技術に対する新しい視点を提供し、市民が科学技術に主体的に関与する重要性を強調しています。また、専門家とは異なるアプローチで問題を提起し、調査を行うことで、より民主的で持続可能な社会の実現を目指しています。
市民科学研究室のミッション
さて今回は、あなたが共有してくれた資料をもとに、NPO法人、市民科学研究室という、非常にユニークな団体の革新に迫っていきます。
ええ。いきなりですけど、一つ想像してみてほしいんです。
はい。
あなたのお子さんが通う保育園で、赤ちゃんの呼吸とかを見守る最新のWi-Fiシステムが導入されるとするじゃないですか。
最近よく聞きますね。便利で安心みたいな。
そうです。でも、その反面、ちょっとした疑問が頭をよぎる。この電磁波って本当に大丈夫なのかなって。
ああ、それは思いますね。多くの親が抱く、漠然とした不安ですよね。でも普通はそこで思考が止まっちゃうというか。
ええ。ネットで深くな情報を検索するくらいしかなかなかできない。
はい。
ですが、もしその不安を自分たちの手で科学的に検証できるとしたらどうでしょう。
ほう。
まさにそれを実行したのがこの市民科学研究室なんです。
そしてその行動一つに彼らのすべてが物語られていると言ってもいいかもしれません。
なるほど。つまり今日の私たちのミッションは、その具体的なアクションから彼らの哲学を解き明かして、あなたが市民科学という世界の鑑賞をつかめるようにするということですね。
保育園のWi-Fi測定プロジェクト
そういうことになります。
資料には公式サイトの情報とか活動ログ、プロジェクトの概要なんかが含まれています。
ではまずその象徴的な事例、保育園のWi-Fi測定プロジェクトからもう少し詳しく見ていきましょうか。
はい。資料によるとですね、彼らは実際に保育園に出向いて専用の測定機で電磁波の強さをちゃんと計測しているんです。
おお。行動が早い。
調査報告をまとめている。このICT見守りシステムっていう便利なテクノロジーをただ受け入れるのでもなく、かといって頭ごなしに否定するのでもなく、まさに生活者の視点から問い直したわけです。
一番気になるのはその結果なんですけど、測定してみて実際どうだったんでしょう。
ここがですね、非常に興味深いポイントで、測定された電磁波のレベル自体は、国の安全基準を大幅に下回っていたんです。
あ、そうなんですね。じゃあ問題なかったと。
いやでも、彼らの目的は単に安全か危険かの白黒をつけることじゃなかった。
と言いますと?
彼らはその客観的なデータをいわば対話のカードとして使ったんです。
対話のカード?
調査報告をもとに、保護者とか保育園、さらにはシステムのメーカーを交えた対話の場を設けたそうなんです。
そこで、私たちはこういう具体的な情報を求めているんです、と市民側からちゃんと声を上げた。
なるほど。
結果として、テクノロジーの透明性を高める一つのきっかけを作ったわけです。
これこそが彼らが目指している建設的な科学との関わり方なんですね。
ああ、そういうことか。不安をまず科学的な問いに変えて、その答えを社会的な対話につなげたと。
これは素晴らしい実践例ですね。
多様な活動と地域への取り組み
この一つのエピソードに彼らの哲学がぎゅっと凝縮されている気がします。
その哲学の核になる言葉が資料全体を貫いているリビングサイエンスというキーワードですよね。
まさに直訳すれば、暮らしの中の科学、科学技術を専門家の聖域みたいなところから、私たちの台所とかリビング、あるいはさっきの保育園のような生活の現場に引き寄せるという思想なんです。
なるほど。
彼らのビジョンは、市民一人一人が科学技術と社会の関係性を自分の暮らしの視点から問い直し、自らの力でより良い社会を作ること。
先ほどのWi-Fiの話はまさにこのビジョンを体現してますよね。
資料の中でミッションとして、生活者の視点に立った科学地の編集と実践的活用という言葉が掲げられているんですけど、この編集という言葉の使い方がすごく面白いなと感じました。
これは非常に重要なポイントだと思います。
普通、私たちは専門家が生み出した知識を受け取るだけじゃないですか。
はい、そうですね。受動的というか。
でも、彼らはそれを鵜呑みにしない。自分たちの生活に必要な形に選び取って組み立て直すという意味をこの編集という言葉に込めているんです。
自分たちの暮らしの文脈に合わせて、科学の知識を主体的に再構成していくと、その肥成がここに明確に現れてますね。
受け身の消費者じゃなくて、知識の能動的な編集者になるということか。
その哲学を実践するために彼らは具体的にどんな場を用意しているんでしょう。
資料を見ると活動の幅が本当に広いですよね。
そうなんです。その多様性こそが彼らの強みと言えるかもしれません。
例えば、基本となるのが市民科学講座ですね。
はいはい。
外部の研究者を招いて最先端の話を聞くこともあれば、ある特定のテーマについて市民同士がフラットに語り合う場もあると。
で、もっとテーマを絞った研究会も活発ですよね。
熱と暮らしとか、生命操作、食の総合科学とか。
タイトルからしても生活に根差しているのがわかります。
専門分野で細かく分けるんじゃなくて、生活のシーンで切り取っているのがすごくユニークだなと。
その視点は面白いですね。
科学を学問の体系で捉えるんじゃなくて、あくまで生活者の実感から出発している。
だからこそ、どんな人でも自分の関心に近い入り口を見つけやすいんだと思います。
コタリホリにこれはと思ったのが、TV科学番組を語り合う会です。
あ、ありましたね。
毎月第2、第4、水曜の夜にオンラインでやっているそうなんですけど、これすごくないですか。
最新のドキュメンタリー番組とかを見て、あの解説ちょっとわかりにくくなかったとか、そもそもあれってどういうことなんだろうみたいな素朴な疑問を気軽にぶつけ合えるわってことですよね。
ええ。で、それは単に楽しいからやってるっていうだけでもないと思うんです。
ほう。
科学コミュニケーションにおいて、専門家からの一方通行の解説がいかに受けてとずれるかっていうそういう問題意識が根底にあるんだと。
この会は一般の市民がどこでつまづいて、何に疑問を持つかをある意味可視化する社会実験の場でもあるわけです。
なるほど。参加者にとっては楽しい学びの場でありつつ、運営側にとっては市民の科学リテラシーの実態を知るための貴重なデータ収集の場にもなっている。
いや、よく考えられてますね。
ええ。そして、こうした多様な入り口を用意することが、彼らが掲げている自分の調べる力を高めましょうっていうメッセージに直接つながってくるんです。
ああ、なるほど。
スキルとか知識を一方的に与えるんじゃなくて、参加するうちに自然と、これってどうなんだろうって自分で調べたり考えたりする力が身についていく。
そのための土壌づくりをいろんな活動を通じてやっていると言えますね。
テレビ番組の感想会みたいなすごく気軽な入り口がある一方で、もっと深く社会に働きたけるような踏み込んだ活動もされてますよね。
資料から特に面白そうなプロジェクトを3つピックアップしてみたんですが。
ぜひ聞かせてください。
まず一つ目が、2023年から始まった市民科学者育成塾。これは座学で学ぶだけじゃなくて、実際に問題が起こっている現場を訪れるスタビーツアー形式だっていうのがすごく特徴的で。
現場に行くというのはもう決定的に重要ですね。
やっぱりそうですか。
当事者の声を聞いたり、その場の空気に触れることで問題に対する解像度が格段に上がりますから、データだけでは見えない複雑な文脈を理解できます。
机上の空論で終わらせないっていう強い意思を感じますよね。
で、二つ目が図書館プロジェクト。
図書館プロジェクト。
はい。市民科学に関する国内外の資料を集めて、地域の施設図書館と連携して公開するっていう取り組みです。
自分たちの活動の記録とか成果をちゃんとアーカイブして、誰でもアクセスできる地の拠点を地域に作ろうとしている。
これは知識をいわば共有財産にしようという思想ですよね。
特定のグループだけで情報を独占するんじゃなくて、広く社会に還元していくっていう非常にオープンな姿勢だと思います。
そして三つ目がビプロス。
これは難解になりがちな生命科学の知見を、映像というメディアを通じてわかりやすく社会に届けようという映像制作支援プロジェクトです。
映像ですか。
クラウドファンディングも活用していて、制作プロセスそのものに市民を巻き込んでいる点も面白いなと。
なるほど。一見すると育成塾、図書館、映像制作とバラバラに見えるこの3つのプロジェクトですけど、実はこれ見事な連携プレイになっているんですよ。
連携プレイですか。どういうことですか。
これはですね、市民が力をつけるためのインプット、整理、アウトプットという、いわば黄金サイクルを意図的に作っているんです。
インプット、整理、アウトプット。
はい。育成塾で現場の一時情報を肌で感じてインプットして、図書館プロジェクトでその知識を整理体系化して、そしてVプロスを通じて映像という形で社会にアウトプットする。
この一連の流れを市民自身がコントロールすることに、彼らの活動の本当の革新性があるんだと思います。
うわー、それは面白い視点ですね。単発の活動の寄せ集めじゃなくて、市民が主体的に学んで考えて発信していくための一貫したシステムとして設計されていると、これは資料を読んだだけでは気づきませんでした。
そういう構造が見えてくると、彼らの活動の奥深さがより理解できるかなと思います。
あなたは特に地域コミュニティとかITの利活用に関心があるとのことなので、次の部分は特に興味深いかもしれません。
彼らがどうやって地域とかテクノロジーと向き合っているかという点です。
ぜひ詳しく聞きたいです。
まず地域との関わりですが、拠点を置く東京都文京区で文京を街歩きという企画を定期的に実施しているんですね。
街歩きですか?
はい。でもこれ単なる史跡巡りとかじゃなくて、例えば普段何気なく通り過ぎる坂道の傾斜角度とか、建物の素材、街路地の分布なんかを科学の視点で観察しながら歩くっていうものだそうです。
えー面白いですね。日常の風景が何か科学的な問いの宝庫に見えてくるみたいな。
そうなんです。自分の住む街への解像度が上がって、愛着も深まりそうですよね。
市民科学の原則
さらに新宿NPO共同推進センターみたいな地域のハブとも連携して他のNPO向けに公演したりとか、自分たちの活動を閉じずに積極的に地域のネットワークに溶け込もうっていう姿勢が見られます。
なるほど。ではITテクノロジーとの関わり方はどうでしょう?
さっきのWi-Fiの例から推測すると、ITコミュニティと何かを共同開発するっていうよりは、生活に入り込んできた技術を吟味するっていうスタンスなんでしょうか?
まさにその通りです。彼らのスタンスは技術を、まあ、量産するのでも敵視するのでもなく、吟味し、対話し、使いこなすというものです。
吟味し、対話し、使いこなす。
Wi-Fiの例はまさにその象徴でした。
専門家とか開発者が安全性は確認済みですって言って、まあ、終わりにしてしまいがちなトピックに対して、保護者とか保育士といった生活者が抱く素朴な不安とか疑問を科学的な調査の出発点にしているわけです。
その問いの立て方自体がもう市民科学の真髄なのかもしれないですね。
専門家が見過ごしがちな、あるいは意図的に触れない生活者の実感を、ちゃんと科学のテーブルに載せる力を持っていると。
さて、これだけユニークで多岐にわたる活動を、一体どんな人たちが運営しているのか、組織の体制にも少し触れておきましょうか。
この団体を率いているのが創設者である上田政姫さん。大学で生物学を専攻されて、1992年から科学と社会を考える土曜講座という、まあ、前進となる活動を始められた、この分野のパイオニア的な存在の方です。
30年以上にわたってこのテーマを追求し続けているわけですね。その継続性自体が活動の信頼性を物語ってますよね。
本当にそう思います。そして、組織の運営の仕方も非常にユニークなんです。毎週金曜の夜にスタッフ会議が開かれているんですが、驚くことに、ここには理事とか先住スタッフだけじゃなくて、運営に関心のある会員なら誰でも参加できるそうなんです。
それはすごいですね。つまり、意思決定のプロセスそのものを市民に開いていると。
そういうことになります。
それは魅力的ですけど、同時にかなり大きな挑戦でもありますよね。
挑戦ですか?
市民がしたいっていうのは簡単ですけど、専門家との知識の非対称性とか、多様な意見をどうまとめていくかとか、参加者のモチベーションをどう維持するか、といった運営上の現実的な課題が常につきまといますから。
確かに。
その課題にあえて向き合って会議をオープンにしている。これは市民がしたいという理念をただの思い文句で終わらせないっていう強い覚悟の現れでしょうね。
イベントと市民の関与
なるほど。
組織の透明性を担保して参会式を高める非常に優れた仕組みだと思います。
理念を行動で、そして組織の形そのもので示しているわけですね。
さて、ここで一つタイムリーな情報があります。この収録は2025年の11月18日に行っていますが、まさに来週イベントが予定されているんです。
ほう、どんなイベントでしょう?
11月25日の火曜日午前10時から、生命操作研究会のオンライン講座が開催されるとのことです。
公式サイトから申し込めができるようなので、もしあなたが彼らの活動の雰囲気を直接感じてみたいと思ったら、これは絶好の機会かもしれないですね。
オンラインなら気軽に参加できますしね。実際にどんな人たちがどんなトーンで議論を交わしているのかを体験するのは、活動を理解する上で一番の近道かもしれない。
ええ。さてここまで、市民科学研究室についてその革新に迫ってきました。
科学技術を専門家任せにせず、市民の手に取り戻して、自分たちの暮らしをより良くするための道具として使いこなそうとする、非常にアクティブでかつ資料深い集団だということが見えてきましたね。
ええ。単に知識を得て満足するんじゃなくて、それを使って問いを立て、調査し、対話し、行動を起こす、その一連のプロセスを重視している点が単なる勉強会との決定的な違いかなと思います。
ではこの話から、私たちは何を受け取ることができるでしょうか。
彼らが社会に伝えたいメッセージ、資料にもあった、科学技術は万人のものであり、市民自らが問い、調べ、考え、発信することが大切という、この言葉にすべてが集約されていると思います。
科学的な思考とか探究っていうのは、白いを着た研究者だけの特権じゃない、日々の生活の中にあるなぜっていう小さな好奇心からすべては始まるんだと、それを仲間と共有してちょっと調べてみる。その一歩一歩が結果として、より民主的で持続可能な社会をつくる、まあ原動力になるということではないでしょうか。
ありがとうございます。最後にあなたに一つ思考の種を投げかけて、この話を終わりにしたいと思います。
あなたの身の回りで毎日当たり前のように使っているけれど、その仕組みとか社会への影響について、実はよく知らないブラックボックスのようなテクノロジーってありませんか。
それはスマートフォンかもしれませんし、電子レンジ、あるいは普段使っているSNSのアルゴリズムかもしれない。もし、市民科学研究室のメンバーのようにそれに対して最初の問いを立ててみるとしたら、あなたなら何について何から調べ始めますか。
16:30
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