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ノオト・ブク子
今回はですね、千葉県市原市で、ちょっとユニークな地域活性化に取り組んでいる団体、のろしについて、代表の峯川大さんのインタビュー記録がありまして、これをもとに、あの深く掘り下げていきたいなと思っています。
地域とのね、新しい関わり方を探しているあなた、かなりこう刺激的な話が聞けるんじゃないかなと思います。
何が面白いかというと、こののろしさん、メンバーの多くがですね、市原市には住んでいない、いわゆるよそ者の方々なんです。
東京とか神奈川から週末に通ってくる社会人とか学生さんが中心になっていると。
縁もゆかりもない、そう見える土地で、なぜ彼らが活動するのか。
それから彼らが大事にしている副業、副業ですね。この考え方、これが一体何なのか、ちょっとこのあたりをじっくり見ていきましょうか。
ノオト・ブク太郎
そうですね。
ノオト・ブク子
まず、具体的にどんな活動をされているのかですね。メンバーは30人から40人くらいと。
ノオト・ブク太郎
はい。あの、例えばですね、地元を走っているローカル線小見舘鉄道っていうのがあるんですけど。
ノオト・ブク子
あーありますね。
ノオト・ブク太郎
そのトロッコ列車をですね、貸し切って20歳の若者たちをお祝いする市原20トロッコっていうイベント、これ毎年春にやってるみたいですね。
ノオト・ブク子
へー、それは面白い。地域ならではの温かみがありますね。
ノオト・ブク太郎
地域資源をうまく活用してますよね。あとは市原市役所からの委託事業で。
ノオト・ブク子
委託で。
ノオト・ブク太郎
はい。駅前の商業施設の中に理想の自習室っていうスペースを。
これ毎週火曜日と金曜日の夕方かな。中高生とか大学生が無料で使える学習とか交流の拠点。若者の居場所づくりみたいな。
ノオト・ブク子
なるほど。外部の若者が地元の若い子たちのための場所を作ってる、運営しているっていう。
ノオト・ブク太郎
そうなんです。
ノオト・ブク子
なかなか面白い構図ですね。でもあの、そもそもなんで市原市だったんですかね。代表の峯川さん、ご自身も元々縁がなかったって話ですけど。
ノオト・ブク太郎
そこがこの団体の成り立ちの興味深いところなんですよ。峯川さんが大学生だったもう10年以上前ですかね。参加してたNPO法人、非営利の団体ですね。共存の森ネットワークっていうところの活動拠点が本当にたまたま市原市にあったそうなんです。
ノオト・ブク子
へー、偶然の出会い。
ノオト・ブク太郎
そうなんです。それが全ての始まりで。で、転機が来るわけです。そのNPOが、市原市での活動を終えることになった。
あー、なるほど。
でも峯川さんは、その時にこう、築き上げてきた地域の人たちとの関係性を、「いや、ここで終わらせちゃダメだろう。」と、そう強く感じて、ご自身で新たにのろしを立ち上げようと決意したそうなんですね。
ノオト・ブク子
なるほど。じゃあ、引き継いだのは、その事業内容とか場所とかじゃなくて、人との繋がりそのものだったんですね。
ノオト・ブク太郎
まさにそこなんです。活動内容はNPOの時とは変えながらも、当時の繋がりを土台にして、さらに新しい人たちとの関係を広げながら、今ののろしがあると。まさに継承と発展ですよね。
ノオト・ブク子
うーん、その繋がりを受け継いで、今活動しているメンバーっていうのは、どういう方々なんでしょう?その当初のNPOからの繋がりは、今あるんですか?
ノオト・ブク太郎
それがですね、現在の中心メンバーは、20代とか30代の社会人が多いみたいですね。で、最近は高校生とか大学生も増えていると。年齢層としては、まあ40代以下。
ノオト・ブク子
はい。
ノオト・ブク太郎
で、面白いのが、その初期のNPO時代からの繋がりで、参加している人ってほとんどいないそうなんですよ。
ノオト・ブク子
え、そうなんですか?じゃあどうやって集まっているんですか、皆さん。
ノオト・ブク太郎
それが主にボランティア募集サイトのアクティブ。
ノオト・ブク子
ああ、アクティブ。
ノオト・ブク太郎
ええ、アクティブを通じてだそうです。だから誰かの紹介とかじゃなくて、ネットで見つけて、あ、これ面白そうだなと思って参加してくる人がもう大半だと。
ノオト・ブク太郎
へー。
で、特に何か専門スキルがないとダメとか、そういうのも問わない。だからこそ、本当に多様なバックグラウンドを持ったよそ者が集まってきているという状況なんですね。
ノオト・ブク子
アクティブ経由がメインって、なんか今っぽいですね。
そうですね。
そうなると、地域との関わり方っていうのも、そのNPO時代とはまた違う広がり方をしているんでしょうかね。
ノオト・ブク太郎
まさにおっしゃる通りで、初期のつながりだけじゃなくて、今はもっと多様な地域住民の方々と連携してますね。
メンバーが30、40人いるわけですけど、彼らがいくつかのプロジェクトチームに分かれてるんですね。
はい、はい。
で、チームごとに連携する地域の方々も違う。
例えば、高齢者の方々と何かやるチームとか、あるいは地元の30代、40代くらいの若手のまちづくりグループと一緒に何か企画するチームとか。
ノオト・ブク子
なるほど。
ノオト・ブク太郎
そういう感じで、関わる相手が固定されずに、活動を通じてどんどん広がっていく。
このダイナミックな感じが、のろしさんの特徴かもしれないですね。
ノオト・ブク子
活動が固まらずに、なんか有機的に広がっていく、そんな感じですね。
さて、冒頭でちょっと触れた副業っていうキーワード。
これがのろしを理解する上で、鍵なのかなと感じるんですが、詳しく教えていただけますか?
ノオト・ブク太郎
ここは非常に大事なポイントだと思います。
のろしさんが掲げてる副業っていうのは、よくあるお金を稼ぐためのサイドビジネスとはちょっと違うんですね。
彼らは幸福の副業、幸せになるための副業と書くそうです。
ノオト・ブク子
幸福の副業。
ノオト・ブク太郎
そのコンセプトは、メンバー個人のこれやってみたいなとか、こういうことに関心があるっていう思いと、地域の実はこういうことに困ってるんだよねとか、こういうのがあったら嬉しいなっていうそのニーズ。
これをうまくマッチングさせて、そこから具体的な活動を生み出していくっていう考え方なんです。
ノオト・ブク子
なるほど。普通、地域活動っていうと、地域のためにみたいな貢献意識が先に立ちそうな気もしますけど。
ノオト・ブク太郎
もちろん、結果として地域のためになる活動なんですけど、彼らが一番大事にしているのは、あくまで活動を通して自分自身のライフスタイルとか暮らしをより豊かにしていくことなんだそうです。
ノオト・ブク子
へー。
ノオト・ブク太郎
だから、地域貢献が第一目的ではないっていう、そこがユニークですよね。自分の好きとか関心が出発点になってる。
ノオト・ブク子
自分の人生を豊かにするための活動が、巡り巡って地域のためにもなっている。これは参加する側からすると、すごく自然だし続けやすい動機づけになりそうですよね。
ノオト・ブク太郎
まさにそうだと思います。その考え方がメンバーにすごく浸透してるんだなっていうのがわかるエピソードがあって、コロナ禍で数ヶ月間活動が完全に止まっちゃった時期があったそうなんですね。
ノオト・ブク子
はい、ありましたね。多くの活動が止まりました。
ノオト・ブク太郎
その後、活動が再開されて、久しぶりにメンバーが集まった時に、ある女性のメンバーの方がこんなことを言ったそうなんです。
いやー、この数ヶ月活動がなくて本当に寂しかったと。市原に来られないって思うとなんか心細くて、この活動が自分にとってどれだけ大事なものか改めてわかりましたって。
ノオト・ブク子
わー、それはなんかグッときますね。
ノオト・ブク太郎
ですよね。美音川さんはこの言葉を聞いた時に、
ああ、のろしの活動っていうのは単なる週末のイベント参加っていうだけじゃなくて、メンバー一人一人の生活の一部というか心の懲りどころとしてちゃんと根付いてるんだなと。
そう感じて非常に嬉しかったと語ってましたね。これこそ彼らが目指していた幸福の復業が形になった瞬間だったのかもしれないですね。
ノオト・ブク子
活動が自分の人生の一部になる。そうなるともうボランティアっていう言葉だけじゃちょっと捉えきれない深さがありますね。
ノオト・ブク子
ただ、メンバーの方々は東京とか神奈川とか、普段は離れた場所で生活されてるわけですよね。この距離感ってどうやって乗り越えてるんでしょう。連携とか活動のバランスとか、日常的なコミュニケーションはどうしてるのかなと。
ノオト・ブク太郎
やはり日常的に頻繁に顔を合わせるっていうのは難しいわけですね。ですからコミュニケーションの基盤はやっぱりオンラインです。
メンバー募集の入り口になったアクティブもそうですし、あとは連絡調整にはスラックとかLINEの公式アカウント、会議なんかはZoomとか、そういうのを活用してるそうです。
ノオト・ブク子
今時の働き方関わり方って感じですね。
ノオト・ブク太郎
週末に実際に市原市に集まるわけですけど、面白いのはそこで地域住民の方々との交流が生まれるじゃないですか。
それがメンバー同士の絆を深める、なんか媒介みたいな役割も果たしてるっていうふうにおっしゃってましたね。
オンラインだけじゃ得られない一体感みたいなものがやっぱり現地での活動を通じて生まれてくると。
ノオト・ブク子
なるほど。地域の人とのリアルな繋がりが結果的にメンバー間の繋がりも強くするっていう。運営面で何か気をつけてることとかはありますか?
ノオト・ブク太郎
メンバーそれぞれの本業とか家庭生活に支障が出ないようにっていうのはすごく意識されてるみたいですね。
だから活動は基本的には週末だけで完結できるようにデザインされている。
もちろん本人がもっとやりたいって希望して都合がつけば、例えば平日に市役所との打ち合わせに一緒に行くとか、そういうより深い関わり方もできるんですけど、
それはあくまで任意、強制は絶対にしない。個々のライフスタイルを尊重するっていう姿勢がかなり徹底されてるなと感じました。
ノオト・ブク子
その無理なく関われるっていう設計思想みたいなものが幸福の副業の根っこにあるわけですね。
そうですね。
でもまあ理想通りにいかない部分、つまり課題みたいなものもあるんじゃないでしょうか。
もちろんです。
ノオト・ブク太郎
峰川さんのお話からも、やっぱりいくつかの運営上の難しさっていうのは見えてきました。
大きく分けると2つあるかなと思います。
どう言いますと?
一つはですね、メンバー募集の段階でのミスマッチですね。
さっきアクティボ経由での参加が多いって話しましたけど、アクティボって手軽に応募できる反面、結構単発のボランティアを希望する人も多いそうなんです。
ああ、なるほど。
でも、のろしさんの活動の中には、例えば行政とか地元の企業さんと一緒に進めるようなある程度の継続性とか、ちょっと責任感みたいなものが求められる、少しハードルが高いものもあると。
ノオト・ブク子
はいはい。軽い気持ちで参加してみたら、あれ思ったより結構本格的だな、みたいなギャップが生まれる可能性があるわけですね。
ノオト・ブク太郎
そうなんです。団体の求めるコミットメントと応募してくる方の期待値との間に、ちょっとズレが生じやすい。
これはアクティボっていう入り口を使ってる以上、まあ避けにくい部分でもあるのかもしれないですね。
なので、もっと団体の意図が伝わるような募集の仕方とか、参加する前の丁寧な説明とか、そういう工夫が今後もっと必要になってくるだろうなとは感じているようです。
ノオト・ブク子
入り口での期待値の調整大事ですよね。もう一つの課題は何でしょうか。
ノオト・ブク太郎
二つ目は、これは多くの団体が抱える問題かもしれませんが、メンバー間の活動への関与度のギャップですね。
当然ですけど、メンバーそれぞれ活動に分ける時間とか、まあ熱意にもばらつきがありますよね。
ノオト・ブク子
まあ仕事が忙しい時期とか、家庭の事情とか、人それぞれありますからね。
ノオト・ブク太郎
それがチームの中でプロジェクトの進行にちょっと遅れが出ちゃったりとか、メンバー間の温度差を生んだりする原因になることもあると。
例えばすごくやる気はあるんだけど、どうしても仕事が忙しくて会議に出られない人がいると、その人のタスクが止まっちゃったり、他のメンバーがカバーしなきゃいけなくなったり。
ノオト・ブク子
うーん、それは悩ましい問題ですね。特に本人のやる気がないわけじゃないっていう場合が多いとなると。
ノオト・ブク太郎
そこが非常に難しい点だと峰川さんもおっしゃってました。参加できない理由が本人の意欲が低いとかじゃなくて、コントロールできない外部の要因、つまり仕事とか家庭の事情であることがほとんどだと。
だから単純にもっと頑張ってくださいとは言えないし、責めるわけにもいかない。この避けられないギャップとどう向き合ってチームとして活動を進めていくのか。すごくデリケートな調整が求められる部分ですよね。
ノオト・ブク子
意欲と現実とのギャップ、これは根が深い問題かもしれませんね。こうした課題に対して、のろしとしては何か具体的な手を打ったりしてるんでしょうか。
ノオト・ブク太郎
はい。まさに今試行錯誤しながら対策を進めているというところでした。特にここ数ヶ月で本格的に導入したのがチームの再編成。まあ言ってみれば関わり方のコース選択制みたいなものです。
ノオト・ブク子
コース選択制?
ノオト・ブク太郎
入会する時とか活動の節目みたいなタイミングでメンバーが自分が参加できる時間とか活動にどれくらい深く関わりたいかっていう意向に応じて、2つの主要なコースから所属を選べるようにしたそうなんです。
一つが副業ラボ。これは自分でプロジェクトを企画して主体的にどんどん実行していきたいっていう熱意のある人向けのコースですね。