松浦シゲキの、それでもメディアは面白い。
この番組、それでもメディアは面白いは、メディアコンサルタントで コミュニケーションプランナーの松浦シゲキが
ありとあらゆるメディアのうつわを こねくりまぜながら語り尽くします。
さて、今回のテーマは。
皆さん、こんにちは。松浦シゲキでございます。
今日は、チャットというインターフェースの話を しようかなと思うんですが、
何かというと、6月の頭ぐらいから今日にかけまして、
いろいろと、いつものことではあるんですけど、 あれこれニュースが出てきておりますというところなので、
そこからちょっと入らせてもらおうかなというふうに思います。
きっかけは、Financial Timesが報じた記事でして、 その中でOpenAIのある幹部職員が
チャットはもう終わったと言ったとされておりますと。
テック系メディアが、2026年6月7日付けで この話を拾っていて、
テッククランチとかギズモードあたりとかのきなみに 追っかけて報じておりますと、
ブルームバーグとか日本のメディアも翻訳記事を 出しているので、ご覧になった方も多いかと思います。
OpenAIは、今のChatGPTをエージェント、 つまり代わりに動いてくれるAIを中心にした
スーパーアプリに作り替えようとしております。
キャンバーとか、そういう外部のパートナーアプリと 組み合わさって、旅行を予約したりとか、カレンダー管理したりとか、
コードを書いて動かしたりとか、ということが 一個のアプリの中で完結すると。
そういうコアプロダクトを率いている人が、 あなたのパーソナルエージェントが仕事でもプライベートでも
人生のあらゆる場面で助けてくれる プロダクトに向かっていると語っています。
これがChatGPTが、2022年11月に世に出て以来、 最大のアップデートみたいな形になると書かれているんですね。
ここで、Chat is Deadという言葉が 一人歩きしているんですけど、
私はこの一言、すごく重く受け止めておりまして、 というものの、ChatというUI、インターフェースは、
ChatGPTが世に出た2022年11月末から、 この3年半、AIと付き合うための新しいインターフェースとして、
新しいっていうのかな?チャット自体、ああいう形式で 入れていくのは別にどこでもあった話なんですけど、
定着しましたと。会話形式で問い投げると、 流れるように答えが返ってくる。
誰もが使い方が分かるインターフェースとして、 それをベースに、言ってた本人が社内でもこの形は終わったと言っているらしいと。
自分が作り上げた仕組みを終わらせるのは、 いつもそれを作った当事者であるという、
これはこの番組のテーマでもあります、 メディアの器をこねくりますという観点からも、
めちゃくちゃ興味深い話かなというふうに思います。 例えば、新聞というメディアを揺さぶったのは、
新聞社ではなくて検索エンジンですし、 テレビというメディアを揺さぶったのは放送局ではなくて、
ストリーミングサービスみたいな感じですからね。 今回は、AIというサービスのアリを揺さぼろうとしているのが、
AI、そもそもチャットUIを作り上げた当事者である、 オープンAI自身だというところが非常に面白いかなというふうに思います。
これが一つ目の話。二つ目の話。 ほとんど同じタイミングでもう1個見逃さないニーズが出ております。
ITメディアとかアスキーとか宣伝会議さんとか、 みんな6月10日に報じているんですけど、
オープンAIがチャットGPTのプライバシーポリシーを改定しまして、 6月22日から無料プランと月額1ドル程度の低価格5プランに対して、
広告を表示するようになると。 プラスとかプロとかいった上位の有料プランは対象外ですと。
広告はスポンサー付きと明示されて、 回答の途中に割り込むのではなくて、
末尾にスポンサーワークとして出てくると。 ユーザーとの会話内容そのものは広告主に渡らなくて、
合計表示回数とかクリック数とか、 そういう全体集計データが提供されると。
これが日本のチャットGPTユーザーも対象で、 6月22日以降に表示が始まります。
約1週間後に始まりますね、これを喋っている。 発火点としては本当に大きな話だと思ってまして、
チャットGPTこれまで広告無しで体験第一という設計思想で やってたと思うんですよ。
だから高速検索エンジンとは違う場所として、 サーチコミュニケーションの場所として信頼を獲得してきまして、
検索のように上の方にスポンサー枠があって、 その下にようやくオーガニックな検索が並ぶ、
みたいな構造に対するアンチテーゼとして 機能してたわけなんですけど、
その機能していた中立的な対話の場所に スポンサー枠を載りますと。
これ何が起きているかというと、 サービス自身がいよいよ広告メディアとして、
つまり広告で稼ぐ媒体として 立ち上がろうとしているということですと。
番組でずっと言っているパブリッシャーとか アグリゲーターという分類でいうと、
これまでAIサービスはどちらでもなかった というところはあるんですけど、
いよいよ伝え手としてビジネスの存在感を 出していくみたいな話ですね。
広告を載せ始めたらもう完全に 伝え手の側に立つわけですよ。
YahooとかGoogleの広告ビジネスと 同じ土俵に上がろうとしておりますと。
しかも無料ユーザーにだけは広告が出るというのは、 テレビと有料配信の構造と全く同じで、
ある意味、通常派テレビは無料で その代わり広告を見る。
ネットフリックスのほうですよね。 お金払えば広告無し。
お金払っても広告がリプレイあるんですけど、 チャットGPTもこの構造に入ってきたと。
つまりチャットというインターフェースを 終わらせると言いながら、
同時にその同じ場所に広告という マネタ映像を載せてくると。
終わらせるけど捨てない。 終わらせると言いつつ、
最後まで絞り取るところまで 絞り取るという話ですかね。
ビジネスで言うんだったらね。 と思うんです。
別にこれ自体はそんなに新しい話じゃなくて、 最初無料モデルでバンバンバンバン。
ある意味、私が言うブランドコミュニケーションの ブランドをしっかり確立した上で、
その上でお金を取っていきましょうって話ですから。
もう何も間違いじゃないし、何も新しくないし、 そうですねって話だと思います。
そんな感じで6本のニュースを並べてみましたが、その並べてみた中の話で言うと、見待ち度ちょっと繰り返しますけど、
Chat is DeadというオープンAI内部の宣言、6月22日間のオープンAIの広告の解禁、企業向けAPIの価格競争、
AppleのGemini採用、アメリカ政府によるアンソロピックへの介入、オープンAIによる中国初世論調査の、世論工作の処分みたいな感じで、
これ、単発のニュース6つとして読むとそれぞれ別の話に見えるんですけど、でも私的にはこれがAIメディアエゴシステムの転換点として一つの絵にも見えるかなというふうに思います。
3つに整理してみたいと思います。
1つ目は、AIサービスの形が会話インターフェースからエージェントプラス外部統合へとガラッと変わろうとしているという感じですかね。
チャットはあくまで入り口で残ると思います。
残ると思うんですけど、その奥でツールが動いて外部サービスと連携してユーザーの代わりに完了させると。
サービスの中心が対話から実行へとシフトするという感じですね。
単純にお悩み相談をするソフトウェアではなくなるんですよね。
お悩み相談するだけでなくて、あれこれをやってくれるソフトウェアになるということです。
2つ目、AIサービス自体がとは言いながらいよいよそのやり取りのところが広告メディアとして立ち上がり始めたということ。
広告を載せるということは無料ユーザーが商品であるという感じですね。
これはテレビやラジオウェブメディアが歩んできたのと全く同じ道で、AIサービスもそこに入ってきたと。
これを成熟と読むか劣化というのかは立場によって違うかなというふうには思います。
ただね、そのAIに広告が載るというのは、AIの体験が中立ではなくなるということでもあるかなと思います。
スポンサーワークと明示されていても、ユーザーは無意識のうちに広告主の存在を踏まえて回答を受け取るような形にはなるかなというふうに思うんですよね。
ここでやっぱりある程度差が出てくる。お金を払うか払わないのか、単なるお悩み相談としてAIを使うのか、それ以上で使うのかというのが1番目の話、2番目の話であると思います。
3番目、AIデュエサービスはもはや一社独占ってもともとそうじゃないですけど、本当にアップルがジェミンに採用しユーザーが複数選べるようになります。
企業はアンソニックとオープンAIの間で価格と性能を転移にかけるようになりますし、アメリカ政府がモデルそのものに介入して中国はAIで工作とかするわけですよ。
AIはもはやテック企業のプロダクトではなくて、国家と社会全体に関わる公共インフラのような何かに変わりつつあります。
変わりつつあるんだけど、私企業でございますというところがありますね。
その時ですよ、戻ってくるんですけど、メディアの作り手。それでもメディアは面白いので、メディアとして何を考えるべきか。
自分が思うのはこういうことかなというふうに思います。
AIサービスの中心が対話から実行に変わります。やってくれに変わります。
メディアの作り手が向き合うべきは、もうコンテンツ単体ではないんですよね。
そのコンテンツがそのエージェントの行動、AIの行動にどう組み込まれるかになると思うんですよ。
例えば、旅行記事を書いている人がいるとして、今まではPB狙いで書いていたかもしれません。
でもこれからはユーザーのエージェントが松浦さんのおすすめのレストランを予約して、
朗読的にその記事が呼び出される対象になっているかどうかなんですよね。参照にされるかどうかが問われる。
記事は読まれるためのものからエージェントに呼び出されるものに変わっていくと思います。
それでいうと。
次に、AIに広告が載るんだったら、AIの回答そのものが広告の文脈に染まっていくこともあるかなと思います。
これは既存メディアにとっては広告付きのAIの回答という、広告付き既存メディアの記事がいよいよ同じ土俵に並ぶということでもあるかなと思うんですよね。
であれば、メディアの作り手が出せる差別化は何かというと、広告に染まらないとまでは言わないまでも、
本当に広告の出し方に思想があるということは改めてそういう価値が戻ってくるかなというふうに思います。
単純にバナーをボンボン出しまくっている広告メディアというところに対して、
AIのエージェントの面でも広告が出てくるという形になるんだったら、そもそもそっちの方が使い勝手がいいのに、
ベタベタ張っている広告の面ばっかりあるウェブサイトに果たして人が来るのか。来ないよね。
で、AIが一緒のものではなくなってきて、複数のAIプラスエージェントが乱立するという話でいうんだったら、
やっぱりメディアとかクリエイターが選べるべき相手というのはどのプラットフォームに乗るか。
Googleに乗るか、YouTubeに乗るか、Xに乗るかじゃなくて、どのエージェントで発見してもらえるかになるかなというふうに思います。
これは検索エンジンに最適化みたいな感じで、AIに最適化みたいな言葉があるんですけど、
もっとある意味示されるような形になるんでしょうね。
あの人、あのメディアと名前で呼び出される存在になれるかどうかって話だと思うんですよ。
番組でも何度か話してきた指名検索、ブランドコミュニケーションの重要性というところが、AI時代でますます上がるんではないかなというふうには思うんですよね。