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  2. 腐らせない技術【第155号】 #159

1️⃣食料を微生物が食べると(たいてい)腐ります 2️⃣人類は食料を腐らせない技術をいくつも開発してきました 3️⃣古代エジプト人は人間を腐らせない方法を発明しました

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サマリー

今回のエピソードは、腐らせない技術についてお届けさせていただきます。食べ物や人体を腐らせない技術について、古代エジプト人のミイラ作りから現代のミイラの粉末までご紹介いたします。

目次

腐らせない技術の起源
いちです。おはようございます。今回のエピソードは、腐らせない技術についてお届けします。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、STEAMニュースの音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、Steamboat乗組のご協力でお送りしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年11月16日に収録しています。
このエピソードでは、STEAMニュース第155号から腐らせない技術についてお送りをしていきます。
いや、急に寒くなりましたよね。僕は急な天候変化に対応できなくて、
1日半ほど寝込んでしまいました。リスナーの皆様もどうかお気を付けになってください。
さて、僕のようなSNS中毒患者が寝込み中に何をするかというと、もちろん、X、元ツイッターですね。
で、ツイッターをずっと見ていると、現実の食中毒事件が、X、ツイッターを中心としたSNSで騒がれていました。
そういえばですね、僕も中学生の時に部活動の合宿で見送りに来てくれた先輩からシュークリームをもらったことがあったんですよね。
すごい美味しかったんですよ。で、合宿から戻って、ブルーベリーのクリームがとても美味しかったですっていう風にお礼をお伝えしたところ、
彼女から、私ブルーベリー入れてないよって言われたことがあったんです。
いやもうね、大阪人の僕ですらもこういうのはちょっとベタすぎるかなと思うんですけど、甘酸っぱい思い出です。
まあ病み上がりということで、一つご勘弁のほどお願いできればと思います。
というわけでですね、今週はエジプト考古学にも関係する防腐技術、腐らせない技術についてお話をしていきたいと思います。
今週も25分間どうぞ最後までお付き合いいただければ幸いです。
食料が腐るあるいは腐敗するとは食べられない方向へ変質することを言います。
主にバクテリアやカビといった微生物によって引き起こされますが、酵素による腐敗も知られています。
同じメカニズムでも人間にとって有用な場合は腐敗ではなく発酵と呼びます。
例えば納豆は発酵させた大豆であって腐った大豆ではありません。
これはね、納豆を食べない地域の人、文化の人に強く主張したいところです。
食料がそのままの状態を維持するかあるいはうまく発酵してくれれば人間にとってはありがたいのですが、
自然界はそのようにはできていません。ほとんどの場合食料は腐ります。
微生物にとっても食料は食料なのであれば食べちゃうわけですよね。
そのために人類は長い時間をかけて食料を保存するハート、つまり技術を生み出してきたんです。
食料を腐らせない技術は牧畜や農耕の起源と同じくおよそ1万2千年前から始まると考えられています。
この1万2千年前、起源前1万年頃というタイミングをぜひご記憶いただければと思います。
地域によっては今から1万年前、起源前8千年頃ということになるのですが、
人類の様々な歴史がだいたいこのタイミングで始まっています。
これなぜかというと、ちょうど今から1万2千年前、場所によっては1万年前頃ですね、地球が最終氷気を抜け出すんです。
つまり地球を覆っていた氷がだいぶ溶けてきて、人類が農耕をできるようになったわけなんですね。
そのために農耕の歴史、それから牧畜の歴史といったものがだいたいこの辺りから始まってくるというふうに考えられています。
そして食料を腐らせない技術、防腐技術もこの辺りから始まったのではないかというふうに言われています。
この時代の保存手段なのですが、とにかく食料を乾燥させることでした。
現代でも乾物は広く食べられていますから、息の長い保存方法になりますよね。
乾燥方法は天日干しのほか、煙でいぶす方法、つまり燻製も当初から存在したと考えられています。
食料の保存方法
逆に現代になってから発明された乾燥方法としてはフリーズドライが挙げられます。
フリーズドライは元々は軍事技術で、1950年代に研究が始まったそうなのですが、
民間向け、特に日本では1970年代から普及しました。
これ何かというと、カップヌードルの具、それからお茶漬けの素の具ですね。
鮭、茶漬けの鮭なんかもそうですし、日清のカップヌードルに入っている謎肉なんかもそうなんですよね。
僕もよくお世話になっています。
さて、食料を乾燥させると、食料中の水分活性が低下します。
水分活性とは、食料の中で微生物が利用できる水分の割合です。
微生物だってね、お水飲まないと生きていけないので、この水分活性を下げてあげることで、微生物の活動というものを抑えることができるようになるわけなんですね。
この水分活性を下げる方法として、乾燥以外にも、食料を塩漬けや砂糖漬けにする方法もあります。
どちらも強い脱水作用がありますし、人間にとって毒でもないですから、これは天然の保存量というふうに言うことができますね。
イギリスのパウンドケーキは小麦粉1ポンド。1ポンドは0.5kgぐらいなのですが、小麦粉1ポンド、バター1ポンド、砂糖1ポンド、卵1ポンドで作るから、
ポンド、これはイギリス風に発音するとパウンドになるので、1ポンドずつでパウンドケーキなんですね。総重量の4分の1が砂糖なのですが、これは保存のためでもあるわけですね。
ちなみに、長崎カステラは小麦粉1、砂糖2、卵1の割合なんだそうです。パウンドケーキよりもお砂糖の比率が大きいということになります。
カステラって意外と日持ちするんですが、そういう理由なのかもしれないですね。
人類は絶え間なく保存方法を考え続けています。水分活性を下げる方法以外に、微生物や酵素が使う酸素をあらかじめ奪ってしまう方法や、微生物が働きにくい状況を作る方法、
また微生物を殺菌してかつ新規に付着しにくくする方法なども使われています。
殺菌方法も沸騰によるものだけではなくて、フランスの細菌学者ルイ・パスツールが発明した低温殺菌方法、これパスツールの名前からパスチャライズという風にも呼ばれています。
この低温殺菌方法や、近年では電磁波を食品に浴びせる方法も考えられています。
酸素を抜く方法は、現在では脱酸素剤を使ったり、ガスを充填したり、また伝統的な方法としてはオイル漬けなんてものもありますよね。
保存方法の進化
他に酢漬けにしたり、それからアルカリにつけたりして、この微生物が好まない環境にしてあげるというものもあります。
アルカリで言うと、僕の好きな中華料理の台湾料理ですかね、ピータンというアヒルの卵を泥の中につけて、これはアルカリ製の泥なんですね。
これで腐らないようにしたものという、独特の匂いはするんですが、食べることができるという食品もあります。
1834年の電気冷蔵庫の発明は、食料の安全な保存期間を飛躍的に延ばしましたが、
1875年の安息鉱山による鉱金作用の発見も、同じぐらい食料の安全な保存に寄与しています。
この安息鉱山なのですが、食料の保存量として使われることになります。
保存量は体に悪いという運動を、最近だと特に熱湯を中心に見かけることがありますが、保存量を使わずに腐敗させてしまっては本末転倒ではないでしょうかね。
保存量は食中毒の原因菌の増殖を抑える効果もあります。
また、食中毒の原因菌だけが増えてしまった場合は、無味無臭であることが多いため腐っていないから安心と思い込むことも危険なんですね。
腐ったものって実は味覚上区別することが難しいと言われています。
多少酸っぱくなることはあるんですが、腐敗による酸味なのか、味付けなのか、発酵による酸味なのかというのは区別がつかないそうなので、
味覚で判断するというのは難しい。
さらに、食中毒の原因菌の多くは味覚を全く変えないし、変な臭いもさせないということもあるそうなので、
運悪く、食中毒の原因菌だけが増えちゃった場合、他の腐敗に関わる微生物がつかなかった場合は、見かけも味も変わらずに、臭いも変わらずに、食中毒の原因が増えてしまっているということがあるそうなんですね。
集団食中毒なんかね、どうして誰も気づかなかったんだろうというふうに思いがちなのですが、そういった理由で気づかないうちに、食中毒になってしまうということがあるそうなんです。
僕はストレス以外ではお腹をあんまり壊さない方なので、以前は腐っても食うというのを人生のモットーにしていたわけなのですが、最近はですね、もう50になりましたし、そうも言ってられないなと思って、
古代エジプトのミイラ技術
見るからに腐ったものは食べないとして、賞味期限、消費期限なんかにも気を使うようになりました。
微生物から見たら、大豆も人間もご飯であることに変わりはありません。
もちろん生きた人間は抵抗しますし、生きた大豆だって抵抗するのですが、これは収穫された大豆、そして亡くなった人間の場合ですね。
微生物だって相手が抵抗しない限りは食べてしまいます。つまり腐らせる対象になるわけです。
古代エジプト人たちは死後の復活を信じていました。そこで遺体が腐ってしまうことを避けたいと願うようになりました。
このようにしてミイラ作りが始まっていきました。
人間も食料も腐らせない方法は同じです。水分活性を下げればいいわけですね。
古代エジプト人たちは人間の中でも腐りやすい脳や臓器を取り除いて、
腹部、お腹にはモツヤクジュという植物の樹液、ミイラを詰め、全身をナトロンと呼ぶ粉末で覆って乾燥させました。
ナトロンというのは、現在の言葉で言えば重層を中心に炭酸カリウムなどが混ざったものだそうですが、
主成分は重層、重炭酸ナトリウムとか炭酸水素ナトリウムという化学物質なんですが、これは塩粉という塩分が表出している水から取ることができました。
この重炭酸ナトリウムなのですが、これは石鹸の原料になったりガラスの原料になったり、それから小麦粉と混ぜると中華麺になったりするわけなんですが、これは大陸でしか取れないんですね。
日本ではこれは取れなかった成分になります。
重層は食品添加物としても認められているような安全性の高い物質で、古代エジプト人たちも食料保存にもこの重層というかナトロンを使っていたと言われていますから、
これを用いて人体を乾燥させてミイラを作っていったんですね。
お腹に詰めたミイラの香りが良かったのか、それともこれも別の説なのですが、
ミイラの香りや使用方法
当時、人体の一部が薬として有効なのではないかとヨーロッパで信じられていたからなのか、中西ヨーロッパではミイラを薬として扱うことが流行します。
16世紀には一人の貿易商によって600ポンドのミイラがエジプトからイングランドへ送られたと記録されています。
ミイラはその後すぐに長崎を経て日本にも持ち込まれています。
古代エジプトの防腐技術、すごいですね。
エッセンシャルオイルや香水がお好きな方であれば名前はご存知かと思うのですが、現在でもミイルラという香りがあります。
現代のミイラはもちろん植物性なのですが、江戸時代日本で流行ったミイラは全てではないと思うのですが、古代エジプトのミイラを粉末にしたものだったと言われています。
全てではないというのは、ミイラを取りに行くのがだんだん難しくなってきて、代わりのものでごまかしていた、これがミイラだと言って貿易商が扱っていたというケースも結構あったのではないかと言われているからです。
とはいえですね、僕たちもエジプト調査中に何度もミイラとはご対面しているんですね。
もちろんカイロ博物館のような博物館に行くと、女王様あるいは王様のミイラに会うことはあるのですが、そうではなくて天然のというとおかしいですよね。
まだ博物館に収蔵されていない、暗示されたままのミイラに遺跡で出会うことがあるんですね。何千年もの間ご遺体が腐らずに残っているということに、僕は大変な驚きを覚えます。
ミイラからミルラの香りがするかというと、ちょっと微妙な気がしますね。一応香りはするんですよ。かなり乾燥しているので、火をつけると燃えるんじゃないかというか、実際燃えるらしいんですが、さすがに我々は火葬の習慣を持つ仏教徒ではあるので、
ミイラを燃やそうとは思わないです。
ただ、中世のヨーロッパ人たちは、燃やすといい香りがするということに気づいたのかもしれません。お線香のような使い方をしたのかもしれません。
考えると、保存技術って本当に人類の英知ですよね。
メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの方では参考にした文献へのリンクも貼っておりますので、よかったらご参照ください。
今週も最後まで聴いてくださってありがとうございました。お別れにですね、カラックスのアライブという曲をワンコーラスご紹介させていただきます。
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