いちです。おはようございます。このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、
スティームニュースの音声版です。スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
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このエピソードでは、スティームニュース第135号から、いつかは食べたい危険な食べ物たちの話題をお送りします。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年6月22日に収録しています。
このエピソードでは、危険な食べ物たち…というよりは、匂いが強い…いや、強すぎる食べ物についてご紹介していきたいと思います。
どうぞ、今回も25分間お付き合いください。
番組冒頭から、個人的な思い出話で恐縮なのですが、
僕が最初に勤めた会社は国際食豊かな企業でした。 ある日の社内パーティーで、
フランス人が匂いの強いチーズを持ってきたところ、 中国人が
我が国にはもっと臭い食べ物があると、謎マウントを取りまして、
国際紛争になりかけたことがありました。 これ大げさな話ではなくて、
子供っぽい従業員が多かったせいで、例えばですね、ある日のことなのですが、 イギリス人がアメリカ人に向かって、
お前の国に文化はあるのか?とけしかけたり、 それに答えてアメリカ人が、
文化はないがミリタリーテクノロジーはあるとやり返したりするような職場だったんですね。
もう本当に、子供の悪ふざけみたいな環境でした。
そのパーティーでは日本人上司が公平を期すために、
では、第一回国際臭いものグランプリを開催しましょうというふうに提案をして、
一旦両者とも引き下がったんですね。 で、第一回国際臭いものグランプリ当日、
中国人が、これ中国語で何と読むのかわからないのですが、漢字でクサルクサルと書かれたパッケージを持ってきたんです。
いいですか?クサルクサルですよ。やばそうですよね。 実はこれパッケージを開ける前から、というかですね、まあ当日の朝からもう
有象が見えていたんです。 やばかったです。
本人曰くこれは臭豆腐、臭う豆腐と書いて臭豆腐ですが、まあ臭豆腐、中身、パッケージの中身は臭豆腐だったそうなんですね。
いやこれ本物だったのか、ひょっとしたら闇の臭豆腐、まあそれが何かというのはぜひですね、
メールでお送りしているニュースレターのリンクからたどっていただきたいのですが、まあそのいずれにせよ臭豆腐だったそうです。
まあご本人曰くこれは臭豆腐だということだったんですね。 で、ほとんどの従業員が
わかった、もうあなたの勝ちですって言って引いていったのですが、僕はあのいただきました。 とても美味しかったです。
臭いはもう信じられないぐらい強烈だったのですが、何せパッケージにされているのに漏れてくるんですね。
でパッケージを開けたらもう大変なことになったのですが、お味はですね、あの沖縄の豆腐用のような非常にマイルドで旨味のある美味しいお味でした。
このエピソードではそんな臭い、そして危険な食べ物について科学的に見ていきたいと思います。
東京精鋭大学生化学研究室が公開している 世界で食べられている臭い食べ物ベスト5の堂々1位に輝いているのが
スウェーデンのシュールストレミングです。 塩漬けにしんの缶詰なのですが、
その匂いをある人は毒ガス級と呼び、ある人は別格でやばいと言います。
一方でうまかったとする意見もあります。 実は僕も食べたことがあるのですが、
匂いはともかく味は良かったように記憶しています。 ただここら辺は個体差があるのかもしれません。
シュールストレミングは、にしんを薄い塩水に漬けて缶詰にしたものです。
にしんを長期保存するためには、本来はサラサラとした塩に漬けてしまいたいところなのですが、
残念ながらスウェーデンでは塩が大変に高価でした。 スウェーデンはご存知の通り海に面した国なのですが、
日照時間が短く、海水から天日干しで塩を作ることが困難だったんですね。
そもそもスウェーデン周辺の海域は塩分濃度が低く、 また岩塩も散出しないため、塩は輸入に頼ってきました。
そんなわけでスウェーデンはにしんの塩漬けではなく、 塩水漬けが作られてきたわけですね。
シュールストレミングの漬け汁は塩分濃度が低いため、 漬け汁の中で細菌が活動を続けます。
もし塩分濃度が十分高ければ細菌は死滅していたところなのですが、 塩分濃度が足りなかったということになります。
シュールストレミングの場合はハラナエロビウムという細菌、 これは細菌の俗なんですが、この細菌がにしんを発酵させます。
この発酵で炭酸ガス、プロビヨン酸、 硫化水素、ラク酸、サク酸が作られます。
このプロビヨン酸というのは特定悪臭物質に指定されています。 硫化水素は卵の腐った匂いですね。
そしてラク酸は銀杏の匂いがします。 サク酸はお酢の匂いですね。これらが合わさるということで強烈な匂いが生じるんです。
シュールストレミングはスウェーデンに塩が足りなかったゆえに生まれた 世界一臭い食品でした。
我が日本も負けてはおりませんぞ。 日本では当たり前に手に入る納豆。
この納豆ですが、世界的に見ればこれも臭い食品の仲間です。 納豆は東アジア原産の大豆を
日本に固有の納豆菌で発酵させたものです。 ただし納豆に似た食品は東アジアから東南アジアにかけて分布していますから、
大豆発酵食品は日本だけのものというわけではありません。 まあそれにしても
納豆を最初に食べた人は同情がありますよね。 だってネバネバで、しかもね
冷静に考えたら匂いも強烈ですよね。 ただし江戸時代初期の頃までは納豆といえば、今我々が納豆と言って想像する糸引き納豆ではなく
塩辛納豆だったようです。 塩辛納豆というのは納豆と塩辛を混ぜたものではなく、
現在で言うと浜松の浜納豆のことですね。 糸を引いてない方の納豆です。
まあ僕はねあの大阪出身なので納豆というと、 僕はあの糸引き納豆好きなのですが、
僕より上の世代だと、納豆言うたら甘納豆やろうみたいなね 感じもしまして、その糸引き納豆苦手な方多くて、
納豆といえば甘納豆という、これはおやつの方ですね。 そちらを指すことも多かったそうなのですが、今ではね
関西でも糸引き納豆を食べるんですが、 この江戸時代初期までは
塩辛納豆あるいは浜納豆ということだったそうです。 こちらは大豆を使うところまでは同じなのですが、
納豆菌ではなくて麹を使うそうなんです。 見た目なんですがこれ、まあどう見てもうさぎの糞。
匂いの方も大豆に麹ですから、味噌や醤油に似ているそうなんですね。
日本人や東アジア人にとっては味噌醤油の香りというのは馴染みのものなのですが、 八木の人からは
なんじゃこりゃーという匂いになるんでしょうね。 僕自身、長期間海外にいて日本に帰ってくると、日本って醤油臭いんだなぁと思うことがあります。
この糸引き納豆の方なのですが、糸引き納豆は発酵過程でアンモニアを生じるために
塩辛納豆とは別の臭みがあります。 アンモニアの匂いは人間の疲労臭、まあ疲れた匂いというふうにも言うそうなので、
これどうなんでしょう。僕自身は納豆を食べるとなんか元気が出てくる気がするのですが、
これ誰かと対面で会ってる時には、この人疲れてるのかなというふうに思われているのかもしれません。 とはいえですね、まあ納豆大好きなので
またね、この収録終わったら食べようかなと思っています。 あるランキングによると
納豆は世界の臭い食べ物第9位に入っています。 このランキング、メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの方にリンクを貼っていますので、
よかったらチェックしてみてください。 このランキングによるとシュールストレミングは第2位に入っていました。
このシュールストレミングを抑えた堂々第1位はドリアンだったんですね。 どれも美味しいのになぁなんて思ってしまいます。
最後に臭いというよりは危険な食品をご紹介したいと思います。
これはですね、これも別のランキングなのですが、まあ多くのランキングで世界で一番危険な食品に数えられ、
ギネスブックに世界一危険なチーズとして登録されているのが、 イタリアのサルデーニャ島の
カースマルツというチーズです。 ちなみにですね、世界で一番危険な食品ランキングの上位にホットドッグも入っています。
これどういう意味なのかよくわからなかったのですが、 喉をつまらせるということがあるようなのですね。
日本のお餅のような意味合いかもしれません。 なおですね、世界の危険な食品ランキングの上位には必ず
日本のフグもランクインしています。まあこれはわからないでもないですね。 さてそんなチーズ、カースマルツですが、
これあのイタリアのサルデーニャ島ですね。 サルデーニャではサルデーニャ語という地元の言葉が喋られているのですが、
カースマルツはこのサルデーニャ語で 腐ったチーズという意味なんだそうです。
アジアに臭豆腐あればヨーロッパにカースマルツありということなんでしょうね。 どちらも美味しそうですよね。
実はこのカースマルツの危険度の本質は腐っていることではないんです。 このチーズは羊チーズの一つペコリーノに
チーズバエの幼虫、つまりウジ、 ウジ虫を植え付けて作るんですね。でこの子たちがチーズを消化するために
チーズの発酵が進むんです。 カースマルツはこのウジコと提供されます。
もちろん取り除いて食べても良いのですが、 どうも食痛の方は丸ごと食べちゃうそうなんですね。
この子たちはなかなか生命力が強いらしく、 飛び跳ねたり、
なんだったら胃の中でも生き延びたりするらしく、 生食は大変危険だと考えられています。
実際イタリア政府はカースマルツの販売を禁止しています。 またアメリカ政府も輸入を禁止しています。
アメリカ政府はフランス産チーズのミモレットも輸入を禁止しているんですね。 ミモレットにはチーズダニが生息しているからですね。
ここは一貫していると言えるでしょう。 非合法な食品となってしまったカースマルツですが、
現在でも闇市で販売されたり、 その非合法性を見直すべきであるというような研究論文が出版されたりと、
なくなるわけではなさそうなんですね。 日本のフグと同じで、どうしても食べたい人がいるということなんだと思います。
微生物が有機物、つまりはおおよそ生命由来の物質を分解することを
腐敗と呼びます。 シュールストレミングも納豆も
細菌によるタンパク質の分解ですから、腐敗と呼んで差し支えないのですが、
これは人間にとって無害なものなので、特別に発酵と呼びます。
ニシンや大豆といったご飯を微生物が食べて消化しているわけなんですね。 その結果が人体にとって無害なら発酵で、有害なら腐敗と呼ぶんです。
まあ人間の都合によって発酵と呼んだり腐敗と呼んだり区別しているということですね。 発酵は食品を保存するための技術として用いられていますが、
これは人間にとって無害な方の細菌を意図的に増やして、
有害な方の細菌にイストリゲームで負けさせるという人類の知恵とも言えるんじゃないでしょうか。
カースマルツーの場合はチーズバエの消化酵素によるチーズの分解、つまりは消化なのですが、
生物が有機物を分解していることに違いはありません。 この腐敗なのですが、見た目や味の変化を伴いますが、
それと食中毒というのは必ずしも一対一に対応するわけではありません。 腐敗していたからといって必ず食中毒を引き起こすかというとそういうことはないんですね。
逆に、見た目や味の変化はないのだけれども、
細菌がその食品についていて、毒素を生成しているという可能性もあるわけです。
この場合は、気づかずに毒素を食べてしまっていることになりますので、
集団食中毒なんかの原因になることもあります。 厚労省の報告によると、食中毒というのは季節によらず起こっているそうなので、
このポッドキャストをお送りしているのが、6月末で食中毒のシーズンとは言われている時期なのですが、
どうかリスナーの皆さんは、一年を通して食中毒にはお気をつけいただければと思います。
一般論をお伝えしておいて、こういうのもあれなのですが、
実はですね、僕は賞味期限を大幅に過ぎたイチゴ大福が大好物なんですね。
これ皆さん、召し上がったことありますかね。 イチゴ大福って常温で放置すると、このイチゴとあんこの境界面が、
発酵と呼ぶんですかね。腐敗と呼ぶんですかね。 かなりピリピリとしてくるんですね。
僕はこのピリピリイチゴ大福が大好きなんです。 いやーこれどうでしょう。同意してくださる方いらっしゃるかな。
よかったらまたメッセージを送りいただければと思っています。
きっとね、この発酵イチゴ大福っていうのが、そのうち商品化されるのではないかと睨んでいるのですが、
どうでしょう。 難しいのかな。
今週はですね、メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの方に、 読者の方から勇気をいただけるようなリプライをいただきまして、すごくホクホクしています。
steam.fm のリスナーの方も、よかったらメッセージを送りいただければなと思います。 また厚かましいお願いで大変恐縮なのですが、概要欄にコーヒーの差し入れのリンクも貼っております。
こちらもご検討いただければ幸いです。 聞いてくださってありがとうございました。イチでした。
イチゴ大福のリスナーの方も、よかったらメッセージを送りいただければ幸いなのですが、 概要欄にコーヒーの差し入れのリンクも貼っております。
イチゴ大福のリンクも貼っております。