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2024-02-10 17:58

エジソンとテスラ:時代を作った変人たち【第166号音声版】 #科学系ポッドキャストの日

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エジソンは「天才とは1パーセントのひらめきと99パーセントの努力である」と言います.一方のテスラは「理論と計算を用いればエジソンのような努力の90パーセントは必要ない」と主張します.この戦い,どちらが勝つのでしょうか.

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サマリー

エジソンとテスラの変人エピソードから、19世紀から20世紀を代表する発明家として成功しているエジソンのことや、テスラの発明、そして彼らの対立や交流送電の競争についてご紹介いたします。

エジソンの発明と変人エピソード
いちです。おはようございます。今回のエピソードは、エジソンとテスラ時代を作った変人たちについてお届けします。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースは、スティームボートを乗り組みのご協力でお送りしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2024年2月10日に収録しています。
このエピソードでは、スティームニュース第166号から、エジソンとテスラ時代を作った変人たちについてお届けをします。
このエピソードでお話しするのは、トーマス・エジソンとニコラ・テスラという、実質的に20世紀を形作った二人の変人の物語です。
19世紀から20世紀を代表する発明家といえば、アメリカのトーマス・エジソンをもってナンバーワンとすべきでしょう。
アメリカのグラフ雑誌ライフの、この一千年で最も重要な百人特集でも、エジソンは堂々の一位に選ばれています。
同国人という身引きを差し引いても、納得の一位かもしれません。
なお、2位以下は、クリストファー・コロンバス、コロンブスのことですね。
そして、マルティン・ルター、ガリレオ・ガリレイと続きます。
僕は過去一千年の間なら、ガリレオ・ガリレイが一位だとは思うのですが、時代が遠すぎて偉さがわかりにくいということはあるかもしれません。
日本からは第86位に、葛飾北斎がランクインしています。
エジソンの発明は、著名なものだけ挙げても、株式相場表示器、これはティッカーというものですね。
そして、電話器、蓄音器、電球、発電機、そして映画、これはキネトスコープのほうですね。
そして、トースターもあります。
また忘れてはならないのが、物理学におけるエジソン効果の発見です。
エジソンを白熱電球の発明に取り組んでいる間に、知らず知らずのうちに熱電子放出という自然現象を発見していたのです。
この現象はエジソン効果と名付けられました。
そんなエジソンですが、なかなかの変人エピソードの持ち主でもあります。
1847年2月11日、オハイオ州に生まれ、その後ミシガン州で育ったトーマス・エジソンは、小学校を何と数ヶ月で中退しています。
いや、中退させられたといったほうが正確かもしれません。
なぜ物は燃えるのかに興味を持って、自宅のなやを全焼させてしまったのは、小学校在学中のことでした。
また一説によると、1たす1がなぜ2になるのか納得できず、算数の先生から頭が悪いのではないかとも思われたんだそうです。
僕も小学生の頃、父方の祖父にエジソンの話を聞いて、なんで1たす1が2じゃいけないのと聞いてみたことがあります。
エンジニアだった祖父は、教科書にはリンゴ1個とリンゴ1個を合わせるとリンゴ2個と書いてあるんだけれども、
それは本当に同じリンゴなのかな?足し算してもいいのかな?というふうに僕に悟したんですね。
全く同じリンゴが2個揃うわけはないので、確かにそう考えてみると、そこから1たす1イコール2という結論を引き出すには、
一段の飛躍が必要になるわけですね。
エジソンはこんな風な論理の飛躍に我慢がならなかったんでしょう。
小学校を辞めたエジソンは、元教師だった母親から読み書きと算数を習います。
この点エジソンは恵まれていたかもしれません。
その後のエジソンは、変人エピソードこそ減らなかったものの、発明家としても企業家としても成功を収めます。
エジソンは試行錯誤の鬼でした。
彼は私は失敗したことはない、うまくいかない一万通りの方法を見つけただけだとも言っています。
他に彼のよく知られた言葉に、天才とは1%のひらめきと99%の努力であるというものがあります。
英語だとひらめきのことをインスピレーション、努力のことを汗をかくという意味のパースピレーションという風に呼んでいるので、エジソンは陰を踏んでいたわけですね。
1%のインスピレーションと99%のパースピレーションだという風なことですね。
テスラの発明と変人エピソード
さて、そんなエジソンには終生のライバルとなる人物、ニコラ・テスラがいました。
オーストリア帝国現クロアチアに1856年7月10日に生まれたニコラ・テスラは、エジソンより9歳年下ということになります。
彼は1884年にアメリカへ渡り、数ヶ月だけエジソンの下で働きます。
辞職はエジソンとの対立が原因だったとされています。
テスラの発明にはテスラ変圧器、新型発電機、蛍光灯、垂直離着陸器などがあります。
エジソンに負けず劣らず現在まで使われている技術に貢献しているんですね。
そしてテスラもエジソンに負けないほどの変人ぶりを発揮します。
テスラは現代の変人、イーロンマスクもびっくりするような一つの夢がありました。
それは世界中の電気製品にワイヤレス送電するという夢です。
そのためにニューヨーク州に送電タワーまで建てています。
1905年にこれだけのことをしたのですから、歴史に残る変人と呼んでも差し支えないんじゃないでしょうか。
テスラは8言語を流暢に操り、芸術のセンスを持ち、美食家で驚異的な記憶力の持ち主でした。しかも美男子。
まさにこれはバチェラージャパンというアマゾンでやってますけれども、そのバチェラーですよね。
彼は結局生涯独身、つまりバチェラーのままでいました。
彼は1日2時間しか眠らなかったとも主張していますが、
これはひょっとしたらエジソンが私は4時間以上眠ると気分が悪くなると言っていたことに対して対抗したのかもしれません。
テスラはエジソンの天才とは1%のひらめきと99%の努力であるという言葉に対してこういうふうに言っているのです。
理論と計算を用いればエジソンの努力の90%は必要ない。
このコメントは時に天才とは99%の努力を無にする1%のひらめきであるというふうにも威迫されています。
ニコラテスラは電気自動車メーカーテスラモーターズの名前や
時速密度の単位テスラにその名前を残しています。
ライフシーこの1000年で最も重要な100人では57位にランクインしていますが、
もう少し上位でもおかしくないかもしれません。
エジソンとテスラの関係が良好だったことは一度もなかったようです。
エジソンとテスラの対立と交流送電の競争
二人の関係が最も白熱したのは、
発電所からどのようにして送電するかを争った電流戦争の時でした。
この戦争は1880年代つまり19世紀末にアメリカで起こりました。
エジソンはゼネラルエレクトリック車をいち早く立ち上げており、
彼の発明である直流送電を売り出していました。
一方のテスラは事業家ウェスティングハウスと組んで、
交流送電を猛烈に推し進めます。
エジソンとテスラ・ウェスティングハウス連合は
熾烈な競争を繰り広げたのですが、
1890年にはすでに交流送電が勝者となっていました。
つまりウェスティングハウスとテスラが勝ったわけですね。
この間エジソン側も非常に強烈なネガティブキャンペーンを繰り広げたのですが、
これは後に黒歴史というふうに考えられるようにもなっていきます。
エジソンはメディアに対しては最後までトーカーフェイスを通したそうなのですが、
彼が発明した直流送電に関する特許がことごとく無駄になってしまったことを
無念に思っていたそうです。
冒頭でご紹介した通り、エジソンはエジソン効果という自然現象を発見しています。
この発見は物理学に影響を与えただけでなく、後の真空管の発明にもつながっています。
真空管はエレクトロニクスの基礎となり、コンピューターの基盤ともなりました。
これは工学が物理学をリードした一例になっています。
ちょっと意地の悪い物理学者は、
工学は物理学の応用に過ぎないなんて悪口を言うことがあるのですが、
実際に工学が物理学をリードした例になっているわけですね、このエジソン効果の発見について。
他に似たようなお話として、
例えばですね、物理学が数学をリードすることもあるのです。
こんな例があります。
ノーベル賞物理学者ポール・ディラックはインパルスという物理現象を発見します。
インパルスはありふれた現象なのですが、
当時それを記述する数学がまだなく、
ディラックは仕方なく数学風の書き方を採用しました。
このディラックのアイディアは後に日本人数学者によって本当の数学に書き上げされました。
アニメーション監督ジョン・ラセターはかつて、
美術は技術を挑発するというふうに言ったのですが、
工学は物理学を、物理学は数学を挑発するものかもしれません。
というわけで、19世紀から20世紀にかけてきた2人の変人、
トーマス・エジソンとニコラ・テスラについてお届けしました。
この2人がいなければ、今我々が住んでいる世界はずっと違ったものになったと思います。
もし皆さんの周りに変人がいらっしゃったら、
まあ好き並みな言い方にはなってしまうのですが、
ひょっとしたらこの人が未来の人類の在り方を変える発明をするかもしれないというふうに想像してみてください。
できればね、その人の足を引っ張らずに応援したいものですよね。
メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの第166号、
エジソンとテスラ時代を作った変人たちには、参考になる映画として、
アルフォンソ・ゴメス・レホン監督によるエジソンズゲームをご紹介しています。
これはですね、エジソンとテスラの電流戦争を描いた割と貴重な映画です。
他にこれはエックスで教えていただいたのですが、
荒木博彦先生原作、変人変屈烈伝ニコラ・テスラという漫画がありまして、
これすごい面白いので、こちらもよかったら参考になさってください。
というわけで、今週も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
steam.fmのいちでした。
次回予告
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