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2023-10-19 24:59

「科学者」平賀源内【第150号音声版】#154

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1️⃣発明家や作家として有名な平賀源内は,晩年まで科学者であろうとし続けました 2️⃣研究資金調達のために源内が書いた浄瑠璃は,後に日本のスタンダードとなりました 3️⃣かぐや姫の「難題」さえも解いた源内でしたが,科学者としての名声は残せませんでした

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サマリー

科学者・平賀玄内の方を紹介します。彼はマルチタレントであり、発明家や作家としても有名ですが、実は生涯を通じて科学者としても活躍しています。エピソードでは彼の科学者としての側面に焦点を当てて紹介しています。平賀元内は、なんと日本の科学者でありながら、殺人を犯して江戸幕府によって獄中死しました。しかし、彼の功績が評価され、天皇から十五位の贈り物を受けることになりました。さらに、彼の生涯と自身の活動を重ね、自己肯定感の低さを感じながらも人の役に立ちたいと願うsteam.fmのパーソナリティが綴った物語です。

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いちです。おはようございます。このポッドキャストは、僕が毎週メールでお送りしているニュースレター、
スティームニュースの音声版です。スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年10月18日に収録しています。
スティームニュースは、スティームボート乗り組みのご協力でお送りしています。
さて、STEAM.fm、今回のエピソードは、スティームニュース第150号から、
科学者・平賀源内をお届けします。
発明家や作家として有名な平賀源内なのですが、
実は晩年まで、彼は科学者であろうとし続けたのです。
研究資金調達のために源内が書いた条理、これは後に日本のスタンダードとなりました。
かぐや姫が出した難題さえも、といった源内だったのですが、
結局、科学者としての名声は残せませんでした。
STEAM.fm、今回のエピソードでは、そんな科学者であろうとした平賀源内についてお届けします。
今回も最後までお付き合いください。
平賀玄内のマルチタレンツ人生
今回のエピソードの主人公は、江戸時代のマルチタレント、平賀源内です。
マルチタレントというと少し軽いイメージになってしまうのですが、
平賀源内はですね、西洋で言えばポリマス、つまり白学者、あるいはルネッサンス人にあたります。
平賀源内は浄瑠璃作者として、そして下作と呼ばれたポピュラー文学の創始者としても名前を残しています。
つまりはアーティスト兼エンターテイナーだったわけですね。
そこらへんがとても日本らしいかもしれません。
しかし意外なことに、彼は生涯を通して科学者であろうとしました。
彼は価格研究の資金調達に苦労し、仕方なくアートやエンターテイメントに手を出していたようなんです。
そんな源内先生の科学者としての側面を、このエピソードではお伝えしていきます。
とはいえですね、平賀源内という人物をどう紹介してよいのか、ほとほと困るんですね。
彼は江戸時代中頃の1728年、佐渚の国、現代の香川県ですね、この佐渚の国に生まれています。
その52年の生涯で、本造学、資質学、蘭学、医学を志し、植産事業を行い、
日本初の下作者、これは大衆小説家ですね、そして日本初のコピーライターとなり、
また人形浄瑠璃、徘徊、蘭画、これは西洋画のことです。
これらのアートを手がけました。
さらには今の言葉で言えば万博のプロデューサー、キュレーターも務めました。
そしてもちろん彼は子供時代からの発明家であり、エンジニアでもありました。
玄内の興味はあらゆるジャンルに及んでいるようなのですが、
彼が生涯関心を寄せ続けたのは、知の有用、これ、知の文、文学の文ですね。
知の文と書いて知の有用というものですが、この知の有用に関心を持ち続けました。
つまり玄内が目指したのは知文学、知の代わりに天と入れると天文学ですね。
天の代わりに知、知文学ということになります。
玄内は地上のありとあらゆるものを集め、整理し、役立てようとしました。
彼は中国はもちろんヨーロッパからも鉱物や植物を買い求め、図鑑を作り、江戸で博覧会を開きました。
彼が収集したものの中には、スティームニュースで以前ご紹介したブルーの歴史という語でご紹介した根性という青、通称広茂ブルーも含まれていました。
彼が日本で最初に広茂ブルーを使ったんです。
もし彼がいなければ、日本の浮世絵もずいぶん違ったものになったかもしれません。
平賀玄内は博覧会を開いただけではなく、そのカタログを絵入りで出版もしています。
カタログの名前は物類品質と言い、現在まで残されています。
主な項目は医薬品なのですが、第一項目がバラの香水、ローズワートルであるように、市場のあらゆる役立つものを集めようとしたようです。
また当時知られていた中国製の医薬品カタログを一つ一つ吟味し、修正を加える作業も行っています。
江戸時代にこれだけのことをしたのですから、莫大な費用がかかったのでしょう。
平賀玄内は江戸から長崎へ留学するための費用を年出するために、福内気外、これ福は内、鬼は外という風に漢字で書いて福内気外というものですが、
この福内気外のペンネームで人形浄瑠璃の台本を書いています。
また平賀玄内、平賀というのは貧しい家です。貧しい家でお金がない。平賀玄内の別名で内職もしています。
かの有名なエレキテルも平賀玄内の名前でデモンストレーションをしています。
彼の浄瑠璃の一作、心霊矢口の私は、なんと2023年の現在でも上演されています。
初演が1770年なので、なんと250年にわたる作品を作り上げてしまったのです。
作家として超有名、超一流のオスカーワイルドのサロメが1893年なので、どれだけのロングセラーなのかということですよね。
いやー、250年ですよ。
今だったら、ちょっといいこと言っても250秒で消化されてしまいません?
4分10秒、250秒。
いや、ほんとね、平賀玄内先生はすごい人ですね。
いや、横道にそれてしまってごめんなさい。
はい、ここから科学者としての平賀玄内先生についてお話を戻していきたいと思います。
平賀玄内の科学者としての側面
本業の方もすごいんです。
平賀玄内は伊豆の温泉から膀胱という化学物質を生成することに成功します。
この物質は現在の言葉で言う硫酸ナトリウムあるいはグラウバー塩にあたります。
硫酸ナトリウムは現在ではありふれた化学物質なのですが、当時は大変貴重で、小薬としての薬行を期待されていました。
日本では今でも人気の入浴剤として使われています。
玄内先生は硫酸ナトリウムの生成のように人の役に立つことをいつも考えていたんですね。
実は彼のカタログ物類品質全6巻のうち、最後の1巻は朝鮮人参あるいは高麗人参と柑橈、つまりさつまいもに当てられています。
人参は当時究極の医薬品とも言える存在でしたが、大陸からの輸入に頼っていました。
彼はその作り方を旧高植物である柑橈とともにあまねく広めようとしたんです。
もちろん慈悲で。
ほんとね、頭が下がりますよね。
ところでリスナーの皆さんは、かぐや姫が結婚を求められた時に無理難題を持ちかけたことをきっとご存じですよね。
彼女の5つの難題のうちの一つは、ひねずみの皮衣を持ってこいというものでした。
これは焼いても燃えない布のことで、竹取物語の中で指名されたのは宇大臣安倍の身牛なのですが、
彼は偽物をつかまされています。
竹取物語の成立は9世紀から10世紀とされていますから、平賀元内ももちろんこの伝説は知っていました。
燃えない布の開発と晩年の悲哀
この燃えない布は紀元前からヨーロッパでは知られており、わずかながら中国にも伝わっていたようです。
竹取物語の記述は中国から文献として伝わった情報に基づいていたのかもしれません。
ともかく平賀元内は当時伝説だった燃えない布を作り出すことに力を注ぎます。
そして驚くべきことに彼は成功するんです。
一体どうやって?って思いますよね。
平賀元内が資金稼ぎに手を出した鉱山開発の副産物として、彼は活石、タルクという鉱物を手に入れます。
この石を砕いて布状に折っていくわけですね。
彼はなんとか2cm四方の燃えない布を折り出すことに成功しますが、それ以上のサイズは製作できませんでした。
残念とは思うのですが、僕も一人のエンジニアとしてよくぞここまでやったとも思います。
石から布を折ったんですから。
平賀元内は自身の長崎留学、博覧会の開催、そしてカタログ出版の資金調達のために人形浄瑠璃の脚本を書き、CMソングを作り、山死にまでなっています。
彼の晩年の主旗からは、彼が本造学者、指紋学者としてこれだけ世間のために尽くしたのに、世間からはただの山死、呼ばわりをされていると嘆いている様子が読み取れます。
さらには自分自身が器用すぎたこと、何にでも手を出したことを後悔するような歌を読んでいます。
平賀元内の生涯
元内先生、どうやら指紋学、現在でいう地球科学の探求者でありたいと願いつつ、あまりにも器用であったこと、そして研究資金を稼ぐために、あれこれと手を出したことを無念に思っていたようなんです。
平賀元内は、1779年、勘違いと酔った勢いもあって、殺人を犯してしまいます。その結果、江戸幕府によって登獄され、獄中死します。
幕府は罪人の遺体を下げ渡さないのが慣例なのですが、元内に関しては特例として下げ渡したようです。
元内を引き取ったのは、生前の親友にして乱学者すぎた原伯だったと言われています。原伯は、次のような秘文を残しています。
ああ非常の人、非常のことを好み、行いこれ非常。何ぞ非常に死するや。
1924年、大正十三年。平賀元内は天皇より十五位を贈られました。
イギリスで言えば、サーの称号を得たようなものでしょうか。元内はへとも思わないというふうに言っているかもしれませんが、彼の生涯の功績が評価されたことを、僕は嬉しく思います。
僕は平賀元内の親友であった教科士、狂った歌の先生ですね。教科士、太田南保。元王植参人の大ファンで、平賀元内に対しては、ふーん、やましいでしょうという程度の認識しかなかったんですね。
ただ、彼が太田南保のデビュー作、寝ぼけ先生文集に寄せた序文、
みそのみそくさきは、じょうみそにあらず。がくしゃのがくしゃくさきは、しんのがくしゃにあらず。を読んで、元内先生にも興味を持ち始めました。
そして、本造学者平賀元内という本を見つけて読んでみたんですね。
そうしたら、平賀元内が常に科学者であろうとしたこと、いつも人々を豊かにすることを考えていたこと、そして、器用すぎるがゆえに苦悩したことを知るに至ったんです。
平賀元内が手がけたこと、例えば万博のプロデュースは、比べるのもほがましいのですが、僕たちが TEDxイベントとしてアイディアを動画で紹介していることに重なりますし、
それどころか、TEDxイベント開催に必要な経費を賄うために、裏の仕事もずいぶんさせてもらっているんですね。
それこそ、ウェブデザインの仕事からネットショップを自分で開いたりとかまでもしています。
これなんかも、いちいち元内の副業が自分に重なります。
もちろん平賀元内の場合は、その副業で後世に名を残したわけですが、僕の場合は月とすっぽんで、すっぽんの方ですかね。
ダメな方はすっぽんですよね。すっぽんの方でも全然比べるべくもないのですが、ちょっと自分を重ねたりもしています。
僕は、これは辞書をお許しいただきたいのですが、計算機、科学者、コンピュータサイエンティストで、これは数学者の端っこの端っこに当たります。
また僕自身はアマチュア天文学者でありたいと願っていて、願っているだけなんですけどもね。
銀河系の縁に立っているどころか、まあぶら下がっている状態で、でも何か一つ宇宙の神秘を解明できたらなぁと夢を見ています。
そして、これも辞書になるのですが、情報建築家、インフォメーションアーキテクトとしてTEDxイベントとTEDx動画のプロデュースを通して学術プロモーションにも挑戦をしています。
また僕自身もこのsteam.fmのパーソナリティとして学術プロモーションを行っています。
こんな小さな番組ですが、たくさんの方に聞いていただいていて、2023年10月のアップルのピックオブダウィークの一つにも選んでいただけました。
本当にリスナーの皆様には感謝しかないです。
日永玄内先生には投稿呼ばないんですが、でもここまでこれたのは皆様のおかげです。リスナーの皆様のおかげです。本当にね、本当にありがとうございます。
というわけで、僕にも日永玄内先生の気持ちが少しわかる気がしているんです。
どんな気持ちかというのを正直に白状すると、根源は自己肯定感の低さなんですね。
自己肯定感が低いから人の役に立ちたいと願うし、あれこれと手を出すんです。
これなら自分にできるかもしれないと思って手を出していくんです。
日永玄内は彼の周辺に学術、当時は蘭学を極めた杉田玄白であったりとか、エンターテイナーとしての才能を発揮した太田南保がいて、彼らを超えられないと感じた苦悩を僕は身も耐えして感じています。
おっと、お別れの時間が来てしまいました。最後まで聴いてくださってありがとうございました。
今週はカラーのwish upon a starです。steam.fmのイチでした。
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