三角関係の魅力
いちです。おはようございます。
このエピソードでは、三角関係と三体問題についてお届けします。
このポッドキャストは、僕が毎週メールでお送りしているニュースレター、
STEAMニュースの音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、STEAMボートの力民のご協力でお送りしています。
このエピソードはですね、2024年12月5日に収録しています。
2024年12月6日配信のSTEAMニュース第208号から、
三角関係と三体問題についてお届けをします。
三角関係と三体問題。
三角関係というと、文学であったりとか、映画のテーマであったりとかするわけなんですが、
三体問題の方、こちらは物理学や演問学の大きなテーマになっています。
その関係はというと、どちらも最後、カオスに行き着くところ。
今回のエピソードで三角関係を取り上げた理由なのですが、
これ一つはですね、僕が高校生の頃読んだ小説によります。
その小説の中でですね、こんな表現があったんですね。
Her love of him。直訳すると、彼女の彼の愛。
あるいは、彼の彼女の愛。
どっちやねん!ってなりますよね。
これ本当にね、どっちの意味かわからなくて。
で、たまたま通っていた予備校の先生、英語の先生が、
イギリス英語のネイティブで彼に、これはどっちの意味なんですか?
このHer love of himというのは、彼女が彼への愛を持っているのか、
彼が彼女への愛を持っているのか、どっちなんですか?って聞いてみたんです。
このエピソードのね、後半でその正解というか、
英語の先生からの回答をご紹介したいと思うんですが、
意外な回答でした。
で、その小説ね、もちろん彼、彼女だけじゃなくて、
第三の人物が出てきて、三角関係が描かれていくわけなんですが、
この三角関係、おそらくその小説だけではなくて、
もうあらゆる小説の中で普遍的なテーマになっていると思います。
三角関係というのは、三人の人物が同時に恋愛関係になった状態を指します。
英語ではラブ・トライアングルというふうに呼ぶんですが、そのまんまですね。
愛の三角ですね。ラブ・トライアングル。
三人の性別に決まりはありませんが、
現代の小説では女性1名、男性2名、あるいは女性2名、男性1名の三角関係というのがよく紹介されています。
これもちろん古典ギリシャの小説とかになると、男性3名の三角関係なんかもよく登場します。
3人を仮にAさん、Bさん、Cさんとすると、AさんとBさんが相思相愛で、
CさんがAさんに横恋暮するのが典型的な三角関係ということになると思うんですが、
AさんがBさんとCさんと同時に付き合う二股交際も三角関係に数えます。
なお、AさんがBさんを好きで、BさんがCさんを好きで、CさんがAさんを好きという場合も、
三角な関係にはなりますが、三角関係とは呼びません。
また3人全員が合意の上で関係を結んでいる場合は、トライアドというふうに呼びます。
英語でトライアドというふうに仮に呼んでいるのですが、これも仮の名前で、
正しい単語はフランス語にしかないそうなんですね。
これさすがフランスと呼ぶべきなのかもしれないんですが、
英語のトライアド、これは三話文という意味ですね。
なので、あまり英語文化圏でも日常的に見られる関係ではないということなんだと思います。
三角関係は多くの文学に見られます。
その歴史は古く古代ギリシャの小説にすでに書かれていたといいますから、
ゆうに2000年の歴史はあるんでしょうね。
西暦2から3世紀のローマ帝国時代に書かれた小説
ダフニスとクロエは古代ギリシャを舞台にした恋愛三角関係小説で、
完全な形で現在まで残されています。
おそらくは紀元前24世紀まで遡るエジプト神話にも、
王オシリス、オシリスの妻イシス、オシリスの弟セトの造愛が描かれていますから、
三角関係と呼んでも良いかもしれません。
日本だと11世紀に、平安時代ですね。
11世紀の平安時代に書かれた源氏物語が恋愛小説の原点にして頂点でしょうか。
三角関係というよりは、この源氏物語の主人公光の君の関係を見ていると
多角関係ではあるのですが、
一つ一つ要素ごとに見ていけば三角関係小説とも言えます。
小説に三角関係が頻繁に描かれる理由なのですが、
これは物語としての魅力や人間の感情を深く描くための効果的な手法だからと言えるんじゃないでしょうか。
小説や音楽のような時間芸術には緊張感を与える瞬間が絶対に必要なんですが、
この三角関係は読者に緊張感を与えるにはうってつけの小道具と言えると思います。
また三角関係は読者にどちらを選ぶのという選択を考えさせるため物語に深みを与えます。
三角関係は多くのというかほとんどの人が体験したことがあるために
読者は物語に共感しやすいということもあるんでしょうね。
その結果として作者は物語を通して伝えたいメッセージを効果的に読者に伝えることもできるわけなので、
小説に三角関係が頻繁に描かれるということになっていると思います。
重力と愛の関係
ちなみに僕は恋愛小説は読むんですが、恋愛ドラマがすごく苦手で、
すごくリアルに感じるというか感情移入しすぎるんですかね。苦しくなってしまってちょっと見るのが苦手です。
さてここからはですね、三つながりということで、
三体問題という物理学、天文学の問題をご紹介したいと思います。
紀元前5世紀の古代ギリシャの哲学者エンペドクレスは、
宇宙には二つの力、すなわち引き合う力と反発し合う力があると考えました。
そして引き合う力は愛を司る女神ピロテスの力、
反発し合う力は争いを司る女神エリスの力としました。
例えばリンゴが地上に落ちるのは、リンゴが地上を愛するからというふうに考えたわけですね。
これがおそらく人類が初めて重力を理論的に説明しようとした試みになります。
後の哲学者たちは、重い物体ほど大地を強く愛するだろう。
だからより早く大地へ向かって落ちるだろうと想像しました。
後の哲学者と一言で言いましたが、このエンペドクレスが紀元前5世紀の方ですから、
その後、およそ2000年にわたって哲学者たちはこういうふうに考えたんですね。
物体は地上を愛する。そして重い物体は強く地上を愛する。
だから早く落ちるだろうというふうに考えたんです。
ガリレオ・ガリレイが16世紀に、重い物体も軽い物体も同じ速度を落下すると発見したことで、
哲学者たちは考えを改めなければならなくなったわけです。
もちろんね、そんなはずはないといった哲学者たちも多くいたわけなんですが、
ガリレオ・ガリレイはこの重い物体も軽い物体も同じ速度で地上に落ちるということを実験的に証明したわけですね。
それによってガリレオは重力と愛の関係を一旦断ち切ったことになります。
一旦といったのは、やはり重力と愛というのは文化的には強く結びついていたということなのかもしれないなと思っていて、
というのは20世紀のアルベルト・アインシュタイン、この重力を研究した物理学者としてはガリレオ・ガリレイが最初で、
それを決定的に数式に書いたのがイギリスのアイザック・ニュートンで、それを修正したのがアルベルト・アインシュタインなんですが、
この3人というのが歴史の転換点なんですが、このアルベルト・アインシュタインはこんなことを言っているんですね。
恋に落ちるのを重力のせいにしてはいけませんよ。
初めて僕がこの言葉を聞いた時には、アルベルトなんかロマンティックな言い回しをするなと思ったんですが、
その後アルベルト・アインシュタインの私生活を知るにつれ、お前が言うなよというふうに思いました。
彼はめちゃくちゃ恋大きい人で、晩年に至るまで恋大きい人で、そこかしこに愛人を作っているんですね。
なので、恋に落ちるのは重力のせいじゃなくてお前のせいだろうというふうに思ってしまうんですが、
ただ彼は重力の研究の第一人者で、ノーベル賞も取って、重力の研究でノーベル賞を取ったわけではないんですが、
物理学の能力としては世界第一級の人物で、彼が半ば恋に落ちるのを重力のせいにしていたということを考えると、
重力と愛の関係というのは少なくとも西洋文化の中では断ち切れないものだったのではないかなと思った次第です。
三体問題の紹介
恋愛の三角関係がややこしいように、天文学においても重力にはややこしい問題があります。
それが三体問題、英語ではThree-Body Problemというのですが、これは古くから知られています。
このアイザック・ニュートンが重力の法則を見つけたことで、天体の運行、地球は太陽の周りを回っていますし、月は地球の周りを回っていますから、
例えば地球が24時間後にどこにいるのか、月が24時間後にどこにいるのかということは、ニュートンが見つけた方程式を解くことで見つけることができるのです。
正確に言うと、太陽と地球と月、この三体はお互いに影響を与えあっているので、本当は太陽と地球だけとか、地球と月だけという問題ではなくて、この三体全体をひとまとめにして計算しないといけないのです。
ところがこの三つを同時に解く方程式というのはないのです。地球と太陽と月の位置関係を同時に解く方程式の解法はないのです。
では天文学者たちはどうしているかというと、まず太陽と地球についての方程式を解いて、次に地球と月についての方程式を解くということをしています。
3体、3つの途上人物がいるのですが、2人ずつ問題を解いているということです。
これは太陽がものすごく大きいから、地球や月に比べて太陽がものすごく大きいからできること、そして太陽と地球がうんと遠いんだけれども地球と月はうんと近いという、この特殊な関係があるからできることであって、
SF小説3体に描かれたような太陽が3つ並んでいる惑星系では、その惑星がどんなふうに動くかというのは予測することが非常に困難というか不可能かもしれません。
これ恋愛の三角関係と同じで、結果はカオスになるというふうに考えられています。
メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの方では、もう一つ数学者、物理学者が好む三角形の記号についてお届けをしているのですが、
そちらはメールで読んでいただくとして、このポッドキャストのエピソードの方では別の話題をお話ししたいと思います。
ニュースレターの方は無料でご登録いただけますので、よかったら概要欄の方からリンクをたどっていただければと思います。
このポッドキャストの方なんですが、ごめんなさい、前回のエピソードから少し間が空いてしまいました。
これはいくつか理由があるのですが、一つは一番大きい理由かもしれないです。
父を亡くしました。
覚悟は年も年ですししていたのですが、想像よりは急だったということがあって、急遽、大阪の実家に帰ったり、
お葬式の務主を務めたりとかでバタバタとしました。
今は徐々に通常の生活に復帰しつつあるのですが、
お通夜、お葬式があって、その翌日にですね、またこのすごいタイミングで、
僕がお手伝いをしているテッドX祭会という、お手伝いしているというか、もともとは僕がオーガナイザーだったのですが、
今は当時の仲間がオーガナイザーを引き受けてくれていて、
僕はお手伝いに回っているのですが、そのテッドX祭会のイベントがあって、
僕も現場にいて、エンジニア兼収録をさせてもらって、
これから動画の編集もさせてもらって、YouTubeで公開をしていきますので、
そちらも楽しみにしていただければと思います。
すごくいいトーク、特に僕たちと関係の深い数学の分野の、本当に最先端のトークが収録できましたので、
こちらも楽しみにしていただければと思います。
その同時並行で、勤務先変わってないのですが、オフィスの移転がありまして、
もともと長崎大学文教キャンパスというキャンパスにいたのですが、
これが長崎大学テクノロジーイノベーションキャンパス。
我々は通常スタジアムシティキャンパスと呼んでいるのですが、
長崎スタジアムシティという新しい施設に引っ越したのです。
隣がバスケットボールとサッカーのスタジアムなんですよ。
バスケとサッカー。
共有スペースからはサッカーのピッチも見えていたりして、
本当にスポーツに囲まれているオフィスなんですが、
引っ越しが結構、大学の行事の合間を縫って、
新しい施設なので、引っ越しの段ボールどうするんですかとか、
いろいろ決まっていないことがいっぱいあって、
今すぐ段ボールを出してくださいみたいなことがあって、
なかなか仕事が手につかなくて、
今日もこの収録しているネットが繋がらなくなったりとかして、
また床を剥がして、イサネットケーブルを引っ張ったりとかして、
なかなかまだ落ち着いていないんですが、
ようやく落ち着いてきたところかなと。
ほぼ1月経ってようやく落ち着いてきたかなというところです。
徐々に元の生活、元の創作活動に戻っていければなと思っています。
そんなマニアックな情報、毎日の情報を、
僕は日記ニュースレターを書いていまして、
ブログのようなニュースレターを書いていまして、
そちらでね、もうちょっと恥ずかしいので、
非公開ニュースレター、非公開というか、有料ニュースレターですね。
お金払ってでも読みたいっていう人には、
こっそり見ていただいてもいいかなというつもりで書いているニュースレターに書いています。
この収録日のニュースレターは、
ついに居場所を間違えましたっていうタイトルで、
これ何があったかというと、
複数のキャンパスを行ったり来たりしているので、
何かね、これも昨日あったことなんですが、
あと10分で会議ながら、そろそろ会議室に向かおうかなと思って部屋を出た瞬間に、
違うキャンパスだったってね、気づいたりとか、
自分が違うキャンパスにいることに気づかなかったわけですね。
そんな風にもう、頭の中がまさにカオスな状態の日々を過ごしております。
12月ということでね、
僕学生の頃ね、しわすって言うけど、
弟子も忙しいんじゃ、でしわすじゃ!っていうね、
あのダジャレを唱えていましたが、
もういつになっても12月、12月に限らないかな。
まあいつもロタバタしています。
そんなこんなで本当すみませんという謝罪をして、
今回のエピソードを締めたいと思います。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
Steam FMのイチでした。