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1️⃣19世紀のスイスに生まれたオーギュスト・ピカールは「冒険する科学者」でした

2️⃣オーギュストは気球によって世界ではじめて「成層圏」へ到達した人物です

3️⃣オーギュストの情熱はより困難な深海へも向かいました

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ニュースレター「STEAM NEWS」

金谷一朗(いち)

TEDxDejima Studioファウンダー・パイナップルコンピューター代表・長崎大学情報データ科学部教授

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目次

オーギュスト・ピカールの人生と業績
私の学習を妨げた唯一の者は 私が受けた教育であるアルベルト・アインシュタイン
いちです。おはようございます。
このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター、
Steamニュースの音声版です。
Steamニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
SteamニュースはSteamボートのりくみーのご協力でお送りしています。
冒頭でご紹介したのは天才物理学者アルベルト・アインシュタインのSteamな言葉。
彼は教育とは学校で学んだことをすべて忘れた後に残るものであるとも言っています。
[音楽]
改めましていちです。このエピソードは2023年3月23日に収録しています。
Steam.fmエピソード124では、Steamニュース第122号から、
冒険する科学者オーギュストピカールの話題をお届けします。
このエピソードをお届けしている3月24日は、スイスの科学者オーギュストピカールの命日なんです。
もし名前を知らなくてもどうか心配しないでください。
彼はノーベル賞を受賞したわけではありませんし、同時代の科学者アルベルト・アインシュタインに比べればどうしても無名の存在なんですね。
それでも彼はこのSteam.fmで取り上げるべき科学者なんです。
彼は科学のために命を懸けて冒険したんです。
オーギュストピカールは1884年1月28日、
双子の弟としてスイスバーゼルに生まれました。
兄のジャン・フェリックスとは一覧性ソーセージでそっくりだったそうなのですが、
弟オーギュストは左利き、兄ジャン・フェリックスは右利きということで母親は2人を見分けていたそうです。
ハリーポッターに出てくる魔法使いの双子、フレッド・ウィズリーとジョージ・ウィズリーも一覧性ソーセージで、
母親のモリーは時として2人を見間違えるという描写があったんですが、オーギュストとジャン・フェリックスの母親は見間違えなかったようです。
オーギュストはチューリヒコーカ大学で学んだ後、1922年、38歳でベルギーのブリュッセル自由大学の教授に就任しています。
そして1931年、オーギュストは人類で初めて地球の上空、星層圏へと到達します。
星層圏とはどの辺りでしょうか?少し解説しますね。
地球の上空は地面の近くから大流圏、星層圏、中間圏、熱圏、外気圏と重なっています。
つまり地球の空気はミルフィーユのように層になっている、層が積み重なっていると解釈できるわけですね。
一番地上に近い大流圏というのは、地上から上空およそ1万メートルぐらいまでなんです。
星層圏への挑戦
ここらへんまでがギリギリ空気があるというエリアで、民間のジェット航空機の最大高度、一番高いところもおよそこの辺りまでです。
世界最高峰の山、エベレスト、別名チョモランマーであったりサガルマータだったりするのですが、これ同じ山ですね。
世界最高峰のエベレストの標高が8850メートルですから、人類は歩いて大流圏を抜けることはできません。
また先ほどお伝えしたように、民間のジェット航空機でも大流圏を抜けることはできません。
大流圏というのは、地上の大気がぐるぐる回る、つまり大流するから名付けられた空気の層、圏なんですね。
とはいえ、大流圏の上限あたり、地上から1万メートルぐらいの高さのところ、ここの気圧が地上の1/5、0.2気圧ぐらいなんだそうです。
ジェット機は燃料を燃やすのにある程度濃い空気が必要なので、この高度以上になるとジェットエンジンが燃料を燃やせなくて飛べないということなんですね。
この大流圏を抜けた先にあるのが清掃圏です。清掃圏の存在はフランスの気象学者レオン・ティスランド・ポール、
そしてドイツの気象学者リヒャルト・アスマンらによって19世紀末から20世紀初頭にかけて発見されました。
発見の方法は今とさほど変わっていません。つまり、無人気球に観測機器を搭載して
上空へ飛ばしたんです。どこかで聞いたことのある話ですよね。何か国籍不明の気球が清掃圏を飛んでやってきたっていう話ね。
最近のニュースでもありました。こちら21世紀の現在でも無人気球は有効な観測手段なんですね。
しかしオーギュストピカールは自ら清掃圏へ行ってみたいと思ったんです。1930年のことでした。
後の宇宙ロケットにつながる世界初の弾道ミサイルの発射が1944年。
人類初の有人宇宙飛行が1961年ですから、オーギュストの想像力と行動力は凄まじいものがありますよね。
彼が清掃圏を目指したモチベーションの一つに、同時代のアルベルトアインシュタインの仮説が正しいかどうかを確かめるということもあったようです。
オーギュストは気球に吊り下げる特別なゴンドラFNRS1号を設計します。
ゴンドラは内外の気圧差に耐えられるように球形、まん丸のボール状にデザインされ、
半分が白にもう半分が黒に塗り分けられました。
計算の上では日が当たって暑くなってきたら、白い半分を太陽へ向けてゴンドラの温度上昇を抑えるというものでした。
ここらへんのエピソードを聞くとオーギュストピカールはただの科学者ではなくて優れたエンジニア、優れたデザイナーでもあったということですね。
そしてもちろん冒険者でもあったわけです。
最初の大気圏外への到達
ただこの仕組みだけはうまくいかず、2回目のフライトからはですね全面白塗りにしたそうです。
またゴンドラは当時まだ珍しかったアルミニウムで作られたのですが、加工技術を持っていたのがビール工場しかなかったため、ビール工場で製造されました。
いやオーギュストピカールは資金調達から工場の手配までしているので、プロデューサーと呼んでもいいかもしれませんね。
1931年オーギュストは同僚のポール・キップファーとともに、
上空15781mに達しています。 彼らは人類で初めて清掃圏に到達しました。
このフライトでは空気漏れや水銀の漏出などいくつもの致命的な事故がありましたが、
2人は起点によって乗り越えていきます。 空気漏れはですねこのゴンドラFNRS1号のどこかにヒビが入ってしまっていたようなんですね。
このFNRS1号なのですが、まんまる大きなスイカのような形ですから、先ほど申し上げた通りビール工場で作っていたのですが、
そのビール工場から運ぶ時にトラックにコロンと乗っけていたんでしょうね。
トラックからどうも落ちてしまったようで、その時にヒビが入ってしまったそうなんですね。
その当時はヒビ割れを見つける技術がなくて、オーギュストたちも知らずに乗り込んでしまって、
上昇中に気圧がどんどん下がっていくぞと、空気が漏れているぞということに気づいて、穴を塞がなきゃということになったようです。
おそらくですねこれは医療用に持ち込んでいったと思うのですが、ワセリンを使ってこのクラックを防いだそうです。
ワセリンだけでは塞がらないので、おそらくワセリンに何か手持ちの材料、混ぜ物をして塞いだんだと思います。
水銀の露出の方なのですが、こちらは気圧計に水銀が使われていたそうなんですね。
気圧計なのか、ひょっとしたら温度計の方かもしれません。
水銀とアルミニウムというのは反応して穴を開けてしまうので、放置はできない。
おそらくこのゴンドラの中というのは塗装されていますから、すぐに穴が開くということはないのでしょうが、
ただ塗装にもクラックがあるかもしれないので放置はできない。
現在でも民間航空機というのはアルミでできていますから、水銀温度計とかを持ち込むことができないんですが、それも同じ理由です。
この水銀を何とかしなきゃいけないということで、オーギュストはゴンドラの周囲はほぼ真空ですから、
これ真空に吸い出せばいいんじゃないかということで、ホースをコックにつないでこの機体の外に、ゴンドラの外に放出するというね、起点を聞かせました。
本当ね、ここらへん宇宙戦艦ヤマトで言うと、サナダさんですよね。
サナダ運用っていう言葉がね、日本の小学生探査機ハヤブサの時にね、言われて有名になりましたけれども、この1931年にすでにサナダ運用していたわけですね。
いやつい熱くなってしまいました。
1932年にはオーギュストたちは再び清掃船を目指し、上空16201mに到達しています。
この年にオーギュストは48歳になっていますから、人間何歳になっても挑戦できるということですね。
彼はその後も挑戦を続け、上空18600mの浮上記録も持っています。
wikipedia 日本語版ではオーギュストの記録として上空23000mという記述があるのですが、僕が調べた範囲では最高記録が上空18600mだったので、このエピソードでもその説を採用させていただきます。
いずれにせよ信じられない高度です。
精力的な活動と新たな挑戦
1930年代後半、オーギュストの情熱は深海へと向かい始めます。
空気のない清掃船へ行けるのなら、同じく空気のない深海へも行けるということなんでしょうか。
オーギュストピカールのゴンドラは内部が1気圧、外部が0気圧に耐えられるように設計されていました。
しかし海中となると話が違います。 海中ではおよそ10m降下するごとに水圧が1気圧高くなります。
水深100mではおよそ10気圧がかかります。 オーギュストは水深1000m、つまり100気圧にも耐えられるような
深海探査艇バチスカーフを設計しました。 バチスカーフというのは船の名前ではなくて、船の型のことなんですね。
新しい船の型、潜水艦のような型を設計したということです。 彼はバチスカーフとして
FNRS2号、3号、そしてトリエステ号を設計します。 このトリエステ号は1957年にアメリカ海軍の所有となります。
トリエステ号はなんと1000気圧に耐えられるように設計されました。 今度はアルミニウムではなくて
ドイツのクルップ車の 鋼鉄が使われました。クルップ車というのはこれ大砲のメーカーとして当時有名だったんですね。
1953年 オーギュストは
息子にしてトリエステ号の共同設計者ジャック・ピカールと共に トリエステ号に乗り込み
人類未踏の水深3150メートルまで潜っています。 70前後のトーチャン
オーギュストが30前後の息子ジャックを連れて冒険するわけですから 漫画みたいな展開ですね。
1960年トリエステ号は知られている限り最も深い場所
マリアナ海港のチャレンジャー海岸、チャレンジャーディープの海底に到達しました。 水深は後の計測で1911メートルだったことがわかっています。
登場していたのはアメリカ海軍の科学者ドン・ウォルシュと そしてオーギュストの息子ジャックでした。
ジャックは82歳になるまで深海の探検を続けたそうです。 これ絶対父ちゃんの影響ですよね。
ジャックの息子オーギュストの孫にあたるベルトランピカールもまた冒険家で気球による世界初の無着陸世界一周飛行を達成しています。
気球野郎ですよね。 ちなみになんですが
オーギュストの双子のお兄さんの方ジャン・フェリックスは アメリカへ渡って化学、化学の教授になったのですが
やはり気球野郎で クラスター気球という気球を発明しています。
これどんな気球かというと ピクサーの映画カール爺さんの空飛ぶ家を思い出していただくと一番近いかなと思います。
あの小さな気球をたくさん集めて大きな気球にするというものですね。
彼は金無崎のシカゴ大学の学生ジャネットと結婚するのですが 彼女も夫に感化されたのか
気球冒険家になり 高度17500mの上昇記録を達成しました。
いや教え子に手を出しているとか奥さんを清掃券に連れて行ったとかもう意味不明なのですが
まあ これも化学のためでしょう。
オーギュストとジャンフェリックスのピカール兄弟を主人公に 気球兄弟みたいな漫画ができそうですね。
というわけでこのエピソードでは冒険する化学者 オーギュストピカールについてお届けしました。
彼が設計し彼の息子が乗り込んだトリエステ号 地球で一番深い場所マリアナ海溝の
チャレンジャーディープに1960年に到達しています。 ここに2番目に到達した人物
意外な人物なんです到達したのは2012年のことなのですが 映画監督のジェームズキャメロンなんですね
オーギュスト・ピカールの冒険と業績
彼は新設計のディープシーチャレンジャー号に乗って 人類としては52年ぶりに
チャレンジャーディープに到達しています。 ジェームズキャメロン監督といえば
ターミネーターとか、そうですねそれからアバターが代表作になるかとは思うのですが、やはり海を扱った映画
そうですねアビスそしてタイタニックなんかでは この深海のシーンがものすごくね印象的に描かれていたのを思い出されることもあるじゃないかなと思います
彼は本当にね海が大好きなんでしょうねそんな彼のテッドトークこれは2010年のテッドトークなのであのディープシーチャレンジャー号に乗る前の
トークなのですがそういったものもメールでお送りしているニュースレター steam ニュースには掲載させていただいています
よろしかったらあのまたねメールアドレスご登録いただいて読んでいただければなと思います
テッドといえば今年のテッド2023からいくつかね トークをセレクトしてお届けする
テトエックスで島ライブというイベントのご案内をエピソード123でさせていただいていますので こちらもねよかったらエピソードを聞いていただいて
無料登録していただければと思います
今日ねこのエピソードをお届けしているのは3月24日になるのですが僕が長崎大学に 移籍して
最初の卒業生を送り出す日になります このエピソードをお聞きの皆さんの中にもこの春卒業するよという方あるいは青身内の方で
卒業される方がいらっしゃるよという方もおられるかもしれません 皆様本当におめでとうございます
特にね学生から社会人になられる方はこれからですね 勉強したり研究したりする時間というのを取るのが難しくなってくるとは思うのですが
生涯 勉強し研究していくんだということをね
忘れずにいていただけたらなと思います そんな意味でもオーギュストピカールは僕にとって目標とする科学者であり
冒険家でありエンジニアでありデザイナーであり プロデューサー
ですね エピソード中ではお話しできなかったのですが
兄弟のお兄さんの方ジャンフェリックスの 孫にあたる
ドンピカール 彼はですね
アメリカで気球製造会社を立ち上げてこちらもね 成功していたようです
先ほどはね気球兄弟という呼び方をしましたけれども気球ファミリーという方が 正しいかもしれません
エピソードの締めくくりと感謝の気持ち
このエピソードも最後まで聞いてくださってありがとうございました このポッドキャストは皆様からのご支援で無料で送信できております
今週もですねコーヒーの差し入れを本当にありがとうございます よろしければ概要欄のリンクをたどっていただければと思います
ではまた次のエピソードでお会いしましょう steam.fm のイチでした
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