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2022-02-24 24:58

贋作を見抜け!アーティストとサイエンティストの戦いの歴史【第67号音声版】#54

「偽の宝石」を作る方法について書かれた最古のパピルスがエジプトから見つかっています.今週は「贋作」に悩まされ,ときには贋作を超えたアーティストたちの物語をお届けします.デジタル・アートの真贋判定の切り札と一部で言われる「NFT」に関する「誤解」も解説します.

【お詫びと訂正】エピソード中「炭素16」と発言しているのは「炭素12」の言い間違いです.お詫びして訂正いたします.

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Photo by Yannis Papanastasopoulos on Unsplash

 

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市ですおはようございますこのポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
スティームニュースの音声版です スティームニュースでは科学技術工学アート数学に関する話題をお届けしています
スティームニュースはスティームボート乗組員の皆様のご協力でお送りしています
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改めまして市ですこのエピソードは2022年の2月24日に収録しています
今回のタイトルは願作を見抜けアーティストとサイエンティストの戦いの歴史です どうぞお楽しみください
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スウェーデン王立文学歴史考古アカデミーにはストックホルムパピルスと呼ばれている エジプトのパピルスが保管されています
このパピルスはギリシャ語で起源300年頃に書かれた写本で中には偽の宝石 偽の金を作る方法も書かれていました
発見したのはアルメニア出身の商人ジョバンニアナスタ氏で 現在のルクソウルで大量のパピルスを発見し売りさばいた人です
このパピルスの内容がまた面白くてですねどうやら 偽デモクリトスとあだなされた錬金術師たちの著作を釈用したようなんですね
偽デモクリトスは起源前460年生まれのギリシャの哲学者デモクリトスを勝手に名乗った学者たちで
彼らは錬金術にせて大量に書き残したために現代では貴重な資料提供者にもなっています
人類は起源前から願作を作ったり模造品を作ったり作者を偽ったりと忙しかったわけですね
1979年のアニメ映画で宮崎駿の初監督作品でもある ルパン三世カリオストロの城では偽札が物語を支えるテーマになっていました
1260年中国の元画 世界初の紙幣を発行した当初から偽札は存在したそうなんです
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願作は偽札のような経済的な目的の他に偽デモクリトスのような 権威づけのためであったり時には宗教的な理由で作られることもあります
ドイツのアルブレヒトデューラーは大量に願作を作られた画家で作品に他人の仕事と才能を略奪し模倣するものは呪われろと記したこともあります
デューラーは1471年の生まれなんですが グーテンベルクが活版遺冊を開発したのが1439年なんですね
当時はブックカースと呼ばれる魔法防止の呪いがよく使われていました これは本を勝手にコピーして出版するようなことがないようにという抑止策ですね
本の扉のところとかにですねこの本を書き写したものあるいはこう 勝手に活版印刷にして出版したものは呪われるということを書いておくんですね
これは結構効果的な方法だったそうです 一方で願作に手を出した芸術家も少なからずいました
例えば彼のミケランジェロは眠るクピド クピドというのはキューピッドのことですね
こういう彫刻を作ったんですがアンティークに見せかけるために人工的なエイジングを施しています
その後ですね、その作品が売れた後どうも取り戻して壊したいと周囲に漏らしていたようなので、今回はしていたようです
オランダの画家、画賞であったHan van Meehellenは20世紀で最も独創的巧妙な願作者の一人とも言われ
フェルメールの願作を制作していました 彼は17世紀の絵画から絵の具を回収して絵を描いて
絵の表面にエノール樹脂を塗ってオーブンで加熱してからキャンパスを丸めてですね
少し古い絵、モナリザの絵なんかもね 想像していただきたいんですけれども表面にも細かいひび割れが入ってますよね
これはクラクリュールって言うんですけれどもそれを意図的に再現するということもやっていました
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日本だと東山会議の版画の願作が出回ったことがあり、刑事裁判が現在でも続いています
国立西洋美術館も願作に騙されたことがあったようですし、やっぱりプロでも願作を見抜くというのは難しいようですね
その他いくつか著名な事件がまとめられたウェブサイトがありますのでこちらはあのニュースレターの方
メールでお送りしているニュースレターの方にリンクを貼っております
願作と新作を見分けるために真っ先に調べられるのがその作品の所有歴なんですね
絵画の場合は紙面で残されることが多く、初期の所有者から最新の所有者までの移転の記録が手書きで残されていると
鑑定家はそれを参考にしてこれは本物だろうと判断していくことになります
このように所有権の移転の記録を英語でチェーンオブカストディという風に呼ぶんですがこれ略してCOCですね
COCがあるとこの作品が新作であるあるいは願作ではないということの強力な証拠になるわけです
写真の場合でしたらプリントの裏にですね裏書きとして作者がサインを入れるあるいは所有者が
誰々さんから買い取りましたと言ってサインを入れるというようなことが行われています
日本の茶道具、これは茶道具とも呼びますがお茶碗とかですね
これ中身が非常に良いものの場合にはですねその道具に合わせた大きさの箱を作ります
でその箱の蓋に作者の方が箱書きと言ってまあこれは誰々が作りましたよということを書いておくんですが
これが誰かに売られた時にですね所有者がその箱の外側にもう一段箱を作って自分が持ち主ですよというサインをまた隅でするんですね
そしてもし持ち主が変わったとしたらさらに外側にもう1回箱を作ってぴったり収まるようにですね特注の箱を作ってそこにもまた
箱書きをしていくということをするんですまあこうやって coc を構築していくことになるわけですね
でもちろん元作かも coc を偽造しようとします まあところがですね
絵画の場合であれば小移転記録まあ作動具であれば箱書きそれから箱そのものをですね 最初の所有者の分から作り直していく必要があるために非常に手間がかかります
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これはまあこのエピソード後半でお話しようと思っている nft という新しい技術の根底にある考え方と同じです
nft の場合は 偽造が事実上不可能なのでデジタルハートの旧生種と勘違いされることもあります
さて coc 以外に元作かどうかを鑑定する手段がいくつも考えられています これらの方法はですね考古学でも使われる手法と全く同じです
おそらく一番有名なのは放射性炭素年代測定と呼ばれる方法で これは炭素14周りは英語でカーボン14という
自然下に存在する放射線源を利用するものです 地上の炭素カーボンは放射線を持たない
炭素16と放射性を持つ炭素14がおよそ1兆体1の割合で混在しています 動植物は環境から炭素をパクパク食べて体内に溜め込むので
生きている間は炭素16と炭素14の比率も環境と同じ1兆体1なんですね ところが同植物を1回死んじゃうと放射性を持つ炭素14
だけが放射線を放出して減少していきます 炭素14は約5730年で半減するので
動物由来あるいは植物由来の素材中の炭素16と炭素14の比率を調べれば 元の同植物がいつ死んだかがわかるわけですね
ある種死亡推定時刻みたいなもんですかね それが
何百年単位という人間の場合とは違いますけれどもそれでも死亡推定時刻ということを
言うことができるようになるというのがこのカーボン14を使った方法です 例えば1940年代に見つかった一連の死海文書
こちら当初は見つかった当初はですね本物の聖書写本なのか 後世の模造品なのか評価が定まりませんでした
しかしこのカーボン14を使った放射性炭素年代測定によって 紀元前250年頃から紀元70年頃の写本と分かり
現在では20世紀最大の考古学的発見と呼ばれています また塩白ですね鉛白と書いて塩白英語でリードホワイトなんですが
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こういう白顔料があります この白顔料にはわずかに放射性物質が含まれるんですけれども
このわずかに含まれる放射性物質の分量から 絵画の制作年代を推定する方法も用いられています
こちらはですねこの原料となる鉛の酸値によって 含まれる放射性物質の分量が異なることを利用しています
酸値がわかるということは当時使われていた顔料の輸入元 これは記録に残っているのでどこさんの鉛を使いましたかということを調べることで
絵画の制作年代を推定するものです 他にですね絵画のレントゲン写真を撮るような方法もあります
こちらはX1000を使います レントゲン写真を使うとですね
絵画の下地が見えるんですね その下地に
例えば17世紀の絵と言って売っていたのに 下地を調べたら19世紀の絵が出てきたとかですね そういうことがよくあるわけですね
そういった方法で真顔判定を行ったりとか それから絵の具を少量サンプリングして絵の具の成分を調べたりという方法も用いられています
ところで NFTという言葉聞かれたことありますでしょうか NFTは非代替性トークン
ノンファンジブルトークンのことで今アート界隈を大いに騒がせています NFTを一言で言えば
まあ作動具の箱書きですね 誰かの手に渡るたびに外側に新しい箱を作って
その中にこれまでの箱を収めます このようにして箱を的量子化にすることで
chain of custody COCを残すわけですね 箱の大きさには持ち主の個性が現れるので歴史を途中からやり直す
この的量子化途中からやり直すというのは困難なんですね NFTの場合にはこの箱作りに暗号試算で
使われるブロックチェーン技術を用います 暗号試算に関してはですねニュースレターで過去を取り上げていますので
まあよかったらバックナンバーもね ご覧を読みいただければと思います
簡単に言うと NFTというのは偽造ができないんです 事実上
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箱描きの例えで言うと箱が毎回この3Dパズルのようにもうめちゃくちゃ複雑で それにぴったりはまるような外箱を実用的な時間内に模倣するというのがまあ
無理だというようなことをね想像していただければいいんじゃないかなと思います では
NFTは新作か元作かの鑑定の切り札になるでしょうかというと なりません違います
偽造できないのはNFTだけなんです 外箱だけなんです
NFTは箱描きなんですそして箱の中身つまりアート作品は 模造できるんです
なんだったらコピーできるんですもう あのデジタルデータとしてのアートだったらそれはコピーいくらでもできるんですね
世の中には NFTアートを名乗るデジタルデータ これ多数あります
まあこのようなコンセプトも含めて実験的アートだと思ってお金を出す分には問題ないんですけれども
一部のアーティストの方、アート愛好家の方がこれは絶対複製されないデジタルデータだと勘違いして
NFTアートを購入するという事故が後を絶たないんですねこれは 大変悲しいことです
繰り返しますが NFTは取引の申請性を担保しようとしているもので
アート作品が新作であるということを担保するものではありませんしそれを目指しているものでもありません
どうかねそこを勘違いされないようにしていただきたいなと思います
このエピソード前半の締めくくりとして本物を超えた願作の話をしたいと思います
アニメカリオストロの城作中の偽札についてルパンはかつて本物以上と称えられたと紹介しています
冒頭でご紹介した20世紀最高の願作家ハン・ファン・メーヘデンは優れた描画力に加えて
科学工学に裏打ちされた技術力で本物以上とも言われた願作を制作しました
彼はフェルメールの作品をナチスドイツの高官ヘルマン・ゲーリングに売ったという理由で
第二次世界大戦終了後にオランダ政府によって逮捕起訴されています
この時彼にかけられた言葉は「売国奴」ですねオランダの国宝ですもんねフェルメールの作品といえば
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これを敵国ドイツに売った「けしからん」ということですね
最後継は死刑が想定されたそうなんですね
でそのファン・メーヘデンは死刑を恐れてついに自分は願作を制作していたということを白状します
そうするとですね今度は世間は手のひらを返して
「なんだとナチスに偽物を売りつけたのか」と
急になんか国の英雄になったわけですね
でまあその願作を作るというのは罪は罪なんですけれども
その裁判どちらかというともうほぼ形だけのようなものになったんでしょうかね
当時一番軽い罪であった禁酒1年の刑が言い渡されています1947年のことです
ただ彼はですねどうもアルコールに溺れていてそれからひょっとしたらの薬物にも手を出していて
その禁酒刑を受ける前にバレリウス病院というねアムステルダムの病院の中で心臓発作で亡くなっています
ファンメヘレンの死後彼が願作だと告白した作品の塩パクリードホワイトに含まれる微量の放射性物質が調べられて彼の告白が正しかったことが裏付けられました
彼の作品というのはその後何度もですね調査を受けてその度にやはり願作だったということがですね裏付けられています
というわけで願作をめぐるサイエンティストとアーティストの話題をお届けしてきたわけなんですけれども
ニュースレターの方ではですねおすすめ書籍として今回は漫画をご紹介しています
ゼロ ザマンオブザクリエーションという漫画でもこれ願作者ゼロというね主人公が出てくるエンターテイメント作品をご紹介しています
結構現実離れしたストーリーではあるんですけれども 東山会の願作事件を予見するようなエピソードが途中挟まれていて
結構リアリティもあるなぁと思ってですね紹介させていただきました ニュースレターではですね
毎週他におすすめテッドトークというコーナーも用意してまして 今週はですね父は偽造者というトークをご紹介しています
これはサラカミンスキーというスピーカーが 彼女のお父さんがですね
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文書公文書を偽造していたでもそれは人を救うためにやっていたというねお話をされて いるんですけれども大変興味深い遠くなのでこちらも良かったらのニュース
レターをねご登録いただいてバックナンバー見ていただいて リンクを踏んでいただくとそのテッドトークに飛びます
あのトークはねフランス語なんですけれども日本語字幕がボランティアによって つけられているので楽しんでいただけるんじゃないかなと思います
このエピソードを収録しているのは2022年の2月24日なんですが ロシアがウクライナに進行を始めました
僕はなんかどういうわけかその東ヨーロッパって惹かれるんですね学部生の頃は ロシア語を学んでいましたし当時はですねまだソビエト連邦があって
東ヨーロッパでは紅葉語がそこそこロシア語だったんですねまぁ今例えば ウクライナは紅葉語はウクライナ語ですし
エストニアはエストニア語だったりとかするんですけれども当時はロシア語を使い なさいというかソビエト連邦の
加盟国はですね強制されていて
ロシア語が使われていましたソビエト連邦崩壊直後はですね ロシア語が使える国が15カ国になりました15倍に増えましたなんてね冗談も言われた
ぐらいなんですね でそうそう僕ねあのエストニアの電子政府の電子居住権も持ってるんですよ
でもそのぐらいこう 東ヨーロッパって惹かれてるんですけれどもなのでまぁ個人でね
何ができるかというと何もできないんですけれどもそれでもちょっと気になっても朝から ずっと
アルジャジーラーをニュースを流しています でまぁずっと考えているのがそのロシアがなぜウクライナを欲するのかということなんですね
もちろんそのナトー諸国との間に干渉地帯が欲しいというのはまあわかりやすい理由 なんですけれどもそれに加えて
まあ西側と円を切ってもやってくるやっていけるという 自信のようなものがこれがまあ芽生えているのかもしれないです
ロシアはエネルギー大国ですし ウクライナっていうのはね国物が取れますしそれから航空宇宙産業ありますし
でソ連時代ってこのハイテクに困っていたわけなんですけど今はね中国があります からね
でもそれだけじゃないような気がするんです ヒントをニュースレターの方に少し書いてみました
今回も最後まで聞いてくださってありがとうございましたまた次回 ポッドキャストでお会いしましょう市でした
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Sometimes you get something good and you don't know why
Sometimes it all comes together you know it's right
A feeling like this never gets old
Whatever I do, I won't let go
Look at us now
Our moment we own it no doubt
There's nothing that's holding us down
You and me as good as could be
Living this dream that we found
Look at us now
Oh look at us now
(♪ロックンロール)
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