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1️⃣学問には「構造」という考え方が不可欠です 2️⃣数学者は「1+2=3」という式からある構造を導き出しました 3️⃣構造は強力な道具ですが「疑似科学」の道具にもなります

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サマリー

学問における構造の考え方が解説されます。具体的には、整数の足し算と分数の足し算が同じ構造を持ち、構造の力を利用することで未知の現象や数学を理解することができることが紹介されます。構造というハンマーを持つ学者たちの言葉によると、全てが釘に見えることもあります。このエピソードでは数学における構造の考え方について話されています。

目次

構造の考え方とは
一です。おはようございます。今回のエピソードでは、学問における構造についてお届けします。
構造って一体何なんでしょうか。改めまして一です。このエピソードは、2023年9月13日に収録しています。
このポッドキャストSteam.fmは、僕が毎週お送りしているニュースレター、Steamニュースの音声版です。
Steamニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
Steamニュースは、Steamボート乗組員のご協力でお送りしています。
このエピソードでは、Steamニュース第145号から、構造という考え方についてお届けをします。
学問分野によっては、構造主義という大げさな呼び方をされることもあるのですが、このエピソードでご紹介するのは、数学における構造です。
前回のエピソード、危険だと思うことが危険な科学物質。
DHMOでお伝えした通り、福島第一原発からアルプス処理水の放出が始まっています。
放出される処理水は、ほぼ海水で希釈されたトリチウム水であり、生態系への区画的な影響は考えられません。
一方、とある巧名な社会学者が、トリチウム原子が有機物と結合すると生態濃縮され得るとつぶやいて、専門家から間違いを指摘するコメントを寄せられていました。
確かに生物にとって有害な物質のうち、生物濃縮するものもあります。
水銀中毒を引き起こすメチル水銀はその代表例でしょう。
しかし、化学的化学的には水素原子とほとんど変わらないトリチウムは生態濃縮されないことが知られています。
もし濃縮できるのならば、そもそも放出前に除去できることになりますよね。
普段の社会学者がどのような思考過程でトリチウムが生物濃縮されると勘違いしたのかはわかりませんが、
おそらくですね、ご専門の社会学でよく見られる構造という考え方の影響があったのではないかと、僕個人は思うわけです。
例えばですね、メチル水銀という化学物質はAというプロセスで生物濃縮されるという事実から、
2eのXという化学物質はAというプロセスで生物濃縮されると推論をして、
そこから、トリチウムという化学物質はAというプロセスで生物濃縮されると結論したのかもしれません。
最初の推論は拡大解釈だったわけなんですが、このような拡大解釈を試すこと、
あるいは既存の理論の中に拡大解釈をする余地があるかどうかを探すことは、学問上大変に有効な方法ではあるんです。
整数と分数の構造
さて、学問における近代的な構造という考え方の原点は数学にあります。
それもとても単純な整数の足し算の中に隠されているんです。
整数というのは、1,2,3といった自然数に0とマイナスの数を加えたものです。
マイナス無限大から始まって、マイナス3,マイナス2,マイナス1,0,1,2,3,そして無限大へと無限に続いていくのです。
ご存知の通り、整数同士で足し算ができます。1たす2は整数同士の足し算です。
1たす2はもちろん3になるのですが、ここで重要なのは3もまた整数であるということです。
一般に整数プラス整数、整数たす整数は再び整数になります。
整数の特徴は他にもまだあります。どんな整数に0を足しても元の整数のままなのです。
100たす0は100ということです。0はいくつ集めても0というものも0たす0は0で説明ができます。
そして0自身も整数なのです。これは大事な性質です。
整数の足し算の3つ目の特徴は、足し算の順番がどうでもよいということなのです。
1たす2たす3という足し算があったときに、先に1たす2を計算してから3を足しても、
先に2たす3を計算してから1を足しても結果は同じく6になります。
実は今リスナーの皆さんは整数の構造を知ったところなのです。
整数と整数を足したものは再び整数になること。
足しても変化しない0も整数の一つであること。
足し算はどの順番で行っても良いこと。
この3点が整数の構造を表しています。
どうしてこれが構造なのかというと、次にお話しするような別の数学が存在するからなのです。
構造の応用
リスナーの皆さんはもちろん分数をご存知ですよね。古代エジプト人も分数が大好きでした。
分数で有名なのは半分を意味する2分の1でしょう。
分数は何分の何、そうですね。
横に書いていくと三角スラッシュ四角、縦二角と三角横棒四角というふうに表される数で、
三角や四角は整数でなくてもいいのですが、今のところ整数に限定しておきます。
このような整数の分数のことを数学者は有理数と呼ぶのですが、
便宜上今は分数で通します。
分数たす分数は分数になります。
例えば2分の1たす3分の1は6分の5になります。
もちろん半分たす半分、2分の1たす2分の1は全部、すなわち1というふうに言いたいところなのですが、
全部は1分の1ともかけるので分数であることに違いはないのです。
分数同士の足し算は分数です。
分数同士の足し算の順番を入れ替えても結果は変わりません。
そして分数にもゼロに相当する数があります。
それはとある偶然によって整数のゼロと同じなのですが、
分数の世界では1分の0と書くことができます。
というわけで我々は分数のゼロのことを1分の0というふうに思っておきましょう。
2分の1、これは数学では1スラッシュ2、あるいは1横棒2と書いて2分の1というふうに読むのですが、
これ日本語のお約束ですね。
英語では1オーバー2というふうに読みますし、読み方は実はどうでもいいんですね。
なので今日のところ、今日だけ2分の1と書いて1月2日と読むことにしましょう。
そうするとですね、1月2日たす1月3日イコール5月6日というふうになります。
字面だけ見ると意味がわからないのですが、これはこれで正しいのです。読み方を変えただけなので。
こうなると足し算記号を足すですね、漢字の10みたいな記号も別のものにしておいたほうが良さそうです。
ここではですね、丸に十字、簡単に言うとしまづけの仮文ですね。
これを使うことにしておきましょう。
1月2日丸たす1月3日イコール5月6日です。
こうするとですね、整数と分数というのはもうまるで違うものに見えるわけですね。
字面の上では。ところが整数とたすプラスと分数と丸たす分数としまづけの文章の関係はですね、そっくりなんですね。
整数たす整数は整数ですし、丸たす分数は分数ですし、
整数に0を足しても変化しないというのは、分数に0月1日を丸たすしても変化しないのと同じ。
他に計算の順番を入れ替えても答えが同じになるというのもそっくりなんです。
これを整数と分数は同じ構造を持つというふうに言います。
さてここからがトリックです。
もう数字の1とか2とか、あるいは1分の2とか3分の4とか、具体的なイメージがなくても議論を進めることができるようになったんです。
整数とたすと同じ構造を持つものは数学上たくさん見つかっています。
例えばですね、僕たち計算機科学者がよく使うリストという考え方、これは表計算ソフトを実現するために使われるテクニックでもあるんですが、
このリストというデータ構造、実は整数とたすと同じ構造を持っているんですね。
つまり足し算について我々が理解すれば、足し算についてはもう十分理解しているんですが、
もし足し算について理解すれば、リストについても同じだけ理解していると言えるわけです。
これが構造の力なんですね。
構造という考え方は数学のみならず、社会学や人文学においても議論の見通しを良くするので頻繁に用いられています。
未知の現象や未知の数学が基地のものと同じ構造を持っていたとすると、僕たちは立ちどころにその現象や数学を理解できるんです。
いや、理解できるは言い過ぎかもしれませんが、理解したことにできるんです。
メールでお送りしているニュースレターはSteamニュースの第32号になるのですが、結婚の数学というタイトルでお送りをしていたんですね。
この結婚の数学の中で、レビストロースという学者による構造のご紹介をさせていただきました。
レビストロースはですね、構造という考え方を人類学に当てはめて学問を大きく前進させた方なんです。
一方で数学における構造をよく理解しないまま、社会学や人文学に無理やり当てはめている例も見られます。
冒頭でご紹介した区断の社会学者さんもひょっとしたらその一例に名前を残すかもしれません。
構造というハンマー
英語の言葉座にハンマーしか持っていなければ全てが釘のように見えるという言葉があります。
構造というハンマーを持ってしまった学者たち、ひょっとしたら身の回りのものが全て釘に見えてしまうのかもしれません。
構造というハンマーはあまりにも強力なので、何でも構造でぶっ叩こうというする態度を持つ方もいらっしゃるのは事実です。
というかですね、各有僕もいつも血まなごになって隠れた構造を探しています。
釘はないかと探しているんですね。
steam.fmのエピソードのネタ探し何度もその最たるものかもしれません。
というわけでですね、もし僕のsteam.fmの中であるいはメールでお送りしているsteamニュースの中で行き過ぎたハンマーぶっ叩きがあった場合はですね、
直接メールしていただいても大変嬉しいですし、ネットの片隅で、
ハンマー野郎というふうにつぶやいてもらっても大変結構かなと思います。
時々検索して反省したいと思っています。
というわけで今回のエピソードでは、数学における構造という考え方のエッセンスをお話をさせていただきました。
少し数式っぽい表現があったので、言葉ではイメージしづらかったかもしれません。
よろしければですね、無料でお読みいただけますので、
メールでお送りしているニュースレターsteamニュースをご登録いただいて読んでいただければと思っております。
メールでお送りしているニュースレターsteamニュースの方では、構造主義にまでは踏み込んでいないのですが、
今週の書籍のコーナーで構造主義の入門書をご紹介しています。
これがなんとですね、内田達郎先生なんですね。
このエピソードの内容の流れで内田達郎先生を引き上げ出すっていうのはほぼギャグなんですが、
ただこの内田達郎先生の本ですね、寝ながら学べる構造主義という本なのですが、いい本でした。
優しい語り口でポイントを抑えていて、それに間違いというものはなかったように、
僕がこういうふうに語るのは非常に僭越なのですが、間違いはなかったと思うので、
寝ながら学べる構造主義という本、入門書としては僕は優れた本だと思うので、
ご紹介をさせていただきました。
いつかまたsteam.fmでも本格的に構造主義のお話をできればなと思います。
雑談のお時間です。
タイに行っていました。
というわけで、このsteam.fmの配信が少し間が空いてしまったのですが、
タイでの滞在
昨日ですね、無事タイから帰ってきました。
タイにはですね、長崎大学情報データ科学部の学生の短期留学の院卒で、
去年から毎年行っているんですね。
去年は学生の留学期間全部滞在していたのですが、
今年から教員が担当教員入れ替わりということで、
僕は前半だけ参加して、一足先に帰ってきました。
去年はですね、いろいろコロナもあったし、
タイの雨季で洪水と重なって、
本当にタイミングが悪くてひどい目にあって帰ってきたのですが、
今年はすごく天気も良くて、
コロナもそうですね、現地でもコロナ流行りつつはあったのですが、
入国、それから出国の時の検査というものが省略できたので、
だいぶプロジェクト自体は去年に比べると楽に進めることができました。
今回の滞在は日曜日を挟んでいたので、
日曜日は授業とかは入れてなくて、
僕も半日自由に行動できる時間があったので、
タイ・バンコクのミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート、
これモカという風に読んでいいんですかね、
MOCAという美術館に足を伸ばしてきました。
これすごく良かったです。
もしバンコクに行かれる機会があれば、
市内から少し北へ移動することになるんですが、
電車で行けますので、おすすめです。
ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート。
なんか気に入った作品があったので、写真撮っていいですかという風に聞いたら、
いいですよって作品の説明もしてくれたので、
またね、インスタグラムとかにアップしようかなと思っています。
というわけで、今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
ようやくね、暑さも和らいできたかなというところなんじゃないかなと思います。
今回のエピソードラストは、
ティム・ハール・ペリンの曲で、
The Best Thingsという曲を聴きながらのお別れになります。
Steam.fmのイチでした。
本当に聞いてくださってありがとうございます。
ではまた次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
24:58

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