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2025-08-29 26:59

スモール・ワールド現象【第248号音声版】

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スモール・ワールド現象【第248号】

6人で世界とつながる,数学が解き明かす人間関係の秘密.

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くれっぷ

サマリー

スモール・ワールド現象に関するエピソードでは、6次の隔たり仮説について解説されています。これは、知り合いを介して6人以内でつながるという理論です。また、数学者ポール・エルデッシュの業績や、彼との近さを測るエルデッシュ数についても詳しく触れられています。スモール・ワールド現象に関して、エルデッシュ数やベーコン数を通じて数学者と俳優の近さを測る興味深い話が展開されています。さらに、ポッドキャストの収録方法の変更や新しい機材の導入についても語られています。

スモール・ワールド現象の概念
いちです。おはようございます。今回のエピソードでは、スモール・ワールド現象についてお届けをします。このポッドキャストは、僕が毎週メールでお送りしているニュースレター、
STEAMニュースの音声版です。STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、STEAMボードの取り組みのご協力でお送りしています。というわけで、このエピソードは、2025年8月29日に収録しています。
前回からBGMを変えたりとかしているのですが、これ、理由がありまして、収録環境を少し変えようとしているのですが、また番組後半で、
そういった事情の説明もさせていただこうと思っています。今回のエピソード、STEAMニュース第248号から、
スモール・ワールド現象、6人で世界とつながる数学が解き明かす人権関係の秘密というテーマで、お送りをさせていただきます。
皆さんは、この世界は狭いなと思われたこと、終わりだと思うんですね。しかも、一度ならず、二度、三度、ご経験が終わりなんじゃないかなと思います。
このような現象、スモール・ワールド現象というふうに名前がついているのですが、社会やネットワークの中で、意外とみんなが近い距離でつながっているという現象を指します。
例えば、知り合いの知り合いをたどっていくと、世界中の誰とでも6人以内でつながるといった、6次の隔たり仮説が有名です。
6次の隔たりというのは、見ず知らずの遠くにいる誰かさんと知り合いの知り合いをつないでいくと、間に何人入るのかというカウントなんですが、
普通は、そんなに100人でもつながらないでしょうって思いがちなんですが、これは過去の実験によると、意外と少ないんじゃないかという説ですね。
6人説が一番有名なのですが、間に6人、つまり7人目で任意の人とつながるという説なんですが、これどこから来ているかというと、
1960年代、アメリカの心理学者スタンレイ・ミルグラムが行った実験が大元になっています。
ミルグラムは、アメリカの中西部、オハマに住む人から、ボストン在住の特定の人物まで手紙を知人伝にリレーして届けるという実験を行いました。
1960年代なので、インターネットもソーシャルネットワーキングサービスもない時代ですので、ボストンの誰々さんが知っていたら直接お手紙を送ってくださいと、
知らなければ知ってそうな人にお手紙を送ってください、その時にあなたの名前を書き足していってくださいという実験をしたんですね。
その結果、平均して間に6人中継すれば、ボストンの方にお手紙が届いたという実験で、これが今、SNSの時代ですから、この実験も繰り返されています。
フェイスブックでは、2人の間に何人、人を挟むとお互いに繋がるかという実験もされていまして、これは平均3.57人、試写後にしたら4人ですね。
フェイスブックユーザーの間には平均して4人の隔たりがあると、4人に返せばフェイスブックの全てのユーザーと繋がるんじゃないかというようなことが言われているわけです。
意外と少ないですよね。
このスモールワールド現象、単なる人間関係ではなくて、インターネットやソーシャルネットワーク、科学者の協調ネットワーク、科学者というのは論文を協調で書きますから、
協調者の協調者、協調者の協調者の協調者というふうに繋がっていけるわけですね。そういった協調ネットワーク、それから俳優の協調関係、俳優の場合協調じゃないですね、共演関係ですね。
俳優の共演関係など様々なネットワーク構造で観察されています。
つまり間に挟むニーズって意外と少ないんじゃないか、スモールワールドなんじゃないかということが言われているわけです。
ここで有名なのが数学者ポール・エルデッシュという方との近さを表すエルデッシュ数という数、ポール・エルデッシュという有名な数学者がいらっしゃるんですが、
彼との近さであるとか、あるいは俳優ケビン・ベーコンとの近さを表すベーコン数という数が存在するんですが、それらもスモールワールド現象を示す一例なんです。
ではその数学者ポール・エルデッシュってどんな人っていうのも気になってくるかと思うんですが、このエピソードの中ではポール・エルデッシュの業績の一つ、そしてエルデッシュ数というのが一体何なのかというお話をしていこうかなと思います。
ポール・エルデッシュはハンガリー出身の数学者で、20世紀で最も多くの論文を書いた人物としても知られています。
その数なんですが、なんと1500点以上、1500点ですからね。
論文というのは、ただ思ったことを書けばいいというわけではなくて、何か新しい発見があったということを書かないといけませんから、つまり1500以上の発見をしたということですね。
数学史を通して最も論文を書いたのがレオンハルト・オイラーというふうに言われています。18世紀の方です。
オイラーに次ぐ2番目の執筆量というふうにされているんですね。
オイラーは18世紀の方なので、その後200年以上の論文を調べる期間があったということもあって、
またオイラー自身もちょっと言いがけな論文も書いていたらしいので、実際に現在までに通用している論文というのは1500はないんですが、
その意味では、ひょっとしたら人類史で一番正確な論文を書いた人物としてエル・デシューというのはカウントされるかもしれません。
ちょっと僕も自信がないですが、そのぐらい歴史上、数学史上一二を争う論文を書いた方でして、なんと1日20時間研究していたそうです。
エジプト式分数の紹介
その秘訣なんですが、アンフェタミン、覚醒剤の一種ですね。これを常用していたそうです。
エル・デシューはこんなことを語っていらっしゃいます。
講義をしていて、黒板に重要な証明を書き終えたとき、聴衆の誰かが一般的な場合はどうなんだと叫ぶ。
私は聴衆に向かって、それは次の世代に任せますと微笑み、そしてその場で倒れ死ぬ。
これがエル・デシューの生涯の目標だったそうなんですが、彼はなんと83歳でワルシャワーで開かれていた数学の会議に参加していて、心臓放射で亡くなっているんですね。
かなり目標に近い亡くなり方をしているというふうに言えるんじゃないでしょうか。
エル・デシューは非常に多くの協調者がいたことでも有名です。論文を協調で書いていたんですね。
科学論文における協調者というのは、その論文の執筆や研究に実質的に貢献した人物のことを指します。
例えば研究のアイディアを出した人、実験やデータ解析を行った人、論文の執筆や構成に関わった人などが協調者となります。
協調者は論文の著者一覧に名前が記載され、研究成果に対する責任と貢献を共有します。
本校執筆時点、これはスティームニュースの執筆時点、このエピソード収録時点と変わってないんですが、エル・デシューの協調者としては514人が数えられています。
すごいですね。エル・デシューは1996年に亡くなっていることから協調者の人数は今後さほど増えないと考えられています。
さほどというのは、実はエル・デシューが亡くなった後、協調者が若干増えているんですね。
協調の方がエル・デシューが生前一緒に書いてくれていたということで、確か2年前の数値で512人だったんですが、
このスティームニュース執筆時点、このエピソード収録時点では514人に増えていました。
エル・デシューと協調論文がある人物にはエル・デシュー数1が与えられます。
エル・デシュー数1の人物と協調論文がある人物にはエル・デシュー数2が与えられます。
このようにして科学者は自分のエル・デシュー数を求めることができるんです。
エル・デシュー数の研究者は科学者に向かって、あなたのエル・デシュー数は意外と小さいですよというふうに訴えています。
2022年の時点でエル・デシュー数を持つ数学者のエル・デシュー数の中央値なんですが、これは5なんだそうです。
エル・デシューとあなたの間の人物は、これエル・デシュー数とは本人までのカウントなので、
間に入る数というのはエル・デシュー数マイナス1になりますから、中央値は4と4人挟めばエル・デシューにたどり着くんですよというふうに主張がされています。
意外と少ないというか、かなり少ないんじゃないかなというふうな印象を受けます。
エル・デシューがどんな仕事をしたのか、1500本も論文を書き1500もの発見をされているので、そのほんの一部なんですが、
エル・デシューが生涯をかけて研究をし、おそらく最後の研究の一つでもあったエジプト式分数についてご紹介をしたいと思います。
これは別名、エル・デシュー・ストラウス予想とも言います。
ここで古代エジプトの話になります。
古代エジプトでは独自の数学が発展したんですが、その一つがエジプト式分数というものです。
古代エジプト人は分数を使いこなす賢い人たちだったんですが、ちょっとしたこだわりも持っていました。
それは分子、分布数というのは分子割る分母になるんですが、この分子がいつも1になることを好んだんです。
もうこれ本当に理由不思議なんですけれども、分子1でないと嫌だったんですよ。
非常に実用性を重んじたエジプト人たちですから、分子1というのは都合が良かったんでしょうね。
例えば3分の4という分数が出てきたときに、3分の4は嫌だと。分子が3というのは嫌なんだ、気持ち悪いんだと。
だから3分の4と書かずに、1分の2たす1分の4って書いたんですよ。
3分の4は1分の2たす1分の4って書いたんです。
1分の4たす1分の4たす1分の4でも全部分子1なんですが、
エジプト人は分母は1個1個違った方がいいと。
分子が1となる分数は単位分数というふうに呼びます。
英語ではユニットフラクションですね。単位分数というふうに呼びます。
分子が1以外、単位分子でないものは単位分数の和で表したかったんですが、
古代エジプト人は単位分数も全部違うものであってほしかったんですね。
4分の3というのは4分の1たす4分の1たす4分の1ではなく、
2分の1たす4分の1単位分数たす単位分数という形にしたかったわけですね。
例えば5分の2はどうかというと5分の1たす5分の1ではなく、
3分の1たす15分の1というふうに書かれました。
5分の2は3分の1たす15分の1。
これはリンド数学パピルスというエジプト最古の数学書にも書かれています。
このリンド数学パピルスにはN分の2、Nというのは自然数ですね。
これが3から101まであったそうです。
これを分解する、x分の1たすy分の1とか、x分の1たすy分の1たすz分の1というふうに、
2つあるいは3つの単位分数に分解するという表が書かれていました。
これ単位分数3個の和ではなく、単位分数4個の和も出てきています。
一例を挙げると101分の2、こんな大きな数字まで分解していたんですね。
これ起源税の話ですからすごいですよね。
101分の2というのは101分の1たす202分の1たす303分の1たす606分の1というふうなことが書かれています。
単位分数4個に分解している。
この式は正しいんですね。
エルデッシュ数とベーコン数
ただし、101分の2というのは、52分の1たす5252分の1という2つの単位分数にも分解ができます。
一般的にn分の2というのは2個の単位分数の和に分解できることが知られているのですが、
古代エジプト人は分解された単位分数の個数にこだわりはなかったようです。
ただし、その後ヨーロッパの数学者たちは、n分の2というのは何個の単位分数の和で表せるんだろうというふうに考えて、
n分の2の場合は2個に分解できるというのを発見しています。
n分の3は2個または3個の単位分数の和に分解できるということも知られています。
では、n分の4、分子が4の分数は何個の単位分数の和で表せるのか。
これ4個以下であるということは数学的にわかっています。
エルデッシュともう1人、エルンスト・シュトラウスという方が実は3個以下じゃないかと予想したのです。
分子が4の分数、分母は自然数です。
この分数は4個の単位分数に分解できるのは証明されているのですが、
エルデッシュとシュトラウスは3個以下ではないかと予想したのです。
これ残念ながら数学上の未解決問題でまだ証明はされていません。
ただしコンピューターによる力任せの探索によって10の17乗までは調べられています。
それによるとエルデッシュとシュトラウスの予想は正しいようです。
10の17乗以下ではエルデッシュとシュトラウスの予想は正しいということがわかっています。
ということは実用上はエルデッシュとシュトラウスの予想はそのまま正しいというふうにして使えるんじゃないかなということですね。
びっくりですね。
このエルデッシュ数というエルデッシュとの今のシュトラウスさんは協調論文があるのでエルデッシュ数1ですが
エルデッシュと協調論文がある人に何時の隔たりがあるかというのをエルデッシュ数と呼んだわけなんですが
似たような考え方にベーコン数というのもあります。
こちらは俳優ケビン・ベーコンと共演したことがあるかという数で
共演したことがある俳優さんがベーコン数1
ベーコン数1の俳優と共演したことのある俳優がベーコン数2というふうに数えるんですね。
日本の俳優さんだと渡辺健さん、真田裕之さんがベーコン数2ということで
ケビン・ベーコンまで距離が2、間に1人挟むということですね。
隔たり1ということになります。
意外と日本の俳優さんも近いですよね。
こういったお遊びのついで何でしょうが
エルデッシュ・ベーコン数という数があります。
これは数学者エルデッシュと俳優・ベーコンとそれぞれへの近さを測る距離で
要はエルデッシュ数とベーコン数を足したものです。
これが面白いことに西洋人はこういう異質なものを足し合わせるのが好きなのかもしれないですが
チェス・ボクシングとかありますよね。
チェス・ボクシングってご存知ですかね。
チェスの試合とボクシングを交互にやるゲームなんですけれども
これは頭脳と腕力、腕力なのか体力なのかなんですが
頭脳と頭脳の最高峰、西洋で言えばチェス、スポーツの最高峰、個人技の最高峰としてのボクシングと
交互に試合してどっちが勝ちか決めるというチェス・ボクシングってあるんですけれども
そういう意味では数学者としての協調論文者としての距離、エルデッシュ数と
俳優としてのケビン・ベーコンへの距離、ベーコン数、サイエンスとアートと両面の距離
今で言うとインフルエンサーへの距離みたいな感じですかね
ポッドキャスト収録の変更
というのを表すエルデッシュ・ベーコン数というのがあるんですが
これがですね、僕の大好きな女優さんであるナタリー・ポートマンが
エルデッシュ・ベーコン数7という一桁の数字を持っています
彼女はエルデッシュ数5、ベーコン数2という、これもうめちゃくちゃ驚異的な数字ですよ
エルデッシュ数5というのもすごいですし、ベーコン数2というのも
アメリカ拠点ということで若干有利ではあるにしてもすごい数になっています
エルデッシュ・ベーコン数最小の方は数学者ダニエル・クレートマンという方で
エルデッシュ・ベーコン数3、彼はエルデッシュとの協調論文があるのでエルデッシュ数1
それから映画に出演されるだけ経験が終わりで、その共演者がケビン・ベーコンと共演しているので
ベーコン数2というようなことなんだそうです
じゃあお前のエルデッシュ数いくらだとか、お前のベーコン数いくらだとか
ベーコン数はちょっと僕持ってると思えないんですけれども
エルデッシュ数は調べてみましたというか、調べるサイトがあるんですね
数学者全米数学協会、アメリカン・マスマティック・ソサイティ、AMSというのがあるんですが
そこで名前検索できるんですが、僕AMSで論文発表したことがなくて
データベースに載ってませんでしたというオチで
だから僕エルデッシュ数カウントできないんですけれども
僕の尊敬する数学者で教科書執筆を手伝いさせていただいたことのある
金谷先生という方がいらっしゃって
僕と漢字で書くと苗字が一緒でいらわしいんですが大先生でいらっしゃいます
彼のベーコン数調べたところベーコン数4でした
なので万が一というかね
僕から見たらもう大先生大先輩でも恐れ多くて
こんなことをお話しするのは非常に申し訳ないんですが
万が一その金谷先生と僕は協調を今後書くことがあれば
僕はエルデッシュ数5ということになるのかな
中央値なんですけれどもエルデッシュ数5ということになるのかもしれない
これはもう本当にまた夢のお話でひょっとしたら
引退までにエルデッシュ数を取ることが僕の目標の一つになるのかなとも思っています
さて今回から収録方法
スティームFMの収録方法を若干変えさせていただきました
合わせてBGMも変更させていただいたんですが
実は長期の海外出張が予定されていまして
収録をこれまでMacのロジックプロに直接行っていたんですが
出先でもそれこそスマートフォンとかICレコーダーとかGoProとか
なんかで録音できる機材で録音できるようにちょっと収録方法を変えてみました
今はガレージバンドで収録をしているんですが
収録して編集してBGMをかぶせて配信してという流れに
ポッドキャストの場になってくるんですけれども
ほとんどの過程はスマホ一つiPad一つでできるところなんですけれども
僕は収録時にBGMトラックを聞きながら喋る方が喋りやすくて
フォーマットも25分とか30分とか決めてお話しする方がしやすかったんですけれども
ちょっと自由に喋って後で編集して出すという形をやってみようかなと思って
スタイルを変えてみました
またコメントいただければと思います
というわけで今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました
いち でし た
26:59

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