法規制対応とは、責めないことと見つけたり、これです。
今回は、スタートアップ企業が、法律のグレーゾーンを責める方法について、お伺いをしたいと思っております。
自分たちのビジネスは、これは適法なんだというところを固めていって、
さらにそこでビジネスモデル特許をかませるのだとしたら、
それってある意味、参入障壁を自分たちで作ることができるから。
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ法律相談所、ガゼルキャピタルの近藤です。
今回は、スタートアップ企業が、法律のグレーゾーンを責める方法について、お伺いをしたいと思っております。
ぜひ、ヘルスケア、モビリティ、フィンテック、クライマットテックの皆さんでしたり、
先ほどのワードにビビッときた方は、最後まで見ていただけると嬉しいです。
今回教えていただくのは、エジックスのガウ先生になります。
改めてどうぞよろしくお願いします。
改めまして、エジックス総合法律事務所で、スタートアップ専門で弁護士をやっております。
弁護士になってからずっとエジックスにいるんですけれども、
途中デジタル庁の出向も経ておりまして、
今日はお話できるのを楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございます。
そもそも、法規制って事業アイデアを考える際に、どのように影響していくものなんでしょうか?
法規制からビジネスを考えるということの重要度は高くなっているなと思っていて、
スタートアップビジネスも、自分たちでルールを作っていくというところも視野に入れるような形で、
法規制に対してどういう風に挑んでいくか、そこのところのノウハウがどう培われているか、
そういったところもスタートアップにとっての競争力の原始になってきていると、
そういう競争のフェーズになっているなというのが私の感覚です。
ちなみに法規制で考慮をする領域だったり業界の方々ってどういった方になるんですか?
法規制が一切関係ないビジネスというのは存在しないんですけれども、
もう法規制と密接不可分と言えるような領域としては、
フィンテックだとかモビリティ、そしてヘルスケア、
例えばオンライン診療のあり方って今の法規制の中だったら、今じゃどうなっているんだろうか?
だったらオンライン診療のサービスでここまでできるよね。
ヘルスケアのビジネスって単純に法規制の問題だけじゃなくって、
保険診療の点数の精度はどうなっているんだろうかとか、
そういったところの今の社会ルールはどうなっているんだろうかってところを踏まえて
皆さんビジネスを作っていくし、必要に応じて自分たちが業界団体を作って、
そして行政や政府に対して働きかけを行っていく、
そういったところも取り組まれているところが多いなと思います。
法規制のことだけじゃなくて、政府とか行政とかの動きのともに
ビジネスを作っていくっていう意味では、
例えばクライメイトテック系のビジネスって最近多くありますけれども、
そういったところも、じゃあ政府は今どう動いているんだろうかってところには感度高くあるべきですし、
そういったところでビジネスを作っていくという発想が一つあるのかなと思っております。
日々いろいろな改革が行われている中で、そこをキャッチアップされつつアップデートしていかないといけないですね。
そういった積極的な改革アップデートの流れの中で、
スタートアップの企業の皆さんがどのように法規制の変容にチャレンジをしていったらいいんでしょうか。
自分たちが実現していきたいビジネスに対して、
単純に法規制で縛られて、これがもうできないっていうので諦めるのではなくて、
その次の一歩を踏み出すための検討をするということは非常に重要だなと思っています。
じゃあスタートアップの皆さんはまさにそういったアナウじゃないですけど、
法制度の改革を狙って攻めるべきなんですか。
法規制を攻めるっていう姿勢は非常に大事なんですけれども、
私の意見として、法規制対応で一番大切なことは攻めないことだと思っております。
攻めないことなんですか。
法規制対応とは攻めないことと見つけたり、これです。
ちなみにそれは何でなんでしょう。
法規制対応で攻めるって今言っているのは、
例えばあるビジネスモデルがあって、これを適法だと説明するような理由が十分にはないと。
もしかしたら違法と見られてしまうかもしれないっていうそういう状況でも、
自分たちはいいことやってるんだからとか、あるいはこういう解釈すればギリいけんじゃないとか、
もっとよくある声だと、周りもやってるからいいでしょとか。
そういったところで、きっと社会がそのうち認めてくれるさっていうのでドンと進めてしまうっていうところ。
そういう姿勢がある意味、法規制を攻めていくっていうのの典型的な姿勢かなと思うんですけれども。
ただ、スタートアップって目標にしているのは具体的なエグジットであり、
そこにはIPOであり、M&Aであり。
IPOの時には当然審査があるし、M&Aの時には厳しいデューデリジェンスもあると。
そこの時になって、自分たちのビジネスモデルは適法であるときちんと相手を説得しきれますかという視線を持つべきだと思っています。
先のリスクを考えるべきってことなんですね。
先のリスクっていうところはすごくいい指摘なんですけれども、実際にはこのIPO審査で問題になるかもしれないと、
それを証券会社は気にするかもしれないと、今投資を行うベンチャーキャピタリストは気にするかもしれないと、
顧問弁護士は気にするみたいな形で、まさにこの保守的な判断のドミノ倒しがわーっと繋がってきて、
実はもう起業したばかりの起業家の皆さんの足元までそのドミノ倒しが来てるかもしれませんよというところは思っております。
ちなみにワーストケースになるとどうなるんですか。
それこそやってきたものが突然このIPO審査になって通らなくなってしまうっていうのがこれ最も残念なケースだけれども、
実際にこうなるケースというのはなくて、先ほど言った通りそこに至る過程でいろんな人たちがいろんな保守的な判断を下していくので、
そのままストンということはなかなかないんですけれども、実際にビジネスがこれできっといけるよねって思ってたところが途中でやっぱダメらしいっていう風になってしまって、
ちょっと積み上げたものが一旦崩れてしまうという事例は過去にもあったかなと思います。
そういうお話をお伺いをすると、法的リスクを追うことが正しいのかどうかって思ってしまうんですけど、
そこはどういう風にして解釈をするべきなんでしょうか。
まずは行うべきは論点整理をきちんとして、ここのところは問題、ここのところは問題だとリスクがあるというところを洗い出した上で、
じゃあここの論点に関して実はこのビジネスの方法を調整することによって、
別にビジネス実現したい本質的な価値までは変えずとも、ここの方法をちょっと変えれば、
ここの法規制に関しては突破できるよねというような細かい調整をきちんと積み上げていって、
それでもどうしても残る論点というのがあると思うんですよね。
そこの時に初めてこのリスク、今はちょっと明確に適法とは言えないけれども、
IPOまでを目指して、じゃあこれをどういう風に解決していこうかというところの、ある意味慎重な攻めの姿勢というものが求められるのかなと思います。
なので結論としては法的リスクは極力追うべきではないというのはあるかなと思います。
正しくどういうリスクがあるのかというのを分析をして、その中でそのリスクを追うべきかどうかという判断を下さないといけないということなんですね。
そうですね。ルールメイキングという言葉は、私の方でももし機会があればお話ししたいなと思っているんですけれども、
非常に活発になってきていて、本当に多くのスタートアップが実際に自分たちで業界団体を立ち上げて、
政治家であったり、あるいは霞が関の役人であったり、そういったところに働きかけを行っていくという試みは
たくさん行われていますし、それが実際に成果を上げているというところもたくさんあるんですね。
一方で個別の会社単位で見た時には一般論としては、それは奥の手とは言いません。奥の手とは言わないものの、
それに至る、そこをやろうとするまでのステップというのがあって、今申し上げたような論点をきちんと整理して、
ビジネス側で調整できるところがあるんじゃないかなと。いきなりバーニングしていかないと、そういうところが大事かなと思っております。
おっしゃる通りですね。先ほど投資家がどう見るかみたいな話もありましたけど、
今後の事業成長において少なくともリスクを負う中で、そもそも法的リスクも負うべきかどうかみたいな。
そこはすごく難しいテーマですよね。投資家の目線から見た時には、スタートアップビジネスそのものがそもそも不確実性、
極まりない、マーケットにフィットするかわからないという状況でビジネスをやっているのに対して、
そこに掛け算で法規制、適法になるかわからないという不確実性、しかもこの不確実性というのは意外と自助努力で導入をならないというか、
極めて政治的に左右されてしまうようなところに不確実性を抱え込むというのは、
投資家の方々がもしかしたら、今の感覚でも納得しにくい方が多いかもしれないんですけれども、
ここはある意味、一つずつの成果の積み重ねの中で、例えばフィンテックモビリティといったところで、
意外とスタートアップの働きかけでビジネスを実現するために法規制を変えていくとか、そういったこともできるよねと、
そこにリソースを割いていくというところも十分あるし、それをやってこそスタートアップがどんどん生まれていくよねと、
ちょっとずつ価値観をアップデートしていくと、そのための一歩一歩やっていくしかないかなと思っています。
ありがとうございます。
コトッとお伺いしたいんですけど、具体的に事業運営が困難になった事例とかあったりするんですか?
そうですね、あまりフレッシュな事例というのはお話ししにくい部分もあるんですけれども、
ちょっと時代を遡ると、例えばコンプガチャというものがかつて多くありまして、
これはソーシャルゲームとかで有料で手に入るアイテム、それを複数集めていって全部コンプリートすると、
何かイベントが起こったりとか、より良いアイテムが手に入るよみたいなのがありそうな話ですよね。
そうですね。
これって、軽評法といってサービスとか商品を提供する時のおまけって何かつけたりするじゃないですか。
おまけのつけ方についてルールは定まっているんですけれども、
これカード合わせというものは禁止ということがルールとしてあったんですね。
そういうルールがあるんですね。
このカード合わせというのは、ポテトチップスについてくるようなカードが1から10まであって、
それが揃うとまた新しいグッズが手に入るよというようなもので、別にいいじゃないかと思うかもしれないんですけれども、
これって確率論的に1から10まで揃うのに、1枚目は簡単に揃うんですよね。
だけど10枚目って単純に期待値計算でいくと、10回買わないと手に入らないんですよね。
そこって消費者心理としては、ここまで順調に揃ったから簡単に手に入るはずみたいな感じで、
いっぱい買っちゃうみたいな。
それはちょっとかわいそうだから、そういうのはなしというカード合わせはダメというふうに言っていて、
このコンプガチャとカード合わせというのは、これ禁止されているのかどうなのかというので、
これは当時の時点でも、客観的に見れば結構リスク高いよね、カード合わせだよねというふうに判断されそうだったんですけれども、
結構多くのソーシャルゲームを提供している会社は、そういった仕組みで、そういった仕様でゲームを作っているというところがあって、
あるところで、2012年ですかね。
そこで消費者庁の方が明確にコンプガチャはカード合わせだよと、ダメだよということを宣言して、
そこのところでやり方を改めなくちゃいけなくなったというところ。
これは事例としてわかりやすいんじゃないかなという気がします。
そういった事例があったんですね。
そうですね。
ちなみにもう一つぐらい教えてもらってもいいですか。
この事例というよりは今後もきっとよく出てくるようなところで、
賭博ってあるじゃないですか。
賭博ってお金をお互いに出し合って、何か偶然性が絡むような勝負事とかをして、
その勝敗に応じてここで出し合ったお金を取り合いましょうと。
それが賭博なんですけれども、
これって古くからある法律なんですけど、それがずっと刑法で定まっているものがずっと今にあたるまであって、
これが新しいビジネスが出てくる度に姿を変えて論点として現れてくるというところがあります。
例えば最近だとNFT、何が出てくるかわからないタイプのNFTを買うという場合、
これ賭博に当たるんじゃないかというのが一つ論点になりました。
回避する方法も議論されているんですけれども、そういったところも論点になってきていますし、
賭博の論点は今後もまだ見ぬ新しいビジネスの時にもまた姿を変えて論点として現れてくるんだろうなというようなところがあります。
ありがとうございます。
ちょっと前に先ほどグレーゾーンは攻めるなみたいな話をいただいたと思うんですけど、
その中でも一種法規制を生かした戦い方とかって何かあったりするんですか?
グレーな状態、これが適法かどうかわからない状態で、自分たちのビジネスはこれは適法なんだというところを固めていって、
さらにそこでビジネスモデル特許をかませるなとしたら、
それってある意味参入障壁を自分たちで作ることができるから、
そういったところって一つの直接的な競争力の原始になるんじゃないかなと思いますね。
それはちょっと積極的なアプローチですけれども、
それ以外にもそもそも先ほど言ったような論点をきちんと整理してビジネスモデルを調整するということは、
将来どこかでビジネスが進んでいったところで逆に窮地に立ってしまうというリスクを避けるという意味で非常に大事だと思っております。
今の話を聞いておられる皆さんの中で、ちょっと私たち見ておいた方がいいかもとか、
こういったまだ法規制関連の準備してないぞとか、リスクがわからないぞとか、
おそらくおられるかなと思うんですけど、
ちなみにそれってASICSさんに相談できたりするんですか?
もちろんです。ASICSの場合だと多くのスタートアップビジネスに対してアドバイスをしてきたという経験値があるので、
ここの強みって本当にかつて見たあのビジネスとこの話って一緒だよなっていう、
そういうビジネスモデル間の連携というか、裏側で関連付けっていうのが私たちの方でできるというのが最大の強みなんじゃないかなと思っていて、
なので本当にトップなビジネスアイデアであっても、私たちの方に相談いただければ、
それってここの法的な論点があるよねっていうところを比較的スムーズにご提供できるんじゃないかなと思っていますし、
そしてその先にある観光庁で行政とか政府に対するアプローチっていうところも、
私自身がASICS総合法律事務所内で、
ガバメントリレーションズ部というのを一人で立ち上げていて、
なのでその活動の一環として皆様にサポートすることができるんじゃないかなと思っております。
ありがとうございます。
この番組の概要欄に実際にASICSさんに相談するときの窓口のURLがございますので、
ぜひ関心を持った方はそこからお問い合わせに行ってみてください。
よろしければ最後に視聴者の皆さんに一言いただけると嬉しいです。
ありがとうございます。
今日は法規制対応というところで、法律のグレーを責めるというところでお話しさせていただいたんですけれども、
実際にはこのスタートアップにとって、
法規制に対して挑んでいく、自分たちでルールを作っていくというところの可能性も広がっている一方で、
やるべきことっていうのはもしかしたら当たり前の法的論点の整理だったり、
それを踏まえてビジネスをどうやって作っていくかというところなのかなと思っております。