事業計画書の重要性
皆さんこんにちは、インクの若林です。
こんにちは、インクの遠藤です。
遠藤さん、前回に引き続きですね、今回も事業計画をテーマにお話ししていきたいと思います。
若林さん、前回の振り返りをお願いできますか?
前回は、コミュニケーションツールとしての事業計画書というテーマでお話ししました。
社内向け、社外向けにそれぞれコミュニケーションがありまして、
特に社外向けということになると、金融機関だったりベンチャーキャプターさん、
既存株主さんなどに対するコミュニケーションというところで、
事業の状況だったりとか、展望を理解してもらった協力を得るためのツールというところで事業計画書がありました。
創業期の事業計画書というのは決算書がないので、より重要性が増しますよというお話をさせていただきました。
3回目となる今日はどんなテーマでお伝えいただけますでしょうか?
事業計画書をどう見るか、ステークホルダーによる目線の違いについてお話したいと思います。
ベンチャーキャピタルの視点
この回を聞いていただくと、事業計画を見るステークホルダーによって目線が違ってくるということがわかります。
なるほど、ありがとうございます。では早速、ステークホルダーのところはどんな方の目線があるのでしょうか?
まず金融機関さんとベンチャーキャピタルさん、スタートアップだと両方同じする機会があろうかと思うんですけど、それぞれの視点が分かりやすく明確に違うので、それについてお話したいと思います。
まずベンチャーキャピタルさんなんですけど、ベンチャーキャピタルのビジネスモデルとして株をある種買って仕入れて売る機会、エクジットの機会を得て売るわけですよねと言ったときに、
この仕入れたときと売ったときの差益をキャピタルゲインと呼んでいるわけですよね。このキャピタルゲインを最大化するということが彼らのお商売なわけなんですけど、
となってくると、大きく成長してほしいに決まってるじゃないですかと。とはいえ、100社投資したときに100社がすべてエクジットの機会を得られるかというと、全社IPOってまずちょっと難しいですよね。
だって日本でIPOをするのって年間100社くらいなんだから、難しいじゃないですかとなったときに失敗をすると言いますか、エクジットしないところも当然出てくるよねという前提のもと、
それでも100社のうち数社が何十倍何百倍になってくれたらファンドとして全体のリターンが出るよねっていうビジネスモデルなので、そういう意味では一発大きなホームランが出てほしいっていう感じなんですよね。
なので、深いリスクを取って大きなリターンを求めるっていうのが彼らの姿勢ですと。まずこういう姿勢がベンチャーキャピタリファンとしてありますよね。
次に銀行さんはどうかっていうと、基本的に彼らの収入は金利ですよね。金利って1から5%くらいじゃないですか。
銀行さんが言うことになると、例えば広告さんとかね、創業融資ですら1%とか2%とかなんで、非常に金利としては低いですよねということなので、この低い金利に見合ったある種浅いリスクを取って、金利の支払いはもちろんちゃんと返してくれないと困りますよね。
100社に融資をした時に、変な話、3,4社とか2,3社とかが全く返してくれなかったら、それだけで全体として赤字になっちゃうようなビジネスモデルなわけですよね。金利によってはね。
従ってリスクを浅く取る、着実に返してくれる事業にだけ融資をしたいというふうに考えるというのが銀行さんの傾向としてあるのかなと思うので、ここは全然VCさんとは違うじゃないですかと。
ベンチャーキャプターさんは成長性、市場性といいますか、規模の大きいところを狙えるかどうかみたいなところが非常に重要になってくるんですけど、一方でそんなに大きくならなくてもいいからちゃんと返してくれと。
ちゃんと事業が安定的に継続してキャッシュフローが生まれて、金利支払って返してくれれば一旦それでいいよというのが極端に言うと金融機関さんのスタンスなので、これだけで求められる事業計画者の性質って違いそうじゃないですか。
やっぱり大きくなりますよっていう事業計画じゃないと、そもそもVCさんは投資する意味があまりないですし、それはじゃあVCじゃないんじゃないですかってなりますし、金融機関さんだったらそんなに大きくならなくてもいいからバクチン打たないで着実な事業の方が融資しやすいですよってなりますから、ここは全然違いますよねというところですね。
金融機関の視点
VCさんより成長性を見るっていうお話があったんですけど、具体的にEARで見た時にどのぐらいの成長率を求めるかみたいなのってあるんですか。
これはフェーズとかによっても違うんですね。
例えばシードに出すのか、もっとレイターに出すのかによって全然求めるリターン規模感違いますし、ファンドサイズとかによっても全然違うんですけれども、念入りに直すとやはり30%以上、場合によっては50%以上成長してくれる。
引いてはもう何十倍になってくれるっていうところをどうしても期待するというのがVCさんかなと思います。
金融機関さんは金利分の成長で全然構わないですよっていう感じですね。
成長しなくても返してくれさえすればいいよねということになります。
双方の金融機関さんのビジネスモデルをしっかり理解した上でというところの視点をよりご説明いただいたんですけど、
ちなみに事業計画書という文脈で資料のフォーマットはこれがいいよみたいなのがあってあるんですか。
基本的にベンチャーキャピタルさん、いわゆるピッチ資料と呼ばれるような、いわゆるパワーポイントとかGoogleスライドで作ったような、
しっかりビジュアルでも訴えるようなですね。
フォーマットが多いかなというふうに思います。
プラスアルフは事業計画というと数値計画の方ですね。
Excelで作った、Googleスプレッドシートで作ったそのKPIとかが載っているようなものというのがあります。
やはりシードキーとかになりますとやっぱりこのパワーポイントで作ったものが結構重要性が高いかなというふうに思います。
一方で銀行さんはですね、
パワーポイントとかでビジネスモデルだったりとかっていうところをビジュアルで見せていくことに効果がないわけでは全くないと思うんですけど、
基本的にはExcelで作った事業計画書をベースに見ていく傾向というのはあるかなと思います。
数字を見るって感じですね。
ここも違ってくるんですね。
あくまでフォーマットなので何を伝えるかという文脈は本質だと思うんですけれども。
ありがとうございます。
日本製作金融庫さんの場合というところで何か違いってあるんですか?
そうですね。金融機関の中でも政府系の金融機関さんである日本製作金融庫さんはですね、
やはり国の命を受けてできるだけ企業を促進しようとか、各民間金融機関との金融を円滑化しようみたいなですね、
そういう使命を見ていますのでいますというところでは、
広告さんとしては結構小さく生んで大きく育ててほしいっていうことをよくおっしゃるかなと思います。
段階予進みたいな言い方をして、まずは少し小さく化して予進をつけて、そこから成長の度合いに応じてですね、また融資するよみたいな形で、
成長を見守るスタンスっていうのはわりと明確にされていることが多いかなというふうに思いますね。
さらに言いますと、これは広告さんに限らないんですけれども、やはりちゃんと利益の中から返済してねっていうことは考えているかなと思います。
例えばベンチャーデッド、また後日話しますけど、ベンチャーデッドですと、エクイティ調達した資金っていうのを返済減資、
エクイティ調達したお金で返しますよみたいなことっていうのもある程度織り込まれてたりするわけなんですけど、
基本的には広告さんとか民間金融機関さん、さらには保証協会さんとかっていうのはそこはあんまり期待していなくて、話半分で聞いてですね、
やはりあくまでも事業から生んだ売上、利益の中からの返済を原則としてくださいね。
だからエクイティで返しますよは通用しませんよみたいなのが基本スタンスとしてあるのかなというふうに思いますね。
なるほど、ありがとうございます。
じゃあ今日お話をいただいた中で特にここ大事だよというポイント一つ挙げるとしたら何になりますか?
VCに出した事業計画書をそのまま出さないでってことかと思います。
金融機関さんに?
そう、結構あるんですよ。VCさんに出したピッチ資料をそのままパッと出して、
したらもう3年で文字馬になりますみたいな。市場最年少でアピールしたいですみたいな。
ここの雑誌はめっちゃ素晴らしいんですけど、それそのまま出したら、いやちょっと広告数いんじゃないんだよっていうふうになっちゃうので、
VCさんに出した事業計画書をそのまま金融機関に出すとちょっと良くないよ、工夫がいるよっていうふうに思います。
なぜならそれぞれの視点が違う、ビジネスモデルが違うからというご説明いただいたところですね。
はい、おっしゃる通りです。
はい、ありがとうございます。
じゃあ次回はどんなお話をしていただけますか?
はい、創業融資における事業計画書の重要性とポイントというところに絞ってお話しさせていただければと思っています。
はい、じゃあ今日はこちらということで、また次回お願いいたします。
企業のデッドファイナンス、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
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