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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。小説っていうのは、まず登場人物がいて、何かしらのストーリーがあります。
これはちょっと大げさな言い方になってしまうかもしれないですけど、このような登場人物がいて、ストーリーがあるという手法で、何かしらの一つの世界を表現しているわけです。
で、ここで主観と客観というのがあるよねっていう、この主観と客観っていう軸を使って説明をしていきたいと思うんですけど、
僕たちは小説を読むとき、完全に客観的、完全に他人事として小説を読むっていうことはあんまりしません。
いや、めちゃくちゃなんか自分と合わなかったら、そのような読み方もするかもしれないですけど、
でも自分にある程度でも合っている小説だったら、感情移入をして、この小説の世界の中に溶け込むようにして読みます。
この小説の世界の中に溶け込んでいるという状態、これは主観的な体験ということになります。
自分の主観的な意識と小説の世界が混ざり合うような体験、
こういう読書体験をすることで、本来難しいはずの他者と例的な交通を通わせるということが可能になるのが、これが文学の意義だと思います。
ちょっと抽象的な概念だけの説明だと、分かりづらいかなとも思うので、
この個人的な、自分の話も具体例として出してみますと、
僕が一番好きな本はドストエフスキーの悪霊っていう本なんですけど、これね、登場人物がみんなすごいかっこいいんですよ。
登場人物だけじゃなくて、ストーリーもロシア革命なんかを題材にしていて、
すごく面白くて、さらにそれぞれの一人一人の登場人物っていうのが、
この激動の時代の中での葛藤っていうのを抱えてて、そのような生々しい感情っていうのが、
すごく見事に小説の中で言語化されてます。
この本は若い頃に読んだ本だから、なんか
特に若い頃って、いろんなことで悩むじゃないですか。
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自分の悩みとも重なるような感情が、小説の中で見事に言語化されていると、
これは俺が思ってたのはこれだ!みたいな、そういう感覚になるわけですよね。
だから小説っていうのは往々にして、
人間の生き方であったりとか、社会というものについてよく扱うわけですけど、
そういったものに対しての深い考察を言語化してくれます。
自分の中の言語化されてない内面世界みたいなのがあって、
これをすごく深いレベルで言語化してくれて、
で、「ああそうそう、これこれ!」みたいな、こういう感覚ですよね。
これが文学の意義だと思います。
はい、このような
人間とか社会に対する深い洞察を与えてくれるのであれば、
まあ別に小説でも何でもいいんですよ。
詩でもいいし、漫画でもいいと思います。
僕も漫画などのサブカルチャーで、何かすごい感動して、
魂が震えたような経験ってやっぱありますし、
それはもうその人にとっての文学ですよね。
それが文学の存在する意義だと思いますということで、
今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。