1. ストーリーとしての思想哲学
  2. #18 美術館が格差を拡大させる!?
2023-05-21 05:11

#18 美術館が格差を拡大させる!?

かつて富裕層に独占されていた芸術は、美術館の存在により一般市民に開放されました。しかしそれで「めでたしめでたし」となるわけではなかった。


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ストーリーとしての思想哲学【思想染色】がお送りします。
今回のテーマは、美術館をはじめとする文化施設が格差の拡大を助長しているっていう、かなり直感に反するんじゃないのかなと思われるテーマです。
美術館が格差の拡大を助長するって、いやいやそんなことないでしょって感じですけど、
割と真面目なトピックになります。普通に考えると、そもそも美術品とか芸術っていうのは、昔は金持ちでなければ見られなかったものなんです。
だから、美術館などの文化施設っていうのは、それを金持ちだけじゃなくて、誰にでも見られるようにした。
かつては富裕層が独占していた文化芸術を、これを広く一般に開いたものであると思いますよね。それは正しいと思います。
ただ、その一方で、やっぱり何もしないと文化施設に来る客っていうのは、比較的裕福な人に偏るんですよ。
なんとなくイメージでも、美術館とか文化施設って、なんとなくちょっと裕福なマダムとかが文化施設が好きそうなイメージあると思うんですけど、
それはね、本当にそのイメージの通り、文化施設に対する来館者にはですね、所得による偏りがあって、この偏りを放置しちゃいかんでしょっていう問題意識があります。
この問題意識が特に強いのがアメリカですね。
これは、文化格差とでも言うべき偏りがあって、美術とか文化に親しむ人の割合が、アメリカだったら平均以上の所得がある白人に偏ってしまっていますから、
平均以下の所得の人たち、それから有職人種の人たちといった、あんまり文化施設に来ない人たちに対しても、文化施設側からもっとアプローチするべきだねっていう動きがあります。
これを鑑賞者開発って言います。
所得と文化施設来館者の比率が相関するっていうのは、そういう統計上のデータがあるわけですけど、さらにその大元として、所得の違いが文化格差とつながっているっていう、こうした考えのですね、理論的根拠としては、フランスのPierre Bourdieuっていう人が挙げられます。
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この、Bourdieuっていう人が書いたディスタンクシオンっていう本が今手元にあって、それ見ながら喋ってますので、ちょっと引用してみますね。
芸術作品は、それがコード化される際のコードを所有しているものにとってしか意味を持たないし、興味を引き起こさない。
これは、芸術を楽しむには、芸術の読み解き方を知っていないといけないって言ってます。
それからもう一個引用します。
特定のコードを持たない鑑賞者は、自分にとってまるで訳のわからない音やリズム、色彩や線のカオスとして立ち現れるものを前にして、自分が水に没し、溺れてしまうような感じを受ける。
これは、芸術の読み解き方を知らないと、何か意味不明なものを見せられている気持ちになってしまう。
普通にしていると、とっかかりがつかめないんだっていう風に言ってます。
で、芸術の読み解き方というのを知っている人っていうのは、比較的裕福な人に偏っているよねっていう、こういう問題があるよねっていう風に言ってます。
はい、次回、格差の話に続きます。
では、次回もよろしくお願いします。
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