00:08
ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします
今回は芸術、それも特に詩についてです
詩っていうのは、芸術の中でも特にわかりにくいものであるように思えます
詩とは何かというテーマで書かれた本っていうのは結構あるんですが
僕もそれなりに勉強したけど、最も優れた解説本は萩原作太郎の《詩の原理》という本だと思います
何が良いって、抽象的な物言いをせずに、極めてロジカルなんですよ
だから今回は、この本のエッセンスを紹介するという形になります
前提として、まず人間には主観がありますよね
主観というのは、なんだか今日はボーッとするなぁみたいな感覚だとか
食べ物の美味しさ、風が吹いていることの気持ちよさみたいな
自分の内面世界で起こっている自分にしか分かり得ないもののことです
こういった自分の内側にあるものを外側に出そうとした時
その方法は原則的に3種類しかないとします
それは記述と説明とそれから表現です
1つ目の記述っていうのは、事実を事実として残すという発想です
正確な歴史書を記すとかは記述するという行為にあたります
2つ目の説明というのは、弁償法とか機能法とか演役法とかを使うような
要はロジカルに伝えるという発想です
1つ目の記述との違いは、記述っていうのは事実を事実としてそのまま書くだけだから
そこにロジックは必要ないですよね
ロジック、論理の要素があるのが説明です
そして3つ目が表現
この表現というでっかい形式の中に芸術があって
芸術には例えば音楽の形式であったりとか文学の形式、美術の形式、舞踏の形式、演劇の形式などがあります
また表現という形式はこれをさらに2つに分けることができると言います
描写する表現と上昇する表現って言うんだけど
ちょっと難しいから極力専門用語みたいにならないようにして説明してみますね
03:02
今の1つ目の描写っていうのは、物の真実の姿を映そうとすることです
例えば小説は登場人物の心理描写がなされます
絵で言えば写実主義なんかは空想を排除してありのままを映し取ろうとするとか
まあそんな感じです
で、今の2つ目の上昇
上昇っていうのは漢字だと感情の上に象徴の象って書くんですけど
感情の意味だとか感情そのものを語ろうとすることなんですが
ここがちょっとイメージが難しいかと思います
人間の感情をそのまま描写せずに表現するということをやっているのは
具体的には音楽や詩、舞踏、ダンスなどです
多分音楽やダンスの方がイメージしやすいかと思うんですが
音楽って感情を刺激されるじゃないですか
音楽って聞いてると、ねえすごいエモいです
だけど、描写はされてないよね
なんか演奏してる人がすごい音楽弾いてる途中に説明してきたりもしないし
描写というのはされないのだけど
人間の感情というのをすごく表現されている
そんな風に音楽っていうのは何か、何かしらの感情のパワーを感じます
これが上昇です
これは詩も同じです
詩っていう概念は定義すれば
文学の形式を用いた言葉を使って
何とかして感情そのものを語ろうとすることという風になります
つまり矛盾した言い方に聞こえるかと思うんですが
言語は用いているけど
言語的描写や説明をすることなしに
心を言語で表現するんだという試みが詩です
そういうわけで
詩ではわざと遠回しな比喩表現だとか
幻想的な装飾表現だとか
何か神秘的な感じがする言葉を選んだりだとか
ロマンティックな表現がなされるということになるわけです
だからこそすごく難しくてよくよくわからないものでもあるんですが
こうやって定義に当てはめていくと
多少捉えやすくなるんじゃないでしょうか
はい
まとめると
人間の精神のアウトプット方法は3種類あり
そのうちの一つである表現も
2つに種類分けすることができるという話を
詩というものにフォーカスしながら紹介しました
まず芸術には様々な形式があり
06:03
それぞれその形式にのっとってやっているんだっていうところを抑えると
芸術という概念、芸術というものを
捉えやすくなるんじゃないかと思います
今回はここまでです
次回もよろしくお願いします