フロンティアの観点から見る人類史
今回は、フロンティアという観点から、人類史における経済活動を俯瞰してみたいと思います。
今回は、フロンティアという観点から、人類史における経済活動を俯瞰してみたいと思います。
アメリカにフレデリック・ジャクソン・ターナーという人がいました。
ターナーは、1893年に、フロンティアの存在がアメリカの発展を説明する鍵になるという学説を発表しました。
これをターナー学説といいます。
ちょこっと引用します。
アメリカの発展は、単一の戦場の進化のみではなく、絶えず前進するフロンティアにおいて未開の状態に戻り、そこが新たに発展するという姿をとった。
すなわち、フロンティアで絶えずスタートが繰り返された。
この再生の繰り返しが、アメリカ人の生活の流動性、新しい機会をもたらす西部への拡大、そして未開社会の単純さと接触し続けたことが、アメリカ人の性格に大きな影響を与えた。
この理論は、今では色々批判があるのですが、アメリカ誌のみならず、人類誌を結構言い当てている部分があるなと感じます。
特に、フロンティアで絶えずスタートが繰り返された、この再生の繰り返しが、という部分。
そもそもの話、ホモサピエンスって常にフロンティアを求めている性質があるし、僕たちの社会もそのような構造によって構築されているように見えます。
大昔、人類はアフリカ大陸にしかいなかったけど、新天地を求めて、グレートジャーニーと呼ばれる大移動をしたというのもあるし、
農耕をするようになってからは、さらに新たな土地、誰のものでもないフロンティアを求めて、移動して、そこでまた農耕を行うという動きをするようになりました。
時代はぐっと下るけど、新天地を求めるという点において、最も典型的な例は大航海時代じゃないでしょうか。
ヨーロッパと陸続きの土地だけではなく、海の向こうの遠くに未知のフロンティアを求めて、でそれが大当たりしたわけだから。
ターナーが述べたように、新たなフロンティアを見つけ、絶えずフロンティアで新たなスタートが繰り返されるというのが、人類史においてメタ的な大きな構図としてあったといえます。
では、なぜ人がフロンティアを求めるかというと、フロンティアにはまだ手つかずの資源や市場があるから。
端的に言えば、儲かるからです。
この儲かるというのはバカにできなくて、儲かるからそこに経済活動が生まれ、経済活動が生まれるから発展して豊かになるわけで、豊かさとフロンティアは切っても切れない関係にあるわけです。
新たな豊かさがない場合、基本的に人口というのは増えていくから、人口が増えれば一人当たりの富は減っていくよね。
パイの大きさがそのままで分母が増えるわけだから、分母が増えるならパイの大きさの方も大きくしないと人口を支え切れないというシンプルな理屈です。
それを昔は帝国主義的な土地の略奪という形で行われていたわけだけど、現代でも形を変えてフロンティアを求めるという行為自体は経済活動の中で引き続き行われています。
というか、新たなフロンティアを繰り返し求め続け、それでフロンティアでリスタートし続ける、これを何回転も何回転も永遠にし続ける、
この無限の回転運動の連続が経済活動の本質なんじゃないかというのが今回の思論で言いたいことです。
資本主義と競争
めっちゃ単純化して言いますけど、資本主義経済における経済活動って会社同士ですごい競争するじゃないですか。
例えば、今目の前にあるパソコンもスマホも昔は高かったけど、今ではだいぶ安く買えるようになりました。
それは外国の安い労働力を使って組み立て作業をするとか、サプライチェーンを工夫することで安くなったわけですね。
もっと身近なところだと、コーヒーも今ではコンビニで100円で飲めますからね。
昔は喫茶店で600円700円出さないといけなかったけど、そこそこ飲めるコーヒーが100円ですから。
結局のところ、どんな商品でも最後の最後は値下げ競争に行き着くという宿命が資本主義経済にはあるわけ。
逆に、だからこそ企業は自社商品をブランド化したりして、最終的な値下げ競争に行き着くまでの期間を何とか長くしようとして延命を図ろうとするわけですね。
構造的な宿命としての最終的な値下げ競争に入った後のことを衰退期と言います。
今は経済の話をしているけど、何にでも衰退期ってあるよね。
諸行無常というやつで、繁栄したローマ帝国も衰退期を迎え亡くなったし、モンゴル帝国も神聖ローマ帝国も衰退しました。
話を戻して、衰退期に入ると値下げ圧力も高くなるから、企業はますます儲からなくなります。
すると、社員の賃金をカットして人件費を抑えるとか、従業員数を削減して、少ない人員にサービス残業させるとかするようになります。
アナロジカルに言うと、金鉱ってあるじゃないですか。
金がたくさん採掘できる金鉱も、時間が経てば金をほとんど取り尽くしてしまい、衰退期に入ることになります。
金がもうわずかにしか出ない金鉱で働くっていうのは苦しいことです。
じゃあどうすればいいかというと、新たな金鉱、新たな金脈を繰り返し求め続けるしかないよね。
狩猟採集社会や、人口のほとんどが農民だった時代だったら、土地から収穫できる資源量に対して人口が増えすぎたら、人口の一部は新たな土地に移動せざるを得ないし、
帝国主義国家も同様の動きを宿命づけられている。
資本主義経済家における営利企業も、同じ商売をし続けていたのでは、
狩猟という資源の収穫量が前減していく宿命にあるわけだから、やはり異なる業態に事業転換するなりして、
新天地を求め続けて、なんとかして生存するという動きをせざるを得ない。
新たなフロンティアの探求
こういうフロンティアを求め続け、そこでリスタートをし続けるという無限の回転運動が人類史を俯瞰するとあるよね、という話でした。
はい。
ちなみに、現在進行形で資源が採掘されているフロンティアの代表は、たぶんAIでしょう。
フロンティアイコールモーカルってコンセンサスもあるから、投資マネーもめっちゃ集まってます。
あと、これから少し先の未来のフロンティアになりそうなのは量子力学な気がします。
量子コンピューティングが熱いっていうのもあるけど、それ以上に素粒子のメカニズムって物理学でもまだよくわかっていない領域だし、
まさに未知の領域、フロンティアという感じがします。
というか、もっと単純に物理学の僕たちの世界は11次元であるみたいな話とか、
超限理論、いわゆる超紐理論みたいな進展値を切り開く理論ってシンプルにワクワクするし、
やはり人間にはフロンティアを求めるという性質がもともと備わっているという気がしてなりません。
というわけで、今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。