1. ストーリーとしての思想哲学
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2025-07-20 06:04

#131 リーダーシップ/サイコパス3 サイコパス編II

サマリー

エピソードでは、サイコパスの特性や歴史的背景について詳しく探求され、現代社会における暴力の減少とサイコパスの意義が論じられています。また、職場でのサイコパスに対する対処法についても具体的なアドバイスが提供されています。

サイコパスの歴史と現代社会
ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回の続きです。
ホモサピエンスにおいて、サイコパスが生まれてくる確率は1%ほどあると前回ちょろって言いました。
これってめちゃくちゃ多いですよね。
数十万年もの間、淘汰されずに引き継がれてきた形質なわけだから、進化論的な意味が何かありそうです。
原田隆之先生の《サイコパスの真実》という本に、面白い見解が書いてあったので紹介します。
この本では、スティーブン・ピンカーを引いて、そもそも人類の歴史とは暴力の歴史であったというところから始めます。
この辺は、僕もポッドキャストで似たようなことを言いまくっているし、特に異論がありません。
数十万年レベルで見れば、戦死時代なんか、死因の15%が暴力によるものでした。
これがもし学校なら、100人学級だったら15人が暴力で死んでいるわけです。
で、これは暴力の結果死んだのが15人という話だから、死にはいたらなかった暴力はその何倍もあるということを意味します。
要は、暴力と殺人がもっと身近で、普通のことだったということです。
暴力が原因である死は、17世紀になると2%まで低下、20世紀になると0.7%まで下がり、2005年にはなんと0.0003%にまで下がったということらしいです。
人類史上、かつてないほどまでに、暴力のない社会に僕たちは生きているということになります。
ということは、暴力が日常の中に普通に存在していた時代、サイコパスは今ほど目立つ、得意な存在ではなかったのかもしれません。
人よりちょっと衝動的で、暴力をすぐに振るうが、勇敢かつ、氷のように冷静な戦士であったかもしれない。
もしかしたら、戦士としては非常に優秀で、英雄ですらあったかもしれません。
人類史は、暴力が支配的であった時代の方が圧倒的に長いわけで、そういう時代においては、サイコパシーというのは、英雄の資質ですらあった可能性もあります。
だから現代に至るまで、サイコパシーは保存されてきたのだというわけです。
暴力の時代、かつては暴力と侵略の才能は重宝されていたのかもしれません。
でも今は非暴力の時代だから、暴力と侵略の才能、サイコパス的な暴力と侵略の才能というのは、社会にとって邪魔になってしまいました。
だから変わったのは社会の方であり、彼らも好き好んでその世に生まれたわけではない、という指摘には頷ける部分があります。
職場でのサイコパスへの対処法
しかし、ある意味で可哀想ではありつつも、自分の身近にいられたら困るというのも事実かと思います。
なので、サイコパシーに関する本では、どのように対処すればよいかがだいたい書いてあるんだけど、どの本も共通して、近寄らないようにしましょう、って書いてます。
サワラの神にたたりなしとか、君子危うきに近寄らず、みたいな対処法しか今のところなさそうな感じです。
ただ対処法という観点では、一番詳しく書いてそうなのは、マーサスタートの「良心を持たない人たちへの対処法」って本でした。
いくら近寄らないようにしようとしても、職場で関わらざるを得ない場合もありえます。
その場合、職場のサイコパス的な人物に対しては、まず第一に、冷静な対応を徹底しましょう、ということでした。
怒ったり悲しんだりする様子を見せても喜ばせるだけだからです。
第二に、彼らの言動を徹底して記録に残す。
記録は主観的な記述は避け、逆観的事実のみを記述するようにする。
日時は絶対書いて、その場に居合わせた人の名前も書くようにする。
第三に、上司や人事がすでに彼らに掌握されている可能性を考慮して、軽はずみに戦おうとしていることを明らかにしない。
逆に言うと、これって一種の内部告発であり、内部告発をする時にやる当たり前のことくらいしかできないということでもあるけど、精神医学サイドからすると、記録を残して、彼らの言動の矛盾をつまびらかにするというのは有効だということのようです。
あと彼らは、まるで狼が群れからはぐれた羊を襲うように孤立した人物を狙う、あるいはあなたが孤立するように仕向けてくるというふうにありました。
だから職場でもどこでも孤立をしないというのが一番なのかもしれません。
はい。
なんていうか、人間って色々な人がいるから難しいよね。
最初に述べたリーダーシップ理論も、悪用されればひどいことになるし、何にでも光と影があるというか。
でもリーダーシップ理論は面白いですよ。
ホモサピエンスがどう挙動するかっていう社会学とか構造主義とも通ずるところがあるし、
ジェフリー・フェファーの本なんかはページ数も少ないし読みやすいので、もし興味があればおすすめです。
ということで、今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。
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