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ここはとある町にある小さなセレクトショップ、SLOW&STEADY。
国内外からセレクトされた洋服に囲まれた店内は、今日もたくさんの人で賑わっていましたが、閉店間際、今はBGMだけが響いています。
Little girl, don't you understand? I wanna be your lover, man, all by myself.
いや、店の奥から誰かの声。
そう、今日の店主の岡崎が産業がてら、ああでもない、こうでもないと、洋服話に花を咲かせているのです。
フィッティングルームのさらに奥、THE ONLYと書かれたその先にある狭くて小さなバックヤード。
今日もこのバックヤードから、あなたのクローゼットへとお届けします。
はい、今日はね、またまた一人でちょっと収録しようと思ってます。
で、ちょっと声がね、本当にお聞きの通りガラガラで気持ち悪いと思うんですけど、
ここ数年本当毎年この時期になると、声が出づらいというか、お客さんと結構ばーっと喋るとね、マスクとかしてたり、いろいろのど飴舐めたりしてるんですけど、
なんか声が枯れがちで申し訳ないんですけども、お便りが届きまして、あのすごい素敵な質問をいただいたのでご紹介したいなと思ってます。
じゃあ早速読みますね。東京都mkさんからいただきました。ありがとうございます。
4年ほど前、スロー&ステディを知りました。
通了のあるブログもこの頃から定期的に読ませていただいております。
そして岡崎さんのオリジナルブランドペインティッドブランクの登場で、個人的にはさらに注目しています。
新作が出るのが非常に待ち遠しいです。
先月発売されたケリーはサイズもぴったりで着心地も素晴らしく、仕事の休みは最近毎回着させていただいています。
加えてアイテムに付属するサッシもなんだか読んでいてワクワクします。
説明書を読んでいる中で、ふと岡崎さんに対してどうしても語って欲しいことが出てきたので、今回質問させていただきました。
質問は2つです。
自分の表現したい世界観を持ってブランドをセレクトするのがセレクトショップだと思っています。
これだけこだわったセレクトをしているのにもかかわらず、自分のブランドを作った理由が知りたいです。
ブランドとは一体何でしょうか。
岡崎さんの主観で構わないので教えてください。
ありがとうございます。本当にありがたいですね。
このMKさんのお店には直接来られたことがなくて、僕もお会いしたことがないんですけど、
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つい先日もケリーを通信販売していただいて、その時も感想をいただいたんですけど、本当にありがたいですね。
質問のあったセレクトショップをしていて、ブランドをなんで作ったんですかっていう話なんですけど、
理由がたくさんあって、3つ4つあるんですけど、
大まかに言うと、どんな洋服屋でも洋服をやるってことって、一種の自己表現に近いかなと思っていて、
いろんな考え方のオーナーさんがいて、いろんなお店がある中で、独自性っていうのを突き詰めていかないと、
なかなか難しいんじゃないかなっていうのが昔からあって、そういうこともあって、
コロナ前にたくさんのブランドさんと企画してイベントをやったり、来ていただいたり、
そういうことをやって、お客さんと作り手さんというのをつなぐっていうイベントをたくさんやってきたんですよ。
その中で感じたのは、やっぱり作り手さんの熱量をお客さんに直接届けることって本当に素晴らしいなと思っていて、
その延長で自分で作ったものだと、やっぱり1から10まで説明できるし、
そういうものを届けてみてもいいんじゃないかなっていうのが少しだけ思い始めたのが本当に4,5年前で、
イベントでたくさんのメーカーさんとかデザイナーさんとかが来てくれる中で、
打ち上げで飲みに行った時にとあるデザイナーさんが、ここまでお客さんとの距離が近くて、
みんな友達みたいな、一種の大きな家族みたいな関係性が作れてるのがすごいねって言ってくれて、
それならやっぱりブランドを立ち上げるとまでは言わないけど、
何かやってみたらいいんじゃないっていうのが大アドバイスをくれて、
そこから本当に真剣に考えだしたっていうのが1つかな。
これはね、本当に個人的な主観なんですけど、
例えば好きなブランドってあると思うんですよね。
僕このブランドが好きとか、シューズだったらこのブランド、
服だったらこのブランドとか、いろいろ好きなブランドって1つじゃなくて何個もあると思うんですけど、
やっぱり年とともに時代とともに着るものって変わっていく。
僕もそうだったし。
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ただ10年くらい前から本当に自分の趣味思考って、
マイナーチェンジはあれど、根底の部分って変わらんなっていうのがすごいあって、
なんか新しいブランドとかをチクイチチェックするとかっていうことも昔からあんまりしないし、
その中でちょっと感じたのは、
今はこれを買ってるけど、1年後2年後3年後はわからんっていう人がほとんどだと思って、
それってどうなのかなっていうか当たり前なんだけど、そんなもんなんだけど、
20年前から大好きなブランドですって言えるお客さんとか洋服好きってどれくらいおるんだろうなっていうのが、
すごいふとふつふつ湧いてきて、
じゃあ例えば10年それ以上ずっと好きな濃いファンが居続けてくれてるブランド、
たくさんありますけど、どのブランドにもそういうファンっていうのは一定数いると思うんですけど、
その濃度っていうか高いブランドってどんなブランドなんだろうなっていうのを考えたときに、
それこそ一流の本当にセンスのあるデザイナーさんは革新的なデザインだったり、
そういうのでみんなを引っ張っていくっていう力はあるだろうし、
そういうので時間が経っても色褪せずお客さんを引っ張っていけるファンを作っていけるっていう人もいるだろうし、
そんなのを定義付けしていろいろいろいろ考えたときに、
じゃあ僕がブランドを立ち上げるんだったらどんなブランドだろうな、
ずっと好きっていう濃いファンが作れるブランドであり、
そのブランドを自分が作るってなったらどうなんだろうなっていうのを考え始めたんですよ。
そこで僕が出した答えというか、答えの一つとして全てをクリアにするっていうのがあって、
クリアっていうのはどういうことかっていうと、今はペインティッドブランクっていうブランドをやってるんですけどね、
そのアイテムって1アイテム作るのに本当にこの形作ろう、こんなのいいなあんなのいいなって言いながら、
結局やっぱり10店舗もあるから1年ぐらいかかる中で本当に一点一点に圧倒的な熱量を込めて、
さらにその込めた熱量をすべてリリース前の段階から皆さんに伝えていく。
すべてをクリアにするブランドがあれば、僕は買い続けるんちゃうかなっていうか、
僕はそういうブランドでしかも普遍的というか色のついてないような、
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洋服ってすべてにルーツがあるんで色がついてないっていうのは語弊があるけど、
なんかこう年を重ねても男女関係なく着ていけるものがあれば、僕は好きになるんじゃないかなと思ったんですよ。
それがあって作ったっていうのがありますね。
各ブランドさんがデザイナーさんが思い描く理想のパターンというか、
ブランディングしてこういうブランドに育てていきたいなっていうのはそれぞれあって、
僕は僕なりのその僕の人生において23年店頭に立ち続けたっていうのがやっぱりあって、
その中でたくさんのお客さんが僕に言ってくれたこととか、
僕がたくさんのブランドに触れる中で感じたこととか、
そういうのを凝縮して時間かけてもいいから一点一点作っていこうっていうのが始まりですね。
だからファッションブランドをやってるとかデザイナーですとかっていうことは全くなくて、
もうそんな大それたことを絶対口が裂けても言えないですけど、
洋服好きが洋服を買うだけじゃないじゃないですか。
みんな裸で生活するわけじゃないから、
何かしらの洋服を着る中でどんな人でも着れるものってあって、
洋服興味ないからって消耗品っていうかどうでもいいやっていう買い方してる人もいれば、
興味はないけどいいもの欲しいっていう人も絶対一定数おるかなっていうのがあって、
そういう人たちにも届けたいっていうのが僕のブランドですかね。
それが個性っていうか、僕の中でのブランドの個性になってくれたらいいなと思って、
冊子も付けていったりしてます。
自分なりの表現、独自性っていうのをずっと考え続けたときに、
僕はたくさんのブランドを抱えて店の規模を大きくしていくっていう能力もないし、
好きなブランドと10年20年ずっとやっていきたいなっていうのがあるから、
そういう小さくても強い表現をしたくて、
だから既存の取り扱わせていただいているブランドに混ざって、
自分のものがあればいいなっていうね、そういう感じですかね。
あとその2個目の質問で、
ブランドって何ですかっていうのがすごい深いですよね、この質問。
ブランドって何ですかって考えたことないから、
改めて今考えてみると、
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ブランドを始めるってことって、
自分のすべてをかけてものを作る。
そのための受け皿みたいなものがブランドなのかなって思います。
だから意思表示を貫くための物構えがブランドなのかなっていう気はします。
どんなブランドにも作り手さんっていうのがいて、
名前を出している人もいれば名前を出していない人もいて、
でも作っている人っていうのは必ず存在するじゃないですか。
ブランドの扉を開いて、
いろんなアイテムを通してどんどんどんどん深掘っていくと、
やっぱり残っていくのってデザイナーさんの思いだと思うんですよね。
だからその思いを表に出す人も出さない人もいますけど、
貫くためというか、自分のやりたいことをやるための受け皿がブランドだとは思います。
そんな感じですかね。
今って良いとか悪いとか、正解をすぐに欲しいっていう風潮って何となくあると思ってて、
それは原因としてはやっぱりSNSとか、
インターネットっていうのが普及しまくってる。
当たり前になってる段階で、
ネット開いたらすぐに答えみたいなものってもらえる時代じゃないですか。
だからこそ、自分の目とか自分の感覚とか、
そういうものが大事になってくる時代になってくると思ってて。
2回言っちゃいましたけど。
あのゾゾタウンも実店舗みたいなのを構えたんでしょ。
ニュースで見ましたけど。
そこでは実際の洋服販売はできなくて、
サンプルみたいなものがかかってて、
本職のスタイリストさんがコーディネートの相談に乗ってくれて、
コーディネートを組むっていう、体験型って言われる店舗ですよね。
だからやっぱり時代ってそうなって、戻ってきてるのかなっていうか、昔に。
だからやっぱり自分の体験として触れて、触って、
人の言葉としてしっかり教えてもらう。
そこに価値がある時代にはなってきます。
今も昔も結局そこが一番なんじゃないかなっていうか。
それでは話戻りますけどね。
洋服を通信販売でも店頭でもどちらでも、
サッシを一緒につけてるんですけど、アイテムごとの。
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だからまずはそれを読んで一通りアイテムのことを知ってもらう。
なんで僕がこれを作りたかったかとか、
どういう素材で作りましたとか、
この素材はこういう特徴があるとか、
シルエットはどうとかっていうことを一通り頭に入れた上で、
そのアイテムを着てもらうと、
頭に入れてるのと入れてないのとちょっと感覚が変わってくるだろうし。
それを手にすることで、
ブランドのファンとかっていうことじゃなくて、
おこかましい話ですけど、
チームみたいな感覚になってくれたら嬉しいなっていう。
常にマンツーマンでありたいっていうか、
直接話したり会ったりはしてないけど、
サッシを通して話してる熱量っていうのをみんなに届けて、
本当にいろんなところに僕が出張して喋ってる感覚で、
手に取ってほしいなっていうのがある。
それも体験の一つかなっていうので、
作ったっていうのもありますね。
どんな仕事でもそうでしょうけど、
同じことをずっと続けていくだけじゃダメって、
なんかやっぱりチャレンジしたり、
本当に一生懸命表現を貫くっていうのを続けないと、
やっぱり難しいんだろうなって思いますね。
だからいろんなものが買えるお店じゃないけど、
そういうのって今ある大きなお店に任せりゃいいし、
ちっちゃいお店ができることもあるし、
そこを大きくした未来、
ちっちゃく濃くした未来っていうのを真剣に考えたときに、
僕はどうしてもちっちゃく濃い方が好きなんですよ。
店の名前にも現れてますけど、
遠回りだし、
もしかしたら全然間違った方法かもしれんけど、
やっぱり自分がこれが好きって思える方法で、
好きって思えることじゃないと、
人に伝わりませんもんね。
積み上げていくことにカロリーを使わなくなる瞬間ってあって、
昔は毎日毎日筋トレすることが本当に苦しかったけど、
1ヶ月2ヶ月3ヶ月って続けていったら、
当たり前になってくるじゃないですか。
昔は30回の腹筋が本当に苦しかったのに、
30回がもう鼻歌まじりでできるようになってきたら、
次50回、60回、100回ってやっぱり増やしていきますよね。
そんな感じで、やっぱ徐々に高みを目指してじゃないけど、
一人なんでちょっと厚く語ってしまいましたけど、
ガラガラの声のおっさんが厚く語ったら、
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本当に胸焼けするかもしれないですけど、
本当に嬉しいんですよ、こういうコメントくれるって。
このポッドキャストも本当に1年越えて、
本当に目に見えてリスナーさんが少しずつ増えてくれて、
こうやってリアクションくれたり、
この前もリスナーさんがインスタグラムフォローしてくれて、
少し遅くなりましたけど、
1から聞き直してますとか言ってくれて、
女性の方なんですけど、
それってすごい嬉しくて、
旦那さんもお子さんもいらっしゃって、
徳島行きたくなりましたって言ってくれて、
蕎麦も食べたいですとか、
いろいろそうやって、
SNSで不特定多数の人に情報を投げてますけど、
結局つながっていくのって点と点じゃないですか。
そういうのがすっごい嬉しいなっていう。
できることを一生懸命積み上げ続けることが、
やっぱり大事かなと思います。
そんな感じで、
声がそろそろ限界なんで、ここら辺で。
また来週ありがとうございました。