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番組あてにギフトやお便りいただいております。 まずはメアリさんからラジオトークあてにギフトいただきました。ありがとうございます。
そして好きな編集者同士さんからギフトと一緒にメッセージお便りいただきました。ありがとうございます。
志賀さん、こんばんは。早速、文詞について取り上げていただきありがとうございました。 動詞の変化形で形容詞っぽく振る舞うとのご説明でスッキリしました。
今勉強している言語で、形動詞という用語が出てきて、他の言語で言えば文詞と思ったものの、そもそも文詞って何?ともやもやしてました。ありがとうございました。
これからもいろいろな言語学トーク楽しみにしてます。ということで、好きな編集者同士さん、どうもありがとうございます。
文詞のエピソードをこの間配信しましたけど、よくわからないとわからないですよね。
お便りにあるように、僕の中では形容詞的に働く動詞ということで解釈してますけど、
もともとヨーロッパの文法用語ですので、それが他の言語に当てはまるかどうかはまた別の問題とかそういった話もしました。
そして形動詞ですね。
ちょっと調べたら、この形動詞っていうのはロシア語とかのスラブ系の言語で使われている用語なようですが、
トルコ語とかのチュルク系の言語とか、モンゴル系の言語の記述でもこの形動詞っていうのが使われているのは見たことあるので、
こういう文法用語って専門的でややこしいというか、なんでわざわざそんなの使わなきゃいけないのかというのもありますけど、
一方で使えるものは使った方がいいじゃんっていうのもあります。
ただその時は、きちんとその言語の中でどういう風に文詞なり形動詞っていうのが定義されるのかっていうのは考える必要があるかなと思います。
BGMです。
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。シルベスタスタローンです。
さて今回のエピソードは、比較言語学、ないし歴史言語学がテーマとなっております。
比較言語学の話は過去に何本も撮っていますので、関連エピソードとしてURLを概要欄に貼っておきますので、ぜひそちらも合わせて聞いてください。
さて比較言語学というのは、すなわち歴史言語学と言っていいもので、
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比較言語学というのは文字通り言語を比較するわけですけど、単に比較するんではなくて、その言語の系統を遡るためとか、あるいはそこを再建するために比べる、そういった意味で比較という言い方をしております。
ですので、おそらく過去のエピソードでもお話ししたことがあると思うんですけど、日本語と英語の比較言語学という言い方はしません。
というのが、日本語と英語というのは系統関係ありませんので、この2つの言語を比べて、日英祖語みたいな、そういったものを遡るということはできません。
そういった場合は、比較言語学とは言わずに対象言語学という言い方をします。
なので、言語学において比較言語学という言い方をした場合は、必ずそこに歴史的な研究であるっていう含みがあります。
言語の歴史を遡る方法はいくつか考えられます。
1つは古い資料を見るとか、何百年あるいは千年、二千年前の資料というのが運良く残っている場合は、それを調べれば言語の歴史というのを遡ることができます。
では、そういう書き言葉としての資料が残っていない、書物であれ秘文であれ、そういったものが残っていない場合、どうやってその言語の歴史を遡るかというと、
言語同士を比較するという比較方法と言われる手法がとられるんですね。
この比較するというところから比較言語学という名前が来ているわけですが、
言語を比較するからといって闇雲に見比べるというわけではなくて、
比較言語学の初歩的な段階として基礎語彙を比較するというのがあります。
基礎語彙というのは、例えば身体部位、頭とか目とか手とか口とか鼻とか、
あるいは親族名称、お父さんお母さん、お兄ちゃんお姉ちゃん、おじいちゃんおばあちゃんみたいな、
ちょっと親御ママみたいになりましたけど、そういう身体部位、親族名称、あるいは数字、1,2,3,4とかね、そういったものとか、
あるいは家畜とか、植物の名前とか、そういったものが基礎語彙に含まれます。
そういった基礎語彙を見比べて、規則的な音対応というのが見つかれば、
2つの言語は系統が一緒だと、つまり親戚関係にあるということができます。
規則的に音が対応しているということが、なぜ系統が同じということにつながるかというとですね、
そのある音が一方の言語で、あるいは両方の言語で変化して、それぞれの言語で今では別個の音になっているというふうに考えるんですね。
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この辺の話はぜひ関連エピソードを聞いていただけたらと思うんですが、
英語とラテン語を見比べたときに、英語でお父さんというのはfatherですよね。
ラテン語ではパテルとなります。
この後頭の単語の頭のシーンを見比べると、英語でf、ラテン語でpで出てきています。
このfとpの対応というのは、英語ラテン語でかなり規則的に見られるもので、
例えばfishですね。魚のfish。英語でfで始まっています。
ラテン語の魚というのはピスキスといって、これはpで始まっているんですよね。
このfとpの対応というのが、お父さんと魚だけで見られるのではなくて、
言語全体を通して見られますので、こういった場合に同系統であると見られます。
この場合は英語の方がpの音からfの音に変わったという、
もっと言うと破裂音から摩擦音に変わったという変化が起こったというふうに考えられています。
このように比較言語学において、言語が同系統であるということを主張するためには、
規則的な音対応というのを見つける必要があります。
その上で祖語、つまり祖先の言語からどういう変化をしたかというのを考える必要があって、
ラテン語の場合はpという破裂音が変化しなかったわけですけど、
英語の場合はそれがfという摩擦音に変化したと、それも一斉に変化したというふうに考えられます。
規則的に音が対応しているということが同系統であるという証なので、
逆に言うと全く同じ単語が出てくるんだとしたら、
それは釈用であるか、あるいは偶然の一致であるか、はたまたあるいは同じ言語であるということになるんですね。
今英語とラテン語を比べましたが、
インドヨーロッパ祖語、一番祖先の言語から英語、ラテン語というふうに分かれていったというわけではありません。
そうではなくて、比較言語学では系統樹というのを考えます。
ツリーですね。木ですね。
つまりインドヨーロッパ祖語という幹からいきなり英語とかラテン語という枝が生えているんじゃなくて、
その中間段階を経て英語やラテン語が派生しているというふうに考えるんですね。
もうちょっと具体的に言うと、インドヨーロッパ祖語という幹から英語の場合はゲルマン祖語というのを経て、
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さらにいくつか経て英語というのが生まれて、
ラテン語の場合はイタリック祖語という枝からいくつか経てラテン語、
さらにそのラテン語からいわゆるロマンス系の言語、
フランス語やスペイン語やポルトガル語やイタリア語やルーマニア語というのがさらに枝分かれしていくことになります。
つまり今言ったロマンス系の言語、
フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア、ルーマニアっていうこれらの言語は一つの語派を成しているということができます。
語派っていうのは言ってみればサブグループということで、
中間的な祖語を持っているということになります。
この場合はラテン語っていうのが中間的な祖語にあたるんですね。
英語の場合もゲルマン語派という語派があって、
これはゲルマン祖語というのが中間的な祖語が想定されます。
そのゲルマン語派というサブグループに属しているのは、
ドイツ語とかアイスランド語、デマークスウェーデン、ノルウェーとか北欧の言語が含まれますが、
この中間段階というかサブグループというか語派というのを認めるのにシェアドイノベーションというのが認められる必要があります。
シェアドイノベーションは日本語だと共通改新とかそういう言い方をすると思うんですけど、
同じ音変化があったと認められれば、それは語派を形成するというかサブグループを認めることができます。
ゲルマン語派の場合は、さっきお話ししたラテン語の破裂音が摩擦音に対応するっていうのが共通してみられます。
すなわちゲルマン祖語において破裂音が摩擦音になるっていうような変化があったんですね。
そこからさらに別個の言語に分かれていったということです。
このゲルマン語派のシェアドイノベーションの破裂音と摩擦音の対応っていうのはグリムの法則と言われて、
これについては関連エピソードで詳しく述べておりますので、ぜひ聞いてみてください。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
またねー。