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シャープ716で、言語の系統樹と比較方法というエピソードを配信しております、シャープ716。
で、これを撮り終わった後に、やれやれと思ったんですけど、その直後にですね、自分が話したかったのはこれじゃなかったということに気づきまして、
もっと系統樹寄りの話というか、系統樹についてもっと深掘りしようと思ってたんですよね。
それがどちらかというと、比較方法の話がメインになっちゃったので、今日は part 2 ということでやっていこうと思います。
BGM、ゆけい。
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
ララクロフトです。
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さて今日は系統樹というのをテーマにお話ししていくわけですが、
系統樹、言語学でもこの系統樹というのは使われます。
木になぞらえて、そこからいろんな言語が派生しているというふうに、歴史的な発展展開を見ていくのに、
系統樹というのが一つモデルとして考えられることがあります。
言語の歴史を考えるときに、この系統樹モデルというのと、もう一つ波状モデルというのがあります。
この系統樹モデルと波状モデルについてはまた回を設けてお話ししようと思います。
今日は言語学に限らず、限定せずに系統樹というものを考えていこうと思います。
系統樹というのは当然言語学以外の学問でも使われているもので、
わかりやすいのは、多分生物というか、生命の発展の仕方を考えるときに、系統樹というのがよく使われていると思います。
例えば、人類の進化の過程で、どこかしらのタイミングでチンパンジーとかゴリラとかと別れてとか、
それで枝分かれしていって、現在は別の生き物になってますみたいなことで、系統樹が使われますよね。
この人の進化の過程でよく誤解されているのは、ネアンデルタール人が我々の祖先だっていうような、そういった誤解があります。
ただネアンデルタール人というのは、我々原生人類の直系の祖先ではないんですね。
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ではなくて、枝分かれした別個の系統の人であったということがわかってるんですよね。
多分定説だと思うんですけど、ただネアンデルタール人とのその根欠みたいなことはあったみたいで、
我々原生人類のDNAの中にネアンデルタール人由来のものがあるとかね、そういった話もありますが、
いずれにせよネアンデルタール人は、我々の上にいるっていう直系で受け継いできてるっていうわけではなくて、
枝分かれして別れていった人ということでございます。
こういうふうに生物を仕分けるっていうかね、分類するのに系統樹っていうのが使われるわけですけど、
その系統樹っていうのが使われるのは、ずっと言っているように進化とか発展とか、
要は時間的な流れというかね、そういう歴史を見るのに系統樹っていうのは使われます。
それは言語学でも一緒で、インドヨーロッパ祖母からゲルマン、イタリック、スラブ等々、分かれていくわけですけど、
これも言語の歴史を考える上で系統樹っていうのがすごく役に立っているんですよね。
ただそういうものとか、こととか現象とか、あらゆるものを整理するのに、系統樹だけが唯一の手段というわけではありません。
その歴史はどうであれ、その見た目に従って、見た目って言うとあれですけど、類似性に基づいて仕分けるっていうような、そういった手法もあります。
これは生物学では系統樹を使うような、つまり発生とか発展っていうのを軸に分類していくのが系統学と言われて、
見た目というか、類似性によって分類するのが分類学と言われます。
言語学でも似たような区別はあって、系統樹を使って言語の歴史を考えるっていうのは、文字通り歴史言語学とか、あるいは比較言語学と言われます。
一方、言語をその類似性によって分類するっていうのは、タイポロジーとか類型論という言われ方をして、
そういった意味で言語学と生物学は似通ったところがあるなと思います。
こういうふうに歴史というか、過去を想定して分類する系統樹思考というのと、
目の前のものをその類似性によって分類する分類思考っていうのは、いろんな学問で見られると思うし、学問だけではなくて、日常的に我々が行っているものだと思います。
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どちらかというと分類思考、類似性によって分類するという方がより原始的で、系統樹思考というのは、後から身につけるものというか、少しレベルが高いものというふうに考えられています。
そういう歴史的な背景とか、過去の発生発展っていうのを考慮するのに、木がモデルになっているっていうのが面白いですよね。
一直線上に過去の事態事象が並んでいくんじゃなくて、枝分かれしていって、それがどんどん広がっていくっていうようなイメージですよね。
さて、言語学における系統樹ですけど、それに大きく貢献したのがシュライシャーという言語学者です。
時代でいうと19世紀末ぐらいですかね。19世紀の言語学っていうのは、すなわち歴史言語学、比較言語学でした。
その第一人者のシュライシャーが言語の系統樹を考案したんですね。
さっきから言っているように、系統樹っていうのは生物学でよく使われるものなんですけど、
ただシュライシャーの場合は、その生物学の系統樹がヒントになったっていうわけではないようです。
時代的にはダーウィンの進化論とか、その辺と同じ時代なんですけど、その生物学の系統樹を言語に応用しようと思ったわけではないようです。
そうではなくて、シュライシャーの言語の系統樹のヒントになったというかね、土台となったのは比較文献学だったんですね。
比較文献学っていうのはあんまり耳なじみがないかもしれませんが、そのまんまといえばそのまんまですね。文献を比較する学問ですけど。
昔の本というのは手書きで写し取っていたので、印刷技術が普及する以前は手書きで写本ですよね。
そういう写本というやり方でコピーを取っていました。
そうするといくつもその写本がある中で、写し間違いとかね、あるいはミスっていうのが見つかります。
それをいくつもの写本を比べる、比較することで、同じようなミスが見つかる場合は、同じ親の写本を持ってたっていうふうに考えられるんですね。
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っていうふうに写本同士をいくつも比較することで、写本の経図っていうか、系統樹っていうのが出来上がるんですね。
そういう比較文献学の知識があった白石は、言語にもそれを応用して、言語の系統樹を考案するに至ったということです。
ですので系統樹っていうのはかなり奥が深くて、言語学とか生物学とか、そういうある分野に特有のモデルというわけではありません。
言語にも生物にも、あるいは写本にも、あらゆる面で使われるモデルです。
ただ生物の系統樹っていうのを考えると、要は進化するっていうことなので、より原始的な単純なものからどんどん複雑な、最後には人間に至るみたいにね、
そういうふうに考えてしまうかもしれませんが、少なくとも言語学の場合は、枝の端っこに行けば行くほど複雑になるっていうわけでもありません。
そういった場合もあると思いますが、必ずしもどんどん複雑になっていくというわけではなくて、
例えば古典語と言われる、より古いインドヨーロッパ語族の言語であるラテンギリシャ、サンスクリットなどは、かなり複雑な体系を持っていました。
何を持って複雑かっていうのはちょっといろいろありますけど、そういう古典語が持つ複雑性ゆえに、間違った言語感みたいなのがね、生まれちゃったみたいなことがあります。
それについてはまた別のエピソードでお話しいたします。
それではまた次回お会いいたしましょう。番組フォローまだの方はよろしくお願いいたします。
お相手はシガジュウゴでした。