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  2. #732 時枝文法の入れ子型構造..
2025-02-22 11:34

#732 時枝文法の入れ子型構造と生成文法のXバー理論 from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/957805
https://radiotalk.jp/talk/1183587
https://radiotalk.jp/talk/1100500
https://radiotalk.jp/talk/1102272

主要参考文献
『日本文法 口語篇・文語篇』 (時枝誠記、講談社学術文庫)
Carnie, Andrew (2021) Syntax: A Generative Introduction. 4th Edition. Malden, MA: Wiley Blackwell.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

時枝文法の入れ子型構造について考察し、CとGの重要性を解説しています。また、生成文法のXバー理論との関係性を示し、両者の共通点を探っています。

時枝文法の基本概念
我々が中学で習う学校文法は、橋本信吉という先生による文法理論に基づいています。
それは品詞分類もそうだし、あとは文節というものも橋本信吉先生によるものです。
文節というのは、音を入れて区切りましょうとかいうもので、昨日ね、私はね、学校へ行ったよとかね、そういったことを皆さんやったと思うんですが、
それによって一つの単位が出来上がっているっていうふうに考えられています。それを学校文法では文節と呼んでるんですよね。
そういったことを我々中学でやったわけですが、ただ国語というか日本語の分析の仕方、文法理論というのは他にもあって、
今回取り上げますのは時枝本木先生の時枝文法とも言えるような理論です。
時枝文法については過去のエピソードで取り上げたことがございます。
シャープ524、文法は学校文法だけじゃない時枝本木博士っていう、まさにそのエピソードがあるので、そちらも併せて聞いていただけたらと思います。
その時枝文法の中でも特に今回キーワードとなるのは、入れ子型構造と言われる考え方です。BGMです。
始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか? 成功到底の気圧配置です。
お便りいただいております。遠藤美孝さんからギフトと一緒にいただきました。祝、祝いのギフトと一緒にいただきました。
遅くなりましたということで、これは5周年を記念したお便りということだと思います。
どうもありがとうございます。5周年に限らず、こういうお祝い系のお便りは前後半年受け付けておりますし、
何なら記念じゃなくてもお便りは随時送っていただけたらと思いますので、どうぞ送ってください。
入れ子型構造の詳細
さて、時枝文法における入れ子型構造というのは、
包み込むというか、包み包まれみたいな、なんかそんな構造で、
CがGを結合して文というのが作られているというのが入れ子型構造です。
ここでCとGというのが時枝文法において非常に重要です。
Cというのは品詞のCですね。
言辺につかさどるでC。
Gの方は辞書のGです。言辺につらいですか?幸せ?
つらいですね。言辺につらいの方がGです。
このCとGというのを時枝文法ではきちんと区別する必要があります。
Cというのは、物とかこととか、この世界のあらゆるものをある意味客観的に、概念的に表現したもので、
名詞とか動詞とか形容詞とか、我々が思い浮かべる言葉っていうのがだいたいこれに含まれます。
これに対してGというのは、ある意味主観的というか、表現される物事自体に対する話し手の立場とか態度っていうのをそのまま直接表すものです。
これに含まれるのは、いわゆる助動詞とか助詞とか、接続詞なんかもこのGというのに含まれます。
例えば、私がーっと言った時は、私というのがCで、がーっと言うのがGです。
この2つが結合するというふうに考えられて、入れ子型構造では、今回のサムネイルみたいにCの方を四角で囲んで、
Gの方はそれよりちょっと小さく添えるようにして書くっていうような習わしがあります。
引き出しと引き手とかね、そういうふうに表現されることもあります。
で、CとGが出てくる順番としては、Cが出てきてGがそれに続くっていう形で出てくることになるんですよね。
私がーのがーとか、あるいはおーとかにーとかでーとか、そういう助詞は名詞の、つまりCの下にくっつくことになります。
で、Gというのはさっき言ったように、話者の主観的な態度というか、話し手の立場みたいなものを表すものなので、
そのGによってその表現というかね、平たく言えば文全体が閉じられるというか、まとめ上げられることになります。
ここが橋本文法、すなわち我々が学校でやった学校文法とは異なるところで、
例えば、本を読んだと言った時に、学校文法だったら、本を読んだよというふうに2つの文節からなっていると考えます。
で、読んだのだっていうのは、読むという動詞にくっついているというふうに学校文法では考えるんですが、
時枝文法ではこのだっていうのは、その直前のもの全体を統一する機能を持っているというふうに考えます。
つまり本を読むという事態全体にだというのがくっつく、つまり過去がくっついて、
その本を読むという事態全体を、和者自身が平たく言えば過去として認識しているということを表しているということです。
だっていうのは読むだけにくっついているんじゃなくて、その直前の全体をひっくるめてまとめ上げている。
だっていうのはそういう字であるということです。
これがもし現在形で本を読むだった場合は、ゼロっていうのを時枝文法では考えるんですね。
字っていうのがないわけではない。あるんだけど形としては出てきていないっていうふうに、結構ゼロを積極的に認めます。
そこも時枝文法の特徴であると言えるかもしれません。
生成文法との比較
この時枝文法の入れ子型構造というのは、
生成文法におけるXバー理論と結構似てるなぁという気がします。
もちろん全く同じっていうわけではないんですが、それなりに通じるところはあるかなっていう気がするんですよね。
Xバー理論については、これも過去にエピソードがあって、
シャープ659で、あとはシャープ607、608で連続して生成文法というかXバー理論の話をしているものがあるので、
ぜひそちらも合わせて聞いていただけたらと思うんですが、
生成文法、特にXバー理論では、文を分析するのにツリーっていうのをよく書きます。
それは2つにどんどんどんどん分かれていくっていうような書き方になっていて、
1つのところから3つ枝が出てくるとかは考えないんですよね。
原則として2つずつに分かれていくっていうような書き方をします。
今回のサムネイルがそういったツリーを書いてますけど、
Xバー理論においても、日本語で言うとこの過去のた、読むの場合は読んだのだになりますけど、
このたとかだっていうのがヘッド、主要部であって、その保部として動詞句が現れているっていうふうに考えるんですね。
ちょっとね、つらつら専門的な言い方をしてしまいましたが、
要は、生成文法においても、本を読んだと言った時、だっていうのがその直前の動詞を含むまとまりを結合というか統一しているというふうに考えます。
Xバー理論においては、この過去のたっていう方が主要部、ヘッド、ある意味親玉っていうふうに考えるんですね。
なんとなくね、本を読んだって言った時のこのだっていうのは読むにくっついている付属品みたいな感じがするんですけど、
Xバー理論ではこっちの方が本体っていうふうに考えるんですよね。
本体というか、専門的には主要部という言い方をします。
時枝文法において、字の方が主要部というかヘッド的なものと考えるかどうかっていうのはちょっと微妙ですけど、
ただ、この過去を表すたという要素がその直前のもの全体を統一しているというか、まとめ上げているという点では、
時枝文法の入れ子型構造と生成文法のXバー理論というのは共通しています。
たっていうのは単なる付属品というか、動詞にくっついているだけのものではなくて、
もっと文全体に関わる要素であるということですね。
それと、ゼロを結構認めるっていうのもXバー理論でよくあることです。
そこも共通点といえば共通点かなと思います。
時枝文法と生成文法は同じ20世紀に生まれた文法理論ではありますが、
対象としている言語が時枝文法の方は当然日本語で、生成文法の方は英語です。
ただ、生成文法は英語以外のあらゆる言語にも適用できるというふうに考えてますが、
いずれにせよスタート地点は全然違う理論だったわけですが、
行き着く先は結構似ているというか、同じような発想に行き着いているというのは興味深いことでございます。
というわけで今回のエピソードはここまでということで、
過去にいくつか関連するエピソードがございますので、ぜひ合わせて聞いていただけたらと思います。
概要欄にURLを貼っつけておきます。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お会いではシガ15でした。
またねー。
11:34

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