1. 【10分言語学】志賀十五の壺
  2. #733 逆受動態 from Radiotalk
2025-02-25 11:41

#733 逆受動態 from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/1147073
https://radiotalk.jp/talk/1257935

主要参考文献
Dixon, R.M.W. and Alexandra Y. Aikhenvald (eds.) (2010) "Changing Valency : Case Studies in Transitivity" Cambridge: Cambridge University Press.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

このエピソードでは、逆受動態について考察しています。日本語には逆受動体が存在しない一方で、オーストラリアの言語など他の言語においては観察されることが述べられています。主語と目的語の役割の変化や、能覚絶対覚型言語との対比も取り上げられています。

逆受動態の概要
本日のテーマは、逆受動態です。逆受動については、過去にエピソードを撮ったことがあります。
シャープ339で撮ってますね。ですので今回は、それの再録に近いかなぁとは思うんですけど、
個人的にね、この逆受動というのはとても面白い現象だと思いますので、お話ししていこうと思います。
で、シャープ339はエピソードタイトルがオーストラリアの言語っていう風になってますので、
オーストラリアのアボリジニの言語を例に、多分逆受動の話をしてるんじゃないかと思います。
逆受動っていうのは受動の逆だっていうような、そういったネーミングになってるんですけど、
どうですかね。そのネーミングがいいかどうかっていうのも議論あると思うんですよね。
受動っていうのは日本語では受け身文と言われることもあって、
レルラレルがつくようなものですね、簡単に言えば。 学生が本を読むに対して本が学生によって読まれる。
これが受動体と言われるものです。 逆受動の説明に入る前に、この受動体っていうのを大雑把に定義しておくと、
一つは動詞に何らかの変化があるということですね。 レルラレルが日本語だったらつくし、英語だったら
b 動詞プラス過去分詞形がつきますよね。 そして主語や目的語の役割が変わるっていうのが受動体のやってることで、
もともと多動詞だったものが 自動詞になるっていうのが受動体です。
一種の自動詞化です。日本語の場合、自動詞の受け身文っていうのもあるんですけど、それはちょっと置いといて、
つまり学生が本を読むっていうのは、主語が学生で目的語が本なわけですよね。
これが受動体になった時に自動詞になります。 その受動体受け身文で主語となるのは、もともとの目的語ですね。
日本語だったら大がつく名詞です。 本が学生によってっていう、これはあってもなくてもいいオプションみたいになります。
英語だったら倍で表示されるもので、つまりもともとの主語っていうのはちょっと格落ちするっていう感じですね。
で、本が学生によって読まれる。これが受動体。 もともとの多動詞の目的語が自動詞の主語となる。
そういったものです。 BGMです。 始まりました4月15のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
言語の違い
進撃の巨人です。 逆受動体というのを受動体と平行的に考えようと思えば考えることはできます。
日本語には逆受動体っていうのはありません。 逆受動体があるのは関連エピソードにもあるオーストラリアの先住民言語とか
あとはマヤ諸語とかチクチ語とかね。 チクチ語っていうのはロシアの一番東端っていうか
アラスカと向き合っているとこにチクチ半島っていうのがあるんですよね。 そこで話されているチクチ語でも逆受動は観察されます。
さっきの受動体の大まかな定義と平行的に考えてみると 逆受動体っていうのも動詞に何らかの変化があります。
つまりれる、られるみたいなのがついたりとか それは窃盗時の場合もありますけど単語の頭に何かつくっていうこともありますが
いずれにせよ動詞が普通の動詞とは違う形になります。 主語や目的語が役割が変わっちゃうっていうのも逆受動で起こっていることです。
逆受動も他動詞から自動詞を派生するという点では一緒なんですが 主語や目的語の役割が変わるという変わり方っていうのが全然違って
逆受動ではもともとの他動詞の主語が自動詞の主語となって もともとの目的語っていうのがオプションになります。
受動体っていうのはもともとの目的語が自動詞の主語になってます。 逆受動体ではもともとの他動詞の主語が逆受動体の主語となって
つまり主語が主語のまんまって感じですよね。 で他動詞の目的語がオプション、最悪出てこなくてもいいものとなります。
これを日本語で考えてみると主語は主語のまんまで残って 目的語が消えてるだけじゃんっていう気がするんですよね。
学生が本を読むから本がオプションになって 主語は残っているので学生が読むと言ってるだけじゃないか。
動詞の形がちょっと変わるだけじゃないか。 そんな気がします。
ここで重要なのは逆受動が観察される言語は 能覚絶対覚型の言語が多いということです。
本当はこっちを先にお話しした方がいいので後出しじゃんけんみたいになってますけど 能覚絶対覚型の言語。
日本語はこのタイプの言語ではないんですね。 能覚絶対覚型の言語と日本語は言われます。
どういうことかというと 日本語は主語にはがっていうのがついて目的語にはをっていうのがつきます。
さっきの例だと学生が本をっていうふうに 主語にはががついて目的語にはをがつく。
まあそういうシステムなんですよね。 日本語の場合は
逆受動態の具体例
自動詞文だろうが多動詞文だろうが主語にはがっていうのがつきます。 学生が本を読む
この多動詞の場合でもが。 学生が走る自動詞の場合でもが。
だから日本語では自動詞の主語多動詞の主語 これら2つをあんまり分けません。分けて考えることはないです。
なぜなら両方がというのがつくからですが 逆自動体が観察される能覚絶対覚型言語では
この多動詞の主語と自動詞の主語っていうのを きちんと区別する必要があります。
なぜなら能覚絶対覚型言語において 自動詞の主語と多動詞の目的語が同じような扱いを受けて
多動詞の主語だけ仲間外れ、別個の扱いを受けるからです。 このあたりについても関連エピソードがあるのでぜひ聞いていただけたらと思います。
その多動詞の目的語と自動詞の主語をマークする標識のことを絶対覚と言って 仲間外れの多動詞の主語をマークする標識を能覚と言います。
これを無理やりちょっと日本語で考えてみると 絶対覚の標識が助詞の「ぜ」
能覚の標識を助詞の「のう」みたいなものだと仮定すると 多動詞文は学生のう
本ぜ読むとなるんですね。 で、自動詞文の場合は
学生ぜ 走るというふうにここではぜというのが出てきます。
さっきの多動詞文で本ぜ読むっていうふうに目的語を表示してた この絶対覚のぜというのが自動詞の主語にも使われているんですね。
この能覚絶対覚型の言語の 仕組みっていうのは
理屈は多分時間をかければ理解できると思うんですけど 感覚としてはなかなか理解しづらいというか
自動詞の主語と目的語が同じなんだと言われても ちょっとピンとこないですよね。
もう一回日本語がもし能覚絶対覚型だったらっていう例を言っておくと 学生のう本ぜ読む
自動詞文は学生ぜ走る
ここでやっとこそ逆児童の話に戻るわけですが 逆児童体は多動詞文から自動詞文を作るので
元の文は学生の本ぜ読む 動詞の形が変わって
逆児童のギャーみたいなのが動詞につくとして 読まれるみたいに読まギャルみたいな逆児童体の動詞の形になるとします。
動詞の形は読まギャル。
主語や目的語の役割が変わるというか配置転換が起こるので もっと言うと多動詞の主語が自動詞の主語になりますので
学生のうと言っていたのが自動詞の主語になる つまり絶対覚の学生ぜとなって
本の方は本ぜってなってたわけですけど それは出てこなくてもいいオプションになります。
そうなると学生のう本ぜ読む これの逆児童体は学生ぜ読まギャル
こういうふうになるということですね。
この能覚絶対覚型の言語において多動詞の主語と 自動詞の主語っていうのは全然扱いが違うので
学生のうが学生ぜというふうに能覚から絶対覚に変わってます。
日本語の場合は多動詞の主語も自動詞の主語も がっていうのを使うので
つまり主覚対覚型の言語なので 日本語をそのまんまで逆児童というのを考えようとしても結構無理があるんですね。
さらに言うと能覚絶対覚型の言語では 絶対覚っていうのがある意味一番偉いので
そのぜの標識を受ける名詞に 覚あげされてるっていう感じなんですね。
日本語みたいな主覚対覚型言語だと 主覚表示つまり日本語だとががつく名詞が一番偉いので
おがつく目的語をがにつく主語に変えるっていう まあそういう受動態があるということなんですね。
今回のエピソードはぜひ関連エピソードと一緒に聞いていただけたらと思います。
いくつか話しているものはあるんですけど、2つぐらいね。 URLは概要欄に貼っつけておきます。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お会いしてはシガ15でした。
またねー
11:41

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