1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #618 「たい」と「ない」の文..
2024-01-20 10:09

#618 「たい」と「ない」の文法的なちがい from Radiotalk

主要参考文献
岸本秀樹 (2021)『日本語のふしぎ発見!: 日常のことばに隠された秘密』東京: 教養検定会議.

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/857697

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。 クソ少女漫画、ゆめ子です。
今回は本の紹介から始めようと思います。
リベラルアーツ言葉草書というとこから出ている 岸本秀樹先生の
日本語の不思議発見 日常の言葉に隠された秘密という本です。
これは2021年に出てますね。 岸本秀樹先生の本だと、
生鮮文法の入門書とか書かれてるんですよね。 非常にわかりやすいので、そちらもおすすめです。
で、今回お話ししているこの日本語の不思議発見っていうのは、 タイトル通りですね。
日本語の不思議についてエッセイをまとめているというような本になっております。
全部で24ありますね。 一つ一つのエッセイは短いですので、
気軽に読むことできると思いますし、 例が日本語が中心ですので、そういった意味でも
当然わかりやすいです。 実感をもってね、いろいろ学べるところがあるんではないかと思います。
で、この本は一般向けだとは思うんですけど、 一般向けよりも一歩進んだようなところがちょっとあるかなと思いますね。
結構専門的な用語も使われてますし、 その参考書籍というかね、さらに知りたい人のための文献というのもまとめられております。
今回お話ししようと思うのは、その24あるエッセイのうちで11番目のエッセイでございます。
ここでね、付属語っていうのがテーマになってるんですね。 付属語っていうのは反対語っていうか対義語は自立語で、
主に日本語学なんかでね、用語だと思うんですが、 ここで例で挙げられているのは
対っていうのとないというものです。 行きたいっていうのと行かないというものですね。
で、この対とないっていうのはどちらもその単独では出られないという点で付属語です。 ただないの方は
自立語のないっていうのもあるので、本がないみたいなね、そういったものもありますので、そちらは
最後の方で時間があればねお話ししようと思います。 接続も違うんですけどね。行きたいの方は連用形接続で、
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行かないの方は未然形接続なので、 そのくっつく活用形は違うんですけど、どちらも
付属語であって、動詞にくっつくという点で共通しております。 さらに
行きたければとか、 行かなかったみたいに形容詞型の活用する。
出来上がったのが形容詞に見えるという点でも、この2つは共通しております。
この対とないっていうのは付属語であるし、
助動詞という言い方もされることがあります。助動詞。 ただ助動詞って言ってしまうと
この対とないの
その差というか違いっていうのが非常に見づらくなってしまうんですね。
それがどういうところに現れるかというと、さっき言ったように対にしろないにしろ、
出来上がったのは形容詞に見えるんですよね。 形容詞っていうのは例えば美味しいみたいなものです。
このケーキが美味しい。で、このケーキが美味しいみたいな言い方を
思うの内容にすることもできます。
このケーキをとても美味しく思うみたいな言い方ができるんですね。
この時にこのケーキをっていう風にをが出てきて、 とても美味しくっていう風に美味しいがくの形になってますね。
こういうのを言語学の専門用語で埋め込みということもあります。 この形容詞の埋め込みのテストを使って対とないの違いを
明らかにすることができると岸本先生は書いてらっしゃるんですね。これ面白いですね。 どういうことかというと
このケーキが食べたい。これをさっきの例と美味しいと同じように埋め込むことができるかというと、 これできるんですね。
このケーキを食べたく思うをにしてくの形に形容詞をすると。 これはいけると。
ではないの方はどうかというとこっちはできないんですね。 このケーキを食べない。
これを思うの内容にして、このケーキを食べなく思う。 まあこれは日本語としてはダメということで
この思うに埋め込むことができるかどうか。 で
対とないに差が出てきます。 岸本先生の結論だと対の方は形容詞でないの方は機能語だという言い方をなさっています。
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それをどういうふうにラベリングするかは置いておいて、 これを助動詞と呼んでしまっていると両方助動詞なんだなと思ってしまうんですよね。
で実際動詞にくっついて出来上がったものが形容詞的な活用するので、 確かに同じように見えるんですけど
本当にそうかというと 思うに埋め込めるかどうかみたいな。そういったテストをしてみると実は差があるということで
その助動詞という名称自体が非常に危ういものなんですね。
さて冒頭少しお話しした自立語のないについてもちょっとねお話ししていこうと思います。
岸本先生はこれについても書いていらっしゃって、 ないっていうのは2つあるんですよね。自立語のないと付属語のない。
これについては過去のエピソードでお話ししてますので、 概要欄にリンク貼っておきますので合わせて聞いていただけたらと思います。
これは自立語ですので、あの本がないみたいにね、ない単体で出てくるわけですが、 これを
ケーキを美味しく思うみたいに思うに埋め込もうとしてみると、あの本をなく思うとなるんですね。
あの本をなく思う。こういった言い方はできないので、このないっていうのも実は形容詞ではないんじゃないかとね。
岸本先生はおっしゃっております。 これはね結構ギョッとするところですね。ないって言ったら
まさしく形容詞だっていう感じがするんですが、 その形容詞の定義っていうのをどう考えるかですよね。
活用の仕方によって品種を分けるんであれば、 自立語にしろ付属語にしろないっていうのは形容詞ということになりますが、
もし、食うでね、美味しく思うとか、 食べたく思うみたいに、その思うに食うで埋め込めるかどうかっていうのを基準にするんであれば、
ないっていうのは形容詞ではないということになります。 僕個人としては
この付属語のたいとかないがついた動詞の形、 行きたいとか行かないとかね、これ出来上がったものは形容詞と言っていいんではないかと思います。
やっぱり活用の仕方で品種っていうのはまず決められて、 もっと言うと形態論的に品種っていうのはまず決められて、
それがなんかうまくいかないときに 統合論的なやり方を使うっていうのが、つまり
埋め込めるかどうかとかね、そういったテストを使うっていうのが いいんではないかなと思いますね。
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で、そういった文法的な手段が使えなくなったら、 意味的に品種っていうのはこう定められるべきだと思うんですよね。
意味っていうのは、いずれにせよ最後に来るべき基準だと思います。 というわけで今回は、
この行きたいと行かないという、たいとないのね、 2つの付属語、あるいは助動詞のお話で、
見た目は結構似てるし、出来上がったものも似てるんですけど、 統合テスト、
ちょっとしたテストによってその2つの違いが明らかになるというお話でございました。 日本語の不思議発見、興味のある方は是非読んでみてください。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガ15でした。
またね!
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