1. 【10分言語学】志賀十五の壺
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2025-07-08 11:50

#771 家畜化した文明人 from Radiotalk

主要参考文献
尾本恵市 (2016)『ヒトと文明: 狩猟採集民から現代を見る』東京: 筑摩書房.
中尾佐助 (1990)『分類の発想: 思考のルールをつくる』東京: 朝日新聞社.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

人は家畜に似ているという考えを基に、文明の発展に伴い家畜化された特徴が人間にも当てはまることが論じられています。尾本圭一先生の「人と文明」を参考にし、狩猟採集民と農耕民の対比を通じて人類の歴史とその影響を探求しています。

家畜化の概念
人は野生動物よりむしろ家畜に似ているという考えがあるそうです。 自己家畜化現象とか言ったりするみたいで、
100年ぐらい前から唱えられている説なんですね。 家畜化という言い方をすると、すごくショッキングというか、なんだか悪いイメージがあるような気もしますが、
確かに、家畜の特徴っていうのを掘り下げてみると、 人間にも当てはまるような気がするんですね。
BGM、行け! 始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ミスターじっ子です。
今回参考にしている本は、尾本圭一先生の「人と文明」という本です。 こちら、ちくま新書から出ていて、
副題が「狩猟採集民から現代を見る」となっていて、 狩猟採集民、ハンターギャザラー
についてかなり読みやすくまとめられているんではないかと思います。 狩猟採集民っていうのは
農耕民族の大義語みたいに捉えられることがよくありますよね。 人間の文明っていうのは
狩猟採集民から農耕民を経て、そして文明が築かれたっていうのが 大体定説になっていると思います。農耕を始めて
それで人が定住するようになって、 そこから階層というか階級が生まれて、文字が生まれて、あるいは宗教なんかもね
一神教が生まれたりとかもして、というような。 で最終的に産業革命につながっていって現代に至るみたいな。
そういったふうに考えられることも多いんではないかと思います。 この狩猟採集民と農耕民の
対比っていうのは、言語学でも少し関係があって、 現在地球上で話されている言語っていうのは
農耕と一緒に広まっていったっていうふうに考えられてるんですね。 これについては昔話したことがあって、またちょっと再録してもいいかなと思ってるんですが
その人類の広がりと農耕っていうのは、 あるいは言語の広がりと農耕っていうのは
関係があると考えられているんですね。 ただ狩猟採集民と農耕民っていうのが
完全にその二交代率になっていて、ゼロイチの問題か白黒つけられるかというと、そういうわけでもないんですよね。
狩猟採集民の中にも畑的なもの、栽培をするような人もいれば、全くそういう栽培的なものを行わない人々もいるっていうふうに
一種のグラデーションを成しているというふうに考えられています。 狩猟採集民と聞くと、どうしても全時代的というか
さっきも言いましたけど、人類っていうのは最初はみんな狩猟採集民だったのが 農耕を手に入れて
農耕民になって定住が始まり、道の甲の文明が発展していったというふうに考えられるので、そうなると
狩猟採集民というのが人類の初期的な段階というふうに見られがちなんですが、ただ
現代でも狩猟採集民というのは存在しています。 数はかなり少ないですが存在はしているんですよね。
それと狩猟採集民が劣っているという考え方も否定されるべきで、人類は農耕をするようになったからこそ
起こってしまった問題もたくさんあるっていうふうにも考えられるんですよね。 で、冒頭の話に戻って
人というのは家畜に似ているという話ですが、この家畜化した人っていうのはどちらかというと農耕民というか
文明人に当てはまるんではないかと思います。 家畜化したものっていうのは要は豚とイノシシの対比で考えられて
豚っていうのは野生のイノシシを家畜化したものです。 要は人が利用するために
野生動物から遺伝的に改良したものが家畜と言われます。 その利用の仕方っていうのはいろいろあると思いますけど
肉を食べる、卵を食べる、 乳を絞る、あとは毛とか皮とか
衣類に使ったりとか、あるいは田畑を耕す労働力として家畜は使われますよね。
豚以外にも牛とか馬とかヤギとか羊とか こういったものが家畜です。
その家畜化された動物を 野生の動物と比べた時に
尾本先生は4つの特徴を挙げていらっしゃいます。 一つ目は表現型の多様化。
平たく言えばいろんな種類がいるっていうことで 例えば犬っていうのは狼を家畜化したものですが
狼に比べると犬の品種には かなり
現代の家畜化された人間
まず見た目が全然違うものがたくさんありますよね。 チワワみたいなちっちゃいのからゴールデンレトリバーとかハスキーとかブルドックとか
いくらでも品種は挙げられると思いますが、見た目が全然違いますよね。 あまりに見た目が違うので
本当に同じ犬と呼んでいいのかと、そんな気さえします。 ただ犬の場合は交配が可能なので同じ犬と認められるんですね。
これは家畜の特徴だそうです。 一つ目が表現型の多様化。
2つ目が繁殖期間と寿命の延長。 3つ目が病気などへの体制の低下。
また出産時に人手を借りる必要があるなど自力での生存能の低下。 最後4つ目が人間の保護管理化でなければ生きていくことが難しい。
以上の4点が野生種と比べた家畜動物の特徴として挙げられています。
これら家畜の特徴っていうのは確かに人間にも当てはまる気はしますよね。 まあ最初の表現型の多様化だったら
人間っていうのは見た目が全然違います。肌の色目の色、髪の色形などなど。 ひょっとしたらそういったことが差別の原因とかになっているかもしれないし
4つ目とかもまさにそうだなーって気がするんですよね。 人間の保護管理化でなければ生きていくことが難しい。
人間が人間自身を保護管理しているわけですが 特にこの文明社会において
一人で生きていくっていうことは 現実的ではないですよね。
もう一回おさらいをしておくと、家畜の特徴として 4つあって一つ目が表現型の多様化
二つ目が繁殖期間と寿命の延長。 三つ目が病気などへの体制低下。また出産時に人手を借りる必要があるなど
自力での生存能の低下。 最後4つ目が人間の保護管理化でなければ生きていくことが難しい。
これらの特徴は人間、特に現代を生きる我々文明人に 当てはまるんじゃないかなという気がしないでしょうか。
繰り返しですが、今回参考にしている本は 尾本圭一先生の「人と文明」という本です。
ぜひ興味のある方は読んでいただけたらと思うんですが、 この尾本先生の本の冒頭の方で
小金良清っていう人の名前が出てくるんですよね。 この人の名前はどっかで見たことがあるなぁと思ってちょっと調べたら
星真一のおじいさんなんですね。 ショートショートのSF作家の星真一のおじいさんがこの小金良清という人類学者ですね。
星真一のエッセイにこのおじいさんの話があったのをちょっとね記憶してたんですね。 人間は家畜に似てるっていう話は
僕が最近目にした別の本でも紹介されていて、たまたま 中尾さすけという先生が書いている
「分類の発想」という本でね、その人と家畜の共通点みたいな話が出てくるんですよね。 まあその話自体は冒頭言ったように100年ぐらい前からあるんですけど
たまたま何の気なしにね読んだ2冊の本で 同じような話があるっていうのは
運命じゃないですけど まあそれが何か読書の面白いところですよね。
人間は家畜に似た特徴を持っていて
他ならぬ人間が人間自身を家畜化したとも言えるわけですが
それが悪いっていうことでもないと思うんですよね。 寿命が伸びたとか
そういうのは医療技術の発展によるところが多いと思いますけど、それはおそらくいいことだと思うし
多くの人が教育を受け入れられるような世界になっているのは喜ばしいことだと思いますが
ただ家畜化というかね、その文明化の負の側面というのも当然あるわけで
戦争であったり核差であったりっていうのは 現代社会が解決すべき課題だと思いますが
だからといって 我々は家畜から野生に戻らなきゃいけないということでもないと思うんですよね
というか無理だと思います。 家畜の特徴の4つ目として
人間の保護管理化でなければ生きていくことが難しいっていうのがあるわけですけど
ある意味圧倒戻りできないっていうような状況だと思うんですよね
その良い悪いは置いておいて、我々はもう家畜として生きていかなくちゃいけないのかもしれません
ただその家畜化した我々の問題っていうのは
ある意味野生種とも言えるような 狩猟再生民の生活に目を向けてみると何かヒントがあったりとかね
するかもしれません。 それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願い致します。 お相手はシガ15でした。
またねー
11:50

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