1. 【10分言語学】志賀十五の壺
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2025-05-20 11:45

#757 言語の多様性と系統的孤立語 from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/1185306

主要参考文献
菊澤律子・吉岡乾(編著)(2023)『しゃべるヒト: ことばの不思議を科学する』京都: 文理閣.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

現代において、言語の多様性が失われつつあり、言語と方言の境界や危機言語の状況が議論されています。特に、系統的孤立語についても言及され、言語の多様性が地理的要因と関連していることが示唆されています。

言語の多様性とその課題
生物の多様性が失われていると、そういったことを皆さん耳にしたことがあるんではないでしょうか。
この多様性という言葉が、一種の流行り言葉みたいになっている感もありますが、よく耳にする言葉だと思います。
特に多様性といったら、生物の多様性っていうのがかなり結びついているようなところはあると思うんですが、
言語についても多様性というのは議論されることがあります。
過去のエピソードでも、例えば、シャープ660で、多分そういった話をしてるんじゃないかなと思います。
2週間に1つの言語が消えているというエピソードで、言語の多様性が失われているっていうような話をしていると思いますので、
概要欄にURL貼っ付けておきますので、そちらも併せて聞いていただけたらと思います。
ただ、このグローバル化が進んでいる、まあもうグローバル化しちゃったと言っていいと思うんですけど、
そういった現代において、果たして多様性というのは守られるべきものなのか。
言語が一つあれば、例えば英語なり日本語なり、一つの言語を全世界の全人類が話すようになれば、
それでいろんな問題が解決されるんじゃないかと思われる方もいらっしゃると思います。
ただ、まあそういった考えっていうのは幻想というかね、
間違いであるっていうような話はシャープ660でやってるはずなので、
そっちを聞いていただくとして、今日はその言語の多様性そのものについてお話ししていこうと思います。
地理的要因と多様性の観察
BGMお行きなさい。 始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
テトロポリキョン星人です。 そもそも言語がどれだけ多様かということですけど、
まあ今世界で話されている言語の数は 6000とか7000とか8000とか、
まあそれぐらいだと言われてますね。間をとって7000ぐらいですかねと言われております。
ただ正確な言語の数はよくわからないと言えばよくわからなくて、
一つは言語と方言のその境目っていうのがよくわかんないです。
これには政治的な要因も関わっていて、本当は違う言語なんだけど同じ国の中で話されているから方言だとされている場合もあれば、
逆に同じ言語なんだけど国が違うから別個の言語だとなっていることもあります。
日本でもそうです。 日本ではいわゆる標準的な日本語、本土の日本語とは別に琉球諸語という言語が話されています。
これは言語学の世界では方言という言い方はしていません。 琉球諸語、別個の言語と言われています。
ですので、そういう政治的な要因も関わっているということもあって、時代とともにそういった意味で言語の数が変わるということもあり得るんですね。
ただそれはそれとして言語の多様性が失われているというのもまた事実で、
消滅危機言語、要は話者がいなくなってしまうとその言語もなくなってしまうということで、
話者の死はすなわち言語の死でもあるということですが、そういった言語はいわゆる
先住民の言語が危機的な状況にあるわけです。 ここもやっぱり政治的な要因は関わっています。
列強と言われる国々がいろんなところを植民地にしたわけですが、
そのタイミングで創始国の言語、英語、フランス語をはじめとするそういった言語が幅を利かせるようになって、
そうなると先祖代々受け継いできた言語を捨ててしまうということもあり得ます。
そういうふうに大きな言語というか、政治的に強い言語を使わないと生きていけないという状況もあるんですよね。
それはやっぱり間違いなので、危機言語の復興とか保護とかそういった活動も進められています。
日本語だってこれは一言ではないと思います。
面白いことに、言語の多様性っていうのは地理的な偏りがあるんですね。
端的に言えば、赤道に近い地域ほど言語の多様性が観察されて、すなわち多くの言語が話されていて、
赤道から離れれば離れるほど言語の多様性は薄まっていくというようなことが指摘されています。
そういった多様性がたくさん観察される地域として、まず挙げられるのはパプアニューギニアだと思います。
まさに赤道が近い地域なわけですけど、パプアニューギニアは世界で最も言語の多様性がある地域で、
パプアニューギニアという島の中で800ぐらいの言語が話されていると言われてるんですよね。
ですから、世界の言語の1割、10%が島の中で話されているということになります。
あるいは、中米も言語の多様性が凄まじいし、アフリカの区切れのところって言うんですかね。
西アフリカの赤道が通っている辺りの地域もやっぱり言語の数は多いです。
系統的孤立語の重要性
似たようなことは、さっきの生物の多様性でも言われていることなんですね。
かなり面白い類似性ですけど、言語についてはなんでその赤道付近、要は暖かいということですけど、
赤道付近で多様性がより多くあるかっていうのは、説明は試みられてるし、僕もちょっとそれを読んだことあるんですけど、
一旦ここではね、赤道に近い地域ほど言語の数が多いんだということを言っておきます。
地球上で話されている7000とも8000とも言われている言語は、共通の祖先に遡れることもあります。
例えばヨーロッパで話されている言語のほとんどはインドヨーロッパ語族という言語のグループにまとめられて、
それはどういうことかというと、インドヨーロッパ祖語という一つの共通の祖語まで遡れると考えられています。
その一つの共通の祖語が、祖先の言語がだんだん分かれていって、コミュニティが分かれて、
だんだん方言差になり、それが通じなくなると言語差ということになり、今に至っているということですね。
インドヨーロッパ語族の中でも、例えば英語とドイツ語は同じゲルマン語派で、より近い姉妹言語みたいに言われることもあります。
あるいは太平洋の島々で話されている言語も、ほとんどオーストロネシア語族と言われる一つのグループにまとめられるんですね。
さっきのパプアニューギニアは別として、太平洋ですからね、ハワイとかイースター島のラパヌイとか、
トンガとかサモアとかフィジーとか、あとはニュージーランドのマオリ語とか、こういった言語は全部オーストロネシア語族と言われて、
オーストロネシア祖語という一つの共通の祖語まで遡ることができると考えられています。
で、日本語の場合は、日本語とさっき言った琉球諸語っていうのが同じ共通の祖語、日琉祖語と言われることもあります。
に遡ることができるんですね。 ただこの日本語と琉球諸語以外の
他の言語と関係があるかどうか、 ユーラシア大陸のどこかしらの言語と関係があるかどうかはまだわかっていません。
こういうふうに日本語は琉球諸語がいるので、 一応一人ぼっちではないです。限りなく一人ぼっちに近いですが、一応姉妹がいるっていう状況なんですが、
本当に一人ぼっちの言語っていうのもあるんですね。 そういうのを系統的孤立語と言います。
日本語もよく系統的孤立語と言われますが、 琉球諸語を入れれば、一応系統関係にある言語はあるという感じです。
わざわざここで系統的って言ってるのは、その孤立語っていうのがちょっと別の意味で使われることも多いので、
ちょっとその話は置いておきますが、このエピソードでもね、 系統的孤立語という言い方をします。
例えばアイヌ語がそうですね。 アイヌ語は日本語とは全然違う言語だし、
他のユーラシア大陸の北の方の言語とも 系統関係が明らかにされていません。
あるいはニブフ語と言われる言語もあります。 このニブフ語という言語は、カラフとマナイシサハリンで話されている言語で、
これも危機言語なんですけど、 系統関係がわかっていない系統的孤立語です。
さっきインドヨーロッパ語俗の話をしましたけど、 ヨーロッパの言語の中にも系統的孤立語はあって、
それはバスク語と言われる言語です。 多分バスク語の話は過去にやったことがあるので、興味のある方は検索してみてください。
さっきねパプアニューギニアで 言語の多様性があるっていう話をしましたが、
パプアニューギニアの言語の中にも系統的孤立語っていうのはたくさんあるんですね。 なのでパプア語族みたいなのがあるわけではないんですね。
そうではなくてパプアニューギニアの中にはいろんな語族があるし、その中には
系統的孤立語、親戚がいないと考えられる言語もたくさんあります。 こういった系統的孤立語も言語の多様性において非常に重要なんですよね。
というわけで今回は言語の多様性についてのエピソードでございました。 関連エピソードもぜひ聞いてみてください。
そして番組フォローもよろしくお願い致します。 お相手はシガ15でした。
またねー
11:45

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