1. 【10分言語学】志賀十五の壺
  2. #735 言語の含意的普遍性 from..
2025-03-04 10:05

#735 言語の含意的普遍性 from Radiotalk

主要参考文献
Greenberg, Joseph H. 1963. Some universals of grammar with particular reference to the order of meaningful elements. In Joseph H. Greenberg (ed.), Universals of language, 73–113. Cambridge, MA: MIT Press.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

言語学における普遍性の探求では、絶対的な普遍性と簡易的な不変性の概念が論じられています。特に、グリンバーグの研究を通じて、類型論的な言語の特徴や語順の重要性が強調されています。

普遍性の探求
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ヨアン・マクレガーです。
言語学の仕事の一つとして、言語の普遍性を追求するというものがあります。
ご存知の通りというかね、この番組でも度々お話ししているように、
言語は多種多様です。いろんな言語があります。 それはいろんな側面で言えますけど、音でも文法でも語彙でも何でも
言語っていうのはかなり いろんなものがね
あるわけですが、その中でも何か共通したものがあるんじゃないか、普遍的なものがあるんじゃないか。
英語で言うとこのユニバーサルですが、そういったものを追求するというのが 言語学の目指しているところの一つでございます。
この普遍性というのは 生鮮文法とかでもね言われることがあります。
ユニバーサルグラマー、普遍文法というのが生鮮文法と言われる 言語学のね、分野では想定されているんですが、
今回はそういう普遍性ではなくて 言語類型論的な普遍性というのをちょっとお話ししていこうと思います。
どんな言語にでも当てはまる特徴があるとしたら、果たしてそれはどんなものかということですけど、
そういうのを特に絶対的普遍性と言ったりします。 そのまんまですね、絶対的だということですが、
ただその絶対的普遍性っていうのは、ある意味で何も言ってないのと一緒というかね、
当たり前すぎて言う意味あるんだろうかみたいな、そういうことになりかねません。
例えば、音声言語にちょっと絞ってお話ししますけど、 全ての言語は詩音と母音を持つ。
これはまあ言語普遍性、特に絶対的普遍性の一つとして考えられますが、
果たしてそれは言う意味があるんでしょうか。 どんな言語も詩音と母音を持っています。
そんなのなんか言われるまでもないっていうようなね、感じがします。 あるいは、
全ての言語は疑問を表す手段がある。 まあこれもどうですかね。
人間の欲求として何か聞きたい、尋ねたいっていうのが、 本来的にね、人間がそういう欲求を持っているとしたら、
それを表す手段は当然あると考えられるので、 疑問を表す何らかの手段をどんな言語でも持っている。
これもそれはそうなんじゃないっていう感じがします。 あるいは、
全ての言語は名詞と動詞を区別するっていうことが言われることもあります。
これはね、今までの2つとはちょっと違うような気がするんですよね。
実際、名詞と動詞の区別がないと言われているような言語もあります。
これも分析の仕方というか、ある意味で考え方一つというところもあるかもしれませんが、
この名詞と動詞がどんな言語でも区別されると言えるんだったら、
これは結構意味のある、 絶対的不変性じゃないかなという気はしますね。
確かに名詞と動詞っていうのは大抵の言語で区別があります。 当然日本語にもありますし、英語にもあります。
しかし、 名詞と動詞の区別がないという言語も
想像できなくはないというか、 さっきの2つと比べると、
死因と母音がない言語とか、疑問を表す手段がない言語っていうのは、
ちょっと想像しづらいんですけど、それに比べると 名詞と動詞の区別がない言語っていうのは
多少イメージしやすいかなと思います。
今までお話ししてきた絶対的不変性っていうのは、 そうそうね、言われるものではないです。
それよりも指摘される不変性というのは、 簡易的不変性と言われるものです。
英語だとインプリケーショナルと言われるもので、 要はちょっと条件みたいになっているんですね。
AならばBみたいに、 こういう言語だったらこういう特徴を持ってますよっていうようなのが 簡易的不変性と言われるものです。
この言語の不変性について、非常に重要な役割を果たした人物として、 グリンバーグという言語学者がいます。
このグリンバーグは、特に語順の類型論の先駆けで、 今でも通用するような不変性、
簡易的不変性含めですけどね、指摘しております。 例えば、
ある言語で基本語順がSOVであれば、 その言語は高知詞を持つ。
こういった簡易的不変性を指摘しています。 基本語順がSOVなら高知詞を持つ。
まさに日本語はこういった言語ですよね。 日本語はSOV語順で、
動詞が最後にやってくる言語ですけど、 がとかをとかでとかにとか、
まあそういった高知詞を用います。 こういったタイプの言語はたくさんあります。
高知詞というか、節微字みたいなのも含めてですけど、 隣の韓国朝鮮語、
ツングス諸語、モンゴル諸語、チュルク諸語、
こういうらしい言葉を横断するような言語によく見られる特徴です。 そのために日本語、韓国朝鮮語、
ツングス、モンゴル、チュルクっていうのが一つの語族、 アルタイ語族みたいにね言われたことがあります。
アルタイ祖語、祖先の言語っていうのが想定されて、 そこからいろんな言語にね分かれていったと、
まあそういうふうに言う人もいるんですが、 日本語含めこれらの言語が似ているのは、
SOV言語だから高知詞を持つっていう、その 簡易的普遍性のために見た目が似ている
わけであって、系統関係にあるから、 姉妹とかね、いとこの関係だから似てるというわけではないんですね。
でグリンバーグの普遍性は、 今言った普遍性とある意味逆みたいなことも言っていて、
基本語順がVSOだったら常に前置詞を持つ、 みたいなね普遍性も、簡易的普遍性も言っております。
ここは常にと書いてるんでね、相当強い主張ではあるんですね。 VSO語順であるなら前置詞を持つ。
まあこういう簡易的普遍性というのを知っとくと、 何か新しい言語に出くわしたときに、
予想がつくんですよね。 つまり、
この言語はVSO語順だなぁと思ったら、 おそらく前置詞を使うんだろうなぁということがね、想定されたりとか、
逆にSOV語順なのに前置詞を使っていると、 この言語ってちょっと変わってるんだなぁということがね、
わかります。 でこの簡易的普遍性で大事なのは一方向的だということで、
つまり、前置詞を持つ言語はすべてVSO語順とはなりません。 VSO語順だったら常に前置詞を持つ。
こっちは行けるわけですけど、まあ帰ってくることはできないというかね、 反対向きには言えませんので、そこは注意が必要です。
この簡易的普遍性というのは、今でも研究されているところですし、 さらに組み合わせるようなこともあります。
AかつBならばCみたいに、 複数の条件が重なり合うような、そんな普遍性も指摘されています。
グリンバーグの研究
そっちの方が条件が狭まるので、より確かなことが言えるんですよね。
というわけで今回は、言語の普遍性、特に簡易的普遍性についてお話ししました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
はい、では。シガ15でした。 またねー!
10:05

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