1. 【10分言語学】志賀十五の壺
  2. #746 ことばによって失われる..
2025-04-12 09:54

#746 ことばによって失われるもの from Radiotalk

主要参考文献
岡本夏木. 1982. 『子どもとことば』東京: 岩波書店.(引用は pp. 175-6)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

このエピソードでは、言語の習得過程やそれに伴う神秘的な側面が考察されています。また、言葉を獲得することによって失われる感受性や柔軟性についても触れられています。

言語習得の神秘
この番組は10分言語学ということで、 言語に関することは何でも取り上げているつもりですけど、
ただまあ取り上げてないテーマっていうのもそれなりにあります。 特に言語習得については、
それが母語であれ、第二言語であれ、 あんまりね、扱ったことはないんじゃないかなと思います。
当然面白いテーマだと思うんですよね。 特にその母語の習得となると、
子供っていうのは、 母語であればどんな言語であっても、すんなり習得していくわけで、
大人である我々からすると非常に羨ましいですよね。 苦労して外国語を身につけようとしているところを、
子供だったら、というか僕だったらね、全然その辺は苦労とも何とも思ってないんですよね。
各有私というかね、我々も、 日本語っていうのは何の苦労もせず身につけております。
非常に面白いですよね。よくよく考えたらね。 よくよく考えなくても面白いので、
今までこの番組でもっと取り上げててもおかしくないテーマではあるんですが、
僕自身がそんなに今まで興味がなかったっていうか、 あまり深く勉強はしてきてないんですよね。
最近、岩波新書から出ている子供と言葉という本を読みました。
岡本なつき先生という先生が書いていらっしゃるもので、 これは1982年に出版されているのでデータとしては結構古いんですよね。
今はもう 科学技術的にもいろんなものが進歩して、
もっといろんなことがわかっているとは思うんですけど、 こちら新書ですんでね、入門としては
よろしいんじゃないかと思います。すんなり読めると思います。 僕がこの本を読んで思ったのは当然ですけどね、
子供というのはオンギャーって言った瞬間から喋れるわけでは当然ないです。 周りの刺激を受けて、ある程度時期が経ってからだんだん喋れるようになるんですよね。
お子さんいらっしゃる方はよくわかると思うんですけど、 つまり言葉以前の時期っていうのが
どんな人間にもあるんですよね。 その喋らない時期っていうのが必ずあって、
熟成期間というかな、そういうのがあって喋り始めるということですが、 この岡本なつき先生の書いてあるのを見ると、その言葉以前という時期を結構
重視していらっしゃるみたいですね。 結構ね、ページも使って言葉以前について書いてらっしゃいます。
そういう言葉以前の時期を乗り越えて、 子供というかね、人間は言葉というものを獲得するわけですけど、
それって一種の神秘ですよね。 で、この子供と言葉を読んでて面白いなと思ったのは、言葉によって失われるものについても書かれてるんですね。
今言ったように言葉っていうのは獲得するもので、 ある意味その言葉という道具と言っていいと思うんですけど、それを用いて
子供っていうのはいろんなことが表現できるようになるし、 複雑な思考もできるようになるし、ということで
いいことづくめっていう感じはすんですよね。 ただその言葉を得ることによって
失われるものもあるっていうようなことが書かれてあります。 これ非常に興味深いですよね。
一部引用しながらお話しすると、 言葉が獲得され、それが情報処理に参加し、子供が言語的態度をもって外界に接していくことによって、
以前にはなかった思考の広がりや深まりが見られることは誰しも疑わぬ事実である。 これ今言ったやつですけど、言葉を
手に入れたことによって、 人間というのはいろんなことができるようになるわけですが、
また引用しますね。しかし今一方では、言葉の寛容的な使用経験が増せば増すほど、 言葉記号と結びついてた概念は、より画一的ステレオタイプ化し、
情報処理や表現形式は機械的に固定化しやすい命運を同時に担っているのである。 そしてそのために、
子供が言語的思考の熟達に先立って持っていたいくつかの機能の長所が、 その犠牲になって失われていきやすいことを見逃してはならない。
まあここがね、なかなか 深いところですよね。
まあこういったことは普段喋ってても結構思います。まさにこういうポッドキャストのエピソードを 撮っている時とか
よく思いますね。 決まり文句というかテンプレテンプレで喋ってて
言葉による失われるもの
肩にはまりきっているっていうか、 まあそれはそれで
全面的に悪いってわけではないと思うんですよね。 そのコミュニケーションで大事なのは内容を伝えることだとすれば
その箱っていうか外見は別に何でもいいというか、 逆にその寛容的な入れ物に入れて渡してしまった方が
スムーズにできるとも言えると思います。 まあ学術的な世界とかだと
割とテンプレで、論文とかプレゼントかもそうだと思うんですけど、 そういうフレーズを身につけてしまった方が
話している方も聞いている方もあるいは読んでいる方も 流れっていうのがすんなり入ってきやすくって
内容っていうのが 理解しやすいっていうのがあると思います。
それは言語によって得られるものですが それと同時に
創造性とかあるいは芸術的な意味で言えば そこに言語の持つ柔軟性みたいなのは失われているわけですよね。
まあ良い悪いを置いておいて、その言語の獲得と同時に 感覚の
その柔軟性みたいなものが 失われているのかもしれません。
要は、人間というのは母語を手に入れることによって だんだん型にはまっていくっていうことですけど、もっと言葉の持っている
弾力性というかね、みずみずしさみたいなものに もっと気を配ってもいいかもしれないなぁと思いますね、抽象的な話ですけどね。
その言葉の持っている 音の面白さとかね、音の並びの
リズム感とかね、イメージとかね、印象とか一緒かな。 そういったものを
感じ取れる感じ性みたいなのは多分子供にあるんですけど
だんだんそういったものが剥ぎ取られて 形外化した言葉しか残ってないのかもしれません。
そういう感受性を大事に できた人というか
そういうのに向いている人が芸術家になるんだと思うんですよね。 作詞とかね、歌を読むとかね。
ただもう大人は言葉を獲得してしまった以上 言葉以前には戻れないので
どういうふうに世界が見えて聞こえてたのかは わかんないんですよね。
それを言葉を獲得したとみるか、あるいは言葉によって奪われたとみるか、 事実は一つですけど
どう捉えるかはね、まあ人それぞれだと思うんですけど おそらく
子供の言葉にはそういったところがね 残ってるんじゃないかなぁと思います。
というわけでまあ今日はふんわりした話でしたけど 言語習得についてもね、今後もしかしたらエピソードを配信するかもしれません。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。お相手はシガ15でした。
またねー!
09:54

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