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こんにちは、志賀十五です。毎回テーマを一つ決めて、それに沿ってトークしています。
今回のテーマは言語学です。
シャープ14の方でも言語学の話ということで、僕がいかに言語学にはまったかという話をしているんですけど、今回もパート2ということで言語学の話をしようと思います。
シャープ14の方では、僕が言語学にはまったきっかけとして、中学の時、国語の授業で、動詞はウダンで終わるということを習って、
それがそういう事実があるということに驚いて、その事実を知らなかったことにまた驚いて、周りの友達は別に驚いていないということに驚いてという話をしたんですけど、
それとは別に、また言語学に興味を持ったきっかけがあります。
同じ時期ぐらいに読んだんだと思うんですけど、ダーリンの頭の中という小栗沙織さんという方が書いていらっしゃるコミックがあるんですけど、コミックエッセイと言っていいのかな、があります。
それが言語学にはまったまた一つのきっかけです。
この本は、ダーリンは外国人という映画化されたコミックエッセイがあって、小栗沙織さんが書かれた本なんですけど、読んだことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
これシリーズになっていて、小栗さんと旦那さんのトニーさんという二人の日常を面白おかしく書いているコミックエッセイなんですけど、そのシリーズの一つとしてダーリンの頭の中というのがあります。
このダーリンの頭の中というのはコミックエッセイというよりは、トニーさんというのが日本語ペラペラなんですけど、日本語のみならずいろんな言語を学んでいらっしゃって、
その言語について、雑学やトリビア的なもの、それについてトニーさんがどう思っているかというのを非常にわかりやすくまとめてある本です。
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ぜひ読んでくださったらいいと思うんですけど、その本全体を通して面白いんですけど、中でも僕が面白いと思った話があるので、ちょっとそれを紹介いたしますね。
その話というのは、英語というのはスペリングと発音というのが違うことがあるというか、一対一に対応していないことがあると。
それは非常に苦労するという話がありますよね。特に我々は非常に苦労すると思うんです。我々って日本語母語合わせにとって。
例えばアルファベットiで書いていて、それをiと読むのか、あるいはeと読むのか、少なくとも二通りパターンがあったり。
あるいはsと書いてあるけど、それをsという音になるのか、ずという音になるのか、濁るのかというパターンが二つあったりとか。
他にももっと探せば、変なスペリングだけどなんでこう読むんだろうとか、そういう例は探せばいくらでもあると思います。
一方、日本語の方に目を向けると、漢字は別にして、カナ、ひらがな、カタカナに関して言えば、一つの文字で一つの発音。
アだったらアとしか読まない、イだったらイとしか読まないと、こういう風になっているので、
そういう風になればなあって、なっていればなあって、皆さん思ったことあるかもしれませんね。
英語のスペリングに比べれば、日本語のひらがな、カタカナなんて楽だなあ、一対一対応だなあと。
ただ、実はそうなっていないと。
日本語のひらがな、カタカナ、その中でもんっていうのは、実はん、ん、んですね。
五十四の一番最後のん。
これはんっていう一文字に対して、非常に様々な発音の仕方があると。
ただ、日本人はそれを区別する能力がないので、全部んとして解釈しています。
これは、そう言われてもまずピンとこないし、考えてもわからないので、実際発音してくださるとわかるんですけど、
わかりやすいので言うと、三つ単語を並べてみて、
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はんぱ、はんぱじゃないな、はんぱ、はんのう、はんこ、この三つですね。
はんぱ、はんのう、はんこ、っていうのを三つ比べたときに、これをひらがなで書くと、はんのとこまで全部一緒ですね。
そのあとが、ぱなのか、のうなのか、こなのかっていうことなんですけど、
実はこのんっていうのは、全部違う発音をしているんですね。
ちょっとゆっくりやってみると、はんぱ、はんぱの場合は、唇を閉じて発音しています。
ローマ字で書こうと思うとmになりますね。実際、ローマ字表記のときはmになると思うんですけど。
で、はんのう、はんのうの場合は、はんのう、はぐきの裏に舌が当たってんっていう発音をしています。
で、最後のはんこっていうのは、のどの奥の方でんっていう発音をしていると思うんですよ。
というわけで、舌あるいは唇をどういう風に使ってんっていう発音をしているかっていうのが、
それぞれこの3つの単語で違うんですね。
なので、んっていう音に関して言えば、少なくとも3つのバリエーションがあると。
ただこれが、これね、3つだけじゃないんですよ。他にも例があるのは、
例えばね、全員とか定員、定員さんとか全員集合とかいうときに、これひらがなで書くと全員ですよね。
あと定員ですけど、さっきのはんぱ、はんのう、はんこのどれ、どのんとも違う発音をしているっていうのがわかると思うんですよ。
全員とか定員。舌がどこにも当たってないですよね。全員、定員。
なんかこれを、むしろこれひらがなで書こうと思ったら、全員とか定員とか、あるいは全員って伸ばし棒使っちゃったりとかしそうな感じになると。
これが起こるのは、んの後が母音のときなんですね。い、この場合両方いっていう母音ですけど、そういう場合はなんとなく伸ばし棒っぽい感じになります。
全員定員。なので日本語も一つの文字に対して一つの音っていうわけでは必ずしもないぞということなんですね。
っていう話がダーリンの頭の中であったんですよ。
非常にシンプルにたぶんこんぐらいの内容だったと思うんですけど、これは僕は非常に面白いなと思いました。
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で、後に大学入学して僕は言語学を専攻するんですけど、そのときに、ちょっとこれ専門的な話なんですけど、音声学・音韻論っていうのをやるんですね。
言語学で。で、これは言語はどういう、まあ言語って基本的に音声言語なので、手話言語とはありますけど、
人間の言語はどういう発音の仕方をするのかっていうのを研究して、っていうのが音声学で。
で、それを言語の中でどういうふうに体系的になってるかっていう、ちょっとこれ説明しづらいんですけど、っていうのが音韻論っていう分野になるんですけど、
で、まさにこの日本語のんの話は、これ音韻論の話なんですね。
他の言語では、全部半端半納半個全員っていう、このんっていうのを全部区別するん。
この、なんていうか、これらのんを全部区別するっていう言語も当然あります。
ただ日本語の場合はそんな区別せず、全部ひとまとまりにんとして認識しているっていうのが音韻論のやるところなんですね。
ちょっと説明がまずいですね。難しいんですけど。
まあそういうのを大学で習った時に、ああこれ、あの時ダーリンの頭の中で読んだのは音韻論の話をしてたんだっていうことに気づきました。
それをあれだけ分かりやすくまとめてたんだなと思うと、それも非常に面白かったところですね。
まあそれで、そこでもやっぱり母語っていうのは、僕の場合日本語ですけど、何の意識もしないで喋ってるんだなっていうのが非常に分かりますね。
反発反応反抗全員って、確かによくよく考えたら全然違う発音の仕方してるけど、そんなの意識しないし、しかも全部同じ言語音だと思ってると。
言語って面白いなと思いましたね。こんな違うのに、同じようにしか、同じ音を通してしか解釈できないと。
そこが言語の面白いところでありますね。
興味を持たれた方は、ぜひダリンの頭の中、あるいはそのシリーズを読んでみてください。
それではまた次回。ごきげんよう。