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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今回のトークは、まずお便りを読み上げたいと思います。こちら、タニーさんから頂きました。ギフトと一緒に頂きました。
ありがとうございます。こんにちは。死因と母音の回、楽しく拝聴させて頂きました。講義にすると何時間になるんでしょう。有意義な、個人的に大好きな回でした。
音の名前がややこしくて読むのも大変ですね。半広半狭、高高外音、南高外音とかも普段気にして発話してないですから、
気にしてたら舌が絡まっちゃいそうですね。楽しいお話ありがとうございました。ということで、いえいえ、こちらこそタニーさんどうもありがとうございます。
これは音声学の話をした時のものですね。なんてトークタイトルだったっけな。
言語の音を学ぼう、みたいな感じで、死因編と母音編に分けてお話したんですよね。
なかなか言語音を、特に母語である言語音を見直すってことは普通やらないことなので、皆さんも新しい発見ができるんじゃないかと思うので、よろしかったらそちらのトークも聞いて頂きたいと思います。
タニーさんは韓国のソウルにお住まいなんですよね。個人的にお友達トーカーなんで知ってるんですけど、というわけで今日のトークはですね、タイトルにある通り韓国朝鮮語のお話をしようと思います。
せっかくなんで音のね、言語の音についてのお話ってことにしようかなと思います。
タニーさんはもう韓国に住まれて長いので、よくご存知な内容だと思うんですけど、初めて韓国朝鮮語というものに触れるというかね、全然知識がない人にもなんとなく韓国朝鮮語ってこういう言語なんだということが伝わればいいかなと思います。
でこのね、言語の名前についてなんですけど、この番組では僕は割と一貫して韓国朝鮮語っていう言い方をしているはずです。
ただ学術的にはというか言語学の世界だと朝鮮語という言い方をしますね。
でもまあ一般的には韓国語という言い方がされることが多いと思うんですけど、当然韓国朝鮮語っていうのは韓国でも話されているし北朝鮮でも話されている言葉なので、韓国語といって無理に韓国に収める必要はないっていうことだと思うんですよね。
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なので言語学の世界では朝鮮語という言い方をします。
ただ政治的な理由で朝鮮語っていう言い方を避けたがるんだと思うんですよね。
だからまあいろいろ考えちゃって、ハングル語みたいなめちゃくちゃな言い方がされることもあって、ハングル語っていうのは言ってみればひらがな語とかカタカナ語みたいなものなんですよね。
ハングルっていうのは言語の名前ではなくて文字の名前なので、なんかねこういういろいろ気にしすぎちゃってわけわかんなくなっちゃってるんですよね。
英語だったらコリアンでも一言で済むところなんですけど、こういういろんな事情があって、僕は韓国朝鮮語という言い方をしようと思います。
さっき言ったようにハングルっていうのは文字の名前で、このハングルが非常に合理的な文字なんですよね。
世界で一番合理的な文字であると言えると思います。
その背景として歴史的に新しいっていうのもあるし、かなりシステマチックにできてるんですよね。
一つの文字がシーンと母音と、場合によってはもう一つシーンが来たりするみたいなね、かなりすっきりした文字の作りになっているので、
ハングルはね、がちれば1時間で読み書きできるようになるんじゃないかなと思いますね。
さらに日本語母語話者にとってありがたいことに、語順が全く一緒なんですよね。ほとんど一緒と言っていいと思います。
なので日本語で思い浮かんだ文をそのまま畜語訳的に韓国朝鮮語に置き換えても、割とうまくいくというところがあります。
それと漢字文化圏だったこともあって、今韓国では漢字使われてませんけど、
日本語で言う漢語っていうか、中国語由来の単語っていうのが結構あるんですよね。
それも発音が日本語に似ている場合も多いし、日本語と似てなくてもかなりきれいに対応するパターンっていうのもあるので、
それを覚えてしまえばね、なんとなく初めて聞く単語でも、漢語であれば推測することができます。
なので日本語母語話者にとって韓国朝鮮語っていうのは最も学びやすい言語ではないかなと思います。
学びやすいは学びやすいんですが、言語の音という面について言うと、日本語とはかなり違うと言っていいかもしれません。
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例えば日本語の発音っていうのは音節っていうものはですね、基本的に詩音と母音1個ずつでできてるんですよね、あるいは母音だけ。
詩音で音節が終わるっていうことはなくて、例外としてんっていうのがあったりとか即音っていうのがあったりするんですけど、
基本的に音節というのは詩音で終わることはありません。
が、韓国朝鮮語は音節が詩音で終わるということもよくあることで、特に音節末の詩音が破裂音である場合はね、聞き取りが非常に難しいんじゃないかと思いますね。
例えば、パッとパッとパッっていうね、今3回パッって聞こえたと思うんですけど、これ全部違う単語で、1個目のパッっていうのはご飯っていう意味で、これビビンバのバッと一緒ですけど、パッはご飯。
パッは畑。パッは外っていうね。
この音節の最後に出てくる破裂音が破裂しないで発音されることがあるので、そうなってくるとね、日本語母語話者は聞き取りが非常に難しいと思うんですよね。
あるいは、音節末が詩音である場合も聞き分けが難しくて、パンとパンとパンっていう3つのパンっていう音が聞こえたと思うんですけど、これも全然違う単語なんですね。
1個目のパンっていうのは夜で、2個目のパンは暮らす。で、最後のパンっていうのは部屋っていう意味なんですね。
つまりこれは日本語母語話者がうんとしてひとまとめに聞いてしまっている音を韓国朝鮮語母語話者は聞き分けているということになります。
今お話ししたことからわかるようにですね、人間っていうのは聞きたいものしか聞かない、もっと言うと聞くべきものしか聞かないということをですね、日本語でパンと言ってもパンと言っても全然違いはないわけですけど、
違いはないっていうか、もっと言うと本当は物理的には違いはあるんですけど、その違いを聞き分ける意味がないという意味で違いがないっていうことなんですね。
つまり日本語でうんという時に唇を使っても歯茎を使っても上あごの奥の方で発音してもどれも同じうんであってそこに意味の違いはないんですね。
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ただ韓国朝鮮語母語話者にとってはそれは重大な言語音の違いであって、単語の意味が異なってくるということになります。
これはおそらく言語に限ったことではないと思うんですよね。
そうじて言うと意味のあるものしか人間っていうのは知覚できないっていうことだと思うんですよね。
これは裏を返せばね、知覚するためには何か意味がないといけないんじゃないかということだと思います。
まあなんか哲学的なことになりましたけど、こういった発音の違いというのも訓練すれば身につくものですので、韓国朝鮮語を興味のある方はぜひ勉強をしてみてはいかがでしょうか。
というわけで今回のトークはここまでということで、また次回お会いしましょう。ごきげんよう。