1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #577 モダリティ=話者の態度..
2023-08-29 10:31

#577 モダリティ=話者の態度って感じ from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/719924
https://radiotalk.jp/talk/892478

主要参考文献
高木千恵 (2009)「関西若年層が用いる同意要求の文末形式クナイについて」『日本語の研究』 5(4): 1-14.
盛田紗緒莉・小島聡子 (2016)「東北地方若年層の用いる文末形式「~クナイ」について」『岩手大学人文社会学部紀要』 97: 29-42.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:12
始まりました、志賀十五の壺。
新たなる抱負が始まりのスタートであります。
永島茂雄です。
今回お便りいただいておりますので、まずそちらをご紹介しようと思います。
1通目は、ケイリンさんからいただきましたギフトと一緒にいただいております。
ありがとうございます。
志賀さん、こんにちは。
前にも取り扱っていそうだなとは思いつつ、ついついお便りしてしまいましたが、やはりあったのですね。
再度にも関わらず、丁寧な説明ありがとうございます。
おかげですっきりしました。
今後もためになる配信楽しみにしています。
ということで、ケイリンさんどうもお便りありがとうございます。
これはね、この間クナイについて、まさにケイリンさんからのお便りにお応えするということをやったわけですけど、
あんまり気にしないで大丈夫ですので、僕自身も何を配信したかというのは忘れていることありますし、
再録という形でより良いものがお届けできるという可能性も大いにありますので、
取り直したいなと思っているものもあるっちゃありますので、
そういった意味でもお便りがきっかけで、また過去のものが取り直せるということがございますので、
そういうの気にせず前に配信しているかもしれないとかあるかもしれませんけど、
そんなに僕自身は全然気にしておりませんので、送っていただけたらと思います。
というわけで、ケイリンさんお便りありがとうございます。
2つ目のお便りは、
紅葉って書いてクナと呼んでいいさんからいただきました。紅葉というかモミジって書いてクナと呼んでいいさんからいただきました。
できるクナイの回を聞きまして、こちらもね、そちらの回についてです。
クナイを変換したら、今の紅葉ですね。モミジというか紅葉にいいというのが候補で出てきて驚きました。
近頃の名付けの影響でしょうか。しばしば拝聴してますがお便りは初めてです。
大学の時受けた言語学の講義が面白かったので大変興味があります。
東日本出身の私としては、できなくないという表現が含む否定感を消したいがためのできるクナイなのだろうと漠然と考えておりました。
03:06
西日本からの派生であるというのは言語学界隈での定説となっているものなのでしょうか。議論したいわけではなく、東日本側の人間としてなんとなく感じた瞬間でした。
時間のある時にでもまたご説明いただけますと幸いです。まだまだ暑い日が続きますのでお体にお気をつけてお過ごしください。
ということで紅葉って帰ってくなと読んでいいさんからいただきました。ありがとうございます。
まさにねそのできるくないの配信でお話ししたのは、西日本方言の否定の表現がちょっと形容詞っぽくなって、でそれが元でくないみたいなのができたというねお話をしましたが、
どうなんでしょうね定説なんでしょうかね。他にも関西方言以外だと秋田方言が元だという研究もあるみたいですので、定説とまでは言ってないかもしれません。
で僕があと知っているのは、 くないとよく似た機能で、できることないみたいなこのことないっていうのが愛知県の方で観察されるっていうのはちょっとね聞いたことがあります。
まあ一応このくないの起源としては諸説あるということではないかと思います。
というわけでまず冒頭でお便りにつご紹介いたしました。
このできるくないとかいう時のくないっていうのは、この間もお話しした通り聞き手に同意を求めるときに用いられるものだと、そういった機能があるとお話ししました。
そういうふうに聞き手に働きかけるような、モダリティと言われるような要素は日本語だと文末、発話の一番最後の方に出てくるものなんですね。
でくないっていうのもそうですけど、他にもいろんな方法で聞き手に働きかけるものです。
行きましょうって言ったら勧誘だし、行きなさいって言ったら命令だし、行ってはいけませんって言ったら禁止だし、そういうふうに聞き手に働きかけるモダリティとしてくないっていうのが新しく仲間入りしてるっていう話をしましたが、
そういうモダリティと言われるものは、話者の主観的な態度っていうのを表すもので、今お話ししたのはそういった主観的な態度っていうのが聞き手に向かっているわけですけど、そうではなくって命題に対して話者がどういうふうに判断しているかっていうのを表すモダリティというのもあります。
06:16
雨が降るらしいとか、雨が降るそうだとか、雨が降るはずだ、こういうふうな命題というか事態というか出来事に対して、話者がどう思っているかっていうのを、話者の確信度みたいなものをね、表したりするようなモダリティというのもあります。
ですので、特に日本語学とかだとモダリティといった時に、その命題に対する話者の態度なのか、聞き手に働きかけるような話者の態度なのかっていうのを区別するっていうことがよくあります。
で、語順としては、出来事に対する、命題に対するモダリティの方が先に出てきて、聞き手に働きかけるようなモダリティの方が後に出るっていうような傾向があるんですね。
ですので、例えば、雨が降るらしいね、みたいな言い方になるわけですけど、このらしいっていうのは、雨が降るっていう命題に対する話者の態度で、最後のねっていうのは、ちょっとくないと似てるとこはあると思うんですけど、同意を要求するような聞き手に対するモダリティっていうことで、
必ずそういう順番になっているんですね、日本語では。
で、今言ったように、日本語にはそもそも同意を表すようなモダリティ要素っていうのはあるんですよね。
くない以前から、今言ったねとか、〜だろうとか、〜じゃないっていうようなものがあるんですけど、それでもくないっていう新しい要素が出てきたということは、
くないは、もともとあるねとかだろうとかじゃないみたいなものとは異なる機能があるっていうことだと思うんですよね。で、おそらくそれを調べた研究はすでにあると思います。
まあそういった他の同意を表すモダリティ形式とくないっていうのがどのように機能の面で異なっているかっていうのを考えてみるのも面白いと思います。
で、前回そのくないの話をしたときに言った通り、やはりくないっていうのは否定の意味はないと思いますね。
例えば、できるっていう動詞の否定はできないなわけですけど、このできないという否定形とできるくないっていうのが相互に交換可能というか、同じ文脈で使えるんだったらそれは否定と言っていいと思いますけど、
09:18
今日は忙しくってピアノの練習ができない。 まあこれが否定の文なわけですが、
これを今日は忙しくってピアノの練習ができるくないとはやっぱり言えないと思いますね。
できないみたいな否定が出てくる文脈でできるくないっていうのは同じようには使えないので、やはり発話するとしたら上昇のイントネーションを伴って、
機能としては否定ではなくて同意を要求するっていうことがおそらく言えると思うので、そういうふうにしてくないっていうのは否定ではなくて聞き手に対するモダリティ形式だということができると思います。
というわけで今回はできるくないについての補足みたいな感じでございました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願い致します。
お相手はシガ15でした。
またねー!
10:31

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