1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #484 「暑くね?」は疑問文か ..
2022-10-08 10:21

#484 「暑くね?」は疑問文か from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/301606

主要参考文献
『言語類型論入門:言語の普遍性と多様性』 (リンゼイ J. ウェイリー、岩波書店、引用は pp. 242-243)
Practical English Usage (Michael Swan, Oxford University Press)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:08
始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。7人の侍です。
お便りいただいているので、今回そちらにお答えしていこうと思います。
maktab さんからいただきました。
普段話しているとき、否定の形で質問や依頼することがあります。
否定と質問が同じ形なのも不思議ですし、否定文なのに肯定であることを期待しているようなニュアンスを感じるのも不思議に思います。
こういった文について言語学ではどう考えているのでしょうか。また他の言語も同じ現象はあるのでしょうかというお便りです。
maktab さん、どうもありがとうございます。
まず一つ訂正しておきたいのは、否定と質問が同じ形とありますけど、これは同じ形とは言えないと思いますね。
イントネーションが違うので、雨降ってないだったら、いわゆる閉序文ですね。
これが文末が上がっていくと、雨降ってないだと疑問文になっているわけですよね。
ペン持ってないとペン持ってないっていうのも同様で、他のもそうですけど。
そういうふうにイントネーションで明確に疑問文であることが示されているので、たまたまっていうか文字にしたらこれは現れていないわけですけど、音声上は明確な違いがあるので、
なので今回は否定疑問文ということですね。
否定文が疑問文に使われているというわけではなくて、疑問文の中に否定を含んだものがある、否定疑問文というものがあるということで、あくまでこれは疑問文であると言っていいと思います。
で、こういうふうに否定疑問文が特殊なニュアンスを用うるっていうのは、実際言われていて引用しますけど、
ウェイリーという人が書いた言語類型論入門という本があって、ちょっと引用しますね。
あらゆる言語はイエス・ノー疑問文を様々なコミュニケーション上の目的に利用する。
もちろん監修的な用法は、ある命題の真理地を決めることである。
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それが正しいかどうかを問うということですね。
だが、話し手は大抵の場合、答えが何であって欲しいか、あるいは答えが何なんだと信じているかについて一定の先入観を持っている。
この先入観はイエス・ノー疑問文において様々な形で現れ得る。
例えば、英語では否定の障子を付加することで、話し手が肯定的な答えを予期していることを示す機能がある。
これはお便り中にあったものと一緒ですね。英語でも同様のことがあるということです。
例が、彼の新しいシャツ素敵じゃないっていうようなもので、
Don't you just love his new shirt?っていうのが例に挙がっています。
これは素敵だっていうような答えを期待しているわけですね。
何で否定疑問文がこういった変わったニュアンスを伴うかというと、僕なりに解釈するとですね、
ただ単に質問するだけだったら、そこに否定っていうのは必要ないんですよね。
単純に素敵かどうかを問うんだったら、素敵ですかっていうふうに否定なしで聞けばいいんですけど、
わざわざそれを否定文にするっていうことは、そこに疑問以上のものが乗っかってるっていうか、
こういうのを優評と言ったりするんですけど、ひと手間かかってるってわけですよね。
なので素敵じゃないとか言った場合は、これは疑問というか肯定の答えを期待しているっていうことで、
確認要求とかねいう言い方をすることもあります。
今回のタイトルの厚くねっていうのもそうですね。厚くないとかくねとかくないっていうのが、
これは否定を含んでいるわけですけど、そこにも否定の意味合いっていうのはなくって、
でさらに疑問の機能も果たしているとは言えなくって、
単純に自分の思っていることの確認というような使われ方をしています。
単純に厚いって聞いた場合は、聞き手がどう思っているかを聞いている。
まさに疑問なわけですけど、厚くねって言った場合は自分が厚いと思っていることの同意とかね、
そういったものを求めているような感じですよね。
でさっき見たように、英語にもそういう確認をするような否定疑問文があるということでした。
ただこの否定疑問文がいつでも確認だけに使われるかっていうと、そういうわけでもなくって、
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勧誘っていうような機能もありますね。
明日行かないとか、これ食べないとかね、こういったものです。
この勧誘と連続しているものとしてお便りにあったように、
これコピーしてくれません?とか言うのも、これは依頼っていう感じですけど、
まあいずれにせよ、否定疑問にすることによって、
疑問以上の役割、疑問文以上の役割を担っているということです。
英語も同様か。
why don't you 何々っていうのも、レッツと言い換えられるような文脈で使われるので、
やっぱり否定疑問が勧誘的な用法で使われているということですね。
この否定疑問っていうのは、今思ったんですけどね、
コンネーションの違いにかなり左右されやすいような微妙な側面があるなぁとね、思います。
例えば、熱くないって聞くと、
まあこれは疑問文というよりはさっき言ったように確認要求というか、
まあ熱いっていう答えを期待して同意を求めているような表現なんですけど、
これを熱くないって聞くと、
まあ文脈によるでしょうけど、
場合によってはうん大丈夫っていうようなね、
むしろ否定の返しを期待しているような時にも否定疑問っていうのは使われますね。
英語もそうみたいです。
英語の否定疑問も肯定の答えを期待するような、
まあ素敵じゃないみたいなようなものもあれば、
むしろ否定の答えを期待するようなね、
そういった否定疑問もあるようです。
特にそういった場合は驚きを表すみたいなね、
あいつまだ来てないの?とか言うと、
そうなんですよ来てないんですよっていう否定の答えを期待してるっていうかね、
だからまあどっちもあり得るっていうことですね。
肯定の答えを期待している場合も、否定の答えを期待している場合も、
どちらも否定疑問というのは使われるようです。
まあこれは英語にしろ日本語にしろだと思います。
まあちょっとね他の言語どうなってるかわかんないんですけど、
これはやっぱり疑問文というものに、
否定っていうある種手間がかかっているので、
その答えを聞き出すっていうこと以上のものがね、乗っかっていて、
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でそれが期待した答えが話者の中にあったりだとか、
まあ勧誘とか依頼とか、
いろんな方面にこう機能が広がっているということができると思います。
まあなかなか面白いですねこれね。
というわけで今回は否定疑問文の話で、
でそれは疑問文以上のニュアンスを伴うことがよくあるというお話でございました。
微妙に時間が余りましたね。
最近noteを始めたので、そちらいくつか記事投稿してますので、
ぜひ読んでいただけたらと思います。
概要欄からね飛べるようにしているはずなので、
そこから記事を読んでいただいたりとか、リアクションしていただいたりとか、
あるいはフォローしていただいたりとかね、
していただけると大変嬉しいです。
以上宣伝でございました。
というわけで今回はここまでということで、また次回お会いいたしましょう。
番組フォロー忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガー15でした。
またねー。
10:21

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