1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-02-27 09:30

#271 バイリンガルとダイグロシア from Radiotalk

アラビア語のトーク
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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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こんにちは、志賀十五です。 今日も志賀十五の壺、やっていこうと思います。
僕はね、母語は岡山方言なんですよね。
で、今話してるのは、いわゆる共通語っていうことで、 これってもしかしてバイリンガルなのかしら?みたいなね。
とてもバイリンガルとは言えるような状況ではないですけど、 ひょっとするとね、これを聞いてくださっているリスナーの方の中には、
バイリンガルの方がいらっしゃるかもしれませんね。 言ってもおかしくないとは思います。
皆さんご存知のように、バイリンガルっていうのは、 2つの言語を母語のレベルで流暢に操ることのできる人のことを、
バイリンガルって呼ぶわけですよね。 このバイリンガルのバイって、バイシクルのバイと一緒ですね。2つっていう意味なんで。
ちなみに3つの言語を流暢に操れる人のことを、 トリリンガルとか言ったりしますね。
このトリっていうのは、 トライアングルのトライと同じですね。3っていう意味があるんで。
もっと言うとこれ多分3と一緒でしょうけどね。 そういう話は置いといて、
バイリンガルとかトリリンガルとか、そういうふうに 2つ以上の言語を流暢に操れるっていうのを聞くとね、
日本語母語話者は、おそらく多くの方は、 羨ましいなって思うんじゃないかなと思います。
僕もそうです。外国語を学習しているとき、
やっぱりこの言語が母語と同じように話せたら どんなに楽しいだろうなとかね、そういうことを考えるわけですけど、
ただね、外国語として学ぶ楽しさみたいなのも やっぱりあると思うんですよね。
特に僕は言語学に関心があるもんですから、 言語学的に見て、同行っていうのは、
僕じゃないからこそわかるみたいなところがあるので、 そういう良い面もあるといえばあります。
ただね、こういうバイリンガルあるいはトリリンガルみたいに、 多言語話者と言っていいですかね。
こういう多言語話者になるっていうのが常にね、 好ましい状況ってわけでもないんですよね。
もちろん家庭の事情とかで、自分の子をバイリンガルにしたい みたいな考えがあって、
多言語話者になる人ももちろんいると思います。 日本語母語話者だとそういうのがすぐ思いつくかなって感じですけど、
特にね、日本っていうのは圧倒的に モノリンガルと言っていいような社会なんですよね。
モノリンガルのモノって1って意味ですから、 1言語仕様の社会ですよね。
こういったモノリンガルの社会において、 日本語だけではなくて他の言語も話せるようになってほしいということで、
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望んでバイリンガルあるいはそれ以上の言語を使う 多言語話者になるっていうパターンももちろんありますけど、
例えばね、家庭の言語あるいは地域の言語っていうのが 消滅の危機にあるような言語で、
やむを得ず学校や社会に適応するために 他のメジャーな言語を話すようになるっていう、
そういった悲しい多言語話者の実情もあります。
むしろそういう状況の方が世界を見回すと多いかもしれません。
つまりバイリンガルあるいは多言語話者にならざるを得ないっていう状況の方が もしかしたら普通かもしれませんね。
これは個人のレベルで2つあるいはそれ以上の言語を使うっていうことなんですが、
社会のレベルで2つの言語を使うっていうこともあります。
これはバイリンガルと言わずにダイグロシアというふうな言い方をするんですね。
今回のトークのタイトルにもなってるわけですが、 ダイグロシアはあんま使われないかな、日常生活では。
バイリンガルはすごい使われるんですけど、 そういったダイグロシアの社会で用いられている言語、2つの言語を
L変種とH変種っていうふうに呼ぶんですね。
このLっていうのはロー、低いですね。
Hはハイで高いってことでL変種、H変種と呼ばれています。
ちょっと誤解を招きやすいような呼び方になってるんですが、
L変種の方は日常会話で使われるような、 話し言葉と言い換えてもいいようなものです。
一方H変種っていうのは、学校教育とか法律とかメディアとか文学とか、 書き言葉的と言ってもいいかもしれません。
このダイグロシアの例でよく挙げられるのはスイスなんですね。
スイスは、話し言葉としてはスイスドイツ語というのが使われてるんですよね。
こちらがL変種と言われるもので、書き言葉とかフォーマルな場では標準ドイツ語が使われて、 こちらがH変種ということになります。
あるいは中国もそうかなと思いますね。
中国は北京漢話というかプートンファーっていうのがH変種としてあって、 それぞれの地域の方言がL変種と言えると思いますね。
あるいはアラビア語圏もそうで、 過去にアラビア語の話をこの番組内でしたことあるんですけど、
フスハーっていう標準的な言葉というか、正則、正しい規則と書いて正則ですね。
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正則アラビア語というのがH変種としてあって、 それとは別に話し言葉として地域的な方言というか、それがL変種としてあります。
こういうふうにスイスとか中国とかアラビア語圏とか、 いろんなところでこのダイグロシアっていうのは観察されるものです。
歴史を遡ればもっといろんなところであって、 例えばラテン語というのはずっとH変種として西洋に根付いていたんですよね。
もう書き言葉といえばラテン語を使うっていう感じだったんですよね。
もっと言うと日本もダイグロシアだったことはあります。 つまりこれは漢文ですね。
漢文とかあるいは漢詩っていうのがH変種としてあって、 話すときは日本語を使ってたわけですよね。
漢文を書けることとか漢詩が読めることっていうのが、 ある意味文化人としてエリートとして求められたことだったんですよね。
ちなみにひらがなとかカタカナでかなっていうのは仮のなって書きますけど、 あれもある意味ダイグロシアのあらわれといえばあらわれですね。
漢字こそが書くのにはふさわしい文字であって、 つまりH変種であって、かなっていうのは日本語とか、
つまりL変種を書く文字だからかなっていうのが使われてたと。 そういうふうに言うこともできると思います。
面白いのはね、このダイグロシアの社会においてH変種、 つまり書き言葉の方は母語話者がいないっていうのがよくあることなんですね。
中国のプートンファーとかは別でしょうけど、 例えば昔の西洋のラテン語は書くためだけの言葉だったし、
日本語の漢文もそうだし、 この母語話者がいないH変種が幅を利かせてるっていう点も非常に面白いですよね。
ただこういう状況もだんだんだんだんなくなっていったんだと思いますね。 アラビア語圏なんかはある意味そのフス派によって一つにまとまっているっていうね、
そういう力があるわけですけど、 歴史上国民国家っていう概念ができて、
どんどん国民国家ができていくうちに、やっぱりね、 一国家一言語みたいな、それと合わせて一民族っていうのも入るかな。
そういう意識がねすごい強くなって、そうなってくるとね、 その国家の中で違う言語を使っているっていうのは、まあ都合が悪いと言えば悪いんですよね。
なので国家を成立させるその統一感を出すために、 言語っていうのは用いられるっていうのはね、まあよくあることなんで。
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現代社会ではもしかしたらダイグロッシアは稀になってきているかもしれません。
というわけで今日のトークはバイリンガルとダイグロッシアについてお話ししました。 よろしかったら別のトークも聞いてみていただけたらと思います。
というわけで今回はここまでということで、 また次回お会いしましょう。ごきげんよう。
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