コーカサスの多民族性
今回は、コーカサスの言語について扱おうと思います。聞いたことございますでしょうか?
コーカサスというのは、英語風の呼び方で、ロシア語風だとカフカースと言われるところです。
具体的には、国会とカスピ海に挟まれた地域で、コーカサス山脈というのがあるんですよね。
ぜひ皆さん、地図で確認していただけたらと思います。国会とカスピ海の間の地域でございます。
この地域は、かなり多民族なんですよね。
独立国家で言えば、有名なのは多分、グルジア?
今だとジョージアという言い方をされてますけど、グルジアないしジョージア。
あとは、アゼルバイジャンとかアルメニアという国が、このコーカサスに含まれます。
それ以外にも国はあるんですけど、ロシア連邦内の国っていうことになってるんですよね。
今回は、そんな多民族な地域であるコーカサス地方の言語について扱います。
言語学的にも非常に多様なんですね。
そしてかなり珍しいというか、面白い現象がたくさん見られる地域です。
BGM、かかれい!
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。サモンホーサクです。
コーカサス諸語の特徴
このコーカサス地方の言語は、言語学的には3つに分けられます。
語族が3つに分けられるんですよね。
北東、北西、南、この3つに分けられます。
全部ひっくるめてコーカサス諸語と言われることもありますが、
どうですかね、この3つの語族がさらに1つの諸語まで遡れるかどうかは、まだ定説はないんじゃないかと思います。
そもそもコーカサスないし、カフカース自体があんまり日本人にとっては馴染みがないかもしれませんので、
その言語となるとさらに馴染みがないかと思いますが、
この北西北東南の中で、あえて言うなら南コーカサスのジョージア語ないしグルジア語が一番メジャーではないかなと思います。
その聞いたことがあるっていう人もいると思うし、
さっきも言ったようにジョージアっていうのは独立した国ですので、名前聞いたことあるという人もいると思います。
さっき出したアルメニアとアゼルバイジャンについては、アルメニア語っていうのはインドヨーロッパ語族の言語なんですね。
なので英語の親戚と言えば親戚です。
アルメニア語については過去にエピソードを配信してますので、ぜひそちらも聞いていただけたらと思います。
もう1つアゼルバイジャンも独立国家で、アゼルバイジャン語というのが話されてますが、
これはチュルク系の言語なので、トルコ語の親戚ということなんですね。
さっき言った北東北西南コーカサスそれぞれ3つの語族はインドヨーロッパ語族ともチュルク語族とも関係のない言語と考えられています。
一般にはあんまり知られていない言語のグループではあるんですけど、
言語学的にはかなりメジャーと言えるんじゃないかと思います。
その多様性ゆえにメジャーな言語で、いろんな特徴があるんですけど、
例えば能覚型の核配列であるとか、死因の数が多いとか、他の地球上の地域ではあんまり見られないような特徴がこのコーカサスという地域で観察されたりするんですよね。
ゴドベリ語の文法性
今回取り上げたいのは文法性についてです。
ジェンダーと言われるものですけど、要は男性名詞、女性名詞、あるいは中性名詞とかそういったものです。
この文法性というのはヨーロッパの言語でも観察されるものです。
男性名詞とか女性名詞とかね聞いたことある人もいると思います。
文法性というのがコーカサス諸語でも見られて、例えばゴドベリ語という言語で見られます。
このゴドベリ語というのは北東コーササス語族に属するもので、北東コーカサスというのは別名ナフダゲスタンと言われることもあります。
このゴドベリ語という言語でも文法性というのが観察されて、男性名詞と女性名詞と中性名詞というのがあるんですよね。
そういった意味ではヨーロッパの言語の文法性と似てます。
似てますけど、このゴドベリ語の文法性のシステムの方がかなりシンプルです。
というのが、男性を表す名詞は男性名詞、女性を表すのは女性名詞、それ以外のものは中性名詞という、自然の性に従って文法性というのが分かれてますので、かなり分かりやすい性の区別です。
これがヨーロッパの言語だと、例えば無生物の名詞であっても、月とか太陽とか椅子とか机とか何でもいいですけど、そういったものも男性名詞なり女性名詞に振り分けられているので、そこがちょっとね、難しいところなんですよね、非母語話者にとっては。
そもそも文法性とは何かっていう話ですけど、これは一致現象のルールみたいなもので、例えば男性名詞に係る形容詞は男性系にならなきゃいけなくて、女性名詞に係る形容詞も女性系にならなきゃいけない、中性名詞も一緒みたいな、
そういった一致のルールなんですよね。
これは形容詞以外にも指示詞で観察されることもあって、英語だったらね、this boyとthis girlっていうのは同じthisっていうのが形変わんないですけど、boyが男性名詞なのでthisも男性名詞に変えなきゃいけないし、girlが女性名詞だからそれに応じてthisっていうのを変えなきゃいけないっていう、そういったシステムが文法性と言われるものです。
さらに言語によっては、動詞の一致も性に従って変えなきゃいけないっていうことがあります。
男性名詞が主語だったら動詞も男性系にしなきゃいけないし、女性名詞が主語だったら動詞も女性系にしなきゃいけない。
中性名詞以下同文みたいな、そういったシステムもあるんですよね。
ですので、文法性のある言語を話すときっていうのは、その名詞がどの性なのか、男性なのか女性なのか中性なのかっていうのを知っとかないと形容詞とか支持詞っていうのと組み合わせることができないんですよね。
母語話者はどの名詞がどの性かっていうのが全部頭に入ってますので、そういうのが自然と口から出てきますけど、学習者にとってはまずその名詞がどの性なのか、男性女性中性、それを覚える必要があるんですよね。
ヨーロッパの言語の難しいところがまさにそこで、さっきも言ったように無生物の名詞であっても、机とか椅子にも男性とか女性っていうのが割り当てられているので、それを覚える必要があるんですよね。
それに比べると、ゴドベリ語の文法性っていうのは自然の性に従ってるっていう感じなので、生き物としてオスだったら男性名詞、メスだったら女性名詞、性別とかそういうのがないんだったら中性名詞っていう分け方になってますので、
我々日本語母語話者みたいな文法性を持たない言語の話者にとっては、ゴドベリ語みたいなシステムの方がイメージしやすいですよね。
日本語や英語には文法性というのはありません。確かにボーイとガールを区別します。男の子女の子、日本語でも区別できます。
ただこれは、名詞が性を持っているとは言えません。文法性があるっていうのは、さっきも言ったようにその一致の現象に関わるような、そういう文法のシステムに組み込まれているような性のことなので、
例えば、現代英語ではボーイとガールで何か違った形容詞を使ったり、支持詞を使ったり、あるいは動詞が違う形を取ったりということはないです。文法には関わっていません。
北東高科察のゴドベリ語には、男性名詞、女性名詞、中性名詞という3つの区別があって、それがヨーロッパの文法性と比べると、透明性が高いというか、より分かりやすい区別になっているというお話でした。
世界の言語を見回すと、もっと文法性の数が多い言語もあります。十いくつ数が分かれているというような言語もあって、そういった場合は文法性と言わずに名詞クラスということが多いと思います。
この名詞クラスが観察されるので有名なのは、アフリカの言語ですね。サハラ・イナンというかね、特にバントゥー諸語と言われるような言語で見られて、一番有名なのはおそらくスワヒリ語だと思いますけど、スワヒリ語にもそういう名詞のグループ分けというのがいくつもあるんですよね。
そういうバントゥー系の言語の名詞クラスの話はSHARP537で話していますので、概要欄にリンクを貼っておきますので、そちらもあわせて聞いていただけたらと思います。
というわけで、今回は口笠数の話から文法性の話になりましたが、最後まで聞いてくださってありがとうございました。また次回のエピソードでお会いいたしましょう。番組フォローまだの方はぜひよろしくお願いいたします。お会いしてはシガ15でした。
またねー。