1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #125 名詞に「性」がある言語..
2020-07-03 11:45

#125 名詞に「性」がある言語って? from Radiotalk

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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀です。
さて、今日のトークテーマは、言語の性についてです。性ですね。
これ性別の性っていうことなんですが、
まあ、ちょっとね、日本語母語話者にとっては理解しづらいところではあるかと思います。
大学等でですね、まあ大学じゃなくてもいいんですけど、ドイツ語とかフランス語、イタリア語とか勉強したことがある方は、
その名詞を勉強するときにですね、男性名詞だ、女性名詞だ、あるいは中性名詞だとかね、
そういうことを何か覚えなきゃいけなかったみたいなね、そういう記憶がある方もいらっしゃると思います。
まあこれはですね、男は男性名詞、女は女性名詞、
っていうね、そういう単純な図式でもないんですよね。
まあこの性ってね、名付けたのがちょっとね、
その名前の付け方がちょっと問題だとは思うんですよ。簡単に言えば、その名詞をグループ分けしてるっていうだけのことなので、
実際のその生物学上の性別が直接関係してない例も多いというか、そっちの方が多いので、
まあその性っていうか、実際英語でもジェンダーっていう専門用語がちゃんとあるんですよね。
だからちょっとね、それが誤解を招いている部分は多々あります。
ということでそれをちょっとお話ししていきましょうね。
何語の例をあげようかなと思ったんですが、ラテン語がいいかなと思いますね。
ラテン語が元となってですね、ある意味そのロマンス系の言語、イタリア語やフランス語ができて、
でそのイタリア語やフランス語では未だにその文法性っていうんですけど、
を保持しているということなので、その大元になったラテン語をちょっと見ていきましょう。
ラテン語には男性と女性と中性という3つの文法性がございます。
大抵これは名詞について言うんですよね。男性名詞、女性名詞、中性名詞というのがありまして、
当然その生物学上の性が関わっている名詞もたくさんあります。
少年っていうプエルっていうのは男性名詞ですし、少女のプエラっていうのは女性名詞だし、
まあ戦争とかね、は中性名詞なので、やっぱなんかそういう直感とつながってんだと思いきや、
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まあそういうわけでもないんですよ。
例えばホルテス、これ庭なんですけど、庭、男性名詞。
でアルボルっていうのが木、これ女性名詞です。
でノーメンっていうのが名前なんですけど、これ中性名詞です。
っていう風にやっぱりその直感的な生物学上の性と文法性っていうのは、
まあ全く違うものと考えた方がいいんじゃないかと思いますね。
だからホルテスっていう庭っていうのが男性名詞だからといって、
そのラテン語母語話者がかつて、庭っていうのは男っぽいから男性名詞にしようぜ。
おお、みたいなね、そういうことがあったとか、
アルボルって木が女性名詞なのは、あ、木って女っぽいよね。
じゃあ女性名詞にしよう。おお、みたいなね、そういうことがあったというわけじゃなくて、
単純にグループ分けの問題であるっていうね、そういうことだとご理解ください。
でこの文法性ってどういうことかっていうと、
男性名詞、女性名詞、中性名詞で活用の仕方が違うんですよね。
活用って言うとちょっとピンとこないかもしれないんですが、
英語で言うとこのIとMeの違いみたいなもんですね。
英語ってその代名詞にしかその格変化が見られないので、
あんまりいい例ではないかもしれないんですが、
例えば、男性名詞のHortusってさっき例を挙げたものは、
主語の位置に立つ、主格っていうものはHortusなんですよ。
で男性名詞って大抵うすで終わるんですよね。
でそれがなんとかをっていうね、目的語になる場合は、
Hortumっていうね、うむっていう音で終わります。
で一方女性名詞の少女っていうPuerraの場合はPuerraであで終わると、
主格、主語の位置になる場合はPuerraで、
なんとかをの時はPuerramでAmっていう音で終わることが多いです。
っていう風にその文法制によってですね、
その活用の仕方が違うっていうことですね。
しかもねこれめんどくさいのはPuerraがさっき主格だっていう風に、
主語の時の形だって言ったんですけど、
これ複数形だとPuerraへってなるので、
その算数か複数かでまた活用の種類が、
種類っていうか形が違うんですよね。
これを覚えるのがすごい大変なんですよラテン語ってね。
でこれが主語の位置になるか、目的語の位置になるか、
他にもですね呼びかける時はどういう形になるかとかね、
その格っていうものなんですけどそれが全部で6つですかね、
主格、続格、横格、対格、脱格、広格っていう風にね、
ピンとこない方は何のこっちゃって感じだと思うんですけど、
とりあえずですねその日本語だったらがとかをとかにとかでとかね、
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そういう格助詞をくっつければ済むところを、
ラテン語の場合はいちいち名詞の形を変えていたっていうことなんですね。
それが文法制によってつまり男性名詞か女性名詞か、
中性名詞かによってパターンが違っていたっていうことなんですね。
さらにですね、例えばかわいい少女とか大きな庭とかいうときに、
そういう風に形容詞が名詞を収束するときも、
その名詞の男性か女性か中性かによって形容詞の形もいちいち変わっていたんですよね。
だからそれはある意味形容詞が名詞に一致していたっていうことなんですけど、
そういう文法制は働きがあったということなんですね。
ラテン語の場合は。
実際そういう文法制を保持している言語はたくさんあります。
主にインドヨーロッパ系の言語でですね。
何にもこの文法制があるのはインドヨーロッパ系の言語だけではなく、
スワヒリ語にもあるんですね。
これバントゥーショ語と言われるものですが、
アフリカの言語ですね。
スワヒリ語とか何をマイナー言語の話ししてんだって思われるかもしれないですけど、
僕に言わせれば全然マイナーじゃないですね。
500万人も和社がいて、第二言語としては3000万から5000万もいるっていうことなので、
和社の数はめちゃくちゃ多いので、
全然マイナーじゃないと僕は思うんですが、
でもこのバントゥーショ語、このスワヒリ語を含むバントゥーショ語の場合は、
文法制とは言わず名詞クラスっていうふうに言われることが多いですね。
というかそう言われます。
先ほどラテン語では男性女性中性名詞っていうふうに3つ性があったっていうことなんですが、
なんとスワヒリ語には16もクラスがあるんですね。
なんということでしょうって感じですけど、
でもラテン語よりある意味簡単なのは、
接頭字って言って単語の前にピタッと何かくっつけるだけで、
どのクラスの名詞なのかっていうのが分かるんですね。
例えば道具クラスの名詞、ナイフっていうものはキスって言うんですけど、
これキっていうのが一個その道具クラスの名詞のマーカーというか名詞の標準なんですよ。
それが複数形だとビスっていうふうになるんですよね。
今ちょっと道具のクラスって言ったんですけど、道具以外にもいろいろありまして、
このキが付くクラスには、
例えば本っていうのはキターブっていうんですけど、
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これアラビア語からの釈用ですけど、
やっぱりキターブっていう本もキっていうのが付いてるし、
スワヒリ語っていうのは現地ではキスワヒリっていうふうに言うんですけど、
これもやっぱキっていうのが付くんですね。
それぞれ複数形の時はビターブとかね、
スワヒリ語の場合はあれか、複数形はないですけど、
っていうふうに同じグループの名詞には決まった接頭字が付くっていうことなんですね。
これもやっぱりラテン語と同様ですね。
形容詞も同じような変化をするんですが、
形容詞にも同じ接頭字を付ければいいだけの話なので、
例えばこれ形容詞ではないですけど、
1つの本とかいうときは1っていう単語はモジャなんですよね。
スワヒリ語は日本語と語順が逆になって本1みたいな語順になるんですけど、
1冊の本っていうときはキターブキモジャって言えばこれで1冊の本ということになります。
本っていうのがキが付くグループなので、
キターブになっているんですけど、
1っていうのもモジャに同じキっていうのを付けて表していると。
こういう感じで、ある意味で名詞と形容詞が一致しているというか、
交互し合っているという点ではラテン語の文法性と似ているんですが、
スワヒリ語の場合は何となく意味がわかるというか、
さっき道具っぽいのがキが付くグループだとか言いましたけど、
他にも人のグループとか植物のグループとか、
意味的にまとまりがあるという点で文法性と名詞クラス、
つまりラテン語みたいなのとスワヒリ語みたいなのはちょっと違うかなって感じですね。
ここまで聞いて、なんで文法性とか名詞クラスみたいなめんどくさいのがあるんだと思われた方、
実は日本語にも似たようなのはあるんですね。
女数詞というのは一冊の本とか一本の鉛筆みたいに、
ある意味名詞のこの場合はグループ分けというよりは名詞の形とか、
あるいは大きさとか形状とかそういうものによって女数詞を使い分けているということなので、
文法性とか名詞クラスというのはこれに近いと思います。
というわけで今回はここまでということで、
よろしかったら番組クリップお願いいたします。
ではまた次回お会いしましょう。ごきげんよう。
11:45

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