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ヨーロッパの言語には、よく名詞の性というものがあります。 文法性。
英語だとジェンダーと言われるものです。 男性名詞とか女性名詞とか中性名詞とか言われるもので、
なんでこの名詞が男性で、なんでこの名詞が女性なんだみたいにね。 ヨーロッパの言語を学んでいると、そういったことがよく
思われるんじゃないかと思うんですね。 今回はそんな名詞の性の中で、中性名詞に焦点を当ててお話ししていこうと思います。
これがね、なかなか奥が深いんです。 BGM、かかれい。始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
パーマン2号です。 この名詞の性というのは、
昔からヨーロッパの言語にあったようです。 例えばラテン語とかね、
ギリシャ語、サンスクリット、 こういったいわゆる古典語
にも 名詞の性の区別はあります。
ありました。 それと合わせて、こういった昔のインドヨーロッパ語に特徴的なのは、
格変化が豊富だということです。 格変化っていうのは、文中の役割に応じて名詞が形を変えるというようなものです。
日本語の名詞は格変化はなくて、格変化という名詞の形が変わる代わりに、
いわゆる助詞ですね、が名詞にくっついて、 犬がとか犬をとか犬にとか、こういうふうに言うことによって、
文中での名詞の役割をはっきりさせてるんですね。 主語化目的語化間接目的語化みたいに。
ただ昔のインドヨーロッパ系の言語、 ラテン、ギリシャ、サンスクリットなんかは名詞の形が変わることに
よって、主語目的語間接目的語っていうようなことを表していたんですね。
ざっくり言うとそのようなことです。 その格変化っていうのが名詞の性によって違っていたんですね。
大雑把に言うとそうです。 ラテン語なんかは男性名詞女性名詞中性名詞と
名詞の性が3つあったんですが、 男性名詞には例えばドミヌスっていうね、主人っていう単語が含まれていたりとか、
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女性名詞にはプエラっていう、少女っていう名詞が含まれています。 この辺イメージしやすいですね。中性名詞っていうのはものとか
概念とかそういったものが含まれて、 例えば戦争とかね、ベルムっていうのが中性名詞に含まれています。
中性名詞を今回テーマにお話しするんですが、 何が面白いかというと、ちょっとこのラテン語でお話ししていきますと、
中性名詞っていうのは主格と対格が同じ形なんですね。
要はものとかことっていうのは主語の形と目的語の形が一緒ということです。 例えば男性名詞のドミヌス、主人だと主格がドミヌスで、
対格はドミヌムということで、違う形を使うんですね。 これが格変化と言われるものです。
女性名詞も一緒です。少女のプエラっていうのがこれ主格形、主語の形で、 目的語の対格の形はプエラムという形になるので、
全然違うねということなんですが、これが さっきの戦争というベルムという単語になると、主格もベルムで対格もベルムという形になるんですね。
今取り上げたのはラテン語の例ですが、他の古典語も同様ですし、 現代でも例えばドイツ語の漢詞なんかもそうなんですね。
ドイツ語の漢詞っていうのは、まあ男性と女性と中性とで 違う形になるんですけど、中性名詞の
主語の時の漢詞と 目的語の時の漢詞っていうのは両方出すという形なので、
やっぱりね、ドイツ語の場合も中性名詞は主語と目的語の区別がないんですね。 なので、
このヨーロッパの言語を学ぶときは中性名詞は主格と対格の区別がないので覚えるの 楽でいいねと、まあそれはそうなんですが、
この中性名詞と言われるものはインドヨーロッパ祖語、 ラテン語、ギリシャ語、サンスクリットからさらに遡った祖語の時代には
無生物名詞であったと考えられています。 実際ラテン語の中性名詞は戦争みたいに
こととかね、あるいは物を表す名詞なわけですけど、 インドヨーロッパ祖語では生物名詞と無生物名詞っていうような区別だったと考えられてるんですね。
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そのインドヨーロッパ祖語の段階ですでに無生物名詞っていうのは 主格と対格の区別がなかったそうです。
なのでそれが永遠とこう 受け継がれているわけなんですが
ではなぜ無生物名詞に主格と対格の区別がなかったかというと、これはズバリ無生物名詞というのは
他同士の主語になりづらいからということができます。
これがねなかなかすぐにはピンとこないと思うんですけど、 そもそも他同士っていうのは
名詞が2つ出てくるような動詞ですね。 多同士の主語になるのはやっぱり人間であることが多いと思います。
あるいは生物名詞で、 私がコーヒーを飲むとかね、何でもいいですけど
何かこう意思を持って 目的語に
影響を与える変化を与えたりとかそういった動詞が多同士ですので 無生物の名詞がね多同士の主語には日本語でもそうです
なりづらいです。 英語とかだと無生物主語とか言ったりするわけですけど
そのニュースが私を喜ばせたとか、なんかそういったやつですね。 日本語でも
台風が関東地方を襲ったみたいに
無生物主語が 許容されやすい場合もあるんですけど
まあそういった諸々の話は置いといて、無生物というのは多同士の主語にはなりづらいんですね。
逆に多同士の目的語には非常になりやすいです。 戦争を始めるとかもそうですけど
コーヒーを飲むの場合もそうですよね。 まあこういうふうに多同士の目的語にはなりやすくて
さらに自動詞の目的語にも普通になるものです。 戦争が起こるとか
コーヒーがこぼれるとかね。 なので無生物名詞が文中でどういった役割で出てきやすいかというと
多同士の目的語か自動詞の主語 ということで
そうなると主格と対格っていうのは区別する必要がなくなります。 まあここがすごい今飛んでますけどどういうことかというと
主格と対格を区別しなきゃいけないというのは 主語と目的語を区別しなきゃいけないということですが
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それが問題になるのは多動詞文の時です。 自動詞文というのは名詞1個しか出てこないので
ある意味どうでもいいんですね。 多動詞文は名詞が2つ出てきて、その2つ出てきた名詞が果たしてどっちが主語で目的語かっていうのを
表し分けるのが格変化です。 ただ無生物名詞の場合は
多動詞文だと自動的に目的語と解釈されるので ある意味目的語専用の形っていうのを用意しなくてもいいんですね
ただ生物名詞というか特に人間名詞の場合はこうはいかなくって 男女殴ったといった場合
男が主語とも解釈できるし女が主語とも解釈できますので こういう人間名詞の場合は
どっちが主語で目的語かっていうのを区別する必要があるので 資格と体格を分ける必要があるんですね
男が女をか 男を女がかっていうふうに
ですので中性名詞っていうのは 結構ね深く考えると
不簡易ですね これと似たような現象が分裂能覚というものがありますので
過去に配信しているものがございますのでぜひそちらも聞いていただけたらと思います それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう
番組フォローも忘れずよろしくお願いしますお相手はシガ15でした またねー