なるほど。でもまあそういうエレキヴァイオリンを触る機会っていうのはあんまりないんじゃないかなと思うんですけど、朝日さんは。
そうですね。 普段、修理がメインですけど、朝日さんはヴァイオリンも作られるじゃないですか。
はい。 一方で大手メーカーさんとか量産品としてヴァイオリンもある程度作っている印象があるんですけど、
朝日さんのヴァイオリンってそういったメーカーのものとどういうところが違うものなんですか。 そうですね。
その量産してるっていうのは、
やっぱりどっか、その量産している楽器とそういう手工品って言うんですけど、
一人の製作家さんとか職人が一から削って全部組み立て、組み上げてっていうので、
何だろうな、その役割が違うっていうか。 役割。
やっぱり量産品っていうのは、とにかくたくさん同じぐらいの性能のものをたくさん作って、それを大量生産をすることで安く提供するっていうか、
そんなに高くない形で提供するっていうのが多分、
コンセプトというか主眼としてはあると思うんですよね。 それはそれでいいところではありますよね。
そうですよね。やっぱり人口は増えるわけなので、気軽に始められるわけじゃないですか。
そういった部分にあると思うんですけど、やっぱり
どこかで大量に作るとか、安くコストを抑えて作るっていうことを考えた時に、
すごい最後の一さじっていうか、最後の微妙なラインっていうんですかね。
その辺をやっぱり追求している暇がないというか、そこはもう割り切って、
もう寸法でこれでみたいな。例えば板の厚さはもうこれとか。
なんかそういう感じで作っているので、 それぞれの木はやっぱり一個一個違うんで、木の特性に合わせて板の厚さをこれぐらいにしようとか。
そういったところはもう無視っていうんですかね。 やっぱり。
なるほど。ちょっとイメージですけど、 もちろんメーカーさんのものもアサヒさんのバイオリンも、ある程度設計図的な図面はあるんだけれども、
アサヒさんの場合はもうちょっと使っている木材を一個一個に合わせて、 ちょっと調整したりとか、そういうイメージですかね。
そうですね。どこまで追い込んで作るかっていうか。
うんうんうん。
言ったところですかね。 あとは木自体のその選別からも違うので、
ああなるほど。 量産の楽器とかは多分、
コンテナで木を買って、コンテナに入っている木をゾーン、なんていうんですか、 ボーンって買って、それをとにかく全部使うみたいな。
で、手工品の場合は、その中からその叩いて、
なんていうんですかね。 木材の状態の時にいろいろ
叩いてどんな音が響きがするのか。 あと年齢とか、放射状の組織とか、いろいろ繊維とかいろいろあるんですけど、その辺の
積まり具合とか向きとか、そういったところをしっかりと見極めて、 これだなっていうのを選んで、
ようやく作るっていう形なので。 なるほど。
そうですよね。木材から作る楽器ですもんね。 そうですね。
ちなみにバイオリンって使ってある木材ってどんなものがあるんですかね。
木材は大体大きく3つぐらい。 楽器の本体で言うと。
なるほど。 表板っていう、よく僕らがイメージするバイオリンの形、Fみたいな。 あの上の穴が開いてるやつですね。
あそこがスプルースとか、いわゆる芯葉樹っていう木ですよね。 横の部分と裏の部分、あとはネック。
あそこはメイプルっていう、これ紅葉樹なのかな。 なるほど。
カエデって言ってもいいのかもしれないですけど、若干ちょっと違うっていうか、 メイプルっていう木を使う。
で、あとそのシバンとか、黒い指を押さえるところですね。 黒い部分ですかね。
あの辺がいわゆるコクタン、エボリンですね。 あれ塗ってるわけじゃないんですね。
そうなんですよ。あの辺もやっぱり安いのとかだと、 メイプル材を染めて黒くしてとかってやったりとか。
そうするとメイプルダメ、なんだろう、そのボディで使えないけど、 シバンにはなるぞってやつを。
そこでサルベージしてとか。そうするとコストを抑えられたりとか。 僕はあの指のところ、黒いところを一気に塗ってやるもんだと思ってました。
そうですよね。まあ塗ってるやつも本当にあるんですよね。 子供の分数楽器とか小さいやつとか。
まあいわゆる最近で言うとそのアマゾンだったりとかで買える、 すごい金額で買えるの?みたいなやつとかが塗ってあったり。
あとはエボニーじゃないけど、 安い黒っぽい木とか。そういうのを使ったり。
ああ、そうなんですね。
3種類木があるっていうことだったと思うんですけど、 その表板が材が違うっていうのは、そこで
板を震わせて 大きな音を出すために書いてるっていう、そんな感じなんですかね?
そうですね。 表板は
結構、なんだろうな、柔らかいっていうか弾力があるんですよね。 なるほど。でも年齢の方向に対してはすごくこう
丈夫なので。 なるほど。 メイプル横とか裏側の方は、紅葉樹といえば紅葉樹なんで硬いので。
ああ、まあその人間が体に触っている部分は硬くて、比較的人間が触らない上の表板の部分はブルブル震えるから大きな音が出るっていうこと?
そうですね。 ああ、なるほどなるほど。
説明でたまに使う、たまにってよく使うのがスピーカーですかね、オーディオの。 あれもそのコーンっていう部分が、あれは前後に振動して音を作るじゃないですか。
あそこが表板の部分。
スピーカーってだいたい箱でできていると思うんですけど、あの箱の部分がその横板とか裏板。
スピーカーの部分、コーンの部分はちゃんとやっぱりしっかり震えてくれないと困るじゃないですか。 そうですね。
で、箱のになっているところはがっしりというかどっしり。 まあまあイメージはそんな感じですね。
してないと、音としてこう出てこないんで。一緒にそのコーンと一緒に揺れたら振動を作れないんで。
はいはいはい。 そういうイメージとしてはあんな感じって思ってもらえるとわかりやすいかなーみたいな話はしたりしますね。
なるほど。
以前、朝日さんとポッドキャストで配信していないときに喋っていた話で、
バイオリンの中でも変形バイオリンみたいな、ちょっと変わった形のバイオリンを作っているみたいな話をされていたような気がするんですけど、
多分一般的な形のバイオリンとちょっと違うってことですよね。
そうですね。
その上でバイオリンって何なんだろうっていう、この形だったらバイオリンなのか、多少形が変わったらバイオリンじゃなくなるのか、バイオリンって何なんですかね。
何なんでしょうね。僕もそうやって改めて言われると、形を持ってバイオリンというのか、演奏形態を持ってバイオリンというのか。
なんかこう、バイオリンの中までビオラとかチェロとかコントラバスとかあるじゃないですか。
多分この順番で音域は低くなっていくし、それはなんとなくわかるんですけど、でもよくよく見ていると、どれもバイオリンのヘッドの部分は型つむりのようなぐるぐるになっていて、
穴もS字型というか、みたいな穴が開いていて、ああいう特徴があるのがバイオリンなんですかね。
そういう感じでいいんじゃないですかね。
なかなか、まあ大きく言ったらそんな感じなのかな。でも全然そのヘッドっていうネックの先っぽのところの渦巻きじゃなくて、
人の顔みたいな、あと動物とか、ライオンみたいなね。
そういう造形なものもあるし、その辺とか全部取っ払って、
何もついてないというか、ただちょこっと何がしかの渦巻きではない何かがくっついてたりとかっていうのもあるし、
フジコのところ、穴の開いている部分ですよね。あそこも
結構、C、アルファベットのCみたいな感じで開いているものもあったりするし、
なんかいろいろなので、何を持ってバイオリンと言えばいいのかな。
そのアサシさんが変形バイオリン作られているじゃないですか。
あれは変形させている部分というか、普通のものと違うのって、横幅とかそういう感じなんですかね。
はい。 そうですね。
僕の今のところ作っているのは、バイオリンをその両サイドからグシューって押しつぶしたような感じ。
全体的に細長い感じのフォルムになっているのを作っています。
それは何か、潰した方が持ち運びが便利とかそういうことじゃないですよね。
まさにそれです。
そうなんですか。
はい。変形バイオリンの中の、またもう少し分類をするのであれば、ポシェットバイオリンといって、ポシェットってポケットっていう意味じゃないですか。
ポケットに入れて運べるぐらいコンパクトなギター、バイオリンという感じです。
便利ですよね。
そうですね。
用途も当時もそういうふうな使われ方をされていたみたいで。
そうなんですか。
昔はその、いわゆる蓄音機っていうのが発明される前の世界って、
簡単に音って出せなかったんですよね。音楽って。
なるほど。
自分で弾くか、誰か弾ける人を呼んできて、弾いてもらう。どっちかしかないわけですよね。
そういう時代においては、
例えば、ダンスの練習とか、踊りの練習するときに、「じゃあ今日はこれを踊りを、メヌエットの練習をしましょう。」とか言ったときに、「じゃあ音楽流します。」とかって流せないんで、
先生がその楽器を持って行って、弾いてそれに合わせて踊る、練習するっていうようなことがあったようで、
その時に先生がかさばらないポシェットバイオリンを持って行って、
演奏して踊りの練習をしたみたいな、そういうことがあったみたいです。
じゃあもっとカジュアルにバイオリンを楽しめるようにみたいな、そんな感じなんですかね。
そうですね。バイオリンももともとの発声というか、バイオリンってもともと民衆に結構最初浸透して、
で今、なんか知らないけどちょっとこう、お坊ちゃんとかハイソサイティとかね、なんかすごいそういう感じのイメージついてると思うんですけど、
バイオリンが出始めてきた頃っていうのは、そのいわゆる貴族の人たちっていうよりは民衆の人たちが好んで演奏していて。
だから、その貴族の人からすると、
何あのちょっと下品な楽器版、ガチャガチャうるさいわね、みたいな。
そんな感じなんですか。
そうなんですよ。ちょっと話長くなっちゃうかもしれないんですけど、
そのバイオリンが発声する前ってビオールっていう、ビオーラダガンバみたいな言われ方をしたりとかもするんですけど、
同じような楽器、弦を張ってで弓で弾くっていう楽器が昔はあって、
そのビオール族とかそういった楽器っていうのが裏板は平らだったんですよね。
ああ、なるほど。
普通今バイオリンって表板もちょっとふっくら、ぷくって膨らんでるじゃないですか。
裏板はぷくって膨らんでるんですけど、
表板は膨らんでたんだけど、裏板はまったいら。
要はアコースティックギターとか、ああいう感じを想像してもらえばいいんですけど、平らだったんですよね。
そうすると、ざっくり言うと音量を稼げないっていうか、平らだという部分があって、
貴族の人ってガチャガチャしてるイメージはないじゃないですか。
大声で叫んでたりとかするイメージはないと思うんですけど、
なんでそういう生活っていうか、みやびな生活にそういうビオールがんばとかそういう楽器ってすごく相性が良くて。
ああ、まあその音がそこまで大きくなくても上品に楽しめればいいみたいな。
で、そこでバイオリンが出てきたときに、バイオリンは皆さんわかるようにすごい大きな音が出るわけですよね。
そうすると、そういう貴族の人からすると、なんだあのちょっとうるさいなみたいな感じがもしかしたらあったのかもしれないですね。
なので、今ではクラシックの弦のパートって言ったらバイオリン、すごいお高いっていうようなイメージがついてるんですけど、
最初の頃はそんなでもなかったっていうか、そういった側面もあったりするので、
なかなかね、時代が変わると捉え方っていうか、認識のされ方っていうのも偉く変わってくるので、面白い部分ではあるんですけど。
で、話が戻ってと考えると、そういう裏板が平らな時代があったりとか、バイオリンが出てきたこと、まだ疎まれてた時代があって、
当時もいろんな製作家さんとかが試行錯誤をして、あの形が最終的に決まっていった部分があるので、
今、じゃあ僕ができることは何かなっていうふうに考えた時に、
ストラディバリウスとかガルネリって言われるような、そういうすごい良い楽器、良いとされている楽器をただコピーして作ってるっていうのは、
僕はあんまりそこまで力を入れてやることはしなくてもいいかなと。
もっとこう自由にいろんな、まあそれが変形バイオリンを作るっていうことに向いてるんですけど、
やっぱりそういう細長い楽器、もう細長いからボディの大きさ小さいので、大きな音は出ないんですけど、
そのポシェットバイオリンにしか出せない音があるっていうのは何本か作ってみてわかるところだし、
もしかしたらその音を気に入ってくれる人がいるかもしれないし、
いやーこういう音が欲しかったんだ、やっぱりバイオリンうるさすぎるからさーとか言って、
これでサイレントバイオリン買わなくて済むよとかいう人が出てきたら、
その人にとっては得難い楽器を手に入れることになるわけじゃないですか。
そういったものをちょっと提供っていうか、何か提案ができたらなっていう思いでは作っているんですよね。
今バイオリンの音っていうと皆さん想像するような音だと思うんですけど、
例えばゲーム音楽とか、ポシェットの音を活かせた、例えば曲が書けるのであれば、
そうしたら作曲家もそういう楽譜っていうかスコアを書くかもしれないし、
今までのクラシックの歴史もやっぱりそういうことの繰り返しというか積み重ねでできてきているので、
まあ改良なのかはちょっとわからないですけど、ちょっとした変化が積み重なってきている。
そうですね。要は中世の頃からバロックになってとか、いろいろバロックの頃なんてピアノはなかったわけだし、
チェンバロだったわけで、そこにピアノが出てきて、ピアノフォルデが出てきて、
ガラッと曲のアレンジも変わったし、アレンジというか。
ベートーベンが出てきて、鍵盤の量が低い音の方にも高い音の方にも使える鍵盤をもっと増やせって言って増えて、
今みたいな88鍵になって、ってなってきているわけだし、
っていうふうなことで考えると、まあギターもそうだと思うんですよね。エレキギターが出てくる前なんて、
もう本当なんだろうな、バンドの中ではリズムを刻むぐらいの役割しか与えられなかったのが、
電気の力を借りて大きな音が出せて、さっき話したエフェクターっていう足で踏んで音を変えるやつが出てくると、
ソロギターみたいな感じで出てくる。 今エレキギターって一つのジャンルとしても確立っていうかあるわけじゃないですか。
で、じゃあヴァイオリンはどうかなって考えると、
ずっとストライディバリーを目指すみたいなところで皆さんが頑張ってきていて、
あんまりもう少しもっといろんなことに挑戦してみてもいいんじゃないのかなという部分があって、
僕はそういう変形ヴァイオリンっていうのを作って、
なんか新しい音とか、
なんか利用方法みたいなのが、そういうふうに使ってもらえたらなと思うし、
もっとみんなもっと自由にやっていいんじゃないのかなとかは思うんですよね。
いやいや、なんかあれですね、やっぱり変形ヴァイオリンの話をすると、やっぱり朝日さんのヴァイオリンへの熱意がすごい伝わってきていいですね。